バカとテストとウチの弟   作:グラン

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今週もなんとか一週間で投稿完了
リアル多忙でギリギリでしたww


第九十二問 苦戦

  SIDE 明久

 

 

高校野球の地方大会の決勝戦がもうすぐ始まる

今日勝てば海人たちは全国大会へと進むことができる

海人の頑張りを間近で見てきた僕としては是非かって欲しいものだ

 

 

「いよいよね」

 

「うん。緊張するなぁ」

 

「お前が緊張してどうするんだ」

 

「あはは、でも吉井君の気持ちもわかるかな」

 

「みなさん、今日まで頑張って来たんですからきっと勝てますよね」

 

 

いつものメンバーが集まっているわけだが、秀吉だけは応援団で別行動だ

 

 

「それにしても凄い観客の数だね」

 

「ま、海人も相手投手の新藤ってやつもかなり有名だからな。『同じ地区なのが惜しい』って声もよく聞くしな」

 

 

そう、この二校は同じ地区にある

故に甲子園へと駒を進めることができるのはどちらか一校のみ

 

 

「ほら見ろよ、あの人なんて凄いカメラ持ってきてるぞ」

 

 

雄二の指さす方に視線を向けると家庭用とは思えない大きなビデオカメラを三脚で立て、別のカメラで写真撮影している気合の入った・・・って、あれ?

あの人は・・・

 

 

「・・・素人が持つレベルのカメラじゃない」

 

「ってことはプロのスカウトとか!?」

 

「凄いです!」

 

「今のうちに海人君にサイン貰っておこうかな?」

 

「・・・?どうかしたの?」

 

「な、なんでもないわよ!そうね!さすが海人ね!あはは」

 

 

美波もどうやら気付いたようだ

あの人は・・・

 

 

(美波、言わなくていいの?)

 

(こんな騒ぎになって今更『あれはウチのお父さんです』なんて言えないわよ!)

 

 

・・・美波と海人のお父さんだ

今日は葉月ちゃんがいないと思ったらそういうことだったのか

多分両親と一緒にいるんだろう

 

 

『一回表、文月学園の攻撃、一番センター野村君』

 

 

っと、試合が始まった

海人・・・頑張ってね

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

いよいよ始まった

星凰学園のデータは山ほどあったが、弱点と言えるものは全くなく、スタメンの選手は全員プロでも通用っするんじゃないかと思うほどの高スペックだ

特に投手の新藤君のフォークは当てる事すら困難で、今大会でクリーンヒットさせた人はいないほど切れ味・・・

 

 

『ストライーク、バッターアウト、スリーアウトチェンジ!』

 

 

って、考え事をしている間にウチの攻撃が終わってしまった

 

 

「夏川先輩、どうでしたか?」

 

「・・・わからねえ・・・アレはどうやったら打てるんだ?落ちるなんて生易しいもんじゃねえ。俺にはまるで消えたように見えたぞ」

 

「まぁ初見で打つのは難しいですよ。とにかく粘って喰らいつくしかないでしょう」

 

「気を取り直して守備に入りましょう。僕の球が通じるかわかりませんけど、打たれたらフォローお願いします」

 

「ああ、まかせとけ」

 

 

そう言ってみんなはグローブを手に取り守備に向かう

 

 

「海人君!」

 

「ん?」

 

「その・・・頑張ってね」

 

「うん!」

 

 

海人君を呼び止めそう言うと海人君は笑顔で返事を返しマウンドに向かった

アタシってば何言ってんだろ?

何か激励の言葉を言わなくちゃと思ったものの気の利いた言葉は思い浮かばず、出てきたのは頑張れの一言

情けないわ

 

 

『一番センター青葉君』

 

 

相手は俊足の青葉君

出来れば塁には出したくないところね

 

 

『ストライーク!』

 

 

一球目は内角低めギリギリに決まってストライク

手が出なかったというより球筋を見るためにわざと見逃したって感じだ

 

 

『ボール』

 

『ボール』

 

 

二球目、三球目はかなりきわどい所に変化球が決まっているのだがわずかに逸れてボール

この選手、やっぱりかなり選球眼がいいわね

 

 

(キンッ!)『ファールボール!』

 

 

四球目は三球目と同じ辺りに投げられた球だったが少し中に入っていたのか青葉君は見逃さずバットを振ってきた

そして海人君は五球目を投げる

・・・よし!決まった!三振だ!

 

 

『ボールスリー!』

 

「え!?」

 

 

入ったと思ったがどうやらギリギリ外れていたらしい

これは苦しいわね

フルカウントになった以上、こっちはストライクを投げるしかない

でも青葉君はそれを見逃してくれるような打者じゃない

そんなことを考えているうちに海人君は投球モーションに入って投げた

 

 

(ったく、きつい所ばっかり責めやがって・・・外角低め、ギリギリ入ってる。だが打てない球じゃない!)

 

 

『ストライーク!バッターアウト!』

 

 

(ここでスプリットだと!?俺が見逃せばフォアボールだってのに!?なるほど・・・俺の選球眼の良さを逆手に取ったってわけか・・・)

 

 

青葉君は悔しそうな表情で去って行った

なんとか勝てたけどギリギリの戦いだったわね

続く二番打者も三振に抑え、次はまた要注意人物

 

 

『三番セカンド紅松君』

 

 

守備の要の紅白コンビの一角で打撃センスも高く、弱点らしい弱点は特になし

 

 

『ストライーク!』

 

 

一球目は見逃し、どの打者も一球目は見逃している

海人君の変化球の球筋を見るためかそれとも・・・

二球目はわずかに外れるボール球を・・・

 

 

(キンッ!)

 

 

・・・打たれてしまった

もちろんボール球を打ってはいけないなんてルールは無い

しかしあの厳しいコースをセンター前まで持って行くなんて・・・

流石は星凰のクリーンナップね

さて、次は一番の要注意人物

 

 

『四番ファースト武蔵丸君』

 

 

武蔵丸権三郎

ずば抜けた打撃力を持っていて、ここまでの試合はホームランかフォアボールしかない超強打者だ

にしても・・・

 

 

「あの人・・・本当に高校生?」

 

 

言っちゃ悪いが外見はどう見ても30代、いや、40代でも通りそうだ

まぁそれはさておき、海人君はどう攻めるのかしら

策としては敬遠・・・『ストライーク!』・・・はしないみたいね

まぁそりゃそうか

初回から逃げ腰じゃあ勝てる物も勝てないわ

そして二球目、スローカーブ

コースは良いし初球との球速差でタイミングもずれた

これは打てな・・・

 

 

(キンッ!)

 

『ファールボール!』

 

 

打球はまるでピンポン玉のように飛んで行った

が、ちょっとタイミングが早かったのか三塁線に切れてファール

多分次は速い球ね

 

 

(次はスプリットかカットボールか・・・あるいは遅い球を外してくるか・・・)

 

 

そして海人君が投げた球は・・・

 

 

(低めに速い球か・・・低めに集めればホームランは無いと読んだか)

 

 

「甘いわ!」

 

 

武蔵丸君はバットを振る

 

 

「んな!?」

 

『ストライーク!バッターアウト!』

 

 

(スライダー!?馬鹿な!こいつの球種にスライダーはないはず・・・)

 

 

「ガハハ!やられたわい!この時の為の隠し玉というわけか。じゃが次はこうはいかんぞ」

 

 

(面白い。新藤以来だな、ワシをここまで楽しませる投手は)

 

 

武蔵丸君はまるで新しいおもちゃを見つけた子供のように笑いながらベンチに戻っていった

 

 

「ふぅ、疲れた~」

 

「お疲れ様、はいタオル」

 

「あっ、ありがとう」

 

 

そう言ってアタシは学校が用意してくれたタオルを一枚海人君に渡す

それにしても・・・海人君、凄い汗の量

初回からこんな状態で、最終回まで投げられるのかしら?

 




苦戦を強いられている文月ナイン
新藤の球を攻略できるのか?
そして海人の球は星凰に通用するのか?

次回も頑張ります






?「次は俺の出番やで!」
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