TSSS~引きこもりが性転換したところでなにがあるわけでもない~ 作:ウルリヒト
「あららら、ガリガリ君が随分とまぁ美少女になったねぇ……なんや羨ましいわ。というかほんまに君、弟くん?実は浮気ごまかしとるとかない?」
「兄貴がそんなことするわけないだろ殺すぞ雌猫」
「……ああ、弟くんやね。よぉ分かったわ」
とうとう現れてしまった、目下最大の敵。恐ろしい、何が恐ろしいというと僕のこの敵意をまるでそよ風のように泥棒猫は受け流してしまうのだ。
「ほんで、サイズのあった下着とか持ってくればええんかな?」
「ああ、その、悪いがよろしく頼むわ。流石にこればかりは俺にはどうしようもない」
「ええんよええんよ、ほなサイズ測ろっか」
メジャーを片手ににじり寄ってくる。な、何をするつもりだこの雌猫!ぼ、僕を食べたところで美味しくはないぞ!いや、美少女の僕はきっと食べても美味しいに違いない。なんてこった!?
「た、食べないでくださーい!」
「食べへんよ!……やなくて、色々と測らんと服が用意できへんやろ?」
む……それは、ダメだ。この体は美少女である。完全無欠に理想的に美しい。この体の維持は僕の使命といってもいい。
そして下着、合わないものを着ければ肉が崩れ、逆にぴったりとしたものを着ければ黄金率(肉体)を維持する大きな助けになるとインターネットで聞き齧り、特に今まで使うことのなかった知識が訴えている。
「だったら兄貴に測ってもらう」
「勘弁してくれ……」
兄貴の悲鳴を無視して泥棒猫を睨む。ただでさえ他人に触れられたくないというのによりにもよってこいつに触れられるなんて考えたくもない。それはまさに精神的レ○プである。
「我が儘を言わんの、自分やってこのままじゃ良ぉないって分かっとるやろ?」
「確かにこの身体が型崩れ起こすとか人類の至宝の損失間違いなしだけどそれとこれとは話が別だ!」
「うわ……自分で自分のことをここまで褒められるとかスゴいなぁ。いや、自分の身体って実感がそんなにないだけなんやろか」
何か言っているがとにかく拒否だ拒否。というか兄貴が測ればいいのにどうして兄貴は我が儘を言うのか。
「本日のお前が言うなスレはここですか?」
「異議有り!そこまでの我が儘じゃないと主張します!」
「その異議を却下します」
一撃のもとに両断され、僕はなすすべもなく泥棒猫に引き摺られ風呂場まで引き摺られるのだった……ん?風呂場?
「待って、どうして風呂場?!」
「いやぁ、弟くん……臭うんやもん」
「?!?!?!」
丸洗いの時間やで~、と両指をワシワシさせながらせまる泥棒猫に、僕は、僕は……
「お、お助け~…………」
悲鳴が響いて虚しく吸い込まれていったのだった。