蒼穹の空に舞う運命の翼   作:大2病ガノタ

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さよならC.E.

 

 

---C.E.74

後に『メサイア戦役』と呼ばれる戦いが終わりを告げようとしていた。

ある、一人の少年の敗北と共に。

 

 

「アスラン、アンタやっぱり強いや…」

 

 

月面に落下していく愛機のコクピットで赤い瞳を持つ少年が呟く。彼の瞳の先にはかつての上司が駆る機体、インフィニットジャスティスがあった。

彼の名はシン・アスカ。かつてオーブに住み戦争により家族を失ったザフトのスーパーエース。そして彼の駆るMS、デスティニー。彼らはインフィニットジャスティスのパイロットのアスラン・ザラに戦闘不能にされ行動不能に陥っていた。彼の脳裏に浮かぶのはアスランが自分に向かって言った言葉。

 

 

 

『お前が、俺と同じだからだ』

 

『そんな事をしても、何も戻りはしない!』

 

『なのに未来まで殺す気か! お前は!』

 

『お前が本当に欲しかったのは、そんな力か!』

 

 

 

その一言一言が胸に突き刺さる。今までシンは、失った家族とエクステンデッドの少女、ステラ・ルーシェを助けられなかった自分と、元凶たるフリーダムに対する憎しみでココまで来た。デュランダル議長に与えられたワンオフ機と共に聞かされた『デスティニープラン』。その計画が実現すれば、自分の家族やステラの様な悲惨な目にあう人が居なくなると信じて。しかしアスランのセリフは今まで邪魔にしか思わなかったアスラン自身の人物像を少し変え、戦闘に勝利した事でシンをこれまで縛ってきた憎しみの過去から開放する事に成功した。

 

 

「ぐぁっ」

 

 

デスティニーが月面に不時着する。一度閉じた目を開き画面を見ると、シンが無事だったのを確認して戦略兵器『レクイエム』へと一直線に飛んでいった。それはシンが先程まで防衛していた物であり、破壊されなければかつてのシンの故郷であるオーブを撃つ予定であった。

 

 

「………行っちまったな、アスラン。…デスティニーは…駄目だ、電源は生きているけど動けないな」

『シン!』

「! ルナかっ」

『シン、大丈夫!?』

「ああ。大丈夫だよ」

 

 

 

デスティニー以前のシンの愛機『インパルス』に乗った恋人、ルナマリア・ホークが近付いて来るのが分かった。彼女が慌てた様に尋ねて来るのに対しシンは、彼自身でも驚く程穏やかに返答した。

インパルスが中破したデスティニーの横に降りる。

 

 

「ルナの方こそ大丈夫か?」

『ええ。問題無いけれど』

「そっか。良かった」

 

 

コクピットの中で2人が会話していたが突如、大きな振動が起こる。

 

 

『きゃぁ!』

「うわっ、な、何だ!?」

 

 

慌てて画面を見るとレクイエムなあった方向から大きな光の柱が昇っていた。その光景が意味することはただ一つ。

 

 

『レクイエムが…!』

「…そうかアスラン、無事に破壊出来たんだな」

 

 

レクイエムは破壊され、更に続けて要塞『メサイア』が落ちていく。そしてどこからか通信が流れる。

 

 

『---こちらはエターナル、ラクス・クラインです。ザフト軍、現最高司令官に申し上げます---』

『これって…』

「終わったんだな…ようやく、この戦争が」

『シン…』

 

 

ルナマリアはシンの落ち着いた声に悲しみが混じっているのに気が付いた。開戦時からチームメイトとして一緒に戦い恋人になった事は彼女にシンを更に理解させるのに繋がった。シンの声の中にはオーブが撃たれなかった事への安堵と、自分達が負け多くのものを失った事への悲しさが詰まっていた。

目の前の画面には、今まで戦いの光を放っていた宇宙がそれぞれの光を纏い一箇所へと集う美しい光景が映し出されていた。

 

 

『シン! ルナマリア! 大丈夫か!』

「っ! アスラン!」

『アスラン!?』

 

 

そこへレクイエムの破壊を終えメサイアから脱出した直後なのであろう、背中にあったリフレクターが無いインフィニットジャスティスが近付いてきた。

 

 

『良かった、無事の様だな…』

「ええ、まぁ何とか。機体は動きませんけどね」

『そうか…2人共、エターナルへ行こう。ルナマリアも、メイリンが待っている』

『メイリンが…』

 

 

メイリンとはルナマリアの妹で、アスランがザフトから脱走した時に協力し今は戦艦『エターナル』の通信士をしていた。

 

 

「そうか…メイリンも生きていたんだな…」

『積もる話もあるだろうが、とにかく今は安全な場所に移動しよう。仕方ないがデスティニーはここに置いて---』

 

 

その時、シンの脳裏に声が響く。

 

 

---あなたは、そこにいますか?---

 

 

「っ!? 何だこの声、どこから!?」

『シン!? どうしたの!?』

「いや、今声が」

 

 

---あなたは、そこにいますか?---

 

 

「! まただ! 何処から!?」

『シン? 何を言っているんだ? 声なんか聞こえないぞ?』

『シン? 一体何を』

「っ!?」

 

 

いきなりシンの目の動向が開かれ頭の中で何かが割れる音が響いた。キラやアスランといった一部の人間のみが使える進化の証、『SEED』が発動したのである。何の前触れも無く行き成り思考がクリアになったシンはデスティニーのまだ生き残っている機能を使い原因を確かめようとする。しかし

 

 

---あなたは、そこにいますか?---

 

bi-bi-bi-bi-bi-bi-bi-bi-bi-bi-

 

 

言葉が聞こえた直後、コクピット内にアラートが鳴り響く。インフィニットジャスティスにはアラートは鳴っていないようだったが、近くに居たインパルスのコクピットにもアラートがなっていた。

 

 

『!? なんなのこれ!? 行き成りアラートが…!』

『おいシン、ルナマリア! どうした!? 何かトラブルでもあったのか!?』

「い、一体…!」

 

 

直後、異変が起きる。デスティニーとインパルスを包む形で真っ黒な球体が突如現れる。アスランは目の前で起きている出来事に嫌な感覚を覚えジャスティスのスラスターを吹かし急いで球体に向かわせる。しかし

 

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁ!」

『きゃあああああぁぁぁぁぁぁ!』

『シン! ルナマリア!』

 

 

シンとルナマリアの視界と意識が真っ黒になる。

 

 

「ルナあああぁぁぁ!」

『シィィィィィン!』

 

 

お互いの名前を最後に叫んだ。

 

 

---あなたは、そこにいますか?---

---シン、大丈夫だよ。シンの明日は、ステラが守るよ---

 

 

謎の声と共にステラの声を、シンは最後に聞いた気がした。

球体が消え去ると、デスティニーとインパルスがあった所はまるで綺麗にくり抜いた様に月の地面と共に消滅していた。

 

 

『シィィィィィン! ルナマリアァァァァァァ!』

 

 

残されたのは、アスランの悲しい叫びと涙だった。

 

 

戦争は終結し世界に再び平和が訪れる。しかしその平和を享受する人の中にシン・アスカ、ルナマリア・ホークの姿は無かった。

 

 

 




やっちまいましたぜー!
意外とあっさり書けましたが、ファフナーアニメ見ながら書くんで投稿スピードに期待しないで下さい。
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