『マークツヴァイ、機体を立て直せ。そして…全力で目標を追跡!』
「了解!」
操縦系のロックが解除され機体---ファフナー・マークツヴァイ---がスラスターを全開し海中を突き進む。パイロットの
彼女が乗る機体『ファフナー』は宇宙からやってきたシリコン型生命体『フェストゥム』に対抗する為に作られた兵器である。フェストゥムは他の生物と同化することを目的に行動し、読心能力を使い相手の思考を読んでくる。これにより人類は戦術を読まれ戦果を挙げられずにいた。フェストゥムは最初日本に現われ日本全土を壊滅させ日本人の数は激減した。しかし一部の日本人は人工島を幾つか作り『Alvis』を名乗り、フェストゥムから、生き残った他の人類からも身を隠し対フェストゥム兵器の開発を行なっていた。
表の姿は本州から離れた島としてかつての日本と同じ風景が見られるが、島内部に移動した途端要塞となる。この事は一部を除いて子供には知らされておらず、平和に過ごす子供たちは日本が既に壊滅していることすら知らされていなかった。
果林はこの人工島---竜宮島---の総司令の義娘であるため始めから知っており、現在乗っているファフナーのテストパイロットを務めていた。
「くっ、間に合って!」
ファフナーはフェストゥムに対抗出来る有効な兵器であるが、乗る為には大きな代償を払う必要があった。
まず一つは、フェストゥムの読心能力を防ぐ為にフェストゥムのコアを使っている為普通の人間には搭乗出来ない事。
二つ目は、ファフナーに乗れるのは島にある人口子宮で生み出される
三つ目は、ファフナーに乗れば乗るほど体内のフェストゥム因子とファフナーが活性化し同化が進み、最後には結晶化して消滅してしまう事だった。
生き残った人類とは違い生き残りの日本人はフェストゥムによる日本壊滅の影響で出産率が著しく低下し子供が殆ど生まれない環境にあった。その問題を解決する為島の地下に人口子宮があり子供を作り出すしかなかった。果林も、果林をサポートしている
果林の努力も虚しく大きな爆音と衝撃が響く。
「っあ…」
『…マークツヴァイ、帰還しろ。そこにはもう…誰もいない』
「あぁっ、ぁぁ」
総士の悲しい声と果林の嗚咽が響く。彼女たちは『L計画』と呼ばれる作戦からの生存者を救出する為に出撃していた。
『L計画』とは、未だ戦闘態勢が整っていない竜宮島がフェストゥムに発見される危機があったが為に島の左翼部分を切り離し囮にする作戦である。その作戦は参加者の誰も内容を知らなかった。構成メンバーは指揮官+医療スタッフ+メカニック+選抜パイロット8名の計40名のみで、2ヶ月間弾薬と食料、4機のファフナー・ティターンモデルで構成され奮闘した。この選抜パイロットの中に果林の憧れである僚が居た。
配備されたティターンモデルは今果林が乗っているツヴァイのプロトタイプに当たるが性能は引けを取らないものだった。
しかしこの機体は搭乗者の同化現象のスピードが早く、2ヶ月の間に既に結晶となり消滅した者も出てしまった。
全てのファフナーにはフェンリルという高出力の自爆用爆弾が仕掛けられており、先程の衝撃はフェンリルが使われたものだった。
果林は悲しみに暮れながらただ涙を流す。
『!? なんですって!? マークツヴァイ、聞こえるか! マークツヴァイ!』
「ぁあぁ、うぁあ…」
『先程フェンリルが使われたと思われる場所に金属反応と生体反応が確認された! 確認に向かうぞ!』
「!? 先輩…っ!」
竜宮島のソロモンと呼ばれる特殊なレーダーが反応を感じ取り総士に伝える。確認を指示され希望を胸に果林は再びファフナーを加速させる。
「無事でいてください…!」
ポイントに到着する。しかしそこには期待していたファフナーの姿は無く変わりに
『な、何だこれは…』
「何、これ…」
翼と両腕、片足をもがれた灰色の悪魔の様な見た目の機体と、それに寄り添う様に跪いている右腕が無い灰色の機体が沈んでいた。
ROLラストからの参入です。