「お、お邪魔します…」
「遠慮しなくていいよー。」
俺はたえとお母さんに連れられてリビングへと案内された。たえのお父さんはまだ帰ってきてないようで今は俺を含めて3人しかいない。
「昴くーん、いつも言ってるけどいつでも家に遊びに来ていいのよ。最近遊びに来てくれないからおばさん寂しいわ…」
「すみません、色々と忙しかったので…」
「昴くんもバンド活動が忙しいから仕方ないわよね。うちのたえちゃんもお友達とバンドとかやってみたらいいのにね。」
「やるかどうか考えてるよー。」
三人で積もる話をしているうちに俺の目の前に沢山の料理が並べられた。
「美味しそうですね。」
「そう言ってもらえて嬉しいわ。久しぶりに頑張っちゃったからね。」
「さすがお母さんだね!」
「褒めても私しか出ないわよ。さ、二人とも暖かいうちに食べてね。」
「うん!」
「いただきます…」
目の前に置かれた味噌汁を一口飲む。とても美味い。久しぶりに食べたけどやっぱりたえのお母さんの料理は最高だ。
「そういえばさ、昴くんは彼女とかいたりするの?」
「彼女ですか?いませんよ。」
言わせないでくださいよ…てか俺はたえ以外の女の子には興味ないですからね。
「うふふ…うちのたえちゃんでよかったらいつでも持ってっちゃっていいのよ!」
「な、何言ってるんですか!」
この人は何を言っているんだ…?自分の娘を簡単に持っていっていいとか色々と心配になるんですが!まぁどこの馬の骨かわからないやつにたえを取られるよりかはいいのかな…って俺は全然いいけどそれじゃたえの気持ちはどうなるんだ!
「たえ、お前はそんなふうに言われるの嫌だよな?」
「すばるんの彼女…えへへ…」
「あらあら。うちのたえちゃんは満更でもないみたいだけど昴くんはどうする?」
「おい!たえ!戻ってこい!」
本当に色々なことがあったが、俺達はとても楽しい時間を過ごした。次の日にかなり厄介なことが起こるとは知らずに…
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そしてやって来た月曜日。俺は朝から憂鬱な気持ちとギターを抱えながら学校へと向かっていた。
「はぁ…学校とかマジ萎えるわ…」
学校へ行くことの気だるさは誰もが一度は経験したことがあるだろう。俺はそれが基本毎日続く。理由は単純で授業を受けたくないだけだ。そんな暇があるなら練習したい…
「昴じゃん、おはよう。」
「あぁ…慶次か、おはよう!」
学校に向かう俺に声をかけてきたのは中学からの友達でover flowのメンバーである五十嵐慶次だ。真面目な性格で友人からの信頼も厚い。ちなみに担当はギターだ。
「相変わらず怠そうだな。」
「勉強なんかしたくねーんだよ。つーか早く放課後になんねーかなぁ…練習したいわ。」
「そろそろみんなで練習するか?自主練でギターを弾いてもなんか違う気がするからな。」
「そうだな。週末にみんなを集めてライブハウスで練習でもするか!」
やっぱり楽しみの一つや二つがあると嫌な気持ちも消えていくもんなんだなぁ。辛いけど今日も一日頑張るか。
「なぁ、昴…」
「どうした?」
「………あの子何やってんだ?」
慶次が指差す方を見ると一人の女の子が屋敷の覗きをしているのが見えた。あれじゃ明らかに不審者なのだが…
「なんだろ、泥棒?」
「いや、流石にそれはないと思う。友達の迎えにでも来てんじゃないのか?」
「かもな。確かあの家には市ヶ谷さんっていう人が住んでる。うちの爺さんがそこのお婆さんと昔からの知り合いだっていうからな。」
「なるほど。」
あの家に市ヶ谷さんというお婆さんが住んでいるというのは知ってる。だけどあの家に俺達と同年代の子がいるかというところまではわからない…
「で、あの子はどうする?怪しいから警察に通報でもしとくか?」
「やめとけよ。騒ぎになるし色々と面倒くさい。俺はあまり関わりたくないから昴がどうにかしてくれよ。」
「いや、なんで俺が無関係の女の子をどうにかしないといけないんだし…」
「あの…私の家の前で何してるんですか?」
「「あ。」」
いつの間にか俺達の後ろに金色の髪でツインテール女の子が立っていた。その横にはさっきの子もいる。
「いや、そこの子があなたの家をずっと覗いてたので気になっただけですよ。」
「そうだったんですか。怪しい人だと思っちゃいましたよ。」
怪しまれるのではないかと思って少し緊張したが、話してみたら以外といい子そうで安心した。
「ところでそっちの子は?友達ですか?」
「あー…まぁそんな感じですね。」
「こんにちは!戸山香澄です!」
「戸山さんね。俺は桐生昴っていいます。こっちは俺の友達の五十嵐慶次って人です。」
「よろしく、戸山さん。」
「香澄でいいよ!」
香澄は特に怪しい人ではなかったようだ。あれ?香澄…?どこかで聞いたような…まいっか。
「あなたは市ヶ谷さん…でしたっけ?」
「はい、市ヶ谷有咲っていいます。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。市ヶ谷さんもなんだか大変そうですね。その気持ちは俺にもよくわかりますよ。」
「あはは…そうなんですよね…」
俺も少し天然な幼馴染みを持っているから市ヶ谷さんの苦労はよくわかる。
「すばちゃん!それってもしかしてギター?」
「え、すばちゃん…?」
「昴くんだからすばちゃん!すばちゃんが背負ってるのってギターだよね?」
「………まぁいいや。そうだけど。」
香澄は俺の背負ってるギターに興味津々な様子だった。そういえば香澄もギターを背負っているな。
「私も最近ギターを始めたんですよ!」
「そうなのか。最初は上手く弾けなかったりとか苦労も多いけど諦めずに頑張るんだぞ。俺も慶次もそうやって成長してきたんだ。」
「うん!頑張ります!」
香澄はとびっきりの笑顔を俺達に向けてきた。よく見るとギターを始めたばかりのたえにそっくりだな。瞳がキラキラ輝いてやがる。
「昴!そろそろ行かないと学校に遅れちまうぞ!急ごう!」
「別に行かなくたって良くない?行かなくても死ぬわけじゃあるまいし。」
「内申が死ぬぞ。それに遅刻欠席が多いと推薦とか貰えなくなるぞ。それでもいいのか?」
「それは困る。急がなきゃな。」
慶次には痛いことを言われちまった。やっぱり学校にはちゃんと行くべきだったようだな。
「それじゃ俺達は行くよ。じゃあな!」
「また会おうな。」
「うん!またね!」
「また会えるといいですね!」
俺は香澄と市ヶ谷さんに別れを告げ、いつも通りの通学路を走り出す。俺の中の憂鬱な気持ちはいつの間にか消えていた。
俺達は二人と連絡先は交換しなかったが俺はそれでも構わなかった。だって同じ音楽をやっていれば必ずどこかでまた会えるから。
オリキャラの紹介です。数はあと三人くらいの予定になります。増えるかもしれませんが。
名前:五十嵐慶次
学年:高校一年生
誕生日:8月20日
星座:獅子座
身長:173cm
好物:寿司
趣味:ギター、将棋
CV:平川大輔
それではまた。