「よし、この部分は完璧だな!」
休みの日に特にやることの見つからなかった俺は次のライブでやる曲の練習をしていた。曲の確認をしながら考えていたことは自分達のライブのこと。そして前から誘いを受けていた香澄達のライブのことだった。
「そういや香澄達のライブはもうすぐか。あいつらも頑張ってるし俺も負けていられないな!」
そんなことを考えていると突然俺のケータイが鳴った。相手はたえだった。
「もしもし…」
『あっ!すばるん?』
「そうだ。てか俺のケータイなんだから俺以外の人間が出るわけないだろう…」
『あれ?私がかけたのってすばるんのケータイだったの?びっくり…』
「…もういいや。それで要件はなんだ?連絡するならメールで十分だろうが何か急ぎの用があるからわざわざ電話をかけてきたんだろ?」
『あっ!ライブあるから来てって言おうと思ってたんだった!それより急ぎの用事があるってことすばるんに見抜かれちゃったー!流石だね!』
「ま…まぁあれだ。付き合いなげーからお前の考えてることとかなんとなくわかるようになってきたんだよ…なんとなくだからな!」
『えへへ~ありがと♪』
本当はいつもあいつのことを見ているからというのもあるのだが…
「はぁ…それでライブはいつなんだ?」
『これからだよ!』
「はぁ!?これから?なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ!あんだけ散々俺らに来てくれって言ってたのに?」
『うん…ちょっと忙しくて…』
「とりあえずわかった。慶次達には俺から連絡しとくからよ。」
『ごめんね?迷惑かけちゃって…』
「いいってことよ。それじゃまたな…」
そう言って通話を切り、俺は慶次達への連絡を急ぐ。あいつらはどうせ暇なんだから急に呼び出しても大丈夫だろう。てか今から準備とか大変すぎだなぁ。だけど…
「ふぅ…ライブか…楽しみだな!」
何だかんだ言いながらも昴はこれからPoppin`Partyのみんなが魅せてくれる音を誰よりも楽しみにしていたのだった。
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幸いにも全員と連絡が取れたので俺達はライブハウスの近くの喫茶店で待ち合わせをすることにした。既に慶次と星也は来ていたのであとは残りの2人を待つだけになった。
「それにしてもライブ当日に言われるとは驚いたなぁ。」
「まったくだ。お前らが暇人だったからよかったけど都合悪かったら完全に積んでたからな。」
「オイ、誰が暇人だと?」
さっきから暇人だとか色々言ってるけどみんなバイトとかやってて言うほど暇ってわけでもないんだがね。今日は全員の予定が空いてて本当によかったよ。
「まぁそんなことはもう気にしなくていいじゃーん?せっかく誘ってくれたんだから楽しまなきゃ損だぜ。」
「星也が珍しくいいこと言ってるなぁ…これから土砂降りにでもなるのかな?」
「なーにが珍しくだクラァ!」
「…それよりあいつら遅いな。」
「そのうち来んだろ。あの2人は練習だっていつも最後のほうに来るじゃねーか。」
「遅かったなぁ…悠矢、建心。」
「あはは!悪い悪い!」
「だってこいつが準備すんの遅かったんだぜ?仕方ないじゃねーかぁ。」
遅れてきたにも関わらず悪びれる様子も見せないこの2人は
「遅れてるのにその態度はなんなんだ?」
「あ、すいません!アイスティー2つ!」
「人の話を少しは聞け!」
「悠矢、お前に言ってんだぜ。あと俺はアイスティーじゃなくてアイスコーヒーがいいんだけど。」
「お前にも関係あるからな。」
こんなふうにマイペースな悠矢にいつも手を焼いている慶次だ。仲がいいのは建心だが…あいつは半分くらい放置している。
「よし、3分やろう。それ以上は遅れてきたお前らにやる時間はないからな。」
「いや、流石に3分は厳しいぜ?」
「…何か問題でも?」
「わ、わかったよ…」
「昴、すまないな。」
「いいってことよ。」
こいつらと話す時はこのくらいやんないと時間がかかってしょうがない。少し扱いが雑にもなってしまうが許してくれ…
「とにかく早く準備を終わらせてくれ…置いてっちまうぞ。」
「はいよっ!」
彼らの準備が終わったあとはすぐにライブハウスへと出発をした。
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喫茶店からしばらく歩いて俺達はポピパのみんなが演奏をするライブハウスであるCiRCLEに到着した。
「ここに来るのは初めてだなぁ…」
「ああ、ここはガールズバンド限定なんだから俺らが来る用なんてないからな。」
たえ達はいくつかのライブハウスを日によって使い分けているらしい。この前遭遇した場所もその一つなのだが、本格的な演奏をする時はいつもここを使うようにしているということだ。
「あら?そこにいるのは昴達ね?」
「あ、友希那さん…」
俺達はライブハウスの外で友希那さんに出会った。服装などを見るとこれから演奏をする、もしくはしたということがわかる。
「よく考えたら貴方達が全員揃っているのを見るのは久しぶりな気がするわ。」
「あれ?そうでしたっけ?」
そういえばここではたえ達の他にもいくつかのグループが使用しているらしい。おそらく友希那さんもその中の1人なのだろう。
「ふふ、ここはガールズバンド限定だから貴方達は演奏出来ないわよ?」
「いいんですよ。俺達は香澄達の音を聞きに来たんですからね。」
「その前に私達Roseliaの演奏も聞いてみてはどうかしら?後悔は絶対にさせないわよ。」
「是非聞かせてください。楽しみにしてます!」
友希那さんの出番はこれからだったようだ。ポピパの前に聞いてみるのもいいなぁ。
「みんなに会いに行かなくていいのか?」
「本番前だし今行ったら迷惑になるじゃないか?後でも会えるし問題はねーよ。」
「それもそうだな。」
会場に入ってからしばらくすると友希那さん達Roseliaの演奏が始まった。トップクラスのフェスに出ることを目標としている彼女達の演奏はとても素晴らしいものだった。
「改めて見ると本当にすごい人達だなぁ…」
「友希那さん達が目標としてるフェスに出るような人は彼女達と同じ…いや、それ以上の力を持っているに違いない。」
「そんな人達に俺らは勝てるのか…?」
「………今は勝ち負けなんてのはどうでもいい。まずは目の前のことを一生懸命やるまでだ。先のことはそれから考えようか。」
数曲演奏した後で友希那さん達の出番が終わり、次はいよいよ香澄達Poppin`Partyの出番になった。
「みなさーん!今日は私達Poppin`Partyの演奏を聞いて楽しんでいってください!」
香澄達の演奏が始まる。俺はたえのギターの音を特に注目して聞いていた。ギターを弾く人間としては他の人の持っている技術とかも気になってくるからかな。
(なんだろう…心の底から音楽を楽しんでいるってのが伝わってくる演奏だなぁ…)
「なぁ、あいつ…変わったよな…」
同じことを思っていたであろう慶次と目が合った。たえは確かに変わった。あいつは俺達が知っているたえではない。そのことは演奏を聞けばよくわかる。
「そうだなぁ…音がイキイキとしてるよ。」
「うん。あいつの音楽が大好きっていう気持ちがよくわかる音色だな。」
香澄達の演奏が終わると周囲からは大きな拍手が起きる。ライブは成功のようだ。
「あいつらの演奏はすげぇな!俺らも負けてらんねーぞ!」
「まったくだ。」
ポピパは完全オリジナルの曲を演奏していた。高校生で作詞作曲まで出来る人達はそうそういないから俺は彼女達のことを尊敬している。俺達もいつか自分達でオリジナルの曲を作りたいと思い、色々と勉強している。
「今日は本当にありがとうございました!」
演奏に聞き惚れていると彼女達の出番はいつの間にか終わってしまっていた。俺はステージから降りる準備をしている彼女達を見るとたえと目が合った。たえは俺達の方を見て静かに笑っていた。1人でギターを弾いていた時とは違って心の底から笑えているように見えた。
「本当によかったな。おめでとう…」
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「すばるーん!とっても楽しかったよ!」
「そりゃそうだろうな。俺の目にもそう見えたからな。」
慶次達はポピパの出番が終わると俺を置いてすぐに帰ってしまったので俺はたえのことを待って一緒に帰ることにした。
「ねーねー私頑張ったからさ、何か食べに行かない?お腹すいちゃったしね。」
「俺はいいよ。何が食べたい?」
「やっぱりお肉かな?」
たえだけでなく他のポピパの皆さんも待っていたのだが何故か俺達2人で帰ることを強制されてしまっていた。俺にとってはそっちの方が都合がいいってか嬉しいかな。
「すばるんはさ、もっと上手くなれそう?私達だけじゃなくてRoseliaの皆さんを上回れるくらいに。」
「やってみないとわからない。けど不可能ってことはないと思う。だって同じ高校生なんだからな!」
「流石すばるん。私の憧れの人はやっぱりこうじゃなくっちゃね!」
「そっか、ありがとな…」
憧れか…まぁ俺のことをそんなふうにに思ってくれていて嬉しかったな。俺がたえにとっての憧れだったとしてもそれでいい。いつかは恋人になれるように少しずつ距離を縮めていけばいいのだから。でも…少しくらい先に進んでみてもいいかな…?
「じゃあ…行こっか。腹減ってるんだろ?だったら早く行こうぜ。」
俺は昔のように自然に左手をたえに差し出した。
「あ………うん!」
たえも俺の手を優しく握ってくれた。普段は照れくさくてこんなことは全くできない俺だけど今日はほんの少しだけ前進することができたのかな?
To be continued…
さて、主人公達のバンドメンバーの2人を紹介します。
名前:土方悠矢
学年:高校一年
誕生日:9月17日
星座:乙女座
身長:170cm
好物:焼飯
趣味:スポーツ観戦
CV:小田久史
名前:島建心
学年:高校一年
誕生日:4月3日
星座:牡羊座
身長:178cm
好物:お汁粉
趣味:映画鑑賞
CV:杉山紀彰
それではまた。