PACIFIC EXTERMINATION ~特生自衛隊第2海上機動部隊~   作:阪奈瑞洋

4 / 5
ついに本編です。
今回は主人公が特生自衛隊に派遣される前の話です。



1.初年度編
第1話 スクランブル


地球上で最も広い海、太平洋。そこには多くの生態系が存在する美しい海である。

だがしかし、今この海はある特殊生命体に奪われている5年前の2013年にハワイ沖に突如として現れた武装した謎の生物群のことである。国連はそれらをDSF(Deep Sea Freet)と命名し、怪獣と同様に特殊生物と分類した。DSFには駆逐艦級から巡洋艦級、空母級、戦艦級までがいるということが既に各国により確認されており、太平洋に面した強大国のA国やC国はそれらに対抗したが返り討ちに遭いその結果多くの国々がシーレーン(制海権)を奪われた・・・

しかし、DSFに真っ向勝負を挑んだ国が出る。国土を海に囲まれ、科学技術が発展し、毎年のように巨大怪獣と戦っていた国、日本である。

DSFが日本近海で確認された時点で日本政府は対特殊生物自衛隊、通称『特生自衛隊』に殲滅を下命。既に憲法改正で陸、海、空の装備が揃えられていた特生自衛隊は以前の怪獣退治屋から外国から要請があれば集団的自衛権を行使して駆除する組織へと変わった。そんな組織でDSF用歩兵として開発されたのが現在、各国の軍艦の魂を持ち、水上を自在に滑りながら特製のスティックで敵をぶった斬り、血の滴る寿司を作る天才料理人(と呼ばれている)、WG(Warship Girl)である(所謂艤装と呼ばれる兵装を装着し強靭な肉体と精神を駆使しDSFたちを容赦しないまさに人☆間☆武☆器☆娘のこと)。

特生自衛隊は彼女たちを全国に点在する基地に配備、DSFに対して反抗戦を展開し、最終的に平和な太平洋を取り戻した。この話は一人の戦闘機乗りが日本を勝利へと導いた物語である。

 

 

ここは大分県にある航空自衛隊〇城基地、ここには領空侵犯をする航空機を見つけ対処する航空隊がある。

 

「今日はアラート待機か。」

 

そう言って僕は後輩の空士長とアラート待機室に向かう。今は午前9時、これから明日の9時まで僕はアラート待機をしなければならない。

 

「二十四時間同じ部屋にいるのはきついですね。」

 

空士長が四月の快晴の青空に向かってぼやく。

 

「でも僕らは自衛官だ。弱音なんてはいていられない。」

 

「そうですね。」

 

既に部屋には別の3チームが待機していた。新聞を読んでいたりほかの隊員と会話をしているのもいた。

 

「おっ、中田じゃないか。同じアラート待機になるとはなぁ。」

 

同期の友人が話しかけてきた。

 

「ああそうだ、一日よろしく。」

 

「そういえば聞いたか中田。また貨物船が『ヤツラ』に襲われたらしい。」

 

「ホントかよ!日本の船か?」

 

「いや、C国の船だとさ。」

 

「何だよ、驚かさないでくれよ。」

 

「まぁ日本は『ヤツラ』を殲滅するための部隊が活躍を始めてからはそんな事件はめったに起きなくなったからな、驚くのは当然か。」

 

「今じゃ太平洋側どころか東シナ海にも『ヤツラ』の存在は確認されてきているのにC国ときたら日本への領空侵犯を続けているからね。気が知れないよ。」

 

「「同感だ」(です)。」

 

何か同期と後輩がハモったが気にしないでおこう。

会話が一段落したところで自己紹介をしよう。僕はこの話の主人公の中田龍一。航空自衛隊のエースパイロットだ。ミリタリー以外にも様々な知識を持っているということで色々な人から頼りにされている。戦闘機は航空自衛隊で最古参のF-4EJから最新鋭のF-3AやVTOL機まで操縦でき、さらにテクニックが凄すぎるということでみんなから天才と呼ばれている。ちなみに階級は三等空佐だ。

こんな感じで僕らはスクランブルアラートの時を待っていた。そして遂に出動する時が来た。

アラート待機室にサイレンが鳴り響く。僕と後輩は反射的に座っていた椅子から飛び出し、待機室に隣接している格納庫へ走りだす。格納庫にはこの基地の主力戦闘機であるF-2A戦闘機が格納されている。A国の戦闘機をベースに日本が開発した機体だ。航空自衛隊の戦闘機は制空メインの戦闘機と対艦/対地攻撃もできる戦闘機の二つのタイプがあり、F-2Aは後者のタイプだ。そのため塗装が洋上迷彩という二種類の青を使った迷彩になっている。この塗装は陸上ではかなり目立つ塗装だが海上だと目立ちにくい塗装だ。最新鋭のF-3Aにもこの塗装が施されている。

僕は整備員にラダーという梯子を支えてもらいながら上ってコックピットに乗り込みシートベルトを締めヘルメットを被り空気マスクを着けると直ぐにエンジンをスタートさせキャノピーを閉める。格納庫のドアが開いたので各部の動作を確認してから機体を滑走路へ走らせる。後ろからは後輩の機体も付いてくる。

 

《バイパー01(バイパーというのはパイロットのコードネームである)、スクランブル指令、方位250度、高度30000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダーサイトとコンタクト。》

 

管制塔の管制官が概要を伝えてきたので僕も復唱する。

 

「バイパー01、方位250度、高度30000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダーサイトとコンタクト。」

 

復唱する間にも僕はコックピットから見える範囲で機体に以上がないか視認する。

 

《バイパー01、その通りです。》

 

どうやらうまく伝わっていたようだ。

 

《バイパー01、風は微風、滑走路07からの離陸を許可する。》

 

「了解、離陸する。」

 

離陸許可が出たため僕は滑走路に入る。後輩の機体が入ってきたところで僕はアフターバーナーを焚きスピードを上げ離陸する。

 

「こちらはバイパー01、離陸した。」

 

実はこの時既にレーダーサイトと通信をしている。

 

《バイパー01、無線機の感明度良好、レーダーで補捉した。方位250度、高度30000フィートに上昇せよ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕と後輩は30000フィートまで上昇する。侵犯機を発見しやすくするためだ。

 

《目標機の方位は250度、距離200マイル、針路120度、速度280ノット、高度15000フィート。》

 

「バイパー01、了解。」

 

レーダーサイトから侵犯機の位置や速度、高度が伝えられてきたので僕らは機体を傾けて指示された方向に移動し侵犯機を探す。

暫くすると僕の機体のレーダーが航空機を発見した。

 

「方位250度、距離80マイル、高度15000フィートを飛行する目標をレーダーで捕捉した。」

 

すぐにレーダーサイトから返事が来る。

 

《それが目標機である。目視確認急げ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そう言うと僕らは目標機に接近するため速度を上げ侵犯機のいる方向へ向かう。

暫くするとターボプロップ4発の日本には無い輸送機を視認した。僕らはその機体がはっきり見える距離まで接近する。その機体にはC国の軍隊を示すマークがあった。

 

「目標機の国籍はC国、針路120度、高度15,000フィート、速度280ノット。」

 

僕は目標機の国籍、針路、高度、速度をレーダーサイトに伝える。

 

《了解、国籍C国、1機、針路120度、高度15,000フィート、速度280ノット。領空まで35マイル、通告を実施せよ。》

 

通告の許可が降りたのですぐにその航空機に無線を繋いで通告をする。

 

「東シナ海上空を飛行するC国機に通告する。こちらは航空自衛隊である。現在貴機は日本の領空に接近中である。直ちに逆方向に変針せよ!」

 

こういった内容を僕は英語、後輩はシナ語で繰り返し伝える。

しかし目標機に変化はなかった。

 

「対象機の行動に変化なし、写真撮影を実施する。」

 

そう言って僕はカメラを取り出し、(あぁ、また領空に侵入するんだろうな)と思ってその機体の写真を撮る。

すると、その機体は突然旋回を始め接続空域を離脱していった。

 

「航空機は転針した。」

 

僕はすぐにこのことをレーダーサイトに伝える。

 

《目標、接続空域外、通告中止、行動の監視を実施せよ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕と後輩は監視を行う。

そして五分ぐらいたった頃、

《バイパー01、RTB》という帰投を示す通信が来た。

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕らは周辺を確認してもと来た空路を辿って基地に戻る。

暫くすると基地が見えてきたので無線機のチャンネルを管制塔に替える。

 

「こちらバイパー01、着陸許可を願う。」

 

《バイパー01、滑走路はオールグリーン、着陸を許可する。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕らは滑走路に着陸し、エプロンに戻り、機体を降りた。

 

「今回は領空侵犯しなくて良かったですね。」

 

後輩が言ってきた。

 

「ああ、こんなこともあるもんだね。」

 

その時、僕は上司である航空隊長がいるのに気づいた。

 

「隊長、お疲れ様です。」

 

僕らは敬礼した。

 

「ああ、ご苦労だったな。」

 

僕よりも10歳も年上の隊長も敬礼した。

 

「しかし何故隊長が我々を出迎えたのですか?」

 

後輩が尋ねる。

 

「今日は中田に用があってね。」

 

「えっ、私にですか?」

 

「君は今から総監の所に行ってくれ。」

 

「えっ、この格好でですか?」

 

なんせ今僕はパイロットスーツを着ている。こんな姿で会ってもいいのだろうか。

 

「もちろん、急用で呼び出しているからな。すぐに行きたまえ。」

 

「分かりました。」

 

そう言って僕は直ぐに総監の執務室に行った。

3分後、僕は執務室に上司と入っていた。総監は50歳代で元戦闘機パイロットだ。

 

「中田三佐、君を呼んだのは他でもない、君に辞令を言い渡すためだからね。」

 

何だ、てっきり身に覚えのないことを責められるのかと思っていたがそうではないみたいだ。

 

「中田龍一三等空佐、貴殿に対特殊生物自衛隊への転属を命ずる。」

 

えっ何だって!あのエリート部隊の特生自衛隊に転属!!こんなことがあるなんて。

 

「以前、上層部の交流会で特生自衛隊の幕僚長に天才と呼ばれているパイロットとして君のことを話したらぜひとも特生自衛隊に派遣させてもらえないだろうかと頼まれてね、既にうちの幕僚長も許可している。まあ、詳しいことは幕僚監部のある八王子で聞いてくれ。」

 

「分かりました。お役に立てるよう尽力して参ります。」

 

こうして僕は特生自衛隊に派遣されることになった。

2日後、僕は多くの荷物を持って八王子に出発した。

 




どうだったでしょうか。
アドバイスなどがありましたら感想で指摘していただければ幸いです。
さて、次回はオリジナルの艦娘が登場します。
第2話 『八王子駐屯地』 お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。