八房が斬る! 作:そら
「ラー♪ランララン♪」
私は鼻唄を歌いながら殺した人々の体を弄って遊ぶ主人をなんとも言えない顔で見ていた。
とりあえず、自己紹介をしようか。
私の名は八房、見た目がロングの黒髪に般若のお面を頭に着けて血のように真っ赤な目に下がスカートみたいになってる黒い着物に黒いニーソックスに黒い下駄と黒を基調としているものを着た美少女であるがその正体は神様と女神様がキャッチボールしてたところ女神様が大暴投したボールがそのまま地上に彗星のごとく落ちて私の頭に直撃し、そのまま即死したためにそのお詫びとして別の世界に転成させてもらった所謂転生者である。
転生者と言うことで色々なチートを貰えるのかと思っていたが転生したのはこの世界に48しか存在しない物凄い力を持った兵器でその使い手が狂気染みたヤンデレというね…もう笑えてくるよ。
「ねぇ、八房」
「どうしたの?」
「八房もやってみる?」
私ははらわたが切り刻まれ無惨になった死体にナイフを突き刺して遊んでいる無邪気そうな笑みを浮かべている主人である黒いセーラー服を着た黒い髪に黒い目の少女、クロメにの返事に困惑する。
そもそも、クロメがいるのは死体の山の上である。
これは私たちがいるこのテンスイ村が異民族と交易し、利益を革命軍に渡していたことを知ったこの腐敗している帝都を作った諸悪の根元である大臣は村人を殺すべくクロメたち闇の部隊を送り込み現在に至る。
「クロメと一緒にいっぱい斬ったし、私は遠慮しとくよ」
「ええ、楽しいのに勿体ないよ」
「私はクロメが楽しいなら楽しいしね」
私は心のなかで苦笑いしつつも言うとクロメは八房が楽しいならよかったと無邪気な笑顔を此方に向けてくる。
「…クロメは美人だし普通に笑えば可愛いのにな」
「?なんか言った」
私はボソッとした呟きに?マークを浮かべるクロメに別にと答えて、さらさらとした髪を優しく撫でるとクロメは逆らうのではなく、甘えたように気持ちそうな顔をして和んだ雰囲気の中で下にいる闇の部隊の仲間が声をかけてくる。
「おーい、クロメ、そろそろその死体を回してくれると助かる」
「いいよー飽きてきたところだし」
「流石はクロメ、話はわかる」
二人ともまだ十代なのにこのようなやり取りを見て、ここはこのようなことが罷り通る時代、痛め付け、痛め付けられ殺し、殺され、騙し、騙されるようなことが普通の私がいた世界とは真逆の世界になってしまったなと思う。
「クロメ、帝都から召集かかってきたぞ」
「ん?私だけ?」
「ああ…なんでも六人のうちの一人に選ばれたとか」
それを聞いてクロメは遠い目で空を見て、帝都かぁとポツンと呟いて立ち上がり、スカートのホコリを手で払うと私の方に向き直る。
「ねぇ、八房、そこなら会えるかなぁ…お姉ちゃんに」
「さぁ、どうだろうね?だけど、私はなんとなくだけど会えるような気がするよ」
「やっぱり八房もそう思う。私もそう思うんだ。はやくお姉ちゃんを
クロメたち闇の部隊は強化薬という薬で身体強化を図っている暗殺部隊だがその代償に多くの副作用があり、寿命を縮ませ、精神を歪ませてしまう。
それにクロメの体は薬がないと生きられないようになっている以上今更、やめさせることもできない。
今もクロメは狂気染みた笑みを浮かべているのに何もできない私はこんな風にいつもただ眺めて、見守るだけである。
現在、闇の部隊から離れることになったクロメと私の送別会が行われていた。
闇の部隊の皆は狂気的なところもあるが、基本的に人間ではない私にも優しくしてくれるくらい仲間思いが強い場所だ。
「クロメと八房がいなくなると寂しくなるな」
「うん、そうだね」
周りの雰囲気はかなり辛気臭くなっていた。
この仲間たちとは一時期のお別れだが俺たちが殉職して帰ってくるって保証もないし、仲間たちが俺たちが帰ってくる前に殉職してしまうかもしれないし、ただでさえ薬の副作用で死んでしまうことだってある。
私もこれで永遠のお別れになってしまうかもしれないんだなと思うと気持ちが暗くなっていた。
「おいおい、なに暗くなってるんだよ。俺たち全員が生きてたらまた会えるって。なぁ、クロメっち、八房っち」
そんななかで明るく振る舞う少年が一人、この暗殺部隊でトップクラスの力を持つ実力者であるカイリである。
「うん、カイリ、そうだね」
「クロメは私がいる限り絶対殺させないし、死なせない。だから、皆も頑張って」
「よし、それじゃあ今回はクロメっちたちの就任を祝って乾杯」
「「「乾杯」」」
カイリのお陰で皆の暗い雰囲気が消え去り、それからはごちそうやら色々な一発芸やらで深夜まで楽しく時間を過ごし、私は部屋に戻って疲れたのかすぐに寝てしまったクロメに布団をかける。
「さて、荷物も準備したしどうしようかな?」
帝具である私に睡眠という行為は必要なく、いつもは夜は怪しい者がいないか見張っているのだが今回は皆に休むように言われてしまった。
「でも、毎日の日課だったし折角だから今日も見回りしないとね」
そう思って外に出て行って何時もの仕事をしよううとしたときに私の腕がクロメの手によってに掴まれるが、別に起きているわけではなく無意識の内に掴んだのであろう。
「…お姉ちゃん…行かないで…」
恐らくクロメは帝国を去って、革命軍に入ったクロメの姉であるアカメの夢でも見ているのであろう。
処刑してやりたいとか言っているがクロメはアカメを愛しているが故に自分自身以外にアカメが殺されてほしくない気持ちで処刑してやりたいと言っている。
そうすれば、私の『死体を操る』能力でクロメはアカメと一緒にいられると考えているから。
クロメの武器である私はクロメの辛さ、寂しさをよく見てきており、クロメが幸せならそんな間違った幻想でも肯定しよう。
「……私は何処にも行かないよ。だから、ゆっくりお休み」
今日の夜はパトロールに行けないなと思いつつ私はうなされているクロメの髪を撫でると少しだけクロメの顔が和らいだ気がして、その夜が明けてクロメが起きるまでずっと側にいた。