五代君じゃないよ、小野寺ユウスケの方だヨ
設定的には仮面ライダークウガの未確認生命体事件は終結してから十八年経っておりクウガは(暴走の危険があるが)アルティメット化可能、一応ディケイドが来なかったクウガの世界をイメージ。ン・ガミオ・ゼダは目覚めてないよ
西暦二〇一八年九月、長野県諏訪湖南部。
「行くんですね二人とも……」
「はい、みんなの笑顔を守ります。だから見ていて下さい俺の、変身」
凄まじき戦士と太陽の勇者は空を覆い尽くす異形の化け物「バーテックス」と対峙する。
「壊させはしない、みーちゃんと私の夢!みんなの夢を必ず守る!!」
戦士に続いて少女の勇者は跳躍した。
これは太陽のような輝きを持つ勇者と青空のような笑顔を持つ戦士の物語
◇
突き抜けるような青空が広がる、蝉はけたたましく鳴き夏の日差しが大地に降り注ぐ。
その日差しの中、小野寺ユウスケは周りの人々と同じく鍬を振るう。
長野県守屋山の麓近くにある平地で人々は汗を流しながら作物を育てる大地と向き合い野菜を育てていた。
「皆さん、そろそろ休憩にしましょう!」
その中にいた一人の少女、白鳥歌野の言葉で人々は作業の手を止め汗を拭った。
小野寺ユウスケも同じく汗を拭い木陰に入る。
「今年もいい野菜ができそうだ」
ユウスケは水筒の麦茶を飲みながら畑と木陰で休んでいる人々を見渡し笑みを浮かべる。
三年前からは考えられない程人々の顔には充実感が溢れていた。
「ユウスケさん、はいこれ!」
そんなユウスケに歌野が駆け寄り半分に折ったキュウリを差し出す。その後ろには歌野の友達である藤森水都の姿も見えた。
「みんな、明るい顔をするようになったわ」
「うん、みんな楽しそうだ」
ユウスケの隣に座り微笑ましげに言う歌野にユウスケは頷いた。
だが彼らは最初から前向きだったわけでは無い
三年前のあの日、空から化け物が降ってきた日、人々から笑顔が奪われた日の事をユウスケは思い出していた。
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二〇一五年、七月末日
各地で地震や異常豪雨などの自然災害が頻発し日本中が混乱に陥っていた。そんな時追い打ちをかけるように異形の化け物「バーテックス」が出現し人々を容赦なく虐殺していった。
そのバーテックス出現直後、長野の諏訪湖周辺に結界が形成され結界内に被害は出なかった、だが運悪く結界の外に居た人々は被害を免れず、多くの者が犠牲になる事になる。
そんな中ユウスケは人々を守るため「クウガ」に変身して戦っていた。
クウガは多数のバーテックスを倒した、だがそれ以上にバーテックスの数は多く、奮戦空しく人々は殺された。
歌野に出会ったのはそんな時であった「勇者」として覚醒した歌野は自らの危険を顧みず結界の外に出て多くの人々を救った。
「あなたは……ありがとう、皆を守ってくれて」
初めての出会いはその一言であった、何人もの犠牲を出したクウガの手を歌野は微笑んで握った。
まるで太陽のような微笑みを浮かべる彼女の顔を直視できなかった。
「後は、私に任せてください」
「ごめん……」
ただそれだけを言って他の逃げ遅れた人々の場所へ向かって跳躍した。
それからも二人は人々を助け続け最低限の被害で諏訪への退避は完了した。
藤森水都と歌野、二人との出会いはその時であった。
後に水都と歌野の二人はバーテックスに対抗し得る存在「巫女」と「勇者」である事が告げられた。
勇者とは土地神よりバーテックスに対抗し得る力を授かった者である
巫女は土地神の声を聞く者である。
それを告げたのは四国に存在する「大社」と呼ばれる組織であった。
大社は二人で諏訪の人々を守り導きなさい。と告げた。
その時にユウスケはそこに居なかった。
ただバーテックスと戦う、それだけであった。
何が起こったのかは分からない、どうしてこんなことになったのかも分からない、ただ気づけば“絶望”が空から降ってきた。
「クウガ」別名未確認生命体四号、それは人間をゲゲルと呼ばれるゲームのような方法で殺す種族グロンギと戦う戦士、二〇〇〇年から始まり人々を絶望させた未確認生命体グロンギによる事件を警察と協力し終結させた英雄でもある。
それから一五年「人々の笑顔を守る」殉職したとある警官との約束を守るためクウガとなって戦った小野寺ユウスケは平和な時の中で過ごしていた。
バーテックスが現れたのはそんな時であった。
町を歩いていた時、大きな地震に襲われ空からバーテックスが降ってきた。
クウガの戦いにより救われた命は確かにあった、だが人々から笑顔は消えていた、守るべきものを守れなかった、その自負の念を抱きながら、助けられる命を守りながらクウガは諏訪にたどり着いた。
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「あの時は本当に驚いたわ、まさか未確認四号が人間だったなんて」
歌野が諏訪にたどり着いたと同時に力尽き人間の姿に戻った時のユウスケを思い出す、体のあちこちに傷ができ口から血を吐きながらその背に背負った母親と腕に抱いた赤ん坊の事を意識を失うまで気にしていた。
内臓がぐちゃぐちゃになって医者からは治療不可能と言われながらも超人的な再生能力で回復したユウスケが最初に言った言葉
「っ!さっきの人は大丈夫でしたか!」
意識を失い死にかけてから三日たっていたというのに他人を気にかけた優しい人、それが歌野がユウスケに抱いた第一印象だった。
歌野は絶望し、生きる活力を失っていた人々に呼びかけた。
「今は苦しい状況ですが、きっと活路が見つかります。人間は何度でも立ち上がる事ができるはずです!今はその時に備えて、みんなで力を合わせて暮らしていきましょう!」
歌野は自ら鍬を振るい、畑を耕した。
「結界の中で暮らしを保ってゆくために、自活が必要です。畑を耕し、魚を獲りましょう!生き抜いてゆくために!」
歌野に同調する者は少なかった。誰もが生き残る事は出来ない、自分たちは全滅すると諦めていた。
「白鳥歌野…ちゃん?でいいかな」
「ええ、小野寺さん」
「ユウスケでいいよ、あんまりかしこまったのは苦手だからさ」
「はい、ユウスケさん!」
だが二人は諦めていなかった、たった二人で畑を耕し、人々に呼びかけた。
「今まで人間はどんな災害に遭っても、生き抜いてきました。きっと私たちは、また立ち上がれるはずです!」
その間もバーテックスは結界を破ろうと執拗に攻撃を仕掛けてきた、その度に歌野とユウスケの二人は戦った。外から避難してくる人々が居れば危険を顧みずに結界を出て彼らを助けた。
歌野もユウスケも一度も弱音を吐かなかった。
何時も笑顔だった。
傷ついても、誰からも認められなくても。
一人の犠牲者も出さずに二人が諏訪を守り続けて半年がたった頃。
一人の女性が歌野とユウスケに弁当を用意してくれるようになった。
それはクウガが救った一つの命、クウガが諏訪に来た時に救った女性であった。
「私に力仕事はできないけど、子供を救ってくれた恩返しがしたい」
そして更に日が過ぎた頃、警察が交代で畑を耕しに来るようになった。普段は自衛隊と協力して結界の警備をしていた彼らにユウスケがクウガである事がバレたからであった。
「十五年前の事件の時は助けられてばっかだったからな、今度は俺たちがお前を助ける番だ」
そしてそれは何時しか諏訪中に広がった、歌野が呼びかけて一年が過ぎた頃
希望を失わずに頑張り続ける歌野の姿に希望を取り戻し、そしてかつてクウガに救われ希望を失わなかった人々が一人、また一人と協力し始めた。ある者は畑を耕し。またある者は諏訪湖へ船を出して魚を獲るようになった。
やがて彼らの顔に笑顔が戻り始めた。
『どんなにつらい目にあっても、人は必ず立ち上がれる』
それを合言葉に諏訪の人々は前を向いて歩き始めた。
ユウスケは木陰から出て青空を見上げる。
(三年間、俺は人々を守れた…だけど、これからも守れるのだろうか)
ユウスケは自分の手を見る、鍬を振るい潰れたマメのある泥だらけの手、その汚れは生きるための汚れ、人々を笑顔にするための手。三年前、守れなかった人の血で汚れた手……
十八年前、愛した人が冷たくなってゆくのを感じた手。
(駄目だ!今は守れるみんなの事を考えるんだ!もう、これ以上失わないために!)
皆の笑顔を守る、と約束した。
ユウスケは拳を握りしめ木陰で休む人々を見渡し諏訪の人々に笑顔を取り戻した勇者の姿を見る。トマトにかぶりつきながら笑顔を浮かべる歌野の姿を見てユウスケの不安は消えた。
その時、突然耳障りなサイレンが辺り一帯に鳴り響いた。
人々の顔に緊張が浮かぶ。
このサイレン音はバーテックスの襲撃を知らせるものであった。
歌野の方を見ると向こうもこちらを見て頷いた。
歌野とユウスケは慌てず明るい口調で、周りの人々に告げる。
「スクランブル!勇者白鳥歌野、往ってまいります!」
「仮面ライダークウガ!小野寺ユウスケ、往きます!」
ユウスケはクウガ専用のバイク「ビートチェイサー3000」に跨りエンジンをかけた。
「頑張れ!」「無事に帰って来いよ!」「負けるな仮面ライダー!」警察の人、農家の人、子供たち、様々な人々がユウスケに声を掛ける。
「超変身!」
仮面ライダー、誰が言い出したのかバイクに跨りバーテックスを倒しに向かう彼を人々はそう呼び「勇者」と並んで人々に希望を与える存在である。
戦闘シーンは次回から、過去話多めになりそうです。
そんなに長いシリーズにするつもりは無いです。