ssを書くこと自体は初めてではありませんが、初心者同様の童貞臭さで書かせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
第1話:ちょっと変な津島ちゃん
空が白み始め、今日もいつもと変わらぬ朝が始まる。
小鳥たちがさえずり、空を舞う下で俺は、ベランダから顔を出ししかめっ面をしていた。
安心してくれ。別にこれは朝が嫌いだとかそういうのではない。
俺はこれから起こるであろうことを危惧しているだけなのだ。
「
「うっせぇババァ!朝っぱらからそのDQNネームで呼ぶんじゃねぇよ!!」
はい。
改めまして、私、山田皇帝というものです。
皇太子の皇に
あぁ……マジで変わってるよ。
このお陰で毎年冬の予防接種で看護師さんに名前を呼ばれる時、
「12番、山田…か…ぶふっ…か、かいざぁくん」
って感じで笑いものになるのさ。
もうなんだろうね……この世の終わりだね。
カッスカスになった顔をしながら俺は『名付け親』である母親の元へと(至極不本意だが)向かう。
「あ、やっと来たわねカイザー」
「家の子に皇帝って名付けるんなら、もっと敬えよ」
「え、いやよ」
「冗談に素で返すなよ……」
ある意味絶好調
「忘れ物ない?カイザー」
「次その名で呼んだら木っ端微塵にすんぞババァ」
「あらまぁ…♡そんなこと言ってぇ……お母さんに勝てると思ってるのぉ?」
「すいません。行ってきます」
一転攻勢。
こういうことを一転攻勢っつーんだな。なるほど、なるほど。
勝手に納得した俺は方向転換し、ドアノブに右手をかけ、開け放とうとした……が、ちょうどその時。
ピンポーン。
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンp
「朝っぱらからうるせぇんだよ厨二病!!」
ここで答え合わせだ。
ベランダで俺が危惧していたこと。それは……
お隣さんの津島善子ちゃんだ。
「ねぇ、津島ちゃん。近所だから呼びに来てくれるっつーのは本当に有難いんだよ?だけどね?何も毎朝ピンポンラッシュしなくていいんじゃねぇ?」
「何言ってるのよカイザー。こうでもしないとアンタ出てこないでしょ?」
「出れるわ!なんで俺は極度のストレスを与えられないと外出できない男になってるんだよ!?」
「え、だってアンタ『超』が付くほどマゾでしょ?」
「ふっざけんな!俺は至ってノーマルだ!どちらかに偏ってるとかそんなんねぇから……ってなんでそんな『初めて聞いたわそんなこと』みたいな顔してんだよお前はよ!」
「はいはい2人とも朝っぱらから玄関でイチャツいてないで、さっさと学校行きなさい」
まだ色々と言い足りなかったことが山ほどあるのだが、母親の制止により俺と津島ちゃんはマンションから出る。
「てか、津島ちゃん」
「善子ちゃん」
「あのさ、津島ちゃん」
「善子ちゃん」
「……善子ちゃん」
「はぁい♡どうしたの?」
(ぶっ殺すぞこの厨二病…!!)
握りこぶしをわなわなと震わせる俺。
最近ずっとこの調子だ。
俺は基本女子には名字に、ちゃん付けで呼ぶタイプなんだが、ここのところ津島ちゃんはそう呼ぶことを許してくれない。
同じ中学校だった時は『津島ちゃん』って読んでも相手に違和感は無かったらしいが……もしかして、今はそれがあると?
まぁ、基本呼び方なんてどうでもいいんだけどね。
「あ、あのさ……」
と、言いつつも聞いてしまう哀れな俺氏。
「ん?」
「俺たちって中学校までずっと一緒だった…その…いわゆる幼なじみだよな?」
「そうね。それが?」
「いや……俺昔っから『津島ちゃん』って読んでたじゃん。なんでまた最近になって『善子ちゃん』じゃないと呼んじゃあダメなんだ?」
「え、そんなの決まってるじゃない」
すると、左隣を歩いていた彼女は当たり前のように、
「アンタに周りと『区別』を付けて欲しいのよ」
「区別…?」
真顔で言われてもだ。
お前と俺は幼なじみだ。
その時点でもう区別は付いてるだろうが。
何を言ってるんだ。
……わ、話題を変えよう。
「っていうか、浦の星が共学になって本当に良かったよなー。じゃないと俺たち離れ離れになっちまったしな」
「そ、それってま、まさか…ずっと一緒にいようねっていうぷ……ぷろ……っ!!」
急に顔赤らめてモジモジして……恥ずかしがらせること言ったっけ。
「顔赤くしてるとこ悪いけど、バス停着いたぞバカ」
軽く津島ちゃんに
強い朝日に照らされ続けていたベンチは熱した鉄板のようになっており、着席した俺の尻に的確なダメージを与えてきた。
「あっつ……!あ、気を付けて座れよ」
「ぅ…ぅん…」
……な~んか調子狂うぜ。
幼なじみといるのに居心地が悪くなった俺はカバンを探り、とりあえず今日提出の宿題を再確認する。
「え~と…数学Ⅰは…やった。古典のプリントも…やってるな。よし」
確認し終え、手持ち無沙汰になった俺はチラリと真横を拝見…………
「うぉぁぁぁ!!」
心臓が弱い人は一瞬で気を失うであろう驚愕を味わう俺。
なんと、目の前8cmの距離に津島ちゃんの目があったからだ。
「心臓に悪いわ!これもし俺が60代とかだったらポックリ逝ってるからね!?」
「……ブツブツ」
(って聞いてねぇし……)
何やら熱に浮かされたかのような顔をした津島ちゃんは俺がどれだけ視線を外しても、それを正確に捉え呪文のような文句をブツブツと口の中で唱えている。
気まずいぃぃぃ!
んだよこれぇぇぇ!頼むからさっさと来いよバスぅぅ!!
すると願いが通じたのか。
30秒後、バスが停車。俺たちは車内に乗り込んだ。
だが、しかし……
「すいません、津島さん?」
「ん?」
「あのね?俺思うんだけどね?こんなところのバスってさ…混んでるわけないじゃん?」
「うん」
「それ分かってながら、なんで俺の隣に座るわけよ」
「そこに席があったから」
「『そこに山があるから登るんだ』みたいな格言めいたこと言ってんじゃねぇよっ!
つーか、それなら周りにどんだけ空席あると思ってんのお前!?」
「私の視野は狭いから仕方ないことよ」
「えぇ……」
何から何まで調子が狂ってしまって仕方がない。
腕時計を見やると、短針は『7』、長針は『6』を指し示している。
こんなのが俺の日常……んなわけねぇよ。
いつもだったら2人で昨日にあったゲームの発表会についてダベったり、お互いに英単語を出し合って勝負したり……
これこそが俺のフツーの日常。
この時俺は、『今日の津島ちゃん変だな』くらいにしか思っていなかった。
それが甘かった。
後々、彼女の態度が変貌していくことを知るよしもないこの時の俺は、津島ちゃんにため息をつきながらも半分座席を譲り、カモフラージュの為にブックカバーを付けた漫画を読むのだった。
いかがでしょうか
本当に陳腐な作品となっておりますが、少しでも面白いと思って頂けるならば幸いです
では、また次回