史上最強の弟子の相棒   作:アフィーと

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長らくお待たせしました。
ではどうぞー


第11話 死相

 兼一達が新島と追いかけっこしている最中……

 

「ご命令通り、向かいのビルから店内の様子を撮りました」

「ご苦労だったな、二十号」

 

 二十号と呼ばれた少女からディスクを受け取り、自ら操作しているパソコンへとセットする男。

 

「はい、音声は盗聴器のものをアフレコしてあります。あっ効果音もつけます?」

「いやいつも言ってるけど、そんなに凝らなくて言いってば……それよりなるべく難しそうな知恵の輪を買ってきてくれるかな? これつまんなくて」

 

 男は既に解いてしまった知恵の輪を見せびらかしながらそう言い放つ。

 単に集中したいがために人払いをしているだけなのだが、男に忠実な少女は何の迷いもなく快諾しその足で出かける準備を始めた。

 

「は、でもロキ様。あの影どうしましょ?」

「代わりはいくらでもいるんでね。やつはもう使わないさ、放って置いていいよ」

「りょーかいです! では行ってきます」

 

 少女の言葉に振り向かずひらひらと手を振り作業を続ける。

 ロキと呼ばれたこの男はパソコンの画面を見ながら呟いた……。

 

「ふーん、これが新白連合ねぇ……なるほど強いねー。特にこの二人は別格かな?」

 

 軽い口調でパソコン画面に映っている二人を注視する男、おもむろにマウスを操作しながらあらゆる視点で画面に映る二人を観察する。

 

「あれー? この武器を持っている方のやつって話題に上がってたやつと特徴似てないかなー?」

 

 いきなり素っ頓狂な声を上げて一人の男に注目し始める。

 

「不破翔馬ねぇ……まぁ今はそれよりこのチームを潰す算段だもしますかねー」

 

 その後もしばらくパソコンを凝視し続け、やがて何かを思いついたのかニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ始めた……。

 

 

 ☆

 

  

 ――新島によるラブレター騒動から一夜明けた翌日

 

「なぁーんだ、結局あのラブレター新島の作戦でしたの」

 

 ケラケラという擬音が良く似合う風に快活に笑う美羽ちゃん。

 それに対して兼一は少しばかり落ち込みながらも開き直り今はどーにでもしてくれといった感じに振舞っている。

 

「こらームチプリ! お兄ちゃんを笑うとは無礼だぞ!」

「ほのか、余所見すんなって、ほれお前の番だぞ」

「むむむ……」

 

 そう言って続きを促す、現在兼一と美羽ちゃんは剣星さん指導の下推手(すいしゅ)という相手の攻撃を受け流すことに適した実践的な武術を学んでいる。

 

 その間、オレはほのかという兼一の妹の相手をしている。修行? あぁさっきまでしていたさ、兼一のやつが昨日のロキ戦で攻撃をもらってしまったとしぐれさんに暴露してしまったために、それはもう壮絶なやつを……。

 

 ほんの十分くらい前まで死んでいたが、無事復活し現在はこのほのかとオセロをしている。最初はアパチャイさんがやっていたのだが、今は向こうの方で膝を抱えている。

 しぐれさんは、落ち込んでいるであろうアパチャイさんを慰めている。

 

 まぁそのおかげで、しばらく修行は中断されているからこの疲れきった身体にとっては、ある意味ラッキーだ。

 

「ほらキミの番だじょ」

「お?」

 

 そう言われ盤面を見るが、結構厳しいな……。

 お、ここなんか良いんじゃないか?

 

 パチンッ!

 

「うっ……」

「ほれ、どうした? 打ったぞ」

「うぅ~~~」

 

 オレがそう言うとまた考え込んでしまう。若干涙目な気もするけど気にしたらダメだ! 気を抜いたらあっという間に戦況がひっくり返る。

 実際、さっきそれをやられてちょっと手加減したら痛い目にあったのだ。

 

「翔馬さん! ほのかちゃんは子供ですわよ、もうちょっと優しくしてあげても……」

「良いんですよ美羽さん、甘やかすと癖になります」

「二人ともいい加減にするね、推手をするときは相手の心を全身全霊で読み取るね。喋らないこれ基本ね」

「「はい!」」

 

 さっきから笑ったり喋ったりしていた二人に注意が入った。流石に二人も自覚があるのか、そこからは真面目に修行を行った。

 

 そのまま五分くらい続けていると遂に決着がついた。

 黒三十一、白三十三、となった。つまりオレの勝ちだ。

 

「むぅ~~~~!」

「悪いなほのかオレの勝ちだ」

 

 悔しがるほのかにそう告げると、その手にピコピコハンマーを持って飛び掛ってきた。

 

「成敗だじょ!」

「ちょっまっ、直接攻撃は卑怯だろ!」

 

 そんな風にじゃれていると、玄関から聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「兼一っ! 不破ーー! 情報持ってきたぞっ!」

 

 その声が聞こえた瞬間、見るからに兼一は顔を顰め、今まで部屋の隅にいた二人が消えた。

 しばらくすると複数の足音がこの部屋に近づいてきた。

 あれ? おかしいな、いつもなら悲鳴が聞こえてきてもおかしくないんだが……。

 

「ようお二人さん! ラグナレクに関する最新情報を持ってきてやったぞ! 聞いて驚け、何と八拳豪の一人の情報だぞ!」

 

 そう言って我が物顔で部屋へと入ってくる新島。その身体にはしっかりと鎖鎌が巻かれ、喉元にはこれまたお馴染みのしぐれさんの愛刀が添えられている。その姿はまるで囚人と看守を連想させるようだった。

 なんだ、あまりにも頻繁にこういう目に会うから、慣れてしまったのだろうか……。

 

 

「第五拳豪、通称ジークフリート……薄気味悪い野郎さ」

 

 新島の反応が期待していたモノと違っていたのか、やや不満顔で凝視している二人を放置して話し始めた新島。

 

「あぱ? ジークフリートって何よ?」

「うんとね。コーラの上にアイスが浮かんでるの」パチッ!

「コークフロートだろそれ……」パチッ!

 

 リベンジに燃えるほのかの相手をしているときにアパチャイさんがそんなことを言い出す。

 アパチャイさんの疑問に自信満々に答えるほのか、オレが指摘すると頬を膨らませこちらを睨みつけてくる。なんだろう小動物っぽくて可愛いんだけど、なんか苛めたくなるんだよな……。反応が面白すぎる。

 

「アホの子は放っておいて……ジークフリートにやられた方々のコメントでーす」

 

 すがすがしいくらいにバカにされて唖然とするほのか。

 それをスルーして新島は続ける。

 

「デッド会大将、中島さん。『たしかにヤツは俺の一撃で沈むはずだった……、なのに気づけばアスファルトにキスしていたのは俺の方だったんだ』それから……チームジャリナイフの虎町さん。『何がどうなってんのかさっぱりだぜ! 倒しても倒してもキリがねぇヤツはゾンビか……』えっと次は……」

「やかましい宇宙人!」

 

 正直修行の邪魔なのだろう、怒鳴りながら話すのをやめさせる。

 

「ボクは新白連合とは関係ないって言ってるだろ! したがってラグナレクと戦う理由もない! 貴様のいい加減な情報なんぞ必要ないんだよ!」

「い、いい加減な情報……?」

 

 兼一のあんまりな言葉にショックを受けたのか、持っていた情報端末を落としその場に這いつくばっている。よくみると若干顔色も悪い。

 

「しかも、さっきから聞いていれば早い話……どんな戦い方かわからない敵ってだけじゃないか!」

「ぐふっ!」

 

 先ほどのダメージから回復しきってない新島に止めを刺すが如く、辛辣な言葉を浴びせる兼一。

 ゼェゼェと息を荒げながら必死の形相で言葉を紡ぐ新島。

 

「うっ……、情報収集の特に難しいラグナレク八拳豪に関してのことを、やっとの思いで拾い集めた貴重なコメントの数々を……」

「いや新島、あれじゃ殆どわかってないのと一緒だって。かろうじて当てになりそうなのは、とてつもなく打たれづよいって感じか? 流石にゾンビなんている訳ないし……」

「むむむ……。畜生! 見てろよ、お前ら二人がビックリするくらいの詳細なジークフリートの情報を入手してきてやっからな!」

 

 そう言って、勢い良く障子を開けて部屋の外に駆け出していく新島。そこまでしてオレ達に戦わせたいのだろうか、いくら関係ないって言い張ってもなんだか無駄な気がしてきた。

 どうせあいつの事だから、昨日みたいに何らかの手を使って引きずり込むだろうしなぁ……。

 

「というか、そんなことボクは一回も頼んだ覚えがないんだけど……」

「もはや意地でもって感じだったな」

 

 二人でそんなことを話していると、突然肩に手を置かれる。

 いきなりだったので一瞬ビクッと反応した後、その手の持ち主である人に視線を向ける。

 

「長老?」

「どうしたんですか?」

「いやな、面白い友人がおるんじゃな二人とも」

「別に友人ではないですから」

 

 友人と言われて露骨に顔を顰める兼一。そんなに嫌なんだろうか。

 というかいつの間に来たんですか長老、まったく足音も気配もわからなかった……。

 

「…………(ちょんちょん)」

「なんです? しぐれさん」

「あの男、良くない相が顔に出て…る」

「え?」 

 

 いきなり、つつかれたと思ったらそんなことを言い出すしぐれさん。

 やたら真剣な表情だけど……いやまさか。

 

「ち、ちなみどんな?」

「……功をあせったやつが、死ぬときの相…………っぽい」

「今最後に小さな声で、っぽいって言いませんでした!?」

「そんなこと……な…い」

 

 いまいち信用出来ないんだけどなー。しぐれさんが言うと何か真実味が増すって言うか……一応兼一に伝えとくか。

 

「えっそれホント!?」

「らしいぞ、…………限りなく出鱈目に近いかもしれないけど……」

「ごめん最後の方なんて言ったか聞こえなかったんだけど」

「あぁ気にしなくてもいいよ、ただの独り言だから」

 

 一応伝えた、真実かどうかは置いといて。

 まぁケンカは絶えない町だけど、流石に日本でそう簡単に死ぬなんて事は起こらないだろう。

 

「新島……」

「ん? 心配か?」 

「いやー、あいつがいなくなればこの星も少しは平和になるかなーなんて」

「うそつけ、凄い不安そうな顔してたぞ今」

「そんなわけないじゃないか、嫌だなー翔馬君! さー修行修行」

 

 そのまま何食わぬ顔で戻ってしまった。

 おかしいな一瞬、この世の終わりみたいな表情をしていたんだけどな。まぁ気のせいか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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