史上最強の弟子の相棒   作:アフィーと

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第17話 復帰

 怪我も治り、ようやく学校に顔を出した。

 

「不破、もう実家の方はいいのか?」

「へ?」

「いや実家の方で大事があったから休んでいたんだろ?」

 

 今日の授業も終わり、帰りの支度をしていると担任の安永先生に引き止められる。

 しかし、何のことだ? そんな理由で休んではいないんだけど……。

 

「翔馬さん……」

 

 横にいた美羽ちゃんがちょいちょいと人差し指で呼んでいるので顔を近づけると、何でこんな事態になっているかがわかった。

 どうやら、オレがケンカして寝込んでいたとは言わずに別の理由で学校を休ませたらしい。

 まぁ正直に話して、刀で刺されたので休みます。なんて言えないだろうな……。

 

「あーはい。おかげ様でなんとか……」

 

 話をあわせるために当たり障りのない返事をするが、勿論嘘である。

 しかしオレの言葉に安心したのか、そうかと一言だけ残して先生は教室を出て行った。

 

「ふう、助かったよ美羽ちゃん」

「どういたしましてですわ、じゃあ私は新体操部の方へ行きますわね」

「あぁ行ってらっしゃい」

 

 美羽ちゃんを送り出すと兼一が近づいてくる。

 

「翔馬君、先生何だって?」

「ん? あぁオレが休んでる時のことを聞かれたよ、まぁなんとか誤魔化した」

「そっか、結構長い間休んじゃったもんね」

 

 そんなことを話していると、教室の扉が開き一人の男が入ってきた。

 

「あっ不破隊長、白浜隊長。総督がお呼びです。一緒に来てもらえませんか?」

 

 突然教室の入り口から現れた一人の男にそんなことを言われる。見たことないやつだがオレ達のことを隊長と呼んでいることから、こいつも新白連合の一員なんだろう。

 どうしようかと考え込んでいると、何の抵抗もなく兼一はその男の元へ向かって行った。

 

「あれ兼一、園芸部はいいのか?」

「あぁ今日はお休みなんだよ」

「なるほどね」

   

 そう言って、帰ってもお互い暇なのでこのまま新島に会いに行くことにした。聞けば兼一はここ最近ちょいちょい呼び出されていたらしい、なるほどだから何の躊躇いもなく行動したわけか……。

 因みに正確には帰ったら修行があるので、決して暇なわけではないのだが偶には休息も必要だと自分に言い聞かせた。

 

 

 ☆

 

 

 連合の隊員に連れられてある教室、新白連合本部と書かれた場所へとたどり着いた。この場所は元々は物理部だったのだが、新島があの手この手を使い穏便に明け渡してもらったとの事。

 中に入ると見知った顔ぶれがテーブルに着き何やら話し合っていた。

 

「おお、よく来た二人とも歓迎するぜ」

 

 談笑しているうちの一人がこちらに気づいたのか声をかけてくる。その手には怪しげなマークの入った固形食料と激しく気泡がたっているフラスコが握られていた。

 流石は新島だ。最早食料なのかも疑わしい物を嬉々として食べている。

 

「不破君、久しぶりじゃな~い?」

「お、怪我とやらはもういいのか?」

 

 新島の言葉でオレ達に気づいたのか同じく座っていた二人が声をかけてきた。どうやら武田さんと宇喜田さんの二人はオレが怪我をして学校を休んでいたことを知っているらしい。

 

「はい。もう何ともないですよ」

「心配したんだよ~。大怪我だったそうだからねぇ」

「丸二日意識失ってたんだろ?」

 

 先に教室に入った兼一に続いてオレも入る。迎えられるまま席に着くと二人が話しかけてきた。

 

「ご心配おかけしました。でも大げさですよ、そんなに重体ってわけじゃないですし」

 

 それに答え教室内を見渡すと、先程の隊員の他に二、三人程の人間が入り口側に直立不動で佇んでいる。テレビで見た軍隊を彷彿させる徹底振りだ。

 

「そういえば兼一、おめぇ新白連合なんて知らねーって言ってたろ? 今日はどうしたんだ?」

 

 コホンと咳払いをして何気ない会話といった風に質問する宇喜田さん。

 

「えーっと、一つは翔馬君が学校に復帰したことを報告しようと思って」

「なるほどな~他には?」

「翔馬くんが話したいことがあるって……」

 

 そういえばそんなこと今朝言ったなぁ。

 

「へぇ、何だ不破? 話したいことって」

「あ~えっと新島、拳豪の人数って何人だ?」

「あ? そんなもん八拳豪ってんだから八人だろ」

 

 やっぱりそうなのかなぁ……でもフレイのやつはちゃんとグローブしてたしな。

 

「オレもそう思ってたんだけど……この前お前が攫われた時にさぁ、兼一と別れたあとフレイってやつに襲われたんだ。そいつは確かに両手にⅨのグローブ嵌めてたんだよ」

「何だって!?」 

 

 オレがそう話すと新島が食い気味に前のめりに乗り出してきた。この場にいる他のやつも驚いているのか目を見開いている。

 

「そうすると九拳豪か……いやわかった。そいつの特徴は?」

 

 何やら考え込んだ後、フレイのことを聞いてくる新島。

 オレも覚えている限りの話す。それを一通り情報端末に打ち込んだ後言い放つ。

 

「まぁ今はちょっと別の仕事があるんで無理だが、そいつのことも含めて調べといてやる。お前らはここでゆっくり駄弁っていてくれたまえ、こういう何気ない時間が組織の結束には不可欠だからな」

 

 そう言って後ろに置いてあるパソコンに向かう新島。

 というかジークフリートのことを調べていてお前は捕まったんじゃないのか? 今度は大丈夫なのだろうか……それを新島に伝えると、手をヒラヒラと動かし問題ないとばかりに生返事が帰ってくる。

 心配して損したな。結果的にこいつは自力で生還してきたわけだが、何か割りに合わない気がする。

 

「あぁそうだ! 拳豪って言えば兼一……あいつが帰って来てるらしいぜ」

「あいつ?」

 

 突然何か思い出したのかこちらに向き直り話し始める新島。兼一が訝しげに聞き返すと、口の両端を吊り上げ悪どい笑みを浮かべながら続ける。

 

「あいつだよあいつ。谷本夏……通称隠者(ハーミット)さ」

「谷本君が!?」

 

 新島がそう告げた途端、兼一はその場で立ち上がり新島に詰め寄っている。

 

「あ、あぁ何でもその辺のチンピラを誰かれ構わずぶっ飛ばしてるらしいぜ、噂じゃあどっかで特訓してたんだとか……おそらくお前さんとやる前の準備運動っていったところか?」

 

 兼一の勢いに少したじろきながらもそう告げる。

 

「そうか、いよいよか……」

「兼一君試合前のメンタルは大事よぉ~。ナーバスになったら勝てる試合も勝てなくなるよ~?」

「だな。まぁ一回、バスの上で戦ったときは一応引き分けたんだし気楽に構えてろよ」

 

 まぁ命を狙ってきた相手に気楽も何もないが、まだ現れてもないのに今から考えていても仕方がない。バスの上発言を聞いたからか武田さんも隣にいる宇喜田さんも顔を引きつらせていた。

 

「さーて! 出来たぞ! これで同じ志を持つ仲間がまた増やせるはずだ!」

 

 パソコンを弄っていた新島はポンッと手を叩いて突然そんなことを言い出した。

 

「ん?」

 

 そちらの方へ目を向けると――

 

「どう?」

 

 『新白連合ホームページ』そんなことが書かれた画面が目に映った。新島はというとドヤ顔をしてこちらの様子を伺っている。

 よく見ると団員の欄にオレ達の名前が記載されていた。顔写真とともに……。

 

 兼一達も気づいたのだろう。一斉に新島に攻撃を加えるために向かっていく。

 オレはというと、新島への制裁は手を下すまでもなく兼一達が行っているので、パソコンの方へ向かう。

 へぇよく出来てんだなぁ……。新島の作ったであろうそのサイトは細かいところまでよく作られていた。

 

 パソコンをいじくっていると、軽快な電子音とともに一通のメールが届いた。

 

「ひゃははは! 早速きたな!」

「うお!?」 

 

 その音が聞こえたと思うと、突然横に新島が現れた。

 いきなりのことだったので思わず声を上げてしまった。本当に心臓に悪いやつである。

 そんなことには気を向けず新島は届いたメールを読み上げていく。

 

「なになに……『はじめまして新島総督。たった今このホームページを見つけました。もう感激って感じー♪』」

 

 信じられないな、こんな得体の知れないサイトにメールを出すやつがいたなんて……。

 文面から察するに女の子っぽいなぁ。

 後ろでも驚いた兼一達がヒソヒソと話し合っている。

 

「『自分はラグナレクで幹部やってるロキといいますぅ』だってよ」 

 

 へぇロキねぇ……。

 

「「なにぃ!? ロキだってっ!?」」

 

 オレと新島の声が重なる。まさかのロキからのメールだった。

 

「おいマジかよ、ほんとにラグナレクのロキか!?」

 

 事態に気づいたのか宇喜田さんが確認のため詰め寄ってくる。それに続いて他の二人もパソコン画面の前に集まってきた。

 

「うおっ!? チャットの入ってきやがった! 『そこに白浜兼一はいますか?』だと!?」

 

 新島がそう叫ぶと、それに釣られて皆の視線がパソコンに集まる。

 文字を確認して皆で頷きあい、いるよと書き込む。すると次々にロキからの書き込みが行われる。内容を要約すると、決着を着けたいから兼一一人で指定の場所に来いとのこと。

 

「ふざけやがって、百二十%罠だ。行くんじゃねーぞ兼一」

 

 オレも新島の意見に賛成だな。何があるのかわかんないのに無闇に敵の懐に飛び込んでやる必要はない。そもそも兼一はラグナレクとの争いは自分にとっては関係ないと言っているしな。

 

「あれ? これなんだ?」

「ん? 添付ファイルだ!」

 

 チャット内に表示されているそれをオレが見つけると、新島が慌てた様子でその添付ファイルを解凍していった。

 解凍が終わり表示された画像を確認した途端、兼一が凄い勢いで教室を出て行った。

 

「お、おい! 兼一!」

 

 わけのわからないといった風に出て行った兼一の方に宇喜田さんが声を上げるが、すでにそこに兼一の姿はない。

 添付されていたファイルには兼一を脅迫する一文とともに、兼一の妹であるほのかの画像があった。それを見て逆上しない兄はいないだろう。正直オレとしてもここまで冷静なのが不思議なくらいだ。

 

「二人ともオレ達も行きますよ!」

「ああ!」「おうよ!」

 

 オレの呼びかけに二人はちゃんと応えてくれて、急いで先に行った兼一の後を追う。

 待ってろすぐ行くからな!

 

 

 

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