皆さんも体調管理にはお気をつけください。
兼一を追って急いで指定された場所へ向かう。
途中でロキの格好をした七人組み(あきらかに一人変なのも混ざっていたので、実質六人組)に絡まれるが、武田さんと宇喜田さんの協力もあって時間もたいしてかからず倒すことが出来た。
この中に本物のロキがいると踏んでいたので、全力で挑んだがどうやら全員偽者だったらしい。
戦闘に集中するあまり何処を目指せばいいのかわからなくなってしまった。武田さんも宇喜田さんも詳しく覚えていないとのこと、三人で途方に暮れていると、
「お前達何やってんだ、こっちだついて来い!」
そんな言葉とともに教室前に置いてきた新島が追いついてきた。見ると後ろに美羽ちゃんの姿もある、新島が声をかけた様だ。
「翔馬さん、ほのかちゃんが人質に取られているというのは……」
「本当だよ、新島のパソコンにほのかの写真が送られてきたからな」
質問に答えると苦虫を噛み潰したような表情になり、新島の指し示した方へと駆け出していく。
「ここか……」
しばらく走ってたどり着いたのは、現在は使われてなさそうな教会跡地だった。文字通りの廃墟であり、入り口の門も外れていて雑草も伸び放題となっている。廃棄されてから結構な日数が経っているのだろう。
「ぜぇ……はぁ……」
「どうした新島、大丈夫か?」
遅れて到着した新島の様子がおかしい走って疲れているのかとも思ったが、それにしては足はガクガク震えているし顔も真っ青だ。立っているのもやっとといった具合である。
「いや……どうもオレ様昔から、教会とかそういう神聖な場所に行くと動悸が……」
「悪魔かよ……」
その場から動けそうにない新島を宇喜田さんに背負ってもらい敷地の奥へと進む。
「……っ! …………っ!?」
建物が近づいてくると、何者かが怒鳴りあっているような声とそれに続いて何かをぶつけている様な音が聞こえてきた。
「あそこですわ!」
美羽ちゃんが指した方向を見ると兼一とフードを被った男が戦っていた。
「兼一っ!」
大声で呼びかけ慌てて駆け寄ると、兼一はこちらに気を取られたのか一瞬相手から目を離すと、フードの男はその隙をついて兼一を殴り飛ばした。
「あぁっ!」
美羽ちゃんの悲痛な声が響く、
「ちっ、ぞろぞろと……そこで待ってろ、こいつが終わったら次はテメェらの番だ」
殴り飛ばした方の男は、忌々しいとばかりの眼光をこちらに向ける。
「おめー馬鹿か? そんなの待たずにここにいる全員でおめーを伸しちまえばそれで済む話だろ!」
「宇喜田の言うとおりじゃな~い? 覚悟しなよ、
宇喜田さんに続いて武田さんもフードの男、ハーミットに向かい構える。
卑怯かもしれないけど、人質を取られているこの状況で悠長に構えているわけにはいかない。頭の中でそう結論付け、相対するために武器をとる。
前回の反省を踏まえて、今回はしっかり小太刀を持ってきている。左手の方は依然木刀であるが……。
「手を出すなっ!」
「っ!?」
いつ殴りあいに発展するかわからないまさに一触即発といった雰囲気の場だったが、兼一の一言でその場にいた人間が止まる。
「でも兼一さん! ほのかちゃんが……」
「そうだぜおめーの妹がこいつらに人質に取られてんだ」
「いや……ほのかを攫ったのに谷本君は関係ない……」
「谷本君はそんな卑怯なことはしない」
「ちっ」
その言葉を聞いてバツの悪そうに顔を背けるハーミット。
決定は出来ないが、この誘拐には直接関わっていないのだろうか……。
「この人の相手はボクがする、翔馬君達はほのかを……」
自らの膝を押さえながらゆっくりと立ち上がりハーミットに向かって構えながらそう告げる兼一。
「……わかった、負けんなよ兼一!」
「待っていて下さいまし、ほのかちゃんは必ず助け出して見せますわ」
あいつにも譲れないものがあるんだろう。この場は兼一に任せてオレ達はほのかが捕らわれているかもしれない教会に向かう。
教会の前まで来たオレ達は、すぐさまほのかの捜索にあたる。
見つからないなんてことにはならず、思いのほか簡単に教会内の長椅子に寝かされたほのかを見つけた。
「良かったですわ~」
「この子が兼一君の妹か~い」
「でも何でこんなとこで寝かされてんだ?」
「さぁ……オレに聞かれても」
でも本当にただ寝かされているだけなんて考えられない……何かの罠か?
見たところほのかが怪我をしている様子もない今も規則正しい寝息をたてている、本当にただ眠っているだけのようだ。
「とにかく、まずはここから離れましょう。考えるのはその後ですわ!」
「だな急ごう」
ほのかを背負ってこの場を後にしようと入り口へ向かう。本当は力のある宇喜田さんに背負ってもらいたいが、彼の背には新島が引っ付いているので流石にこれ以上負担をかけたくない。その新島も今は教会の毒気? に当てられて気を失っている。本当に人間なのだろうか……。
このまま何事もなく帰れると思ったが、突然入り口に向かう途中で教会の扉が開かれた。
「フレイ! まずいぞハーミットの野郎がやられちまう! 白浜の妹を寄越せ、
開かれた扉からは、酷く慌てた様子の網目のかかったゴーグルで顔を隠した男、ロキが現れた。
ここにオレ達がいることが計算外だったのか、呆気に取られた様に少しの間ただそこに呆然と突っ立っている。しかし五秒も経たないうちに再起動し、今までに見てきた人をおちょくる様な笑みを浮かべこちらを見つめ、やがてその嫌らしく弧を描いた口から言葉を発する。
「おやおやこれはこれは……新白連合の皆さんじゃないか、おかしいなぁ確かオレは白浜一人で来るように伝えたはずなんだが」
「素直に従うと思ってんのか?」
「従わせるための人質だったんだけどな、テメェに担がれているそのガキは!」
最初の余裕な態度は段々となくなり、徐々に声を荒げてこちらを睨んでくる。
その表情は怒りの形相を浮かべ周囲に向かって叫び始めた。
「おい! フレイ! フレイは何処だっ!」
キョロキョロと周囲を見回しつつ教会内全てに届くくらいの大声で当り散らし始めるロキ。
ちょっと待て、さっきも言っていたけどフレイまでいるのかよ……。
「うるせぇーな、ふぁ……静かにしろよ、寝らんねぇじゃねーかよ……」
少し離れた長椅子の方から気だるげな声が聞こえてきた。そちらに目を向けると、いつかの白髪、長身の男の上半身が見える。
間違いなくあのときの男、フレイだ。
「おいフレイ! お前にガキの監視を命じていたはずだぞ!」
「ん~? あぁなんかそんなことも……言われた気が……するなぁ」
声を大にして怒りを露にするロキに対して、フレイは身体を伸ばしてあくびを嚙み殺すように応える。見るからに反省の色がない態度に肩を震わせながら睨むロキ。
「あれが不破君の言っていたやつか~い?」
「おいおい拳豪が二人もいんのかよ、どうするよ不破」
二人もフレイを視界に捉えたのか判断を仰いでくる。といっても動けないやつを守るためにも人がいる……実質こちらが戦えるのは二人くらいだ。武田さんは既にシャドーボクシングをしているので戦う気だろう、正直この中では美羽ちゃんが一番強いので彼女を出すべきなんだろうが、それは逃げのような気もする。ここは……
「オレと武田さんで時間を稼ぎますので、宇喜田さんと美羽ちゃんは二人を連れてここから出てください」
何やら言い争ってる向こうを警戒しながら小声で考えを伝える。
「おいおい、時間を稼ぐなんて小さいこと言わずにボクら二人で倒そうぜ!」
「つーかこのまま四人がかりでぶちのめした方が早いぜ!」
「ダメです! その間にまた人質に取られたら、今度こそ手が出せなくなります」
せっかく助け出したのに、そんなことをしてまた奪われたとなった時は目もあてられない。そもそもオレ自身がフレイに勝てるとは限らない……あの時は殆ど見逃してもらった形に近いだろう。ロキの実力は知らないが、フレイのそれは本物だろう。無理をしないで逃がした方が良い。
「時間はあまりありませんわよ。ほら……」
美羽ちゃんに言われ扉の前で言い争っていた二人に意識を向けると、
「何をコソコソやってんだ?」
どうやら気づかれたらしい、二人ともこちらを見据えて構えている。
ロキの手には
眠そうな目を擦りながら隣に立つフレイの手にも、この前港で見た大太刀を持っておりその時と同じように肩にかけられている。
「別に、何でもないさ」
内心の焦りを悟られないように余裕の態度でそれを返す。
「そうかよ。不破翔馬、オレの計画を台無しにしたからにはそれ相応の痛みを受けてもらうぜ!」
「気乗りしねぇな……」
その言葉を最後にお互いの間に会話はなくなる……。
次の瞬間、その場にいた者全員が一斉に動き出した。
原作と展開が大幅に変わっちゃいましたね。でもこんなのがあってもいいかなーと…。