史上最強の弟子の相棒   作:アフィーと

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昨日予約投稿したつもりだったんですが、どうやらつもりになった気でいただけのようでした。
遅れて申し訳ありません。


第26話 和解

「お前は!?」

 

その男はいつかのラグナレク幹部、第六拳豪谷本夏(ハーミット)だった。

 

「ここには誰にも連れてくるな、そう言っただろう」

「うぅ、だってー」

 

少なくない敵意を露にしているオレに対して、目の前の二人は平然としている。

 

警戒するに越したことはないが、二人の会話を聞くにどうやら何度か会っているらしい。

その証拠にほのかの顔は怒られているにも関わらず楽しそうであった。

 

「ほのか、お前……」

「あっ」

 

半ば呆然としているオレを見てゴメンゴメンと軽く謝りながら谷本の背中を押して近づいてくる。

 

「紹介しまーす! といっても知ってるよね。なっちーこと谷本夏くんでーす!」

 

などと軽い感じに言い放った。

 

「何言ってるんだ、コイツはお前を拐ったラグナレクの幹部なんだぞ!?」

「ラグナレクなら抜けた。今はテメーと敵同士ってわけじゃあない……まぁ」

 

 

一旦言葉を区切り、その顔に笑みを貼りつけながら。

 

「味方でもないがな」

 

何が面白いのか、クククと少し含んだ笑いをしている。

 

「もーまたそんなこと言ってぇー。折角ほのかがお友達になれると思って翔ちゃん連れてきたのにー」

「頼んだ覚えはない」

 

やはりオレはコイツに会うためにここまで来たらしい。

それよりもラグナレクを抜けた? 確かに谷本はそう言った。

 

「ふん、どうもこうも気に食わないから抜けてまでだ」

 

オレの視線に気づいたのか、そう付け足す。

 

気に食わないねぇ……。

それはそうと、

 

「なんでお前は谷本と知り合いなんだよ」

「うーんオセロ仲間?」

「はぁ?」

「違う!」

 

 

谷本によると以前(ほのかが拐われる前)に街で怪我をしたほのかをここまで連れてきて手当てしたのが始まりらしい。

それ以来付きまとわれて困っているとのこと。

 

「お前……ストーカーか?」

「ちっがーう! 一人で寂しいなっちーと遊んであげてるんだよ!」

「と言ってるけど?」

「このチビが勝手にそう言ってるだけだ」

「またまた照れちゃって、この前だって一緒にオセロやったじゃん」

 

その言葉を聞いて谷本の顔が僅かに歪む。

 

「へぇ、谷本ともオセロしてたのか」

「うん。それになっちー、オセロに勝ったら何でも言うこと聞いてくれるんだもん」

 

気のせいだろうか、ちょっと聞き捨てならない単語が聞こえた気がする。

 

「こいつは悪魔か何かか?」

 

どうやら気のせいではないらしい。

 

「おい不破、何とかしやがれこのチビ」

「知らねーよ。兼一の奴に言えって」

「ちっ」

 

ほのかのオセロの実力は、まぁ……大分強いからなぁ……。

家でもアパチャイさんが何回負けたことか。

 

「というか谷本、お前学校はどうした?」

「しばらく休みだ。あの野郎に借りを返したらまた行くさ」

「あの野郎?」

「そこまでテメーに言う必要はない」

「あの網メガネのことだよ!」

 

谷本は一回話を切ったが、ほのかによって間髪入れずに再開されてしまう。

 

「ほのかが網メガネに酷い目に遭わされたから、カタキを取ってくれるんだよねー! なっちー」

「違う、あの野郎が俺をこけにしやがったからだ」

「えーだってこの前そう言ってたじゃ……もがもが」

「うるせーもう喋るな!」

 

聞いてられなかったのか実力行使に出る谷本、それによってほのかの言葉は遮られたが、悲しいことに言わんとしたことの九割方が伝わってしまった。

 

「谷本……」

「違う! 忘れろ! ぶっ殺すぞ!」

「ぷっ」

「違うって言ってんだろーが!」

「悪い悪い。分かったから悪かったって」

「くっ」

 

顔を真っ赤にしながら食って掛かる谷本を宥めて一息つく。

 

あーあ、一人で警戒してたオレが馬鹿みたいじゃねーか。

 

「まぁ危険はないってことは分かった。あんまり心配かけるなよ」

「はーい」

 

そう言ってほのかの頭を撫でる。本人も少しは自覚があるのか素直だ。

 

「んで、今日は何しに来たんだ? やっぱりオセロか?」

「うーんとねー。オセロとトランプ?」

 

手持ちのカバンの中を漁りながらそう返してくる。

 

「待て、俺はやらんぞ」

「ダメー。敗者は勝者に従うんだよ」

「ちっ」

 

舌打ちをしながらも素直に従う谷本。

そのまま何故かほのかに連れられながら客間へと移動する。

 

 

 

 

 

 

「ホント負けず嫌いだなーお前」

「何かねー、何事も勝つまでやるんだって」

「それってしんどくないか?」

「黙れ、人の主義にケチつけんな」

「顔引きつってるじゃねーか」

 

現在、客間ではゲーム大会が開かれていた。

勝率は僅差でオレ、ほのか、大きく離して谷本の順である。

主なゲームは、持参したオセロとトランプ、そしてほのかがこの家のクローゼットの奥から見つけてきた人生ゲームなどだ。

 

「三、四、五、おっ上がり~」

「あーこの分だとほのかがトップか? 今回職業が厳しすぎたわー、何だ遊び人って」

「ふっふっふ。何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえんのう。およ? どうしたのなっちー」

「そっとしておいてやれよ。離婚に借金、その上無職の三重苦なんだから……」

「…………」

 

トランプで一通り遊び尽くしたオレ達は、そのまま人生ゲームへと移っていた。

トランプでは、異常と言って良いほどの引きの強さを見せたほのかによって、ワンサイドゲームになるかと思ったが、案外わかんないものである。

 

革命、そう革命が起こったのだ。

 

それによりほのか軍の兵達はみるみる力を失い、逆にオレ達の死兵と言っても過言ではない雑兵たちに力が宿り次々と下克上を果たしていった。

 

そのトランプでの教訓を生かして運だけでは勝てないと悟ったのか、人生ゲームでのほのかはとても堅実に駒を進めていた。

一方オレは序盤の大博打に勝ち莫大な富を築いたが、職業から見てわかるように、全てを失ってしまった。なんとか巻き返しを謀るもトップには手が届かずに終わった。

 

やはり、人間堅実が一番なのだろう。たかがゲームにそれを教えられてしまった。

谷本はと言うと、トランプでは思うように奮わずほぼ最下位。

その上、人生ゲームでは三重苦。

 

「なぁ、人生ゲームってこんなにシビアだったか?」

「うーんこんなもんじゃない?」

「……谷本の借金、雪だるま式に増えていってたぞ」

「お前のせいだろうが!」

 

そう。谷本が借金と無職なのは、はっきり言ってオレの巻き添えである。

 

「まさかあんな事になるとは……」

「まっ人生こんなものだよ、なっちー」

「ムカつく上に納得いかねぇ……」

 

そんな感じに人生ゲームも恙無く終了し、待ってましたと言わんばかりの表情で、嬉々としてオセロ盤を用意するほのか。

 

「オセロで谷本に言うこと聞かせてるんだったか?」

「人聞き悪いなぁー。ちゃんと公平な勝負だよ!」

「お前が負けたことは?」

「…………ない、けどぉ」

「ほう」

「別に構わない、こんどこそ俺が勝つからな」

 

そう言うと、谷本は用意されたオセロ盤の前に陣取り、本を手にして何かを考え込んでいる。

 

「……谷本、なんだそれ」

「オセロの本だ」

「そんなもん見りゃわかる!」

 

そう。手にしているのは『サルでもわかるオセロ』と銘打った、そこそこの厚みのある一冊の本だった。

 

「そこまでしても勝ちたいのか」

「子供だよねー」

「うるさいぞ! ほら、さっさと打て」

 

まぁ別に卑怯でもなんでもないし構わないんだけど。

 

兼一と戦っていたコイツを見た感じだと、勝つために使える手はイカサマでも何でも使うような印象を受けたが、以外と正々堂々と勝負する性質なのかもしれない。

 

でも中学生相手にムキになるのもどうなんだ?

あれ、でもそう考えるとオレにも似たような節が……うん。考えるのは止めよう。

 

 

 

 

 

 

 

「何故勝てない……」

「ふっ、口ほどにもないな」

 

ほのか対谷本のオセロ対決は、あっさりとほのかが制し、ならばと今度はオレとほのか、オレと谷本と続けて対決した。

結果としては、オレはほのかには勝てるが谷本には勝てないことが判明した。

付随するように、ほのかはオレに谷本はほのかに勝てないので、さながらじゃんけんのような状態になってしまった。

 

「もう一回だ!」

「何度でも叩き潰してやる」

 

再戦の要求にも余裕綽々といった態度で返される。

その余裕の顔を何とかして変えようと、頭の中で数手先を読むようにそれほど出来もしないシュミレートを繰り返す。

普段からほぼ閃きと言って良いほどの手でオセロをしていたので、あまり考えるようなことはしていなかった。

 

よし、ここだ! と次の手を決めて、いざそこへ置こうとした矢先にほのかから声が上がる。

 

「二人共、そろそろ夕飯だけどどうする? ほのかが何か作ろうか?」

「うぇ?」

 

出鼻を挫かれて思わず情けない返事をしてしまった。

 

どうやら時間を忘れてオセロをしていたらしい。

外を見ると、ほのかの言った通り日も落ちかけ、夜と言っていい時間帯になっていた。

 

あれ、ちょっとマズイないか?

 

夕飯は外で食べるとは言ってないし、きっとオレの分も用意してるだろう。

だとすると、家は基本的に夕飯は全員で食べるので、必然的に手をつけず待つことになる。

 

他でもないオレのせいでだ。

 

いけない、このまま遅くなると自動的に色々と何かが決まってしまう。

主にオレの修行内容が目も当てられなくなる可能性が高い!

 

それだけは何としても阻止しなければならない!

 

「っほのか! 今すぐ帰るぞ!」

「ほえ? いいの? まだ途中じゃ……」

「構ってられるか!」

「あっおい!」

 

急いで帰り支度を終わらせ玄関に向かって駆け出す。

 

部屋の入り口で今までに倒した不良が言うような捨て台詞を残し、谷本邸をあとにした。

 

 

 

 

 

余談であるが、この日は全身の筋肉を酷使して、翌日酷いことになってしまった。




今回は初めて携帯からの投稿をしてみましたが、おかしな所がないか不安です。
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