史上最強の弟子の相棒   作:アフィーと

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第2話 組み手

 道場へと着いたオレ達はそれぞれ準備を始めていた。

 

「しっかしまさか戦うことになるなんてなぁ、どこで対応間違ったかなぁ」

「しょうがないよ、あの師匠達だもん」

「そうか? 岬越寺さん何か常識人っぽいけどな」

「とんでもない、梁山泊では一二を争う鬼畜っぷりだよ」

「兼一君聞こえてるよ~」

「ビクッ!?」

 

 今までの会話は全てヒソヒソ話によって行われてたのだが、そこは流石の岬越寺さん聞き逃しはないようだ。

 

 

 

「さて、二人とも準備はいいかね?」

「「はい」」

 

 準備も終わり、それぞれ所定の位置についてお互いに構える。兼一は握った右手を腰あたりに落として、軽く開いた左手を身体の前に構えている。一方オレの方は自然体の体勢のまま突っ立っていて木刀も左手に握られているだけだ。父さん曰く無行の構えだったかな?

 

「始め!」

「梁山泊、白浜兼一参る!」

「月影流、不破翔馬行きます!」

 

 そう言って組み手は始まる。

 

 

 

「秋雨さん、月影流ってどんな流派なんですの?」

「うむ。彼の父親の遼一氏が開祖の流派なんだが、一言では説明しづらいねぇ~まぁ見てればわかるよ」

 

 ギャラリーがそんなことを言ってることなんかまったく気づかず、組み手を続けるオレ達。

 

「山突き!」

「うおっ!?」

 

 兼一の繰り出した諸手突きを間一髪避ける。顔面と腹を同時に突いてくるこの攻撃はとても対処し辛い、さっき使われたときは腹に一発もらってしまった。

 今回は幸い間合いが遠かったのか攻撃が届く前に避けることが出来た。

 

「はあっ!」

 

 避けた体勢のまま、肩めがけて袈裟切りをする。

 

「っ小手返し!」

 

 切りかかったのだが、木刀を持つ手を兼一に捕られてしまいそのまま身体をひっくり返される。

 頭から畳に落とされるところだったが身体を翻しなんとか足を先に着地させて防ぐ、しかし不十分な体勢だったので兼一は追撃の肘鉄をしてくるが、距離をとってそれを躱す。

 

「ふう、流石だなオレもういっぱいいっぱいだよ」

「そんなこと言って、翔馬君はまだ技出してないじゃないか」

 

 兼一の言ってることも確かだが、余裕のないことのもまた事実。仕方がない……。

 

「じゃあお言葉に甘えて……行くぞ!」

「!?」

 

 その言葉と同時に全力で兼一に向かって突撃する。

 

「はっ!」

「月影流、影突き!」

 

 カウンター気味に突き出した兼一の正拳突きを更に深く踏み込むことで躱し、懐に入ったところでそのまま兼一の顎めがけて渾身の突きを繰り出す。兼一には一瞬オレが消えたように映っただろう。

 

「そこまでっ!」

「っ!?」

 

 岬越時さんのその言葉で、すんでのところで繰り出した剣を止める。危なかった……

 

「悪い! 兼一怪我してないか?」

「う、うん……ギリギリね」

「良かった~」

 

 脱力して二人で安心し合っていると、周りのギャラリーがぞろぞろと集まってきた。

 

「最後のは危なかったですわね」

「うん止められて良かったよ、岬越時さん助かりました」

「私がけしかけたんだからね、二人には怪我はして欲しくなかったのだよ」

 

 気にするなとでも言いたげに、手を差し出してくる岬越時さん。その手を取って立ち上がるとオレの肩をちょんちょん何かが触ってくる。

 

「? どうしました?」

「…(グッ)」

「?」

 

 しぐれさんはオレにサムズアップをしている、なんだろう? 良くやったってことかな。

 

「あ~しぐれは君のことを褒めているんだ」

「…(コクコク)」

 

 岬越時さんからフォローが入るやはりそうだったらしい、なんと言うかわかりづらい……。

 

「えと、ありがとうございます?」

「ん! でもおし…い」

「え? なにがですか?」

「何故キミは…防御をしな…い」

「!」

 

 参ったな、気をつけていたのにバレちゃったか……。

 

「……そのことですか。昔、父からも注意されてからは構えを変えてやっているんですが、どうにも攻撃第一になってしまうんですよね」

「そういえば、兼一さんの攻撃を避けてはいらっしゃいましたけど受けてはいませんでしたよね」

「そうだねぇ、彼は母親に似てしまったんだねぇ」

「翔馬さんのお母様ですか?」

「うん。彼の父親である遼一は相手の出方を見てから戦うような男だった、言わば後の先の極みのような戦い方だね。それに対して彼の母親は先の先、攻撃される前に相手を倒す戦い方だったからねぇ」

 

 確かにそんな感じだった。母さんは普段はとても穏やかで優しいのに、剣を握った瞬間人が変わったように戦っていた。なんか偶に笑い声をあげて戦っていた気がする。

 

「そうですね、気をつけてはいるんですが……」

「いや別にそのことが悪いと言っているわけではない、防御も大切だと言うことだ」

「はい……まぁ今後の課題ですね」

 

 昔のこと思い出していたら、肩に手を置かれそんなことを言われた。

 

「それにしても技を出してもらった途端に負けちゃうなんて、情けないな~」

 

 今まで黙っていた兼一からそんな声があがる。

 

「まぁ反省会は何時でも出来るとして、組み手に負けて傷心の弟子一号に我々が出来ることは何かね?」

「アパ! しゅぎょうよ! とってもとっても、つらーいつらーい、しゅぎょうよ」

 

 兼一の方へ向き直り、そんなことを言い出す二人。

 

「えっ!? 今日はちょっともう修行免除でいいんじゃないです――」 

「問答無用! 連れて行きたまえアパチャイ君」

「アパ!」

「ぎぃやああぁぁぁ! 放せぇぇぇぇ!」

 

 兼一の言葉は途中で遮られ、アパチャイさんに連れて行かれる兼一。なんかごめん兼一……修行頑張って。

 

「まぁなんにしても見事だったよ、特に最後の技なんて遼一はカウンターの防御技として使っていたのにまさか自分から使うとはね」

「確かに父はそうやってましたね、やっぱり岬越時さんは父と戦ったことがあるんですか?」

「あぁ、そうだねぇ何回かはやったね。結局引き分けばかりで決着は着かなかったがね」

「秋雨さんが勝ち越せなかったということは、やはりお父様も達人だったんですの?」

「あぁ……紛うことなき達人だった。私の知っている中では間違いなく最強の部類の剣士だったよ」

 

 知らなかった……父さんがそんな凄い人だったなんて。

 

「まさか父さんがそんな人だったなんて……」

「驚いたかね? あいつは会うたび口々に君の事を話していたよ。秋雨、僕の息子が……とね」

「父さん……」

 

 岬越時さんの言葉により胸の中に何か暖かいものが広がっていく、でももう父さんはいない、話を聞く限り父さんはかなりの剣の達人だったはずだ、そんな人が簡単に死ぬだろうか……。

 

「…(ちょんちょん)」

 

 考え事をしていると、また肩をちょんちょんされる。

 

「? 何ですか? しぐれさん」

「防御教えてあげよう…か?」

 

 突然しぐれさんからそんなことを言ってきた。

 

「えっと、願ってもないことですが……しぐれさんが教えてくれるんですか?」

「う…ん(こくり)」

 

 どうやらそうらしい。見た目は武術をやるようにはとても見えないんだけど、兼一の師匠ということは岬越時さんと同じく彼女も達人なんだろうか……。

 というかここの人たちは皆達人ということか? ん、まてよ梁山泊って確か……

 

「思い出した! ここって確か父さんが言ってた……」

「ふっ。遼一が何を言っていたのかは知らないが、どうする? しぐれなら間違いはないぞ」

「剣と兵器の申し子、香坂しぐれ」

 

 岬越時さんの言葉に続きしぐれさんが言い切る。兵器って……。

 

「えっとじゃあ、よろしくお願いします!」

「ん!」

 

 こうしてオレの新しい剣の先生が決まった。

 

 

 

 

 

「そうすると、翔馬さんは梁山泊に弟子入りするという形になるんですの?」

「えっ? あ~そうなるのかな……」

「まぁその辺は長老が帰ってきた後においおい決めれば良いだろう、まずはお試し期間ということにしておこう」

「そうですわね」

 

 二人の言う長老とは誰のことだろう、会話から察すると梁山泊の最高責任者みたいなものかな?

 

「じゃあ今日のところは弟子の先輩の修行風景でも見学していきますね」

 

 そう言って兼一の連れ去られたであろう方向へと向かう。

 

「…………」

「…………」

 

 ようやく見つけたと思ったら、無言で白眼を剥いて気絶している兼一と隣でおろおろ狼狽えているアパチャイさんを発見した。

 この後、岬越時さんと顔に真一文字の傷が入った、これまた筋骨隆々のアパチャイさんに負けないような大男がやってきて、手馴れた感じで兼一の蘇生作業に移っていた。

 心臓マッサージとか必要なくらい重症だったのか……。とりあえず、これから自分が此処でやって行けるか心配になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公君の技を何個か募集します、名前に月か影が入ってることが条件です。
技名、技の内容を記載してもらえると助かります。
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