守ルガタメニ銃ヲ撃ツ 〜Alle sind für Sie da〜 作:R.P.D K&L
国歴871年 黒鷲の月
21日
今日から日記をつける事にした。
私の親友であり、部下でもあるアデーレから勧められたからだ。
「日記はいいですよ〜、自分がどういう動きをしてるかが分かるようになりますから」
アデーレはそういっていたが、私には日記が嫌いだ。何故か?面倒だからだ。
気乗りしない。だが、勧められたからにはしっかり書く。
22日 昼過ぎ
書類を片づけていると、リュメル将軍(以下リュメル)が私の所にやって来た。
傍に
嫌な予感がする...そう思って身構えていたら、案の定であった。
毎年恒例、王政府役人共のチビ達の入隊訓練だ。
昨年は前団長のクリストフ・クニスペル氏が務めていた。
私は副団長として訓練に参加したのだが、クニスペル前団長は的確に、無駄無く教えていた。
今年度からは私が団長となってしまった故に、その役を務める。やれるだけやるつもりだ。
私が渋い顔をしていると、リュメルは、
「君が適役だと思ってねぇ、期待しているよ」
シワだらけの顔で薄ら笑い、嫌味ったらしく言った。
立場が関係なければメイスで殴ってやりたいが、やらない訳にはいかない。
「謹んでお受け致します」と言って帰っていただいた。
22日 朝
珍しく雨が降った。予定していた訓練は中断し、自分の部屋でこうして日記を書いている。
このような日にやることは、私には読書とこうして日記を書く事ぐらいだ。
入隊した当時から、仲間達にはお前はいつも暗いなとからかわれていた。
私としてはそれが普通だった。むしろ、他の仲間達が五月蠅く聞こえたぐらいだ。
そんな仲間達と関わり合ううちに、私にも友人ができた。それが、現在の副団長のアデーレだ。
彼女と友人になってから、私は明るくなる事が出来た。掛け替えのない存在だ。
だが...もし、アデーレが私の前からいなくなってしまったらどうなるのだろう? 幼子のように泣くだろうか?
考えたくもないが、時々そう思うのだ。
24日 夜
ついさっきの事だ。武器の整備が終わり、寝床に入ろうとした瞬間、寝室のドアが勢いよく開け放たれた。
「団長起きてますか!?伝令ですよ!一大事です!」
私の苦悩は露知らず、手に下げたランタンの僅かな灯りを頼りに、アデーレが入って来た。
私はアデーレに長髪が鳥の巣のように絡まっている事、そして娼婦の様な寝巻きを着るなと伝えてから話を聞いた。
...聞いたが、内容は実にくだらないものであった。
何かと云えば、今から鎧を着込み、怪異が出現しているという街へ行け、と云うのが伝令の内容であった。
怪異が出現していると言う街は広い範囲に亘って森があり、今の季節は深い霧が立ち込める。
街の住民によると、
『連続した轟音が聞こえる』
『穴だらけの熊や狼の死骸が見つかる』
などの報告があるそうだ。
これを受けた衛兵・自警団が「我れ先に」と解決に乗り出したそうだ。しかし、全て返り討ちにあっているとの事。
全容を聞いて思わず笑ってしまった。任務で賊やマギア共と渡り合ってきた私からすれば、相手がどのような姿で、どのような行動をとるのかすら分からないまま突っ込むのは馬鹿のやる事だ。怪異の相手など造作もない。むしろ、何故衛兵だけで対処出来なかったのだろうと思う。余程訓練が足りていないのか?
まぁ、怪異といって変わった何かがあるわけではないだろう。とにかくいつも通りに任務を遂行する。