俺は今草原を歩いている。
人の往来と馬車の轍によって踏み固められて草が生えていない街道を全身鎧に大盾と大剣を背中に背負い、まるで重さを感じさせない歩みで軽やかに進んでいる。
肩に歩き疲れてグッタリした主を担いで。
◇
握手してから様々な質問を交わし合った。
どうやらあの村、エルバ村は盗賊に襲われたようだ。
最近大きな戦があり、その逃亡兵や敗残兵が盗賊となっているために被害が大きくなっているらしい。
エルバ村は戦場から遠いため備えをしていなくてああなったそうだ。急な襲撃であるために碌な反撃もできずに村人は殺されて行ったそうだ。
オーシャンがなぜ生き残ったかというと、冬場に備えるための床下食料へと両親によって押し込められ、なんとか生き残ったそうだ。恐怖に怯えて、そのまま眠ってしまったらしく、俺たちが火葬しているときに起きたのだ。
家には血の跡が残っていたため両親もおそらく亡くなったそうだ。
火葬しているところを神妙に見つめている彼に、俺の家族も彼と同じような気持ちになっているのだろうかと考えてしまった。
そのまま地面に1人と1匹で横になって一晩過ごした。
翌朝になってアイテムボックスから取り出したパンを2人で食べながら、旅に出ることに決めた。
このままここに残っても1人と1匹では限界があるというものだ。状況から言えば妥当な判断だろう。
そして俺たちは手始めに資金集めとして、村中を探し回ってお金を集めた。盗賊みたいで少し気が引けたが、(オーシャンが)生きるためにはしかたないだろう。
というか違う種族である俺が少し気が引けたのに、嬉々として荒らし回っているこいつはどうなのだろうか・・・まあ切り替えが早いということにしておこう。
結果として銀貨40枚と銅貨64枚が見つかった。オーシャン曰く、銀貨一枚で3人家族が一週間暮らせるとのことなのでそこそこ集まったというべきだろう。
ちなみにゲーム内の共通貨幣である金貨を見せたところめちゃくちゃ興奮して寄越せと言ってきたので睨みつけたところ沈黙した。それでも「俺が主人なのに・・・」とブツブツ文句を言っていたが。
あと、身体の刻印について質問を受けて、そういえば隠すための装備をしていなかったと気づき、鋼鉄製の全身鎧に大盾、大剣を背負った。鎧なんか装着したことないのに、もう手慣れたように手が動いて装備することができた。
刻印は魔法の使用のためだと説明すると、目をキラキラと輝かせていた。
魔法が使えないのかと聞くと残念そうな顔をしながら魔法学院に行って学ばないと使えないと言っていた。
魔法学院というのに興味を惹かれたので機会があったら行ってみたい。
それとオーシャンがちょっと可哀想だったので魔法をたまに教えてやるというと大はしゃぎしていた。
オーシャンはみすぼらしい服しか持っていなかったので、ドロップアイテムとして拾った人間用の初心者装備一式を与えるとまるでクリスマスプレゼントをもらった子供のように喜んでいた。
どこから道具を取り出しているのかも質問されたがそれについては黙殺しておいた。というか俺もどうなっているのかわからなかったので説明のしようがなかった。
翼が邪魔だなと思っていると若干の痛みとともにゴキゴキという音を鳴らしながら身体の中に消えていった。べつに背中が膨らんだなどということもない。不思議だ。
すべての準備が終わり、オーシャンが故郷に別れを告げて丁度12時ごろに旅へと出発した。
そして話は冒頭に戻る。