SOUL EATER ~八幡cross~   作:ハッチー

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第10話[信用する力?クロナを倒す唯一の手段]

「職人の体内に武器がいる......」

 

一色は俺の発した言葉の意味が分からないのか聞いてくるが俺だって分からない。職人の体内の中に武器がいるなんて.....。

 

急に男?の中にいる武器の魂が膨らみ始めた。まるで職人を突き破りながら出てくるみたいに。

 

「うう....うわぁああああ!!」

 

急に叫び出した男?の背中を突き破って武器だろうか黒い人形のナニカが出てきた。それを見て一色は恐怖に一歩引いているが仕方がないだろう。職人の中から武器が出てくるなんて聞いたことがない。

 

「おいこらクロナ!モジモジしてねーでさっさとやっちまえよ!」

 

「え、ええーそんなぁ....僕には無理だよぉ。女の子とどう接したら良いのか分からないよぉ」

 

「何言ってんだ!この!この!」

 

背中を突き破って出てきたナニカはクロナというらしい人物を叩いている。人間の魂を食べた事と背中から突き破って出てきた事を除けば普通に微笑ましい光景にも見える。

 

「わわ、痛い....痛い止めてよラグナロク.....痛いって言ってんだろ、こら!!ぶっ殺すぞ!」

 

俺と一色は茅の外で会話始まってて一色も先程までの恐怖は無いみたいだ。

 

「おお、タイムタイム。キレたクロナは怖えーなぁ~。それよりもそこにいる奴等旨そうだぁ」

 

先程までの空気はどこにいったのか一瞬でクロナから殺気が此方に向けられた。一色は槍を改めて構えて相手の動きに反応できるように集中している。

 

背中にいたラグナロクという武器は一見して片手剣に変身した。魔剣と言われるだけあってなのか柄の少し上の部分に何故か口がついている。本当に何故だと思うが一色には余裕が無さそうに見えた。槍を握る手の力は強くなり額から冷や汗が流れ落ちている。

 

(一色怖いかもしれないが落ち着いていけ。あいつは殆ど狂気に飲み込まれている。それなら単調な攻撃しか出来ない筈だ。いくら強くても単調な攻撃しか出来ない奴は強くない。俺と一色なら勝てる)

 

(クスッ。先輩がそんな事言ってくれるなんて思ってもみませんでした)

 

「すぅーはあー.....」

 

(先輩ありがとうございます)

 

(おう)

 

クロナは、右手に剣を持ち振りかぶらずに無防備のまま突っ込んでくる。

 

隙だらけ....誰から見てもそう思うだろう。ブラック☆スターの様に速いわけではない。キッドの様に技術があるようにも思えない。だが何故か嫌な予感がしていた。

 

クロナは目の前までくると剣をあげて腰を捻りながら単調に降り下ろしてきた。一色はその攻撃を紙一重でかわし槍でクロナの心臓に突き刺した。

 

だが。

 

「嘘......」

 

「駄目だよぉ。そんな攻撃じゃ僕を倒す事なんて出来ないよ?」

 

一色は慌ててバックステップでクロナと距離をとってもう一度槍を構える。

 

確かに何もない皮膚を刺した筈だった。だけど刺した感覚はとても皮膚を刺した感覚ではなかった。まるで岩でも突き刺したように硬った。

 

「ねえ知ってる?その扉は内側に開くんだよ?」

 

クロナはそれだけ呟くと剣を両手に持ちかえた。

 

「ラグナロク.....悲鳴共鳴」

 

悲鳴共鳴......?頭にはてなマークが浮かんだ瞬間クロナの武器から物凄い叫び声が木霊した。教会の中に響きガラスは割れ耳に響いてくるその音になんとか耐える。

 

クロナとラグナロクの魂の大きさが膨れ上がり先程までのスピードが嘘のように真っ直ぐ走ってくる。

 

「スクリーチα!」

 

黒い斬撃が教会の床もろとも破壊しながら一色に向かってくる。一色は腰を低く落とし体の体勢を下げて斬撃を利用して死角から今度は突くのではなく、槍を回転させる遠心力を使いクロナの後頭部を殴った。

 

クロナはダメージを食らった様子は無く急に殴られたことの驚きで一歩後ろに下がった。一色はバク宙を2回して距離を取った。

 

ブラック☆スターやシュタイン先生のように魂の波長を撃ち込めればダメージを与えられると思うが槍による打撃と突きでは相性が悪い。だが一つだけ方法があるにはある。俺は自身の波長をコントロールして氷らす事が出来る。

 

だが今回の相手に俺一人で挑んで勝てるか?と問われれば勝てる。とは言えなかった。魂の波長のコントロールは相手の隙を突かなければならないし何より氷らしても効果があるのかどうかも分からない。

 

それに今は一色の魂の波長に俺の魂の波長を合わせているが波長のコントロールをしたら一色の魂の波長に合わせる余裕は無くなる。事実上相性が良くなければ持つことさえ出来なくなってしまうだろう。

 

「先輩。やりましょう」

 

(一色?)

 

「先輩の考えていること聞こえたわけではないですが魂を通じて伝わって来ました。大丈夫です!わたしと先輩なら出来ますよ♪」

 

こんな状況でも笑顔を見せてくれる一色に感謝して深呼吸をする。

 

(だな.....それじゃあやるぞ。一色)

 

「はい!」

 

俺は一色の魂の波長ではなく自分の魂に意識を集中させる。時間にすれば1分程かクロナとラグナロクが喧嘩しているうちに集中していく。

 

槍からは冷気が溢れ床に触れると触れた床が氷っていく。

 

「凄い....これが先輩の本当の力なんですね」

 

一色は目を閉じて俺との波長を強く感じ取ろうとしてくる。魂の共鳴程ではないが武器と職人が本来持っている波長の共鳴率までは上がっている。共鳴率が上がった、ということは本来の俺の武器としての性能も上がるということだ。

 

一色は足に力をいれ、教会の床を強く踏み込み体勢を低くしたまま槍をクロナに突き刺した。クロナは避ける行動はせずにそのまま立ち尽くしている。

 

「だから僕にそんな攻撃は効かないんだっ.....て、あ、あれ?ら、ラグナロクこれってどうゆうこと!?」

 

槍はクロナの皮までは刺さっているがそれ以上は硬くて先程と同じくそれ以上は刺さらない。だがいくら刺さらなくても氷らすことは出来る。

 

「くっこいつは不味い!おい早く離れろ!クロナ!」

 

「う、うんっ!?」

 

クロナは慌てて離れようとするが徐々に氷はじめていてお腹の辺りは氷っていた。

 

「つ、冷たいよ、ラグナロク!」

 

「くー早く脱げ出しやがれ!!」

 

こんな状況なのに剣からにょきっと黒い人形のような形をしたラグナロクが出てきてクロナを叩いている。好機だと思った俺と一色はそのまま氷らしてしまおうと力を込めるが背筋が凍る気がしてクロナに刺していた槍を抜き半ば転がるようにして右側に転ぶ。

 

一色が転んだ瞬間、矢印のようなものが教会の床に突き刺さっていた。先程まで立っていた所に突き刺さっているのを見て一色の顔が青くなる。

 

「......この攻撃は.......そんな....どうして」

 

(一色?おい!一色!?)

 

俺が何度叫んでも一色は反応せずに何故か縮こまって動かなくなってしまった。体は震え、何かに怯えている様だった。

 

「おい!クロナ!今がチャンスだ!さっさとやっちまえよ!」

 

「僕氷ったお腹とどう接したら良いのか分からないよぉ.....」

 

「あー今はそんなこと良いだろうが!そんなことより目の前のこいつ殺さねーと、たぶん後であの人に怒られんぞ?」

 

俺は剣が言った“あの人”について気になった。一色がこうなる前にこの攻撃をしたやつを知っているような感じだった。でも何故一色が?だが今はそんな事を考えている余裕は無かった。一色は震えていてとても戦闘が出来る状態ではない。それに.....。

 

「分かったよ....怒られるの嫌だから殺してから考えるよ」

 

逃げる時間も無いみたいだ。

 

ツカツカとゆっくり一色の前まで歩いてきてクロナはゆっくりと剣を振り上げる。

 

降り下ろしてくる瞬間に俺は武器の姿から人の姿に戻り一色とクロナの間に入り鮮血が舞った。

 

「......せん....ぱ、い?」

 

一色の顔は俺の血で赤く染められ俺は一色に倒れこんだ。

 

意識が薄れていくなか、教会の扉を突き破るようにして入ってきた、マカとソウルを見て俺の意識は完全に落ちていった。


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