SOUL EATER ~八幡cross~   作:ハッチー

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第15話[魔女を倒したノット生?説教は短めに]

 

魔女は一ツ星職人でも倒した経験があるやつはいない。そもそも魔女を倒せればデスサイズになったようなものだ。俺でも勝てる気がしないし他の一ツ星でも魔女を倒せるのは...今は無理だが成長すればキッドかブラック☆スター。それにマカくらいだろう。

 

そんな魔女を倒したと言うのだ。本気で行くべきだろう。腕を銃に変身させた俺はジャンプをして距離をとる。

 

「銃ですか....トンプソン姉妹と戦った時を思い出しますね....」

 

「そんなことありましたっけ?」

 

どうやらアーニャさんは、リズさんとパティと戦った事があるようだ。にしても二人をトンプソン姉妹と呼ぶって事は、キッドとパートナーを組む前の事か?

 

「何を言っているんですか!ネネさん!貴女もあの場にいたじゃないですか!」

 

「んーそうでしたっけ?」

 

「もう良いですっ!それよりも今は目の前の相手に集中しましょう!ネネさん、つぐみさん以前の私達とは違うところを証明するチャンスですっ!」

 

「な、なんだか分かりませんが頑張ります!」

 

二人の女の子は左右別れるようにして走り俺に向かってくる。現在ハルバートを持っているのはアーニャさんでネネさんは持っていない事から、アーニャさんに意識を集中する。

 

「ロイヤル槍術!!」

 

アーニャさんはハルバートを匠に操り鋭い攻撃を仕掛けてくる。何処かの流派なのだろうかロイヤル槍術というのは聞いたことがないが....だがいくら鋭くてもスピードが遅すぎるし、攻撃の間に隙も多い。これで本当に魔女を倒したのかと不思議に思うほどだ。銃でハルバートの攻撃を受けてみたが威力もさほど高くはなく、ノットにしてはのレベルである。

 

「はぁあああ!!」

 

ネネさんとやらが拳を開き掌底を放ってくる。ハルバートの一撃を避けた場所に掌底を撃ち込まれたがその場でバク宙の要領で避けながら銃を乱射した。威力を抑えて撃ったので当たったとしても痛いくらいで済むだろう。

 

アーニャさんはバックステップで全て避けてネネさんは、アーニャさんから投げて渡されたハルバートを回転させて全て打ち落とした。ネネさんが持っているハルバートは、先程アーニャさんが持っていたハルバートと形状が異なっていた。

 

「職人によって形状が変わるのか」

 

独り言のつもりで呟いた言葉は意外にもアーニャさんから「はい」という言葉で返ってきた。

 

ネネさんはジャンプをして俺めがけてハルバートを降り下ろす。その動作にアーニャさんほどの鋭さは皆無だったが念のためバックステップで交わすとハルバートは地面に深くめり込んでおり俺が先程いた場所は土煙が舞っていた。

 

成る程、どうやらアーニャさんはテクニックでネネさんはパワータイプらしい。自分の短所を補える良いチームみたいだ。これから経験を積めば強くなるかもしれない。

 

 

だけど....今はその経験が足りていない。それは彼女達の動きを見ていれば容易に分かってしまう。あまりに危なっかしくて動きにムラがあり勘が悪い。勘は関係なさそうに思えるだろうが実は違う。戦闘の勘の良さというのは戦闘を経験していけば自然と身に付いていく。それは絶対的な危機の時に自分を助けてくれる武器になる。

 

俺がこの三人に評価を付けるとしたら悪いがノットだ。まだまだって事だ。

 

俺は銃に変身させた両手を元に戻す。アーニャさんは俺の行動が気に入らないのか明らかに目くじらを立てて怒っているような顔をしている。

 

「どういうつもりですか?」

 

「何が?」

 

どういうつもり、か。逆に俺は聞きたいね。勝てると思って俺に勝負を挑んだのかと。

 

「何がじゃありません!勝負中に武器を元に戻すなんてどういうつもりですか?勝負を捨てたようには見えませんが?」

 

アーニャさんの声は震えている。怯えているではなく怒っているから。

 

「武器を使う必要が無いと分かったんだ。武器(俺)でも素手で充分だ」

 

俺は拳を握りファインティングポーズをとり激昂しているアーニャさんとの距離を一瞬で詰めて腹部に肘鉄をいれる。鳩尾に肘鉄をいれた事でアーニャさんの口から大きく息が吐き出される。一瞬怯んだが体を捻り裏拳を俺に向かって繰り出してくるが俺は膝を下げることでかわし、沈んだ膝の力をそのままいかしてオーバーヘッドキックのようにアーニャさんの顔面めがけて蹴る。

 

女の子の顔に蹴りとか酷いんじゃないかって?そもそも刃をついた武器で戦うことが多いのが死武専なのだ。たかが顔を蹴られるくらいどうってことないだろう。

 

俺の足がアーニャさんの顔面をとらえる寸前に俺の蹴りは横から入ってきた者に止められた。

 

「ちょっと八幡君何やってるの!?」

 

急に現れて俺の蹴りを受け止めたのはマカだった。正確には武器に変身したソウルだが。

 

「マカ.....」

 

俺は蹴りあげた足をゆっくりと下ろしてマカの顔を見る。心配している事が伝わってくる。ソウルも武器から元の姿に戻りマカと同じことを聞いてくる。

 

「俺に喧嘩を売ってきたのはそいつらだ。俺は悪くない」

 

そう。今回に限っては俺は悪くないと思う...。やり過ぎた気はするが。

 

つぐみさんも武器から戻っておりマカに駆け寄ってお礼を言っている。どうやらつぐみさんはマカの知り合いらしい。

 

何故このような事になったのかつぐみさんが説明し終わるとマカから殴られた。何故だ?殴られた場所を擦りながらマカを見ると有無を言わせぬ鬼の様な表情で俺を睨んでいた。俺は寒気を感じ取り後ろに下がろうとするがソウルに後ろから肩を掴まれ「諦めろ」と言われ暫くマカから説教を受けた。

 

 

何分経っただろうか.....最初は当然ですわと言わんばかりにアーニャさんは怒られている俺を見ていたが今ではそろそろ許してあげては....なんて言ってるくらいには俺は怒られ続けていた。怒られている内容はノットに..それも女の子の顔面を蹴るなんて最低!!という内容だった。どうやら女の子の顔面を蹴りあげるのは駄目らしい。

 

「ちょっと八幡君聞いてるの!?私怒ってるんだよ?」

 

あーうん。聞いてる、聞いてる。そりゃもう耳にタコが出来そうなくらい聞いてますとも....。

 

「な、なあマカ。そろそろ許してやっても良いんじゃねーか?」

 

ここでソウルからも助け船が出される。

 

「んー....ちゃんと反省してるなら良いけど」

 

「八幡ならしてるって。なあ八幡?」

 

「してます...」

 

もはや敬語である。

 

やはりマカは怖い....。と再確認したところで長い説教は終わりを告げた。

 

「それよりもマカ。八幡に言うことがあるんだろ?」

 

ソウルが言うとマカは思い出した!という顔をして何故今日は授業に来なかったのか?とか先程許してもらえた筈のノットの女の子に足で蹴りあげるなんて!という説教が再び復活し。挙げ句の果てにはブラック☆スターは妖刀を使いこなす為にシュタイン先生から修行の道具を貸してもらったらしい。その時にブラック☆スターは筋トレとか走り込みだけで強くなってくなんてズルい!とか言い始めたので流石に我慢できなくなった俺はマカの言葉を一旦止めた。

 

「なあマカ」

 

「な、何よ」

 

俺のあまりの変わりように一瞬たじろくマカ。

 

「ブラック☆スターが筋トレや走り込みだけで強くなってるなんてズルい!って今言ったよな?」

 

「だってそうじゃない!」

 

ブラック☆スターは基本的に努力している所を人には見せない。そして嘘もつかない。なので筋トレや走り込みだけをやっているのは事実なのだろう。本来筋トレや走り込みなんて誰でもやっている。

 

だがブラック☆スターのやっている筋トレや走り込みは普通ではないのだ。

 

「ブラック☆スターがどれ程の筋トレや走り込みを毎日しているか知ってるのか?」

 

いや俺も詳しくは知らんけどさ。

 

「知らない...けど」

 

「言っておくぞ。マカもブラック☆スターと同じメニューを毎日出来るなら必ず強くなる」

 

「....八幡君は知ってるの?」

 

「一部だがな...」

 

俺は以前成長が伸び悩んだ時期があった。それはノットから一ツ星に上がったときだ。本来一ツ星にまで上がればパートナーがいるのだが俺やヒーローもだがパートナーがいないのだ。俺はずっとボッチを貫いてきたからそれなりに鍛えてきたから体術に関しては自信があった。それこそ職人にだって勝てると思っていた。

 

だが俺はブラック☆スターに授業中の体術だけの戦いで負けた。それも一撃もかすることもできずにだ。攻撃が当たらず姿すらも見えなかった。

 

その日を境にもっと鍛えるようにした。重点的にスピードを鍛えて反射神経も鍛えたがそれでも勝てなかった。

 

そして何も負けるのはブラック☆スターにだけではなかった。俺は相手がパートナーがいる場合絶対に勝つことが出来なかった。これはパートナーがいない限界とも言われていた。例外も二人ほどいたらしいが。一人はシュタイン先生で後一人はデスサイズらしい。世界を拠点としているデスサイズで名前も分からないが。

 

いくら自分を鍛えても結果は変わらなかった。だから俺はブラック☆スターを監視することにした。ブラック☆スターの訓練を見て自分の訓練に抜けている場所が無いか確かめたかったからだ。

 

俺は1週間の長い休みを利用してブラック☆スターの特訓の方法を見ることにした。ブラック☆スターにバレないように隠れながらブラック☆スターの特訓を見ていた。そこで一つ思ったことは、とてもじゃないが人間が出来る特訓の許容をオーバーしている。ということだった。

 

月曜日

 

AM5時

 

ブラック☆スターの家に張り込む。

 

AM6時

 

椿さん起床。

 

AM7時

 

椿さん朝食を作る。

 

俺は買っておいたあんぱんを食べながら牛乳を飲む。

 

AM8時

 

椿さんがブラック☆スターを起こす。

 

ブラック☆スターは寝惚けながら片手で逆立ちしながら器用に朝御飯を食べている。

 

AM9時

 

ブラック☆スター腹筋を始める。

 

5000回と言っているが窓の外からだし聞き間違いだよな?

 

AM10時

 

ブラック☆スター腹筋を4958で断念。

 

椿さんはうちわで扇いでいる。

 

直ぐに立ち上がりスクワットを始める。

 

600回と言っているが....いや止めておこう。

 

AM12時

 

ブラック☆スター、スクワット600回やりきる。

 

床は汗で水溜まりが出来ている。

 

椿さんが昼御飯を持ってきた。いつの間に作ったのだろうか。

 

俺は買っておいた二つ目のあんぱんを食べる。残しておいた牛乳で流し込む。

 

AM13時

 

ブラック☆スターが椿さんと模擬戦を始める。

 

御互いに短刀を使っているがブラック☆スターの動きは圧倒的だった。だが椿さんは動きが圧倒的なブラック☆スターの動きを先読みしてブラック☆スターを圧倒していた。

 

俺はその光景に唾液を飲み込む。

 

 

AM16時

 

かれこれ3時間も模擬戦をやっていた二人。だが二人の顔に疲れの色は無かった。

 

ブラック☆スター部屋に戻り腕立て伏せを始める。1000回らしい。

 

AM17時

 

椿さん夜ご飯を作り始める。

 

AM18時

 

ブラック☆スター腕立て伏せ1000回達成。

 

夜ご飯を食べる。

 

AM19時

 

椿さんはお風呂にブラック☆スターは腹筋を始める。

 

AM20時

 

椿さんが出てきてブラック☆スターがお風呂に入る。

 

AM21時

 

お風呂から出た後に何故か走り込みに。

 

椿さんに怒られる。

 

AM22時

 

就寝。

 

寝るの速くねっ!?

 

 

殆どこれの繰り返しで走り込みがあるかないかだ。ブラック☆スターは一日の大半を特訓に費やしている事がわかった。

 

1週間の最終日。

 

朝からブラック☆スターの特訓を見ていた俺の背後から足音が聞こえて俺は慌てて後ろを振り向く。

 

そこには椿さんが立っていた。


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