SOUL EATER ~八幡cross~   作:ハッチー

17 / 18
第17話[前夜祭?最強の敵には魂の共鳴!!]

今日は前夜祭、今まで死武専を休みながら一色を探していた俺もこの行事には出席せざる得ない。

 

溜め息を吐きながら着なれないスーツに腕を通す。もう一色がいなくなってから一ヶ月が経過していた。

 

「何処にいるんだよ...」

 

俺は家に鍵を閉めて死武専に向かう。此方を伺う視線に気付かぬフリをしながら。

 

死武専に付くと、既にマカとソウルがいた。マカは赤を主体とした少し子供っぽいドレス。マカは14歳だから年相応なのかもしれない。反対的にソウルは黒を主体としたスーツでネクタイも黒と大人びた印象を受ける。

 

「よお」

 

「お!八幡久し振りだな!」

 

「八幡君授業にはしっかり出ないと...まだいろはちゃんを探してるの?」

 

「....ああ」

 

「そっか....」

 

「よぉー!!八幡にソウル達じゃねーか!!」

 

マカとソウルと話しているところにブラック☆スターと椿さんが歩いてきた。ブラック☆スターもスーツを着ているが、着させられている?という感じがする。幼く見えてあまり似合っていない。椿さんは、流石というか谷間が大きく見えているドレスは男の視線を掴むことだろう。

 

「ソウル~俺飯たくさん食うぜ!」 

 

「はぁ..だらしない」

 

椿さんの心労が伺えるが今の格好であまり下を見ない方が...うん、一部が強調されて中の水色の紐がチラリズム、御馳走様です。

 

「なんだ、既に皆来ているではないか」

 

「ぶーキット君が着替えに時間かけすぎるからだよー」

 

「ほんとにな...はぁ」

 

あちらはあちらで苦労しているようだ。つか何故にリズさんとパティーはジャージのような格好に?キットの全身白も面白いが。いや祝いの場なのに俺やソウルみたいに黒一色で来る方が変わってるのか?まるで葬式みたいだし。

 

会場に入ると豪華な食事とダンスパーティーが始まった。ソウルはマカと踊っているし、ブラック☆スターは椿さんとキットもリズさんとパティと踊ってるし余った俺はどうしろと?もう帰っていい?そんなことを考えていると紫を基準としたドレスを着こなしたメデューサ先生がシュタイン先生と踊っているのが見えた。シュタイン先生が白衣なのは良いとして、なんだろうか、雰囲気がヤバイ。凝らして見ないと分からないがシュタイン先生の魂が時々波打っている。

 

これは殺意を向けているときにシュタイン先生が取る行動でどんな状態でも動けるようにしておくためらしい。分からないのが何故メデューサ先生にその殺意を向けているのか、ということだ。

 

何かを喋っている?俺はバレないように近付きシュタイン先生の白衣にヘアピンに変身して掴まる。多分、シュタイン先生にはバレただろう。この人こういうのには敏感だし。なにも言わないということは聞けと言うことなのだろう。

 

「あなたは鬼神に興味をお持ちでは? あなたは知っているのでしょう? 死武専の地下に鬼神が眠っていることを」

 

鬼神?興味?....どういう意味だ?どうしてこんな話をメデューサ先生が?メデューサ先生の問いに適当に返すシュタイン先生。あれはどう考えても相手をバカにしている。というより挑発している?

 

「・・・・若造が。ここに死神がいなきゃ、殺してるわ」

 

....メデューサ先生、怖っ!なにこれ、これが俗に言う裏の顔?だがそんな半分冗談だった俺の意思は次のシュタイン先生の言葉で裏返った。

 

「解体するぞ。遠慮はいらない、プロテクトを解いたらどうです?」

 

プロテクト?...てことはメデューサ先生は魔女?その瞬間、一色が消えた日のことを鮮明に思い出した。

 

一つだけ納得いかないことがあったのだ。

 

一色がメデューサ先生を襲ったこと。今の言葉を聞いて、一色の日記を思い出して、全てのピースが嵌まった。

 

「っ!?」

 

「おやおや比企谷君。駄目じゃないですか。折角気付かれていなかったと言うのに」

 

ヘアピンになっていた俺は人の姿に戻り殺意丸出しでメデューサ先生を睨んでいた。

 

「お前が一色を....」

 

俺が攻撃をする瞬間、会場にシド先生が慌てて入ってきた。そのことで一瞬怯んでしまい、メデューサは窓を突き破って会場から外に出ていった。

 

空間が歪んでいくのを感じる。捻れているのか良く分からないがなにかしらの攻撃を受けているのが分かった。

 

「魂の共鳴!おまえらだけでも!・・・・間に合ってくれ!」

 

「空間が歪んでゆく!? まずい!閉じこめられるぞ!!」

 

「強制土葬!!」

 

「床から棺桶が!?」

 

「シド!!」

 

「頼んだぜ・・・・死武専を守ってくれ・・・・・」

 

 

 

 

伝わりにくいと思うが現在の状況を纏めるか。恐らくだがメデューサはシド先生が入るタイミングを計っていた。そして、どうやったのかは不明だがあの空間からは出られないのだろう。そこで強制土葬というわけか。やりきった感あったけど原因シド先生がきたからじゃね?と思わなくもない。てか送るなら死神様最優先だろうに...何故に一ツ星ばかりを?シュタイン先生いるけどさ...武器いないし。

 

「ここが地下への入り口です。相手は強力。生半可な覚悟では命を落とすでしょう。恐怖と闘う準備があるか、俺と来るか来ないか。君たちの魂が決めろ」

 

シュタイン先生が珍しくまともなことを言っている。だけどこいつらにそれ聞いても無駄だろう。マカとソウル、ブラック☆スターと椿さん、キットにリズさんとパティ。何故か早着替えみたいになってるけどどうやってるのん?なんでドレスやらスーツを脱いだら何時もの格好なの?下に着てたの?俺替えの服すらないよ?

 

「「「行きます!!」」」

 

「そう」

 

嬉しそうに答えるシュタイン先生。あ、因みに俺は挨拶してません。

 

「比企谷君には強制で着いてきてもらいます。武器が無いのは困りますからね」

 

ですよねー。だと思いました。まあ俺も久し振りにイライラしてるし良いけど。

 

「分かりました」

 

暫く地下を走り続けるとマカから制止の声がかかる。俺とシュタイン先生は気付いているが他は気づいてないだろう。

 

「この魂・・・間違いない。卑猥で最低なこの感じ」

 

卑猥で最低な感じって....シュタイン先生笑っちゃってるし。まー安心したわ。これで俺は

 

「ぱぱ...」

 

シュタイン先生の武器しなくてすむ。

 

「卑猥で最低な感じって...マカァー折角ぱぱが駆けつけたんだぞ!?」

 

マカの父親はこう見えて数少ない変態じゃない、数少ないデスサイズだ。それにシュタイン先生の元武器でもある。なんだかんだ言って相性良いと思うし。

 

「でも先輩が来てくれて助かりました。流石に比企谷君だけでは厳しそうでしたから」

 

安易に魔女の相手はまだ速いと言われた気がするが俺もその通りだとは思う。感情を抜きにすれば、な。

 

「強いのか」

 

「はい。相当強いですね、あれは。魔女の中でも秀でてますよ。」

 

「そうか」

 

「それより先輩どうやって抜け出して来たんですか?」

 

それは俺も気になっていた事だ。強制土葬のような緊急脱出の技を使えるのはシド先生がくらいだし死神様でも出れない場所からどうやってでたんだ?

 

「女のケツを追うのは、誰よりも早い」

 

キメ顔でそう言った。マカが恥ずかしそうに真っ赤になってるし、ソウル達は、そんなマカを見ながら哀れみの目で見ている。なんというか頑張れマカ。

 

っ!!突如溢れんばかりの魔女の魂が現れた。目前では主犯のメデューサがいる。戦闘の態勢を維持しつつシュタイン先生が作戦を話始める。

 

作戦の内容は、シュタイン先生がメデューサを引き付けている間に幅10メートル程のこの空間で俺達はメデューサを出し抜かなきゃいけないらしい。メデューサを越えると魔剣、クロナが待ち構えているらしい。それを越えると魔眼らしい。その情報はどこから得たの?ってくらいシュタイン先生は詳しかった。

 

「先生詳しくないですか?」

 

「あくまで憶測だ。現れたやつは全員倒せ。クロナはブラック☆スターに任せる。あいつには魂を直接体内にぶつけないと勝ち目がない」

 

頷くブラック☆スターを見たシュタイン先生は最後に一言

 

「命だけは落とさないこと、分かったな?」

 

「敵の前で作戦会議?物凄く筒抜けよ」

 

「あなた保険医でしょ?」

 

御互いに相手を挑発するように言う。二人の魂が少しずつ膨れ上がる。

 

「あ、そうそう。いいことを教えてあげるわ。先程シュタイン先生が言っていたこと。殆どが当たりよ」

 

殆ど?

 

「クロナを抜けた先には一色がいるわ」

 

「一色....」

 

「ああ、そうだったわね。貴方の元パートナーだったわね。でも面白かったわ、まさか魔女をパートナーにするだなんて。それにいなくなった原因を作った私に探してほしいだなんて、あはははおかしくて、おかしくて、翌日学校休んじゃったじゃないの」

 

「一色がいなくなった原因?...」

 

「そう。良いわ教えてあげる、[災悪の魔女]と呼ばれた彼女の事を。彼女は魔女と人間の男から産まれた子よ。魔法も使えないし、パット見は人間。だけど、魔力はあるし魂は魔女」

 

魔法を使えない魔女...。

 

「彼女は忌み嫌われたわ、当然よね。人間でもない魔女でも無いのだから。ふふふ、でもそんな彼女にも力はあった。それは魂の吸収」

 

「魂の吸収?」

 

「ええ。触れているだけで望めば相手の魂を吸収してしまうのよ」

 

『誰と組んでも熱かったり重かったりで持つことが出来なかったんです』

 

そうかあの時の一色のあの言葉は....武器が使えないんじゃなくて自身の力が万が一にも暴走したときを恐れたことで起きた無意識の拒絶反応だったのか。....なんだよ、やっぱりお前は優しい奴じゃねーか。

 

「私達魔女はその力を知って恐れたわ。強さなんて関係なく吸いとられてしまうんですもの。それで殺されそうな所を逃げ出したのよ」

 

一色.....。

 

「無様なものよね。それであの時に彼女を見つけて怪我をしている比企谷君を殺すと言ったら何て言ったと思う?土下座したのよ?私に命も要らないから彼だけには手を出さないでって。笑ったわ、ほんとに「黙れよ」....何かしら?」

 

「シュタイン先生アレを一度だけお願いします」

 

「はあ...まあ良いでしょう、先輩も良いですよね?」

 

(ん?ああ構わないぞ。一発でかいのを決めてやれ!)

 

「先輩も良いみたいです」

 

それじゃあ久し振りにやりますか。

 

「さてと、それでは皆さんは後ろに下がっていてください」

 

「ですがメデューサを出し抜くのでは?」

 

「ああ、必要無くなりました。彼がやる気みたいなので」

 

一様に俺を見る。現在シュタイン先生は右手にマカの父親であるデスサイズを構えており左手には俺を構えている。デスサイズと全く同じ形の武器に変わっているので違和感は無いだろう。

 

「ふふふ、何をする気か分からないけどそう簡単に通れると思ってるのかしら?」

 

メデューサから矢印の形の影が二つこちらに向かってくる。シュタイン先生はその攻撃を軽くかわしてメデューサに向かって一気につめる為に走る。

 

メデューサは少しずつ離れながら数本の矢印の影を飛ばしてくる。予想より速く当たればかなりのダメージになるほど強力だと分かる。地面に深々と刺さる状況が物語っている。

 

俺の秘策。

 

シュタイン先生と一度だけ成功したあの技。リスクは二つ。1分しか時間がないこと。もう一つは、シュタイン先生が使ったあとに物凄く疲弊するって事くらい。

 

俺は職人に魂の波長を合わせていたがこれを使うと合わせられなくなる。その余裕がなくなるという感じだが。リスクの理由はシュタイン先生がいくら魂の波長を合わせようとしても完璧じゃないからリスクが生じるだけだ。他のやつなら武器を持つことすら出来なくなるが。魂の波長が合わなくなり恐らく職人が一瞬で氷の彫像と化す。

 

「それではいきますよ」

 

「魂の共鳴!!」

 

シュタイン先生と俺とデスサイズであるスピリットさんの魂が共鳴する。シュタイン先生の魂は膨れ上がり髪は逆立っている。立っている場所は凍っていき、周囲の温度も下がり長めのマフラーが首に巻かれ、ゆらゆらと揺れている。

 

「先に言っておくぞ魔女。この技を使ったんだ目を離したら死ぬぞ?」

 

「少し姿が変わったくらいで大きく出たわね若僧が」

 

「皆さんは今のうちに端を通って抜けてください。慌てなくても抜けられるはずです。皆さんの方に意識を向ける余裕すら与えませんから。憑依-----氷魂威」

 

シュタイン先生は一瞬でメデューサとの距離を詰めて自身の魂の波長を直接流し込んだ。魂威とは、相手に魂の波長を流し込む技だが八幡との魂の共鳴をしている状態では少し異なる。

 

「ぐっ...速い。っ!これは」

 

魂威で攻撃した腹の場所が氷っていることにメデューサは驚いている訳ではない。憑依した状態で相手に攻撃すると相手の魂の波長を乱すことが出来る。分かりやすく言えば目眩や頭痛に襲われる。ジャンプをしてメデューサとの距離を取り武器を構える。

 

「さて、時間も無いのでこれで決めます」

 

「魂の共鳴!!」

 

再び魂の共鳴をしたことにより八幡とスピリットの武器が一つになり形を変える。その姿は全てを喰らいそうなほど真っ黒な大鎌。マカとソウルが一度見せた魔女狩りよりも一回りほど大きな鎌。

 

「行きますよ、二人とも」

 

シュタイン先生の声に合わせて一層強く集中する。シュタイン先生は、大きくなった鎌を一回転させて

 

「流石にそれを受けるのは不味いわね、逃げさせてもらうわ.....!これは」

 

「縫合....逃がしませんよ」

 

「くっ!」

 

魂の波長を直接体内に打ち込む事で、現在メデューサの体内には、シュタイン先生の波長も微量ながら混ざっている。シュタイン先生は、その波長を操り、地面にまるで縫ったようにメデューサを縛り付けた。

 

「鬼狩り!!」

 

大きくなった鎌を振り上げると、冷気は凝縮され、空気すらも氷だす。鬼狩りを放った場所は地面が抉られており、メデューサの血が凍っている床を少しずつ赤く、塗りつぶしていく。

 

「やれやれ参りましたね」

 

「はあはあ...小僧が....よくも」

 

メデューサは生きていた。左腕を無くし両足を失っていたが黒い蛇に乗って空中に浮いていた。

 

憑依も最後の攻撃でシュタイン先生の限界が来て解けており正直かなり不味い状況だ。

 

(あれを交わすなんてなんて魔女だよ)

 

「いや先輩。足を切り離すところまでは見えてました。だから方向を変えようとしたんですけどね、上手く方向を変えれる力も残ってなくて仕留め損ねました」

 

魂の波長の使いすぎで憑依を維持できなくなった俺は人の姿に戻りシュタイン先生はスピリットさんを支えにしてなんとか立っている。

 

「どうやら今の攻撃で仕留められなかったのは貴方たちにとってかなり痛いようね....まあ此方も殆どの魔力が空になってしまったからおあいこかしらね。まあでも左腕と両足を失ってしまったのは大きいわね。そうね、今の貴方たちならこの子達だけでも効果があるかしらね」

 

メデューサが右腕を前に出すと黒い蛇が無数に飛びかかってくる。

 

不味い、今の状況ではシュタイン先生は動けないだろうし捌くにしても数が多すぎる。

 

「比企谷君、私の後ろまで移動してください。まあ、なんとかしますから」

 

そう言うとシュタイン先生は白衣の中からカプセルを取り出して丸薬を一つ取り出し口にいれた。

 

「シュタイン先生、それは?」

 

「これですか?研究の成果ですよ。これを食べれば一時的に魂が回復し、体力も回復します。ただし、効力が切れると一週間は、武器と共に動けなくなるんですがね」

 

何故武器も?

 

「どうして武器も?という顔をしていますね。その説明の前に、先輩行きますよ!魂の共鳴!!」

 

「実験霊体」

 

出た、大きい赤ん坊。これってほんとに厄介だよな。防御力は高いし、無駄に範囲でかいし。何より見た目がエグい。

 

「今まで体力も魂も底をついていましたが無理矢理魂を繋いでいます。それにより先輩にかかる負担は、普段の数十倍になり動けなくなる、ということです。それよりも、君は皆の所に行ってください。先程から嫌な気配がします」

 

嫌な予感というのは、恐らくマカの魂が著しく乱れた事だろう。この魂は何処か魔剣に似ている。それにしても、マカとソウルは、魔剣の相手では無かった筈だが...。

 

魂感知で探ってみると、マカと対峙しているのは、魔剣である。クロナだった。

 

優等生である、マカが先生から言われたことを破るなんて想像できないがブラック☆スターもいない事から、マカが我が儘を言ったのだろう。

 

走りながら考えていると、鎌に乗りながらニヒヒと笑っているマカと怖がっている魔剣である、クロナを見付けてしまった。マカは「超COOL、ニヒヒ」とか言いながら笑っているが見なかったことにして先に進んだ。別にあまりの惨状で言葉もでなかったとか、どっちが魔剣なのか分からんとか思ってない。その先から一色の魂を感知したので優先しているだけだ。うん、八幡ウソツカナイ。




遅すぎて待ってくれている方はいないと思いますが投稿を再開します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。