緋弾のアリアドス ver7.0 作:くものこ
※この作品はアリアドスを全力で推したい作者の自己満足で作られています。
「先に一撃決めたやつの勝ちだ」
黒い服装の上に、ジャラジャラとした飾りを身につけた男がそう告げた。白く染められた髪、縁の黄色いサングラス。睨むような目付きは、どこか気怠さを見せている。それでも彼の言葉には言いようのない力が込められていて、それを耳にした俺の体は若干の強張りをみせる。
血のような色のカーペットの上。壁にはペンキによる汚い落書きの数々。いかがわしいこの屋敷で、俺は一匹のモンスターと対峙している。
全身を覆った硬そうな甲殻。八本ある足は、そのうちの四本だけが異常に発達している。地に立つ足として二本、攻撃用の鋭利な鉤爪をつけたものが二本。あんなので引き裂かれたらと思うと、背筋がゾッとする。タダではすまないだろう。
しかし問題はないはずだ。今までやつの動きを見た感じだと、素早さはこちらと同等。先に一撃決めた方が勝つのならば、勝機はある。
こちらには奥の手がある。先に一撃決めた方の勝ちならば、これを使えば余裕の勝利である。
「やれ」
男が指示を出した瞬間、目の前のモンスターが動いた。同時に、俺も動き出す。
攻撃技がくるのは読めていた。だからこちらのコマンドは——"ふいうち"!
何も知らずに突っ込んでくるモンスターを見て、思わず口元がニヤつく。さて、どうしてやろうか。角で突き刺しても良し、顎で噛みちぎっても良し、糸で絡めて投げ飛ばしても良し。そうだな、毒のある脚で突くってのも良さそうだ。
攻撃の態勢に入る。十分に引きつけてからの、不意の一撃。これは避けられまい。
敵との距離がみるみる縮まる。俺が飛びかかろうとした、その時。
奇妙な現象が起きた。敵の体が一瞬のうちに加速する。やつが俺の真横を通り抜ける際、耳元で風が唸りを上げる。
何が起きたのか。それに気付く前に、途端に頭頂部に激痛が走る。そして次の瞬間には、視界にはただ天井が映るのみ。壊れかけのシャンデリアがゆらゆらと揺れている。
な、なんだ!? 何が起きたんだ?
「勝負はあったな」
男が呟き、ポケットからボールを二つ取り出す。それらを俺と敵モンスターに向けて投げつける。ボールは寸分違わず、俺に当たり——
瞼を閉じていると頭に浮かんできた映像。やけに鮮明で、少し気味が悪い。なんで俺はあんな化け物と対決していたのか。これが夢というやつなのか。
……ピン、ポーン……
「ん? なんだ?」
慎ましやかなチャイムの音に、閉じていた目を開ける。そして思い当たる。ああ、星伽白雪か、と。
俺は自分の座っている椅子から、部屋中を見回す。現在二人しか住人のいない四人部屋は実に広く、余裕をもって家具が設置されている。そんな家具のうちの一つ、ソファにはトランクス一枚で寝ている男が。
「あいつ、またそのまま寝たのかよ」
眠らなくても大丈夫、というか睡眠ができない俺とは体質が違うのに、そんなことしていると風邪をひくぞ。
溜息を一つ吐くと、椅子から立ち上がる。スウェットを脱ぎ、制服を着ると玄関へと向かう。
ドアを開けると、真正面に一人の女の子。
純白のブラウスに、臙脂色の襟とスカート。シミ一つない武偵高の制服を着て、漆塗りのコンパクトを片手に持った星伽白雪がそこにいた。艶のある黒髪、その前髪を何やらいじっておられる。
「あ、キン……じゃなくて、芦長君」
慌ててコンパクトをしまうと、星伽はぺこりと頭を下げる。
「キンジならまだ寝てるぞ」
「それなら起こしてあげないと! 学校に遅刻しちゃうよ!」
「あっ、ちょっと星伽!」
マシンガンのような早口でそう言い、星伽は俺の横を颯爽と通り抜ける。俺は急いで追いかける。
星伽白雪。どういうわけか、俺の同居人である遠山金次に恋している。キンジを愛している。キンジにぞっこんである。その程度はもはや病的であり、噂によるとキンジに近づこうとした女子は……いや、これ以上は語るまい。
その愛は重い。こうして毎日(俺が同居しているにもかかわらず)男子寮にやってきては、キンジの世話を焼く。毎朝毎晩である。まあ、一応ご飯のおこぼれは頂いているのだが、やはり気が休まらないのだ。
さて、それほどキンジを
しかし星伽はすでにリビングへと突入しかけている。だ、ダメだ! 間に合わない! くっ、何も考えずにドアを開けた俺の想像力が足りなかったか……!
「キンちゃん、朝ですよー」
「……白雪か」
「な、なんだ。キンジ、起きてたのか」
星伽に続いて部屋に入ると、眠たそうな目付きの男が制服を着てソファに腰掛けていた。黒い髪、中肉中背。どこにでもいそうな容姿だが、実はこういう奴に限って凄いやつだったりする。ほら、星伽も惚れてるくらいだし。俺なんて赤髪に紫色の目のくせして、並レベルの技能しか持っていないからな。……言ってて悲しすぎる。
星伽は持参した割烹着を着て掃除・洗濯を始める。手際よく、テキパキと家事をこなしていく姿はまるで主婦だ。さすが、通い妻。
「いつも悪いな、白雪」
「ううん、全部キンちゃん……と、あと芦長君、のためだから」
はにかみながら答えているところ悪いけど、その取って付けたように言うの、やめてくれませんかね。それがキンジへのアピールだというのはわかってるんだから。
「これ、朝ごはん。作ってきたの」
星伽が取り出したのは、三段重ねになった漆の重箱。中には朝食にしては豪華すぎる食品・料理の数々。朝からこれだけのものを作ってくるとは、星伽はいったいどういう生活を送っているんだ……?
「おう、サンキュな」
「はい、あーん」
キンジは嫌そうな顔をしながらも口を開け、そこに美味しそうな手作りの卵焼きがさしこまれる。
「どうかな……?」
「ん、うまい」
「良かったぁ」
なんだろう。ピンク色の空気が見えるのは気のせいなのか。……くそ、リア充じばくしろ。
「ごゆっくり」
キンジはいつもこんな感じだ。気づけばいつも女の子を侍らせている。なんだ、メロメロボディでも持っているのか、あのヤロー。
玄関から出て、鍵を閉める。この時間に出るとバスはない、か。今日は始業式だっていうのに、なんか災難である。まあいいや、ゆっくり自転車で行こう。
——この時の俺は思いもしなかった。世界を超えた戦いに巻き込まれてしまうなんて。
くものこです。この作品はタグにもあるとあり、筆者の前作『緋弾のアリアドス』のリメイクです。以下はリメイクに関する諸注意的な何かですので、前作読んでないという方は読まなくても問題ないと思います。
まず、ストーリー。あらすじでわかると思いますが、原形はとどめてません。でも仕方ないと思うんですよね。ほら、あんなポケモン(というか技)を出されたら、メインヒロインにするしかないと思うんですよ。
というわけで今回はメインヒロイン確定しています。たぶん原作キンジと似た感じのハーレム展開になるのではないでしょうか。前作で質問の多かった(気がする)原作ヒロインに関しては、数人いただく予定です。
前作に登場したキャラはほとんど(←ここ重要)出ません。お気に入りがいた方には申し訳ないですが、作者自身読み返してみて似たキャラばっかりだなーと思ってしまったので…。作者の力不足ですね、すみません。
最後に一言。グズマさん、アリアドスを使ってくれてありがとー!
……バトルツリー? 知らないですね。