鋼鉄の咆哮_WARSHIP RANGER   作:Bligh_Drunk

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正真正銘の初超兵器戦です。

それにしても、このレベルでこれ程の強さって後半大丈夫か?

大丈夫かどうか分からない。(優柔不断)


まぁ、性能差を考えれば多少はね?


A-10.勇猛なる巨兵

「情けない奴らだ、鋼鉄と違うとはいえこの俺に対し引きずり出すだけの攻撃も出来ないとは...」

 

 

 

水面を慌ただしく駆ける艦娘の艦隊を、下から余裕で見物する巨影は68cmの酸素魚雷をただただ適当に撃ち続ける。

 

事の詳細はこの巨大潜水艦と艦隊が戦闘になる前、潜水艦狩りに予想潜伏海域まで出てきていた巨大潜水艦を偶々艦隊が発見、新種の深海棲艦と勘違いして攻撃してしまったが故に敵とみなされてしまったと言うものだ。

 

知らなかったとはいえ不用意に手を出してしまったのが運の尽き、と言わんばかりに怒涛の酸素魚雷乱射をしてきた潜水艦に只ならぬものを感じた旗艦の五十鈴が鎮守府に連絡、草加からの助言に従い起死回生の策を信じてどうにか逃げ切りを狙っていた。

 

だが、潜水艦にもかかわらず相手の速力が艦隊の速力よりも速く、魚雷の回避もしなければいけない為に全然距離が開かない。

既に、艦隊は全員中破で何とか攻撃を耐えている状態だが、いつ落伍者が出てもおかしくはない。

 

巨大潜水艦はといえば、艦隊を追い詰めつつもその実力や性能を自ら測ろうとしていたのだが、性能はともかく実力に関しての評価が著しく低いものであった為に興醒めしていた。

 

「"あいつ"は俺相手に互角以上に戦えていたというのに、こんなものか?」

 

やはり、鋼鉄でなければ、という失意がある一方で、たとえ死ぬとしても最後まで戦い抜く、といった気概の無さに怒りを感じていた。

"彼等"の中でも特に自らの騎士道精神が強い彼は、勇ましさも崇高さも感じられない彼女達が気に食わなかった。

 

「茶番は終わりだ、最後の餞別をくれてやるか...」

 

そう言って、今も必死になって逃げ回る彼女達に通信をつなぐ。これから消え行く弱者に贈る最後の敬意だ。

そう、そもそもこの世界に俺達に敵う奴がいる訳が無いのだ。だからこそ、油断はしないまでも余裕ではあったのだ。

いる筈が無いと、思っていたのだ。

 

 

 

『貴艦隊に告ぐ、これがお前達の最後になるだろう、そろそろケリを付けさせてもらう。』

「なぁーんかすっごい変なこといってるんだけどー!?」

「テュランヌス・0という組織の巨大艦、貴方の名は、目的は一体なんですか?」

『唯の"狩り"さ。そして俺の名こそ、お前達が最後に聞く名だ。』

「さっきからすっごい上から目線なんだけど、何なのコイツ!? チョームカつく!」

「し、しれいかん...」

「気をしっかり持つんや! けど、これはもう駄目かもな。」

「くっそぉ、私がもっとちゃんとしてれば...」

『つくづく情けない奴らだ、兵器の癖にこの体たらくとは、鋼鉄の成り損ない共の方がまだマシだ。』

「なんですってぇ! 大体"鋼鉄"って何なのよ!」

『艦長にでも聞きな、いや提督だったか? まあ出来るはずがないが。そしてお別れだ、せめて倒される偉大な兵の名を知って逝け。我こそ、我が名は...ん!?』

 

 

 

突然奴の言葉が途切れた、何があったのか? 彼のレーダーに新たな反応があった。

駆逐艦のようだが、そいつは今まで観測したどの艦よりも速い! 70ktの速力で近づいてくる駆逐艦から通信が入る。

 

『大丈夫かっ!』

「その声っ! もしかして提督!?」

『間に合った様だな、良く耐え抜いた! そして、どうやら予想通りだなっ! 喰らえ!!!』

『ぬおぉぉぉっ!!!』

 

一気に戦域に入り込み、巨大潜水艦に近づいた1隻の駆逐艦は雨の如く対潜ロケットをばら撒く。巨大潜水艦がいた辺りの場所は、爆発の際に発生した気泡で何も見えなくなっていた。

 

(こっこれは、この感覚、まさか、まさか......)

 

 

 

 

 

「ようお前ら、まだ元気そうで何よりだ。」

「提督! 言ってた"策"ってもしかして、これぇ!?」

「もしかしなくてもだ。」

「しかし、司令は海軍経験は無かったのでは?」

「ついさっきだったんで俺もぶっつけ本番は正直不安があったが、なんとかこの通りだ。」

「この通りって... っていうか、その艦はどうして...」

「話は後だ。一刻も早くお前らはこの戦域から離脱して...」

 

『ゼェェェロォオオオオオォォォォォ!!!』

 

 

 

「!! 早くしろ!」

「で、でもっ!」

「何度も同じことを言わせるな!」

「っ! 全員離脱するわよ!」

「すまない... さて、お前は誰だ? 「ドレッドノート」の艦長!」

『知れたこと! 俺こそがっ! 「ドレッドノート」だ!』

「!? まさか、お前艦娘... いやあの男と同じなのか?」

『如何にも! 我々は、ヘッドによって生み出されし忠実なる兵。新たにテュランヌス・0の超兵器として蘇ったのだ!』

「"我々"? 既にお前以外の奴がいくつも? だとしたら、その戦力は...」

『貴様が思っているよりも、我等がヘッドは至極優秀だ。だが今はそんなことはどうでもいい! まさか、この世界でお前が出てくるとはなぁ!』

「俺を恨んでいるのか?」

『1度ならず2度までも敗北を喫し大海の藻屑と消えた惨めな記録、一時たりと忘れたことは無い!』

「ならどうする?」

『昔も今も変わりはしない! 再戦、互いの誇りと存在を賭けた「決闘」だ!!!』

「いいぜ、俺も聞きたいことがある。俺が勝ったなら、洗いざらい話してもらうぞ!」

 

 

 

「お前らを破壊するのが、俺の、鋼鉄の使命だ!」

「偉大なる我が冠された名に懸けて、ヘッドにお前の首を捧げる!」

 

『「全速前進っ!」』

 

 

 

 

―――超巨大潜水戦艦『ドレッドノート』接近!!!―――

♪C2.超兵器A

 

両者共に突っ込んでいく。正面から、馬鹿みたいに真っ直ぐに。魚雷を迎撃しつつ、対潜ロケットを浴びつつ、とにかく互いに急接近する。

交差、その瞬間にありったけの攻撃をかます。草加は80cmの酸素魚雷をモロに食らい、ドレッドノートは先程より多くの対潜ロケットを撃ち込まれた。

だがまだまだ余裕と言わんばかりに、今度は円移動をしながらミサイルも撃ち込んでいく。あの世界で何度となく繰り広げられて来た"海上のドッグファイト"。

草加は魚雷とミサイルを迎撃・回避し、ドレッドノートは深度・速度の変更と囮魚雷で巧みに攻撃をかわす。鋼鉄だけが到達できる、まさに未知の領域。

 

『お前っ! ・・・確かにあの時までのお前じゃないみたいだな!』

『どれだけ俺と言う存在が伝えられてきたと思っている! 時代が俺という存在を造り、その度に新たな戦術を確立していった... 今の、テュランヌスとしての俺が、最高の俺だ!』

 

 

 

異次元の戦いだ。他人から見れば、凄まじく長い時間に感じる。鋼鉄(プレイヤー)同士の戦いとは、こういうものなのだろう。

その戦闘を、遠くからではあるものの、戦域から逃れた彼女達も見ていた。

 

「あれが、提督なの?」

「ぜ、全然想像出来ないわ、優秀なのは分かってたけど...」

「司令に何が...」

「良く分からんけどほんとに凄いとしか言いようがないわ、あんなん。」

「しれいは、艦長だったんですか!?」

「良くわかんないけど、すごいすごーい! やっちゃえしれーい!」

 

そんなことを話していた、その間に動きがあった。

 

『うおぉぉあっ! 艦尾がまずい...』

 

度重なる右舷から艦尾にかけてのロケット集中砲火により、ドレッドノートはその尾に深刻な損害を受けていた。

ドレッドノート型の船体は艦橋や甲板はしっかり固められているが、唯一密度の薄くなる艦尾だけがどうしても脆くなる。

だからこそ、大半の攻撃は船体中央で受け、艦尾に損傷が蓄積していくのを防ぐ戦い方が必要になる。故に、正面からの戦闘をするのだ。

まあ、魚雷の射界を取り易いとかAIの性格が影響しているとかもあるが。

ともかく、この艦尾が破壊されれば影響は大きい。結局またしても、"真"の真っ向勝負にもつれ込むことになってしまった。

 

『やはり、貴様と戦ってこそ俺の名は一層引き立つと言うもの! 面白くなってきたぞ!』

『戦いを娯楽と考えている、お前らはやはりあってはならない存在だ! 今度こそ終わらせる、全て!』

『貴様もそうな筈だ、望みとあらばやってやろう。決着の時だ...!』

 

 

 

 

♪C2.超兵器B

 

ドレッドノートの反応が尚一層強くなる。草加の駆逐艦の対称位置に、膨大な水しぶきと共に巨影が姿を現す。草加はその姿に確信を持ち、それを見た彼女達は驚きを隠せずにはいられなかった。

 

デカいのだ、デカ過ぎる。潜水艦が対称位置にある駆逐艦とは比べ物にならないほどの大きさ、というかどう考えても標準的な戦艦以上の巨大さだ。

しかも、砲まで搭載している。あの大きさから察するに恐らく戦艦級、速力があり大量の魚雷・戦艦砲・ミサイルを備えた潜水艦、と考えると頭が痛くなると共に恐れを感じた。

 

普通に考えて、そんな艦があったら凄すぎる。実際に「M級」といった色物潜水艦はあったが、これ程までに完成された性能の艦は見たことがない。

鋼鉄からすれば下位に相当するものでも、現実という観点からみればとんでもないもののいい例だ。

 

『なんだ? もう諦めるのか?』

『さっさと終わらせたいんだろう、それに俺達に諦めるという行動プログラムは無い!』

『! うっこれはっ!』

 

それは正しく"密"の猛攻、全ての兵装をフル回転させたドレッドノートから放たれたおびただしい数の酸素魚雷だ。

38cmの砲も、ミサイルもあったが、それが一番すごいインパクトのデカさだった。何せ、レーダーに隙間も無いほど絶え間無く撃ち出されてくる、正に壁。

しかも、それに混ざって超音速酸素魚雷まで飛んできている。これが何とも曲者で、近距離で見てから回避はほぼ不可能、鋼鉄であっても対処に苦労する。

使う分には強力だが、使われるのは相当厄介、かくいう草加の艦にもそれはあるのだが...

 

『くそ、本当にあの時とは違う戦術だ、やりにくいにも程がある!』

 

目の前には、魚雷を連発しつつ潜航・浮上を繰り返すドレッドノートの姿があった。

ドレッドノートは、潜航状態から引きずり出したところにありったけの対艦兵装をぶち込む、という戦術が確立されていたのだが、今のドレッドノートは過去から数多の戦いを経て新たな戦術を生み出している。現時点でかなりの弾薬を消費した。当然だが、このまま持久戦にもつれ込めば弾薬数で優るあちらに分が有りまくり。

 

更に、運が悪いことに...

 

『ぐぁっ! やばいか!』

『機関損傷、4度目だな... もう応急修理も使えまい!』

 

度重なる超音速酸素魚雷の直撃で、草加は既に機関損傷の修理に応急修理を全て使い果たした。

もう2次災害を防ぐ術がない草加の艦はその影響を大きく受け速力が激減、かなりの危機に追いやられた。

 

『抜かったか!』

 

一か八か集中砲火を防ぎ切るしかない、そう考えたその時...

 

 

 

『ごぁっ!? 何だと?』

 

ドレッドノートの後方から爆発が起こった。艦尾が損傷したのだ。見るとそこには、さっきまで戦域を離脱していた筈のあいつがいるじゃないか!

 

『お、馬鹿おい! 何やってるんだ! 離れろぉ!』

「雪風は沈みません! 私達にも何か出来る筈です!」

 

よく見てみると、他の奴らもこっちに向かって来ている。あいつ等...

損傷した艦尾からさらに爆発が起こる、放たれた魚雷の致命傷(クリティカルヒット)でドレッドノートは船殻に深刻な損害を受けた。あの様子では、再度潜航をすることはもう不可能だ。

 

 

 

 

♪C2.暴走

 

『貴ぃ様ぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁ!!!』

 

だがこの行為が遂にドレッドノートの逆鱗に触れた。

戦線を離脱しておきながら不意な攻撃をしてきたのもあるが、仮にも神聖な()()に水を差すようなことをしたのが何より怒りの対象となった。

 

邪魔者を排除すべく、即艦首を180°回頭し魚雷に砲を撃ちまくる。

後ろを取った筈にもかかわらず、即座に真正面にとられたことに行動が遅れた艦隊はあっという間に全員大破状態にされてしまう。

が、この一瞬、他に気をとられた一瞬こそが、全ての命運を決めた。

 

『今しか無い! 間に合え!』

『なっ! 貴様もっ! うおおおおぉぉぉぉぉっ!』

 

唯の巨大戦艦と化したドレッドノートに残る全てを撃ち尽くす、それが奴の覚悟に対する裏切りであると分かっていながら。

激しい爆風が晴れた中にまだドレッドノートは残っていたが...

 

「! 敵艦、急速沈降していきます。あの損傷で潜航できるとは思えませんが...」

「逃げられたの? それとも...」

「・・・終わったか...」

 

直後、水中から大規模な爆発を確認、この世界において人類側最初の超兵器戦はかなりの被害を出しつつも何とか勝利することが出来た。

 

「忘れていた、あいつ等相手に如何なる油断もしちゃいけないってのを... 知らずしらずの内に、強弱を決め付けていたようだ。復帰戦にしては、予想以上にHARDなものになっちまったなぁ...」

「提督、色々有るけどとりあえず帰投しましょう。それから、全部説明してもらうわよ、ぜ・ん・ぶ!」

「ああ、そうだな。これからが大変だ。」

 

今後の俺達の、というか軍全体の方針を決めるであろう話し合いに備えて鎮守府に帰還する間に準備を進めておくことにした。

奴らの、俺のことを、彼等に伝えるために...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Shit head(クソッタレ)!!! ・・・・・・だが、まだ負けていない、負けてはいないぞ、ゼロ、次は必ず仕留める...!」

 

未だに大量の気泡で覆い隠された海中を1つの影が進む。先程まで搭乗していた()()とは遥かに小さい"本体"が海域を全力で離脱している。

今の状態の奴なら、無茶を通せば撃沈できる可能性が有るかも知れない。だが、現在の組織状況でそんなリスクは冒す必要は無い。ヘッドもそう考えるはずだ...

 

次こそは... 艦娘の様に、肉体と言える物を得てこの世界に造られた巨兵は気配を消して南極の基地へと後退していった。

 

 

 

戦慄の序曲、物語は始まったばかりだ...




やーっと一区切りついたもおおおぉぉぉん...

こんな感じで進んでいくわけですが、バリバリ改造された超兵器共が強スギィ!
インフレ化するのもまた、この手の小説の運命か...


後半のラッシュに備えて、早く艦隊の強化しなきゃ!(使命感)
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