鋼鉄の咆哮_WARSHIP RANGER 作:Bligh_Drunk
長らく音沙汰無しのままで申し訳ありません。
去年の山籠もり修行から始まり、年末年始の過密スケジュール、史上類を見ない(大袈裟)底辺モチベのためになかなかPCへ打ち込む気力が起きませんでした。
最近は、ようやくその辺りも落ち着いてきたのでボチボチ再開していこうと思いますが、不定期投稿になる恐れがありますので、その辺はご了承ください。
さーて、長話もこの辺にして、よっし! じゃあぶち込んでやるぜ!!
「成程、了解しました。すぐに戻ります。」
「まっ、待ってくれ! 助けてくれるんじゃないのか!?」
「残念だが、ヘッドはお前らのような輩を心底憎んでいる、特にな。」
西太平洋、南米大陸から沖合に出た辺りの海上。
そこには、米軍所属と思しき戦艦と、それを余裕で超える黒一色の所謂"ステルス艦"が居た。
「は、話が違う! 俺達はお前らの下につくと言ったんだぞ!」
「誰が頼んだ? 人間なんぞ、何の役にも立ちゃしない。手間は省けるに越したことはないだろ? あれはつまりそういうことだ。」
「わ、我々は、祖国さえも捨てて来たんだぞ!?」
・・・どうやらこの艦長、是が非でもテュランヌスへと亡命したいらしい。その一心で、国や軍内部の秘密さえも暴露すると言っている。
日々、深海棲艦達の恐怖に怯え続ける、そんな中に更なる脅威が現れた。こんな馬鹿な事を考える奴が1人,2人出てもおかしくは無い。
が、そんな与太話は何の意味も無いと部隊長は早くも56㎝砲のバズーカを男達に向ける。
そもそも、こうも簡単に勢力を鞍替えする輩など端から信用に値しない。
「貴様らの苦痛なんてものは心底生温い... その程度の覚悟でここまで来るとは、片腹痛いな。」
「なら、如何すればいいと言うのだ!?」
「一度死ねば、ヘッドの御心も少しは理解出来る筈だ。少しは、な...」
「そんなバカな事がっ! お願いだ、どんな事であろうと耐えて見せる!」
「分かった。」
すると何を思ったのか唐突に砲を仕舞い、"了承する"と言ったのだ。
唐突なことに呆気に取られているのを他所に、何故かそいつは艦の外へと出て行った。
海上に降り立ち、少し離れた所で元居た改アイオワ級に向き直ると...
「「「おぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」
右腕に付いたノズルから、艦を覆い尽くさんばかりの勢いで巨大な炎を放った。
乗艦していた者達は、漏れ無く全てが猛火の餌食になり焼死。
炎に晒され、各種弾薬に引火した改アイオワ級は阿鼻叫喚の地獄絵図を披露しながら派手な爆発と共に消えて行った。
「See you Again、来世があれば上手くやるんだな。・・・ソリスト、状況に変化は無いな?」
『異常はありません。他2人も同じのようです...』
「よし、この辺りでいいだろう。帰還命令が出た、そちらもいいな?」
『了解です。』
『了解...』
『了解、では各自合流し、帰還します。』
異様に静まり返った海域を後にし、そいつ等は何に気づかれることも無く霧の中へと姿を消した。
『始末は終わりました、今から帰還します。』
「ああ、分かった。」
基地屋外の連絡通路から外を見るアレスが、通路の鉄柵に寄りかかりながら言った。
顔自体には全く出ていないが、彼の雰囲気から機嫌があまり良くないのは大鳳にははっきり分かった。
「ドレッドノートに続きヴィルベルヴィントまで... やはり、伝説の英雄様は一筋縄ではいかないな。」
「それ程に凄いんですか? ゼロと言う人は...」
「そりゃそうだ。何十もの超兵器を破壊してきた男、お前じゃまず敵いはしない。」
あれだけの性能を秘めた怪物を何十と? それだけの事実で軽く戦慄したが、アレスはそんなこと露知らず。
「だが、ヴィルベルヴィントは良い働きをした。データを提供したゼロには感謝しないとな。」
こちらも損害は出たものの、艦娘の詳しい戦闘データに鋼鉄の兵装の使用と興味深い情報が得られたのは、幸いだったか。
「は、はぁ... ところで、それは一体何ですか?」
諸々気になることもあったが、大鳳はさっきから1番気になっていた"ある物"について聞いた。
手に持つそれは、見た目自体は缶コーヒーのようにも見えるのだが...
「・・・『カカオブラック』だ、そらっ。」
「わっ!? っと...」
何処からともなく出して渡してきたそれをまじまじと見る。缶には特に何か描かれている訳でもなく、ただの「黒い缶」といった感じだった。
「あの、ヘッドは飲食の必要は無いのでは?」
「それはそうだ。まあ、これは前世からの"習慣"みたいなもんだ。」
「はぁ... うっ、苦っ!?」
初めて口にした100%カカオの味は、コーヒーよりも圧倒的な苦さだった。
それ故に、完全な素を出してしまう失態を晒してしまったが、アレスはまったくと言っていいほど触れることなくそのまま流した。
「ふっ... さて、しっかりお膳立てはしてやった。少しは俺の役に立ってくれよ? ・・・・・・っあああぁぁぁッ!! 苦ぇなぁ...」
そう言いながら飲み干した缶を手で押し潰し、霧の中で遠く北方の海を見ていた。
彼が思い描く結果が舞い込んでくるか、そんな予想をしながら...
北方方面にある前線泊地、大湊基地と共に激戦地『アルフォンシーノ』海域と北極海方面の完全攻略と防衛を目的として存在する。
南極方面と同様に凄まじい深海棲艦の猛攻が集中するここは、必然的に危険性が非常に高い場所で並の提督諸氏が配備されることはないが、"ここ"の場合は少し事情が違う。
「愚炉総司令ッ!! 北極海に確認されていた主戦力の約40%が、こちらに向けて進攻してきますっ!!」
「何だとっ!? 糞っ!! あの忌々しい"横須賀の"監視さえいなければ、こんなとことっくに...!」
「ど、どうすればっ!?」
「ええい!! 狼狽えるな!!! 今更、何をしようがもう遅い!!」
「しかし!!」
彼らは訳あり... 何てモンじゃない。彼らは、ここに縛り付けられた"囚人"。そう、"ここ"は1種の「監獄」と言える場所だった。
今尚、この世界情勢にあっても権力を手にしたことで問題を起こす輩は後を絶たない。それは艦娘達の提督とて例外ではないのだ。
だが、そういった輩の中には普通に実力のある者がいるのも事実... 故にそう言った奴らの処遇を検討した結果、上層部は"ここ"を造った。
"ここ"は、そんな厄介者共が一堂に左遷されてくる、通称"ゴミ捨て場"。上層部の思惑が渦巻く、最もヤバい危険地帯である。
先の横須賀の監視とは、横須賀鎮守府所属でこの泊地に紛れ込んでいる艦娘のことである。
彼らには普通に艦娘達戦力が配備されているが、艦娘とは基本的に提督の命を拒否できない為、またよからぬ事をしでかす者が出ないとも限らない。
その為に彼女達が眼となって彼らを見張り、必要とあらば排除するようになっている。
また、提督達が共謀したり逃走を計ろうとしても始末するように命を受けている為、彼女達がいる限り泊地から逃げ出すことさえ出来ないのだ。
故に、彼らにとってここ最大の絶望が来たとあって騒然としていたのだ。
しかし、彼らもただ何もせず転んで起き上がるつもりは毛頭無いらしく...
「・・・だが、これは逆に我々の地位を取り戻す絶好のチャンスだ...!」
「総司令、まさか...」
「全ての奴らに連絡しろ! 戦力を一挙に集結させろ!! ここで敵を全滅させ戦果を挙げれば、我々も晴れて"ここ"ともおさらばだっ!!!」
「!! そ、そうですね... どうせ逃げられないんなら、やられる前にやってやる!!」
「深海棲艦共め... 目に物見せてくれるっ!!」
こういった名声に釣られたが故に無謀な戦闘を考える奴も多く出てきた。そう、全ては再び本土へと返り咲く為。
しかし、彼らは現状の深刻さを全く理解していなかった。一大作戦とは比べ物にならない程の戦力が、この北方戦線に向かっているということを...
「ユケッ!! 何トシテモ、敵ヲ逃ガスナ!!!」
一方で、こちらは件の北極駐留艦隊の一部。水母棲姫を筆頭に『鬼』が複数、eliteクラス以上の通常戦力を大量に引き連れ本土に向けて移動していた。
だが、彼女達は攻勢に出たわけではなかった。かなりの焦燥からきていた行動だったのだ。
それは、今から数時間前に起こった事態が関係していた。
南極と並び巨大な戦力を有する北極駐留艦隊は、前線最奥地のアルフォンシーノ海域に陣取っていた北方棲姫がまとめている。
しかし、以前の大規模戦以降も度々攻略艦隊による進攻が続き戦力を維持できなくなったこと、時を同じくして南方棲戦姫が戦線を後退したことが起因となり、彼女達は北極中心地に退避していた。
その彼女が、今回の問題の1つとなっている。
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「準備できました。いつでも行けます。」
『よし、目標は北極のド真ん中だ。手筈通りにやれよ。』
「了解、さぁ、久々にやるわよ! 全航空隊、出撃ッ!!」
北極海入口に差し当たる位置にて、暗躍する幾つかの影が動く。テュランヌス・0の工作部隊である。
大鳳・トラッカー・ソリスト・ネビュラとヲーヴァー・ヌーク・ツイスト・ニューの2部隊編成によるものだ。
彼女達は北極中心部にいる標的、すなわち"北方棲姫"に対する攻撃を敢行しようとしているのだ。
しかし、何故かその攻撃に差し当たって使用する航空機が『烈風』,『流星』といった旧式機なのである。
もちろん、性能自体はこの世界におけるいわゆるネームド機並みの物である為、使えないことはない。
だが、既に新世代機が開発可能になっているというのにわざわざ使う必要性は皆無なのだ。
旧式機を使うことにこそ、アレスの策略があったのだ。
≪敵機襲来! 敵機襲来!!≫
≪馬鹿ナ、一体ドウヤッテ探知サレズニコレダケノ数ヲ!?≫
≪撃チ落トセッ!! 近クニ空母ガイル筈ダ!!!≫
北極駐留艦隊は、どこからともなく現れたように見えた航空機群の対処が追いつかなかった。
ツ級型の対空砲火すら軽々とかわし、戦闘機も上げた傍から落とされていく...
『烈風』十数機に対しここまで撃墜数を伸ばせたのは、攻撃機と爆撃機に"57㎜バルカン砲"が換装されていたからである。
勢いに任せてガンガン敵中を突破して来た特攻部隊は、とうとう北方棲姫を目標に定めた。
『クッ...! カエレッ!!!』
彼女達は、あらゆる手を尽くした。相手がテュランヌスでなければ、確実に全てを落とせていた。
が、その抵抗も虚しく取り巻きの要塞群を撃ち落として突破して来た彗星部隊により、一気に崩壊寸前にまで追い込まれた。
深海棲艦の中で断トツで特異な『姫』に対しこれ程までの損害を出した、深海棲艦達にとってはそれだけでも脅威と感じるには充分だっただろう。しかも、ここにいたのは紛れも無く真の"オリジナル"の北方棲姫であった為、影響力も一段と大きかったのだ。
ところが、あと一歩で破壊出来るところまできて航空機隊はまるでやる事を終えたかのように止めも刺さずに離脱していく...
さて、ここで重要になってくるのは、この場合に深海棲艦共が考えることは何か? ・・・だ。
人類は『姫』をあれ程に追い込める武器の量産に成功している...? 或いは、あれこそそのオリジナル...?
いずれにせよ、アレを野放しにしていては脅威となる。この機を逃さず、奴らとその母艦を排除せねば!! そうして追って来るだろう... と、いうように考えられる。
そうしたら、後は首謀者の駒達が北極艦隊が例の航空隊に注意が向いている隙にまんまと離脱する。
そもそも、あの航空機は初めから回収する気は全くない。北方基地方面へ移動し、奴らの目が届かなくなったところで機体ごと海に落とし再使用できないようにと痕跡消しを兼ねて搭載した爆弾で完全に吹き飛ばす。
機体が確認できなくなったことで、深海棲艦は既に母艦が機体を回収して海域を離脱したものだと勘違いする。
こうしてアレスの思惑通り、これまでの流れに行き着くことになったのだ。
そして時は戻り、大挙して攻めてくる深海棲艦隊と迎え撃つ北方防衛艦隊の対立に至る、まさに予想通りの展開となっていた。
既に戦線は深海棲艦隊の優勢で押し進み、北方泊地に存在していた戦力は損害が増える一方だった。
「撃てぇ!! くそっ、キリが無い...」
「コノ場所デ、ソノ命散ラシテイケ!!」
北極駐留艦隊の猛威は凄まじく、あっという間に前線は3度も後退した。
最早、泊地の維持すら危うくなるレベルにまで達しようとしていたのだ。
「総司令! まずいです!! また前線が下がりましたぁ!? これ以上は危険です!!!」
「ええい!! そんなことは分かっている!!! だが、ここで勝てなければどうせ我々は終わりだっ! 全戦力を出せっ!! 使えるモンは全て使うんだ!!!」
「り、了解っ!!」
(まだだ... 元帥の最高地位に至るまでは、絶対に死なんぞぉ!!!)
この大規模反攻戦は、双方共に激戦の末におびただしい数の戦力消失を余儀なくされた。両者にとっては"悪夢"と言える結果だろう。
北方泊地は本土からの精鋭部隊で構成された援軍の到着により占領は免れたものの、保有戦力はその半数以上が轟沈,提督達に至ってはそこにいた全員が死亡した。
多大なる艦娘達の消失は、流石の本営部にも動揺を与えた。これ程の損害は、かつてのAL/MI作戦以来のことだったからだ。
かくして、この突如として起こった最悪の突発戦線は大小共に多くの影響をもたらす結果となったのだった...
今更ながら思い返せば、主役の出番少なくねっ!?
ま、まあこう出てくるキャラが多いものだとどうしても影が薄くなってしまう現象は今に始まったことじゃないし、多少はね?(大汗)
今はまだ立て籠もり期間だから、もう少し待っちくりぃ~