2017/10/22 投稿
雄英高校に入学した二人。
新設のテスター専攻で入学したのは出久一人であった。
同じサポート科のクラスメイトとも、カリキュラムが違うため場合によっては別授業となるとあっては、今後の交友関係の構築に不安があった出久であったが……
「明ちゃん。サポート科って、濃い人ばかりだね」
「え、そうですか? 普通の人たちだったじゃないですか」
そりゃ、君からしたらね。
心の中でそう返事をしつつ、出久はため息を吐く。
サポート科のクラスメイトは出久がテスターとして作ったアイテムを試してくれると聞き、何人も話をしに来たのだった。
純粋に将来自分のアイテムを使ってもらうだろうと挨拶に来たのは少数で、残りはモルモットになってくれるよね! などと物騒なことを告げに来るのが半分。もう残り半分は大事な自作アイテムを任せられるのか喧嘩腰で話しかけに来た。
入学してボッチということはなさそうだが、この先が思いやられそうである。
まぁ、出久のこれまでのアイテムを使って切り抜けてきた鉄火場の体験談を語るだけでかなり仲良くなれた人が多かったのは幸いか。
「そんなことより、出久さん! サポート企業から今度届くアイテムのデータがもうあるそうですね!! 是非、見せてくれませんか、見せてください、見せて!!!」
「え、ええと、守秘義務とか機密とかあったら大変だからちょっと見せてもいいか確認してからでいいかな?」
「それなら大丈夫です! もう伊藤さんには許可はもらってます!!」
「そ、そうなんだ。準備がいいんだね」
すごいな、この行動派オタク……
などと、自分のことを棚に上げた感想を持った出久。オールマイトが関わるものなら出久も似たようなものなのであるが。
うーん、似た者同士である。
ちなみにデータであるが、誰に見せても問題ないようなものしか送られてきていない。
冷静に考えれば、一学生に送るデータにそんな機密みたいなデータはのせやしないのだけれど。
急かす発目の声を隣で聞きながら、カバンから武骨でメタリックなデザインのタブレットを取り出す出久。
このタブレットに先ほどのデータが入っているのだが、このタブレットも実は企業からの試供品だったりする。
商品名『T800タブレット』。OSは『ジェニシス』という独自開発したものが使われている。
起動すれば画面には社名の『CYBERDYNE』と三角形のロゴが映し出されてロック画面へ。
暗証番号を入力してデータの入ったフォルダを開けてみれば、そこにはズラリと並ぶ製品の名前があった。
「おお! すごいですね。日本の企業だけでなく海外資本の企業もありますよ!」
「うわあ、こんなに……全部、試さないとダメかな?」
憧れの企業の名前が並ぶのを見てテンションの上がる発目と、これから多くのアイテムを試しに使ってレポートしなければならない未来を考えてゲンナリする出久。
二人の反応は両極端ではあったが、どちらにせよ確認しないことには始まらない。
「まずは……どこから見ていこうか?」
「日本企業からでいいのでは? ヒーローの本場のアメリカの企業や海外の企業は楽しみに後にしましょう!」
どこから見ていくかは発目の案で日本企業から見ていくことに。
さっと確認していくといくつか出久の好みに合いそうなものを見つけた。
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ
「これくらいのものなら普段の生活でも使えそうだね。僕個人としてほしいかもしれない。特に相手を拘束できてしかも手軽に持ち運べるのが魅力だな。でも、よく見たら使うタイミングには気をつけないといけないかも。“超風社”の『雷弾』は便利そうだけど周りに電気製品があったり自分も感電しそうなところだと気をつけないと。それにビンだから持ち運びにも気を使う必要があるな。“光子力研究所”の『光子力バリアー』はSFチックだ。難点はすぐに割れるってあったけど、それでも一時的にでも攻撃を防げるなら有効かもしれない。問題はその強度がどれくらいかなんだけど、ここはやっぱり試してみるしかないか。“SBR社”の『ミートスプレー』と“東雲研究所”の『強力のり』はどちらも拘束に使えそうなアイテムだけど、両方欠点というか特徴があるから使い分けが必要だね。とりあえず、どのくらいの効果があるのかデータが欲しいけどそれも僕が自分で調べないといけないのかな? 届いたらデータもあるか? あとで確認しないと……」
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ
「――出久さん! 戻ってきてください、出久さーん!」
「あ、ごめんね。つい癖で」
アイテム考察モードになってしまい、ブツブツとつぶやき続ける出久を止める発目。
さすが普段からアイテムを使っているだけのことはある。
ところで、出久さん。君が考察しているアイテムは一般の人は“普段の生活”では使いませんよ?
一方で今まで使ったことのないようなアイテムやどう使うか分からない物も。
『カイザフォン』“スマートブレイン社”
回転開閉式の携帯電話(ガラケー)型アイテムのカイザフォンにコードを入力してENTERキーを押し斜めに回転させることでレーザー銃に変わります。単発モードは103。連射モードは106です。
「これは……威力が分からないと使いづらいかも」
「ですね~。下手に撃って相手が死亡とか笑えないですね」
『メロンディフェンダー』“ユグドラシル・コーポレーション”
マスクメロンがモチーフの大盾。先は刃物になっているため攻撃も可能。
「大きすぎて使いづらいなぁ。てか、なんでメロン?」
「さあ? 開発者の趣味じゃないですか?」
『GENERATION-3』“S.I.C(Super Imagenative Company)”
強化外筋骨格、いうなればパワードスーツ。装着することによりパワーアシストと防御力の大幅な向上が見込めます。ただしバッテリー駆動の為長時間の活動には向かず、メンテナンスベースとなる専用トレーラーを同行させることが必要となります。
「パワードスーツ!? すごい、そんなものがあるんですか!? がぜん、気になります!」
「専用トレーラーって、学校に来るの?」
「さあ? どうなんでしょう?」
一学生に送って試すものじゃないよね。
などなど、といった具合に、ちょっと学生に使わせていいのか分からないものがあったりする。
なかには“㈱有澤”が送ってくる予定の『HAND KNON』には「銃刀法違反でヤバい」と説明があり、いろいろ駄目である。
そもそも、スペックを確認すれば、重量は10㎏を超えており、弾頭・弾殻・使用火薬も威力マシマシと人類には扱えそうにない代物である。
パーフェクト(にアウト)だ。
てか銃器を作ってるって、本当に日本の企業なんだろうか?
「あと、なんでこれって、送られてくるんだろう?」
「明らかに主旨を間違えてますね!」
二人がツッコむのはこの製品。
『全自動タマゴ割り機』“T○shiba”
名前の通り卵を割ってくれる機械。これを使えばヒーロー活動中でも卵を食べることが可能である。なお、手で割ったほうが早いとは言ってはいけない。キャッチコピーは「あっと驚く主婦の味方」。いずれこの商品はサポートアイテムの枠を越えて一家に一台の家電となるだろう。姉妹品の「グルグルダシトール」も好評発売中。
家電製品を無理やりサポートアイテムだと言い張っているようなこの製品。
何がしたかったのかは分かるが、どうしてそこまでする必要があるのか分からない製品である。
『プロトマイティアクションX』“幻夢コーポレーション”
あの伝説のアクションゲームのプロトタイプです! プレイした感想を教えてください!
「え、ゲーム?」
「テスターって、たしかにそうですけど……」
『会長の手作りケーキ』“鴻上ファウンデーション”
入学おめでとう、緑谷出久くん! 高校生緑谷出久の誕生だ! ハッピーバースデー!!
「これ、ただのお祝いだよ!?」
「ええ。すごいおいしかったですよ」
「え?」
「はい?」
「……まあいっか」
日本の企業だけでもいろいろとツッコミどころ満載である。
さて、ヒーローの本場であるアメリカをはじめとした海外企業のアイテムはどうなるのだろうか。
アイデアをくれたみなさん、ありがとうございます。
活動報告で今後の投稿予定を公開してます。
良かったら見てください。