笑顔が誰にだって出来るって本当ですか   作:コリブリ

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渋谷凛のウワサ
最近もしかしたらと気になっていることがあるらしい


第10話 おとぎ話に囚われて

 卯月のレッスン見学から数日後、場所は美城の執務室、厳しい眼で視線を交差させる二人がいた。

 

「その問いには答えられないと言ったはずだがな、渋谷凛」

「そう、ですか……失礼しました」

 

 頑なな姿勢を崩さない美城に、凛が先に折れ部屋を出ていく。

 

(随分と、ウワサが出回ってしまったようだ)

 

 美城は目頭を揉みたい衝動に駆られるがアイシャドウが邪魔をする。卯月のことを調べるものが随分と増えていることからも、あのレッスンでの一件がきっかけとなっていることは明らかだった。美城をしてゴシップとは縁遠いはずの凛が動いているという事実は少なからず衝撃を受けていたが。

 だが必要なことだったのだ。卯月が安全に他のアイドルと交流を持てる機会は早々にない。茜との出会いで持った熱が冷めぬうち、次の刺激を取り入れるタイミングは先日しかなかったのだと美城は判断している。

 荒療治ではあっただろうが、美城は思惑通り卯月に文香とありすのフォローをさせ多少なりとも自信をつけさせた。そのためにあえて文香とありすをトライアドプリムスのバックダンサーに選出していたのだから。もちろんその五名なら最終的には上手くライブを成功させるであろう前提あってこそだが。

 そしてクローネの面々もそれに触発されるようレッスンへの取り組み度合いが上がる。美城が抱えるアイドルたちへのアプローチとしては上々だったが、卯月が上手くやりすぎてしまったためか、いらぬ問題もあわせてついてきていたのは誤算である。

 

 美城はパソコンのディスプレイに表示される文書を眺めコーヒーを手にする。そこにあるのは卯月のアイドルとしてのデータだ。ダンスやボーカル、ビジュアルといったアイドルとして必要な要素が数値化されていた。

 ダンスの数値こそ他のアイドルと比べれば飛びぬけているが、ボーカルは平均値、ビジュアル――アイドルとしての魅せ方、魅力といった部分については標準値を下回っており、美城の卯月プロデュースにおける今後の課題となっている。

 アイドルを始めた当初の笑顔があればビジュアルは平均に収まらなかったはずなのだが、その部分については気長に――といっても年スパンでは考えていられないが――やるしかなく、メンタルのケアさえ上手く回れば取り戻せる、取り戻させると、いつも首を弄っている能面な男の顔をコーヒーカップの中に思い浮かべ飲み干した美城。むしろ笑顔が必要なのはあの男なのではないかと無駄に罵るが聞くものはいない。

 残るボーカルの部分、ここさえ鍛えてしまえば卯月がステージに立つ日は近い、近いのだがそこが難しいのだ。現在に至るまでマスタークラスのトレーナーによるボイストレーニングを行っており、346プロに所属した当初に比べれば成長しているのは当然で、346プロのアイドル基準で並み……つまりステージに立つ最低基準値には達している。

 しかし笑顔がない卯月にとって武器はダンスとボーカルのみ。そう考えると、ボーカルもハイレベルなものを習得しなければ他ならぬ美城からオーケーは出せない。

 

(しかし現状頭打ち……島村の気質からして、ともにレッスンを行えるトレーナーとは違う近しい存在……他のアイドルとレッスンを行えれば、先に進む可能性はあるが……)

 

 そのために卯月のレッスン見学を行った面があったのだが、相方として選出するアイドルが決まらないのが問題であった。

 美城は幾人か候補を出していた。仲のよいらしい日野茜、クローネの中でも比較的落ち着いている速水奏、並びに渋谷凛、シンデレラプロジェクトのリーダー的側面を担ったらしい新田美波。

 いずれも卯月のメンタル面を最重要として選出された面々であるが、まず日野茜に関してはボーカルで魅せるタイプではないため却下、渋谷凛ならば歳も近く上手く導ける可能性があったのだが先ほどのやり取りから並々ならぬ興味を卯月へ抱いているようで却下、そうなると速水奏か新田美波……ならばシンデレラプロジェクトよりは自身がプロデュースするプロジェクトクローネのほうがよいと速水奏が第一候補として挙がっているのだが、それとなく新人アイドルの面倒を見ないかと聞いたところ他人に教えるよりも今は自分を優先したいと言われてしまえば無理強いをしようとは考えなかった美城。嫌々やらせてもしょうがない部分が大きいというのもある。

 第一条件に卯月のメンタルケアが来るのだ、興味がないものを選出してもいい結果にはならない、ならばやる気がありそうな日野茜に任せたほうがいいだろう。

 

「もしもの時は日野茜に……いや、やはりボーカルという面で見れば…………ん、入りたまえ」

 

 美城はドアをノックする音で漏れ出ていた独り言を中断し、外にいるであろう人物へ入るように促す。開かれたドアから入ってきたのは予想外の人物であった。

 

「高垣楓か、何の用だ?」

「少しお話したいことがありまして」

 

 美城と高垣楓、この二人は以前に決定的な仲違いと言える出来事があった。美城はトップアイドルである楓をリーダーに添えプロジェクトクローネを推し進めるはずだったが、美城の斬り捨てるようなやり方を許容できなかった楓は彼女の誘いを蹴っているのだ。それからはお互いにノータッチ……触れないように努めてきた節がある。今になって美城を訪ねてくる理由など、わかりはしない。

 

「君から話とはな。クローネの席はまだ空いているが?」

「今日お伺いさせていただいたのはそちらではなく……卯月ちゃんのほうですね」

 

 どこでその話をと言葉にはせず、片目を吊り上げて楓を見据える美城。確かに卯月についてはウワサになっているだろうが、名前やその他経歴に関してはトレーナーにも一部プロデューサーにも箝口令を敷いているのだ、漏れ出る可能性がゼロではないとはいえ名前を聞いただけでわざわざ美城を訪ねたりはしないだろう。

 

「まさかとは思うが、君もウワサ好きの類なのか」

「いえ、彼女たちが気にするよりもずっと前、一年ほど前でしょうか……ここで見つけたのはたまたまでしたが」

 

 美城は楓と卯月の共通項を頭で洗いだし、一つだけ繋ぐ線があることに至る。

 

「あの規模としては小さい箱か……」

 

 それは楓が美城の話を蹴った理由ともいえる場所。

 

 楓がモデルからアイドルに転向し、デビューライブを行った雑居ビルの上階にあるステージ。彼女にとってその場所はアイドルの始まりであり、トップアイドルとなった今でも定期的にミニライブを行っているほど思い入れの強いステージ。

 奇しくも卯月がデビューライブを行った場所と同じであった。

 

「粗末な小屋、とは言わないのですね」

「…………」

 

 美城が楓から事実上の対立を言い渡された時に言い放った言葉を突きつけられれば美城は押し黙るしかない。

 当時はなぜそのような小さなことにこだわるのかと怒りよりも先に不可解の念が強く湧いていた美城だが、武内との対立、シンデレラプロジェクトによる成果を経て、楓が言うところのファンとともに歩むの意味を許容はできずとも理解はした。

 煌びやかなお城ではなく、下町の小さな家を大事に思うものたちがいる。

 先に礼を失したのは美城であるが、あの時の言葉を取り下げはしない。プロデュースする側がアイドルの顔色を窺い続ければ主体が移ってしまう、それでは企業として成り立たないのだ。とはいえ重ねてなじればそれは子供のだだこねでしかなく、そもそも自らがプロデュースする卯月をも貶めることとなる。

 ゆえに美城は返す言葉がなく、楓を見据えることしかできなかった。そんな彼女の姿を見かえす楓は何を感じ取ったか柔らかな笑顔を向ける。

 

「卯月ちゃんのステージは何度も見ています。最初のうちはどのステージでも楽しそうに笑っていて、私もついつい一緒になって笑ってしまうほど、素敵な笑顔だったんです。ですが途中から表情は曇り、それ以降は見かけませんでした」

 

 卯月は笑顔が陰りファンが減っていったことでそのステージでの仕事が取れなくなってしまったのだ。もし、もう少しでもその場所でライブを続けられていたのなら、楓はきっと無理を押してでも手を差し伸べていた。他事務所のアイドルだとかそんなことはどうでもよくて、たった一人の女の子の笑顔を取り戻させるために。

 

「今のあの子に手を貸し、引っ張っているのは専務……あなたでは?」

 

 それは楓ができなかったこと。彼女に後悔の念はあれど、手を差し伸べる機会は訪れなかった、はずだった。

 

「確信を得ているからここに来ているのだろうに」

「ふふっ。いえいえ、私も確信とまでは……ただ、プロデューサーのどなたに聞いても知らないか、口をつぐんでいましたので、必然的にそんな指示を出せるのは美城さんだけです」

 

 美城はそれを確信というのだとは言わない。楓の真意は掴んだ、しかしそれを汲むかと聞かれればすぐに首を縦には振れない。

 知りたいは真意ではなく覚悟。

 

「もし島村に関わりたいというのならば、プロジェクトクローネに参加することが条件――」

「いいですよ」

「――だ」

 

 食い気味に放たれた楓の言葉は美城の言葉を一刀両断した。

 

「……いいのか。少なくとも、今持っているレギュラー番組や定期ライブのいくつかは方向性にそぐわないゆえに切るぞ」

 

 楓は事前に何ができなくなるのか、何をしなければならないのか、そんなことは些末でしかないと言外に言い切ったのだ。

 美城からすれば、彼女は今まで頑なだった部分を曲げあまつさえ一度蹴ったプロジェクトクローネに参加表明をだすことは、もはや理解不能だった。

 

「構いません。その代わり卯月ちゃんの全部を教えてください。彼女に呪いをかけた人は誰なのか、どんな道を辿ったのか、それと……専務との出会いを」

 

 交換条件というには緩いどころか、卯月と関わろうとするのならばもとより説明すべき部分でしかない。美城と卯月の出会いに関しては別だが、それでも楓にとって捨てさせられるものの比重が勝ちすぎる。

 

「まあ、いいだろう」

 

 美城は端的に事実だけを語る。卯月が所属していた零細プロダクションの顛末を、そこで奪われた笑顔のことを、美城との出会いを、そして346プロに所属してからの今を。

 楓は静かに聞いている、いや、感じている。卯月が辿った道を、何を感じて、何を奪われ、何を得たのかを。

 時間にすれば五分、美城に語らせた卯月の一年は淡々としていたが、何があったのかを知るには十分な時間だ。

 

「やはり、私の考えは間違っていないようですね」

「君の考えとはなんだ?」

 

 聞き終えた楓は吐息とともに緊張を吐き出した。真意も覚悟も見せた彼女の更なる考えとは、美城には見当がつかない。あるとすれば卯月が笑顔を失った経緯についてだろうが、774プロが倒産した経緯を追えばすぐにわかる程度のことだ。もちろん事前に島村卯月というパーソナルを知っていることが前提だが。

 

 間をおいて楓が浮かべた優しそうな笑顔は卯月を思ってではなく美城を見つめているのだとは、彼女からしてわかるはずもない。

 

「今の専務にならついて行ってもいいと思えます」

 

 楓がふいに紡いだ言葉は元々静かな美城の執務室を更なる静寂で包む。話しかけられたはずの美城が口元を抑え頬骨を手のひらで覆い懐疑的な視線を彼女に向けて一言も発さないからだ。

 美城がもしや馬鹿にされているのかと突飛な方向に思考がいくのは過去の出来事が大きな枷となっているためである。武内と直接的に対立していた折、彼ですら美城の目指す場所は平行線という言葉を否定しなかった、しかし楓に関していえば平行線どころか真逆をいくのだ。それはプロデューサー同士ではなく、プロデューサーとアイドルという立場だからこその対立で、武内とはまた違う。

 美城は結局理解に及ばず、一旦疑問を横へ置き話を進める事にした。

 

「……今の君の言動を理解するには時間が必要だがまず一つ、前言を撤回する。プロジェクトクローネに参加する必要はない、今更という側面もあるが、それよりも大きな仕事を君に任せたい」

 

 美城は元々楓の覚悟を見るためにプロジェクトクローネへの参加を条件にしただけであり、本気で参加させようなどとは考えていない。そもそも卯月を含めた新プロジェクトを立ち上げようとしている今、クローネに参加させるくらいなら新規プロジェクトへ組み込んだほうがやりやすいのだ。

 

「あら……ふふふ、やっぱり、間違っていませんでした」

 

 他人を見る目は培われていても、自らを評することは難しい。美城は自分自身の考えが少しずつではあるが変わってきていることに気づけていない。卯月と接する時のような気やすさこそ楓には向けられないが、彼女はしっかりと感じ取っているようだ。

 

「クローネに参加しないとはいえ、いくつかの仕事を諦めてもらうのは決定事項だ」

「はい、覚悟の上ですよ」

 

 美城はやはり解せない。今の美城の言動から大切なものであるはずの、始まりのステージから外される可能性すら臭っているはずなのにと。

 

「……今ある仕事は据え置きで、新規の仕事を減らす方向で進めてもらう」

「ではあのステージにはまだ立てるのですね……いつか、卯月ちゃんと一緒に歌いましょう。それと随分と難しい顔をされているようですが、どうしました?」

「今の君の言葉から大切なはずのステージすら降ろされることを覚悟していたように聞こえる。なぜそこまでして島村に関わろうとする」

 

 それは純粋な疑問だった。楓は普段から飄々としており掴みづらい部分があるものの、美城からすればここまで卯月に入れ込む理由がわからなかった。

 

「簡単な事です。私もただ一人の、卯月ちゃんの笑顔のファンってだけなんです」

 

(……あの高垣楓にここまで言わせたのが島村卯月という底辺をさまよっていた少女とはな)

 

 美城がもしその考えを言葉に出していたのなら、アイドルの真価とは直接見なければわからないものだと楓は諭しただろう、ファンとアイドルの一体感や、巻き起こる感動もあわせてアイドルなのだ。武内との一件でアイドルの違った一面を知った美城ではあるがしかし、アイドルの裏を、パーソナルを見続けた彼女にはまだ理解が困難な部分。

 美城が一度でも卯月が本来持つ本気の笑顔を見ていればその評価はまた変わったかもしれない。画面越しでしか彼女の笑顔を見たことがない彼女ではまだ理解できないことであった。

 

「まあ、いいだろう。君の当面の仕事は、島村のボイストレーニングの相方なのだが……」

 

 このタイミングでの楓参加は美城にとっても卯月にとっても僥倖であったといえるだろうが、ある意味で不幸ともとれた。

 美城が楓を候補から外していたのは単純に断られるであろう懸念があったためだが、それだけではない。

 

「言い出しておいてなのですが、私が会っても……?」

 

 楓の言葉は尻切れトンボであったが十分に伝わる。346プロのアイドル部門におけるトップアイドルは誰かと聞かれれば城ヶ崎美嘉と高垣楓が候補に挙がり、一人に絞るなら楓の名前が上にくるだろう。

 つまり卯月の発作がどうなるかわからないのだ。

 卯月はアイドルランクがほぼCからBで固められているクローネメンバーと出会って手が震えだす始末。とはいえランクBである茜とは普通に接している報告があがっている以上、一概にランクだけでどうこうというわけではないのだろうが、予想でしかない――茜のパーフェクトコミュニケーションを真似ろというほうが無理があることに気づけるはずもないが。

 

 ならばAである楓と出会えば……浄化されて灰にでもなるのか。

 

「……いっそ、化学反応でも期待してみるか」

「そこまでなのですね」

 

 ただその不安を除けば高垣楓はこれ以上ないほど適任だ。楓のアイドルとしての能力は、ダンスは並みであるが、元モデルであることからもわかるように突出したビジュアル、そしてそれ以上の、暴力的なまでの歌唱力。ファンの一部では346のラスボスとまで称されているらしい。

 それがそのままそっくり卯月に移るとは美城も考えてはいないが、先達に学ぶことは多いだろう。

 

「まだ島村には話していないが、彼女の持ち曲の候補が二曲ほどある」

「あら、本人より先に聞かせていただけるのでしょうか」

 

 美城は鍵がかかったデスクから二枚のCDを取り出した。両方のディスクは無地の表面に黒いマジックで曲名が書かれている。

 

「ええと……こちらは、すまいりんぐ、でしょうか」

「ああ。もし島村がデビューまでに笑顔を取り戻せたのならデビュー曲として使う予定の曲だ」

 

 美城はあわせてCDに重ねるよう一枚のA4用紙を差し出す。そこにはそれぞれの歌詞が綴られており楓はそれを食い入るように眺め、一呼吸をおいた。

 

「『S(mile)ING!』はとてもいい曲ですね、卯月ちゃんの笑顔をよく表していると思います――なら、こちらの……ふぇありーてーるかっこかり、という曲は……?」

 

 楓はわかっていた。一枚が笑顔を取り戻せた時に歌う曲ならば、もう片方が必然的に逆となることを。

 

「島村は、呪いにかけられたいばら姫だ。FairyTale(おとぎ話)から逃れられないのならば、これほど皮肉の効いたタイトルもないか」

 

 美城は作曲担当者へ卯月が笑顔を取り戻せなかった場合におけるアイドルの方向性に、いばら姫というアクセントをつけることを依頼した。そうして出来上がったのが後者の曲であった。

 

「これも島村には言っていないことだが、彼女は笑顔を武器にすると私に言い放った。それは何をおいてもアイドルとして確立する意志の表れであると私は評する。ならば……無表情もまた、武器になるのではないか?」

「……次善策としての立ち位置と取っていいでしょうか」

「あるいは、どちらをも使いこなせるのならば――」

 

 机上の空論でしかないそれを論ずるつもりはないのか、美城は小さく咳ばらいをして楓からCDと紙を受け取る。楓の表情は複雑であった。

 

「それもこれも、私の手腕と、君の対応次第であることは理解して接してほしい」

「もちろんです……卯月ちゃんと出会えることに、うづいちゃいます、なんて」

 

 楓のダジャレには気づかないふりをして席を立つ美城。ちょっと寂しそうな顔を見せた楓はであるが、気にした様子もなく連れ立って執務室を後にした。

 

 

 いばら姫を救うのは王子様だろう、しかし救ったところでそれはおとぎ話でしかない。

 ならば、おとぎ話から救い出すのは。

 

 

 




高垣楓のウワサ
専務と一緒にいるところを色んなアイドルに見られて驚かれているらしい

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