私の生まれた理由   作:hi-nya

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 新章突入です!
 やってきたぜ、エジプトぉぉーッ!!

 ということで、肥沃地帯手前砂漠にて。ゲブ神戦、です。

 今回、視点がころッころ変わります。ンドゥール含め全員分目指してみました! って、自慢げに言うこっちゃねぇ……。キーワードやら一人称で誰視点か判断できるようにしたつもりですが、わかりづらかったら御一報下さい。すみません。


第3章 Tea in the Sahara
紅い陽炎


「……美。……仁美……」

 

「……ん……」

 

「……目を覚ましなさい。いつまで眠っているつもり? 」

 

「はっ! え? 」

 

 呼ばれる声に驚き、目を開ける。

 すると、私をさらに驚愕させる人物がそこにいた。

 

「か、母さん!? 」

 

「……」

 

 しかし、相手から返事はなかった。

 目を瞬かせながらも改めて彼女をよく見ると、ふたつの事実に気づく。

 とてもよく似ているが、母ではないこと。そして、似ていること。

 

 ……自分にも。

 

「あ、あなたは? それに、ここは……? 」

 

 私達一行は昨日、秘密裏に手に入れたはずの潜水艦が敵の襲撃を受ける、という哀しいかなほぼ全員が予期していた通りの展開を迎えつつもどうにかそれを退け、とうとう目的地のエジプトに上陸。最寄りの街にたどり着き、宿にて一泊していたはずなのだ。

 しかし、周囲を見渡すも、目に映るのはそれを閉じる前にみつめていたはずのものの色とはてんで異なる白一色。大理石でできた壁、床、柱。例えるならばまさに、ギリシアのパルテノン神殿、というところだろうか。とはいえ、私が持っているのなんて歴史の教科書で得た知識くらいのもので、実物なんて見たこともない。よって所詮はイメージにすぎないが。

 

 頭の中身を疑問符でいっぱいにした私に向け、目の前の人物はゆったりとした口調で、しかし辛辣に言葉を放つ。

 

「……あなたが、あまりにもふがいないから、きちゃった」

 

「は……? 」

「セシリアがないてる。

 だってあなた、あまりにも彼女をうまく使えていないんだもの……」

「なッ!? 」

 

 図星だった。

 仲間たちは、皆、いいひとばかりだ。

 だから、そういわれたことはなかった。たぶん、思われたことも。

 でも、自分のことだ。自分で一番よくわかっていた。心の内で気に病んでいた。

 

 スタンドを生かすも殺すも、スタンド使い次第。

 

 どんなに優れたスタンドもスタンド使いが無能であれば……これまでの闘いで痛いほど身に染みていた事実だった。

 

 ずっと、考えていた。

 

 セシリアには、本来、もっと力があるのではないか、と。

 

 皆を護るための、能力、が。

 

「しりたい? 」

「……え? 」

 

 またも見透かされる。

 

「……つよく、なりたいんでしょう? 」

 

 眠りにつく前、つよく、心で願った……こと。

 

「ッ! どうして、そんなことを……? ほんとうに、あなたは、一体……? 」

 

 混乱の中、どうにか訊ねると、彼女はくすくす笑いながら、いう。

 

「わからない? けっこうヒントあげてるのに。にぶいのね」

 

 ……衝撃的な一言を。

 

「……わたしの、子孫にしては。」

 

「ご、ご先祖様!? 」

「……もう一度だけ聞くわ」

 

 

「……あなたは、つよく、なりたい? 」

 

 

*         *          *

 

 

「……来ない……」

 

 ホテルのロビー。

 待ちぼうけを食う男衆。

 

 エジプト上陸後、二日目の朝。

 約束の刻限をとうに過ぎても彼女は現れなかった。昨日、時間と場所は確かに伝えたはずなのに。

 

「どうしたんだろーな? めずらしいな。あいつが遅刻とは。寝坊か?」

 

 と、ポルナレフ。そう、こんなことは初めてだ。ぎりぎりなことはあっても、いつもちゃんと時間前に来る。彼女はそんなひとだった。

 

 言いようのない不安が胸の中に広がる。

 

「おい、花京院。電話は? 出ねーのか? 」

「ああ……。何回も、したよ。出てくれない……」

 

 承太郎の問いに、苦々しい気持ちで答える。

 

「なにかあったのでは……? 」

「考えていても仕方がない。とりあえず、部屋に行ってみよう」

 

 アヴドゥルさんの呟きに皆で眉間に皺を寄せつつ、ジョースターさんの建設的な意見により彼女の部屋の前に移動する。

 

 ドアチャイムを鳴らすも、やはり応答がない。

 

「ダメか……。しかたがない、保乃、開けるぞ! 」

 

 ジョースターさんが声をかけ、フロントで借りてきた鍵でドアを開ける。……が、

 

「……チェーンがかかっておる」

「やれやれだぜ。まぁ、外国での女の対応としては、正解、だがな」

 

 少しだけ開いたドアのすき間から覗くも、室内の様子はよくわからない。

 

「……よし……」

 

 次の瞬間、僕を除く、全員のユニゾンがホテルの廊下に響く。

 

「「「「花京院……いけ」」」」

 

「……よしッ、わかった! 女性の部屋に無断で侵入なんて、けしからんが、やむをえんッ!

 やむをえんからだ! もう一度言うけどしかたなくだからな! 」

「わかった。わかったから。早く行け」

 

 力説を軽くあしらわれつつも、言うが早いか勢いよく相棒を出す。

 

「ハイエロファントッ! 」

 

「気をつけろよ。敵が潜んでいる可能性もある」

「わかっています……」

 

 紐状にしたハイエロファントを隙間からすべりこませ、十分に警戒しながら、室内を探る。

 

(彼女は……いたッ! )

 

 ベッドの上に、彼女はいた。普通に眠っているようだが。

 

(よかった……無事だったか。

 しかしこれだけ呼んでも起きないなんて……まさか具合が悪いのか……?)

 

 もっとよく様子を確認しようと近づく『法皇()』の目にとんでもないものが飛び込んでくる。

 

(ハッ! こ、こ、ここ、これはッ!! )

 

 シャツ一枚だけ、というあられもない姿で横たわっている彼女。

 脚が、白く滑らかなふとももまであらわになっている。

 

(もう少しで……見え……。だ、ダメだって! )

 

 ポルナレフとのブロックサインを思い出す。

 昨日は上、今日は下……。なんだこれは。何かの前触れだろうか……。

 

 しかもよくよく見ると、なにかを抱きしめているようだ。

 

(……これは、僕の……? ま、まさか……! )

 

 ものすごい勢いで脳内の妄想機構(仮)が働きだす。

 そんな場合でも、そんなわけもないのはわかっている……が、そこは哀しき男の性だ。ご容赦いただきたい。内容は、御想像にお任せする。だれにもいえない。自主規制だ!

 

 

「ぶはぁっ!! 」

 

「ど、どうした!? 」

「は、鼻血が出てるぞ、花京院! だいじょうぶか?! 」

「敵か!? 攻撃を受けたのか?! 」

「よし、ドア、壊すぜ……」

 

「ち、ちがう! 待て! ちょっと待って!! 」

 

 鼻を押さえつつ、スタープラチナをかまえた承太郎をあわててとめる。

 

「なんだよ……。あいつは無事なのか? 」

「あ、ああ」

 

「寝てんの? 」とポルナレフ。

「たぶん……」と、曖昧にしか返せない、僕。

 

「じゃあ、さっさと起こすか、開けるかしろよ……」

「わ、わかったって! 」

 

 承太郎の催促に急かされつつも、彼女のこんな姿を他の男にみせるわけにはいくまい。学生服をそっと回収し、シーツでぐるぐる巻きにする。

 

「……ハッ! 」

 

 そのときだった。

 彼女のスタンド、セシリアがふわりと現れる。

 

「ひ、仁美さん!? 」

「……」

 

 慌てて本体に呼びかけるも彼女は変わらず眠ったままだった。

 薄桃色の鳥はくちばしでペンを持ち、ベッドサイドのメモに文字を綴っていく。

 

 僕は急ぎハイエロファントにチェーンを開けさせ、皆と室内に飛び込む。

 

「うお! びっくりした! なんでこいつツタンカーメンみたいになってんの? 」

 

 この際どうでもいいことにツッコんでいるポルナレフは放っておき、彼女の相棒がはらりと落とす紙片を受け取る。

 

 メモには、たどたどしく、こう書かれていた。

 

 

『夢の中でご先祖様とスタンドの修行をしています。

 もう少し時間がかかりそうなのでお手数ですがそのまま連れていっていただけると幸いです。

 迷惑をかけて、本当にごめんなさい』

 

 

*         *          *

 

 

「はぁ、はぁ……」

「ダメよぉ……まだまだ。そんなもの? 」

「くっ! 」

 

 修行……というか、ご先祖様は厳しかった。非常に。そして毒舌……。

 

「今、わたしの悪口いったでしょう? はい、形態変化300回追加ね~~」

「そ、そんなぁ! わ、悪口なんか……」

 

(悪口というか、事実じゃあ……)

 

 そんなこと思ってしまったがゆえか、またノルマが増えた。

 

「あ」

 

 恨めしく思いつつも課題をこなしていると、ご先祖様が唐突に呟く。

 

「ん? どうしたんですか? 」

「いけない、あなた、このままだと置いていかれちゃう」

「えッ!? 」

 

 ご先祖様曰く、ここは一応私の夢の中、らしい。

 スタンドとはそれを使う者の精神がかたちになったもの。

 眠りによって精神は剥き出しで、無防備な状態になる。

 よって、スタンドを鍛えるにはこの世界が一番適している……とのこと。

 この世界の時間の概念が不明だが、現実同様時が流れているということか。

 

「もう朝!? みんな待っているんですか!? ど、どうしよう!! 」

「……彼氏も心配してるし」

「か、彼氏? だ、誰のことですか?

 っていうか、現実世界のことわかるんですか?! 今どんな状況なんですか!? 」

 

 矢継ぎ早に問うも、相変わらずこちらの質問にはまともに答えてくれないご先祖様。けたけたと笑いつついう。

 

「ふ、ふふ、ふふふふふ! 可愛いーっ!

 あなた、男の子の趣味だけはいいじゃない。そこはちゃんと遺伝したのね~~」

「……」

 

 一体何をみているやらさっぱり不明、かつ、彼氏云々は残念ながら誤解であるけれども、言葉から察するに(私のきもちなんてどうせご先祖様にはお見通しなのであろう、という推測からであるが)彼女の言及の対象はどうやら彼のようだ。褒められているやらけなされているやらなんとも複雑な気分だが。

 

(まぁ、だんだん慣れてきたけどね。この言動にも。

 母さんも、優しいとみせかけて結構毒舌だしなぁ……。

 私もそうなのか、もしくはそうなるのかな……気をつけよ)

 

 そんなふうに己を省みつつ将来に思いを馳せていると、ご先祖様は新たな課題を付きつけてきた。

 

「ちょうどいいわ~~。精密動作の訓練にもなるし。セシリアに手紙書かせて。はい」

 

そういうと、ポン! という軽快な音とともに紙とペンが現れる。おもわず、問う。

 

「え!? できるんですか? そんなこと……」

「頭がかたいわねぇ……その発想の貧困さが、セシリアを檻に閉じ込めてるのよ。

 本当にダメな娘ね。

 できる……って思いなさい。それでもできないことはたしかにあるけれど……

 できないって思ってしまったことは、絶対に、できない」

「あ……」

「スタンドの力の源は、精神の、意思の、つよさ……心のありかたで大きく変わる。

 よくも……わるくも。

 あなたの自由な発想で、セシリアはもっと羽ばたく。……さぁ」

「……はい」

 

 やってみた。が、思った以上に難しかった。そして、けっこうなスタンドパワーを消費するらしい。ずっしりとした頭重感と疲労感が私を襲う。

 以前ハイエロファントが物を持ってきてくれたり、お茶を淹れてみてくれたり、それこそ伝言をしてくれたりしたことがあったが……あらためて彼のすごさを知る。

 

「くっ……! 」

「へたくそねぇ……。まぁ、伝わったみたいだから、よしとしましょう。

 これは本当にコツと慣れだから。よく練習しておきなさい」

 

 コツと慣れ。確か前に彼もそんなことを言っていたような気がする。

 

「さて、基本はこれぐらいにしときましょう。あなた全く……なってなさすぎで、キリがないし」

「め、面目ないです……」

「根気よく努力を積み重ねること。いいわね? 」

「はい」

「で、本題。大事なことを教えるわ。

 あなたがおそらく、これからすごく必要になる、セシリアのちからのこと……」

 

 そうしてご先祖様は、またも驚くべきことを教えてくれた。

 

「でも、それって……」

「そう、あなたがポンコツだから今までできなかっただけ。そして、これからもポンコツなままじゃあ無意味」

「ぐっ……」

「まぁ、だいじょうぶよ。腐っても私の子孫なだけあって、あなたにはその才能がきちんと受け継がれているようだから。経験あるでしょう? あの要領よ」

「……あ……」

 

 脳裏に浮かぶのは、あの、真夏の気温の下で感じた『寒気』。

 

「さぁ、……やるわよ」

「はい! 」

 

 

「……全神経を研ぎ澄まし集中なさい。セシリアの囁きに耳を傾けて……」

 

 

 どれくらい時間が経っただろうか。

 

 教えてはもらったものの、なかなか上手くできない。呑み込みの悪い自分を恨めしく思いつつ、必死に修行を続ける。

 

「あ……いけない!! 」

 

 そんな最中、またもご先祖様が急に声をあげる。

 

「え!? 」

「まずいことになってしまったわ……ここまでにしましょう! 急いで戻りなさい」

「ま、まずいこと!? 」

「最低限は教えた。あとは実戦でなんとかしなさい! 」

「は、はい! 」

 

「最後に……伝えておく。

 うすうす、にぶいあなたも感じていると思うけれど……

 『そのとき』は近い……」

 

「!?」

 

「……かもしれない。

 わたしにも、わからないのよね。正直。

 まぁ、いつでも……覚悟はしておくべきね」

 

「……」

 

「……そんなかお、しないの」

 

いいながら、あたまをそっとなでてくれる。

 

「たいせつなものを護る……わたしたち一族に与えられた……

 それは、『しあわせ』、なことだと、おもわない? 」

 

「……はい! 」

 

(もちろん……! )

 

 迷いなく、頷く。

 

「……ふふ。だったら、いいわ。自信をもちなさい。

 あなたはこのわたしの子孫なんだから。

 だいじょうぶ。できるわ。」

 

 そして、彼女はふわりと抱きしめてくれた。

 

「自らに誇りをもって運命に立ち向かいなさい。そして悔いのない選択を……

 あなたが、『しあわせ』であるように、いつでも、見守っているわ。

 わたしの可愛い、仁美……」

 

「ご先祖様……」

 

「さあ、いきなさい」

「はい、ありがとうございました! 」

 

 

*         *          *

 

 

「ハッ! 」

 

 目を開けると飛び込んで来たのは、黒い革張りのシート、運転席、ハンドル。ウインドウから臨む、青い空に浮かぶ太陽。

 

 どうやら、私は車の後部座席にいるらしいと悟る。しかし他には誰もいない。

 

 加えて、動けないと思ったら何かで身体がぐるぐる巻かれていた。

 

(なにこれ? ……シーツ? )

 

 もぞもぞとなんとかそれから脱出すると、自分がシャツ一枚なことに気づく。

 あたりを見回すとちゃんと靴と服が置いてあった。あわててそれを引っ掴み、身に着ける。

 

 ご先祖様。修行。教わったこと。セシリアの、ちから……。

 

 全部まるごと、ただ単に、強さを求める自分の願望がみせた儚いものだったのだろうか。

 

 いや、ちがう。確信があった。あれは夢は夢でも『ほんとうの夢』だった、と。

 

(急がなきゃ!

 きっともうみんな……敵と闘っているんだ! まずいことって……)

 

 あのマイペース極まりなさそうなご先祖様の本気で焦った様子を思い返し、嫌な予感が全身にまとわりつく。

 

(お願い、みんな……どうか、無事で……! )

 

 祈りつつ、ドアを開け外に飛び出す。

 

 むせ返るような、熱気。

 見渡す限りの砂漠。

 そこで互いに距離をおいて、散り散りになっている仲間たち。

 

 揺らめく陽炎……そのむこうに……

 私の目がおもわず映すのを拒むような……あまりにも凄惨な光景が、そこにはあった。

 

 

 両目から血を流して倒れている、愛しきひとの姿が。

 

 

*         *          *

 

 

「……かきょういんくん……?」

 

「や、保乃! 」

 

「……う、そ……? ……あ……あ、あ……」

 

(……ひとり、ふえた。車にまだ乗っていたのか。女の声……)

 

 

「……いやぁーーあああああーッッ!! 」

 

 

 広大な砂漠に轟く、悲鳴。

 

 

「だ、だめだ! 敵は、『音』を感知して襲ってくる! 声を……物音を立てるな!! 」

 

 動こうとする女をジョースターが制す。

 

「……て、き……? 」

 

(もう遅い……死ねッ! )

 

 砂漠にしみこませて潜ませていた自らのスタンドを操り、女を襲う。

 

 小さいが、何ものをも切り裂く、水のスタンド。

 その殺傷能力は十分であることは先ほど証明済み(・・・・)だ。

 

(このおれ、ンドゥールのスタンド『ゲブ神』。

 一度補足されたらその攻撃からは逃れられない。

 これで、2人めだ……)

 

「……」

 

(なに……ッ! )

 

 しかし攻撃がはじかれる感覚がし、女の声が聞こえてくる。

 

「……だいじょうぶです……」

 

(そうか、この女が例の『守護者(ガーディアン)』……か。ならば)

 

 情報は得ている。そのガード能力は優れたものではあるが、それしかできない。

 また範囲も一人のみ。ごく限られている、と。

 

(ならば、位置がわかっている他のやつらからしとめるまでよ)

 

 女が現れたときの反応と今までの行動で、承太郎以外の位置は補足している。まずは……

 

(死ね、アヴドゥル! )

 

「うッ! 」

 

「……」

 

(!? なにぃ!? )

 

 またもや攻撃がはじかれる感覚。

 

(偶然……か? ではこれで、どうだ! )

 

「……させない」

 

 しかし攻撃はすべてはじかれてしまう。

 ランダムに、タイミングもずらし、異なる相手を次々と襲っているにも関わらず。

 

(な、なぜだ……なぜ防がれ……!? )

 

「や、保乃……!? 」

「す、すげぇ……!」

 

 仲間すら驚いている。どういうことだ。

 

「大丈夫です……」

 

 静かな声が聞こえる。

 

 

「ぜんぶ……わかりますから……」

 

 

(く、くそっ! )

 

 

「……悪意と殺意に満ち溢れている……そんな攻撃なんて」

 

 

「ぐっ! 」

 

 寒気を感じた。

 

(こんな女に、恐怖……? このおれが……? )

 

 

「……よし! 」

 

 女に気をとられていた間に、誰かが走り出す。

 

(……承太郎だ。何かを掴んで……。あの場所にあったものは……)

 

 必死に平静を取り戻し、思い出す。

 

(犬か!? )

 

「ぎゃわん!? 」

「……防御は、あいつに任す。さて、協力してもらうぜ……イギーよ!!

 てめぇ、鼻で奴の位置がわかってんだろう……案内しな! じゃねぇとテメーも死ぬぜ」

「ぐうう……」

 

(……なんだ? ジャンプしたあと足音が消えたぞ。……どこへも着地していない。

 バカな……いったい!? )

 

 

*         *          *

 

 

 承太郎があのクソ犬……砂を操るイギーのスタンドを利用して、敵スタンドの本体がいると思しき方角へ向かっていく。

 

「あいつ空中に浮くこともできるのか! 」

 

 アヴドゥルが叫ぶ。

 イギーのスタンド、『愚者(ザ・フール)』は背中にハングライダーのような羽を作り、滑空している。

 

「こいつはいい。承太郎のやつ、あのまま空中を進んで犬に本体を見つけさす気だ。

 本体さえみつければあの恐るべきスタンドも倒せる可能性大だ! 」

 

「花京院……」

 

 ジョースターさんの言葉を受け、オレはそばで倒れている、その、恐るべきスタンドの攻撃を受けてしまった仲間をみる。

 

「……ポルナレフさん」

 

 そこへ保乃がやってきた。

 先程のこの娘のスタンドさばき……そのあまりの変わりぶりには正直、度肝を抜かれた。

 夢で修行……にわかに信じがたい話ではあったが、信じざるを得ない気持ちになっていた。

 

 しかし、その顔には表情がまったくない。

 普段は思っていることがすぐ顔に出る、わかりやすいやつなのに。

 

(……それも、当然、か)

 

 惚れた男のそばに跪き、ぽそりと問いかける。

 

「かきょういんくん……? 」

「……」

 

 苦々しい思いで、伝える。

 

「……命には別状ない。気を失っているだけだ。

 ……しかし、眼を、……失明の危険がある……」

 

「し、つめ、い……?」

 

 伏して、呟く。

 その様子に、もはやこいつを本当の妹のように思っている身としては胸が痛む。

 

 

 

 そんな中でも戦況は刻一刻と変化していく。承太郎達を見守っていたアヴドゥルとジョースターさんが気づく。

 

「ジョースターさん、承太郎とイギー……だんだん高度が落ちてきていませんか?

 あの『愚者』、あまり長距離は飛行できないらしい…。」

「紙飛行機のように舞っているだけか……! 」

 

 承太郎たちはいつの間にか、かなり遠くまで進んでいた。目測に過ぎないが約1キロ少しといったところか。

 しかし確かに、遠目に見ても承太郎の身体の位置は低く、地面すれすれを飛行していた。

 

 今まさに地に触れる……その瞬間だった。

 

「おおッ! 」

 

 承太郎が地面を蹴り、跳躍。『愚者』は再び大きく空に舞い始めた。

 

「アッ! 」

 

 しかし、今ので位置が割れてしまったようで、敵のスタンドが砂中から姿を現し、承太郎を追い始めた。

 

「……! 」

 

 気づいた保乃がセシリアを放つ。それに対し、アヴドゥルが叫ぶ。

 

「だめだ! 君のスタンドはあんなに遠くのものは護れないッ!? なぜ!? 」

「……」

 

 

*         *          *

 

 

 承太郎たちの位置を捕捉した。そのときだった。

 何かが物凄いスピードでこちらに向かってくることに気づく。

 

 おれは『ゲブ神』ですれ違いざま、撃ち落とそうと攻撃する。

 

 しかし、またもやあのはじかれる感覚。

 

(女か……。承太郎を護りに向かっているのか。

 しかしこのひび割れるような感触……

 この距離ならガードを貫ける……ほおっておいてかまわんな。

 今は、承太郎をしとめる! )

 

 しかし、それが結果として間違いだった。

 

 ふいに両耳に、『なにか』が触れる。

 

(な、なに!? み、耳が……急に!? なにも……!! )

 

 

*         *          *

 

 

「……セシリアで塞いで、聴覚を、奪いました。

 塞ぐのには、硬さも大きさも、必要ない」

 

「……といっても、もう、聴こえていないですよね」

 

「貴方……目が不自由な方なんですね。

 頼りにしている耳を奪われて、さぞ、恐ろしいでしょうけれど……」

 

「ゆるせない。……逆に……。

 目が見えないつらさ……貴方は人より、わかっているはずでしょう……? 」

 

(……なのに、うばった……)

 

 

 私のだいすきな、あの、まなざし。

 

 

「……ゆるさない……」

 

 セシリアを耳から、耳管を通じて、喉へ。

 

「ゆるせ、ないッ!! ……絶対にッ!! 」

 

 そのまま、……空気の通り道、気道を塞ぐ。

 

「かはあぁっ!! 」

 

 敵の男の苦悶の声が聞こえる。

 

 しかし、やめることなど、今の私にはできなかった。できるわけがなかった。

 

 私の頭の中は、鮮やかな緋色一色に染められていた。

 

(……ゆるせない、貴方のことを)

 

 

(そして……じぶんのことも……)

 

 

*         *          *

 

 

「なッ!」

 

 急に男がもがき苦しみ始めるのをスタープラチナの目が補足する。

 

 おれは犬のスタンドから手を離し地上に降り立ち、すぐさま敵に駆け寄る。

 

(途中セシリアが飛んでいったが……)

 

 よく見ると、男の耳に何かが嵌っているのに気づく。桃色のヘッドフォンのようなもの、が。

 

「これは……セシリア、か?」

 

 男の顔色はもはや土色で、唇は真っ青だった。

 

「……ヤス! おい、やめろ! まだこいつにはいろいろ聞きたいことがある! 殺すな!! 」

 

 呼びかけるも、そのスタンドは消える様子がない。

 

「チッ! あいつブチ切れてやがるな……。オラァ! 」

 

 仕方がないのでスタープラチナで引き抜く。

 

 驚くほど簡単にそれはとれ、男は意識を取り戻した。

 

「ガッ、ハッ! ハァ、ハァ……じょ、承太郎、か!? 」

「これでタイマンだ……来いよ……」

「うおおおお! 」

 

「……オラァ! 」

 

 むかってきた男をブチのめす。

 

「……ぐはぁっ!! 」

「安心しな……急所は外してある」

 

「……ニヤリ……」

 

 しかし、あろうことか、不敵に不気味な笑みを浮かべる男。

 

「!? なッ! 」

 

 瞬間、男は自らのスタンドで、自分の頭を貫いた。

 

「きさま、なんてことを……」

「承太郎……おまえ、このンドゥールから仲間の情報を聞き出そうと考えてたろう?

 ジョースターの『隠者(ハーミットパープル)』は考えていることまで感知してしまうからな……。

 しゃべるわけにはいかないよ。あの方にとって少しでも不利になることは……。

 くく、くくくくく……」

 

「……DIO……! 」

 

 

*         *          *

 

 

 全員車に乗り込み、病院のある街に急ぎ向かう。

 

 応急処置はほどこしたものの、花京院の意識はまだ戻らない。

 わしの波紋で治療してやれればよかったのだが、視神経は繊細なもの。下手なことをするわけにはいかなかった。

 

 車内には重苦しい雰囲気が漂う。だれも言葉を発そうとしない。

 

 保乃は、なにかを思い詰めているような……そんな表情でうつむいたまま、自分の膝を枕に横たわっている男をみつめていた。

 

 

 

「う、……あ……? 」

 

 沈黙を戸惑いの声が切り裂く。花京院が意識を取り戻したようだ。

 

「!? 花京院くん!! 」

「……え! な、なんだ……目が……!? 」

 

 わしは落ち着かせるべく、花京院にゆっくりと状況を説明する。

 

「……君は敵から目に攻撃をうけたんだ。固定してあるが、動かさない方がいい。わかるか? 」

「……。そうか。……そうでしたね……。わかります」

「今、車で病院に向かっている。痛むとは思うが、大丈夫か? 」

「大丈夫、です。ありがとうございます、ジョースターさん」

「うむ、もう少しの辛抱じゃ。がんばるんだぞ」

「……はい」

 

「……仁美さん? そこに、います? さっき、こえがきこえた……」

「う、うん……」

 

 躊躇いつつも発された返事にその存在をたしかめると、男は唇を綻ばせる。

 

「よかった……。ちゃんと目が覚めたんですね。

 なにも異常はないですか? だいじょうぶですか? 」

 

「……ッ! 」

 

「……仁美さん? 」

 

「……ばかっ!! 」

「……え……? 」

 

「……こんな、ときに……わた、しなん、かの……!!

 ……そんなことより、自分のッ……!! 」

 

 ずっと我慢していたのだろう。堰切ったように、彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。

 

「……っく、ごめんね……ごめんなさい……!!

 私が、遅くて……! 私の、せいで……ッ!! 」

 

 車内に響く、痛々しい彼女の慟哭。

 それを柔らかな声音がやさしく包み込む。

 

「……ないているんですか? まったく、なきむしだなぁ。

 しかも、なにを謝っているんですか。

 これは単に僕が間抜けだっただけなんですから、あなたが気にする必要なんてないのに」

 

「でも……!」

 

「……だいじょうぶだから、なかないで。

 ……その方が、僕は、つらい……」

 

「……あ……」

 

「今ちょっと、拭ってあげられないし、ね。……ほら」

 

 そういって、空をきる、男の手のひら。

 それを彼女は両手で掴み、いとおしそうにとじこめる。

 

「……わかりましたか? 」

「うん、……うん。わかっ、た」

 

 懸命に涙をとめ、なんとか微笑もうとする彼女。

 

「……。すみません……だいじょうぶ、なんですが、すごく、眠い。……少し、寝ます……」

「花京院くん! 」

「……」

 

「……眠ったか? 」

「はい、……そうみたいです」

「鎮痛薬が効いたんじゃ。心配いらんよ」

「はい……」

 

 目尻を拭う。その様子をみて、わしはある決意を固める。

 

「よし、急ぐぜ! 」

「急ぎつつ、ゆっくりだぞ! 振動で負荷をかけんようにな! 」

「わーってるよ! 難しいこというな! おまえこそしっかりナビしてくれよ! 」

 

 運転席と助手席で、ポルナレフとアヴドゥルが騒ぎ出す。

 

 きっとやつらも少しだけ、安心したのだろう。

 

 

*         *          *

 

 

「次を、右だ」

「あいよ」

 

 ハンドルを握るポルナレフにわたしは助手席から道の指示を出す。

 とにもかくにも、一刻も早く病院に到着するべく……だ。

 

「ところで……保乃。おまえさん、修行というのは……本当なのか? 」

 

 そんな中、わたしも同じく非常に気になっていたことをジョースターさんが彼女に問いかける。

 

「はい……。信じてもらえるか、わかりませんが……」

「……あんなもん見せられたら信じざるをえねぇよ。なんだ、あれは? 」

 

 承太郎も疑問を口にする。

 

「夢に、ご先祖様が現れて……」

 

 そうして、彼女は話し始めた。

 占い師のわたしですら、なお信じがたい、事柄を。

 

「おそわったんです。

 セシリアは、敵の『殺意の波動』……殺気とか悪意とかそういうもの、でしょうか……。

 それを感知しあらかじめ教えてくれるそうなんです。

 そして、願えばその場所を瞬時に護ることができる……と」

 

「なんと! 攻撃を『先読み』して護ることができる……そういうことか?! 」

 

『予知防御』。そのあまりの神秘性に、つい、おおきな声を出してしまう。

 

「はい。とはいえ、私が未熟なのでそのシグナルを受け取るのにすごく集中力とスタンドパワーが必要なんですが……」

 

頷き、彼女は続ける。

 

「しかも、どういうかたちで、とかまではわからないんですけどね。

 『攻撃がくる』ということだけで」

 

「……いや、じゅうぶんだろ」

「ああ。本当にさっきの護りはすごかった。

 すごいスピードで、次々と……」

 

 承太郎とともに率直な感想を呟くと、彼女は首をすくめ、遠くをみつめる。

 

「……さっきのは、正直できすぎです。

 自分でもびっくりするくらいに……。

 頭の中が、真っ赤で、でも、冴えわたっていた……」

 

 先程のこの娘の様子を思い出す。

 たしかに、なにやら神がかっているという感じはあった。

 

「おまえ、完全にプッツンしてやがったからな……」

「……ごめん。あのときは、もう、きこえてなかった」

「……まぁ、無理ねぇ、な」

「……ありがとう。

 形を変えたりといった応用のことも習いました。

 護りにしか使えないわけでは決してなかった。

 そもそもよく考えたら、ぶつけたり、はね飛ばしたりはできていたわけですもんね……」

 

(そうか! ……したのだな。 『成長』を!

 まさか目の当たりにできる日が来ようとは……)

 

 感動を覚える。と、同時に……思う。

 

(……しかし、それは……もしかしたら……)

 

 男を目の端にとらえる。

 

 

 スタンド……精神の、成長……とは……かくも……。

 

 

(……いや、やめよう)

 

 新たな能力の開花。……めでたいことなのだから。

 

(……水をさすようなことを考えるべきではない、な)

 

「そっかー! すげーじゃねーか! なんでもできんじゃん」

 

 そして、己とは対照的に、横からポルナレフの能天気な声が飛んでくる。

 

「ふっ……! 」

 

(今回は、わたしがこいつを見習わなければならんな……)

 

「いえ、もちろん限界はありますし、今までの制限はそのままなので、うまく考えて使わないと」

「そうだな……」

 

 そこでようやく、街が、そして、待望の病院が見えて来た。

 

 

「おまえたちはホテルの手配を頼む。

 あとで迎えに来てくれ。また連絡する」

「わかりました」

 

 ストレッチャーで運び込まれる花京院。

 付き添うべく歩き出したジョースターさんが我々に向けいう。

 と同時に、不安そうに、なにかを言いたげにその様子みつめる彼女に声をかける。

 

「保乃。……君も、ついておいで」

 

 

*         *          *

 

 

「本日は眼科の担当医が不在でして……。

 申し訳ありませんが詳しい検査や治療は明日の朝になります。

 応急的に抗生物質と痛み止めの点滴、裂傷の処置をしています。

 今晩は薬の影響で目は覚めないでしょうが、どちらにせよ、しばらく入院ということになるかと思いますので……」

 

「わかりました。よろしく頼みます」

「ありがとうございました」

 

 担当してくれた先生にジョースターさんとお礼を言う。

 

(しばらく、入院……か)

 

 そばにいたい。こんな状態の彼を置いて、離れたくない。

 

 しかし、私にそれが許されるのか。

 そうもいかないことは、頭では理解していた。

 

 

「……さて。君が眠っている間に、財団と接触ができてな」

 

 改まった様子でジョースターさんが切り出す。

 

「ホリィの容態も、聞くことが、できた。

 ……もって、あと、2週間、だそうだ…。」

 

「に、2週間……!」

 

 短い。あまりにも。時間がないのはわかっていたことではあるが……心臓が嫌な風に脈打つ。

 

「我々は先を急がねばならん。

 だから、……視力が戻るかどうかはともかく……、

 ……花京院はここに、置いていかざるをえない。

 ……わかってくれるな? 」

「……はい」

 

 やはり、そうか。ぎゅっと、眼を閉じる。

 

 そんな私にジョースターさんは、やさしく、こう問いかけた。

 

「……どうしたい?」

 

「えっ? 」

「君は、どうしたい? 」

 

「……わ、私は……」

 

 自分もここに残りたい。しかし、言うのは憚られた。

 完全なる私情であるし、それに、敵の本拠地真っただ中にこれから皆向かっていくのだ。

 先程の闘いからもわかるが、これからもっと敵の攻撃は熾烈になっていくに違いない。

 そんなところに不在でまた皆を護れなければ、私が日本からついてきた意味がない。

 

「……」

 

 言い淀んでいると、ジョースターさんはニカッと笑い、こういった。

 

「……わかった。では言い方を変えよう。君に、お願いしたいことがある」

「おねがい? なんですか……? 」

 

「……ここに残って、こいつのそばに、いてやってほしい」

 

「え!?」

 

「オホン! 護衛だ!! このことをかぎつけて、敵の刺客がやってくるかもしれん。

 そいつらから、花京院を、護ってやってほしいのだ」

 

 たしかに、その可能性は否定できない。

 目の見えない……こんな時に敵に襲われたら、いくら手練れの彼といえども……背筋に冷たいものが走る。

 

「……それに、こいつは決して自分からは口にしないだろうが……、

 きっと、すごく不安だと思うのだ」

 

「あ……」

 

 まっすぐに私にむけられる、穏やかで慈愛のこもった瞳。

 

「それを、君に……支えてやってほしい」

 

 打たれた部分に手を当て、深く、息を吸い込む。

 

「……。私に、できるんでしょうか……? そんな……」

 

「……。君にしか、できんよ」

 

 ポンと肩を叩かれる。

 

 その手は、とてもあたたかかった。

 

「……わかりました。……そうさせて、もらいます。

 ありがとうございます……ジョースターさん」

 

 熱くなった眼頭から零さぬよう、どうにか、返事をする。

 

「うむ。決して無理をさせぬよう、監視もな。頼むよ」

「はい! 」

「おそらくこいつは遠慮すると思うが……気にせずしっかり世話を焼いてやってくれ。

 嫁さんのごとくな。にしし」

「……う、は、はい……」

 

 ウインクをしたのち、真剣な顔つきに戻り、ジョースターさんは続けた。

 

「……そしてもうひとつ。考えたくはないが……

 万一、彼の視力が、もどらなかったら……そのときは……」

「……」

 

「……ふたりでいっしょに、日本に帰りなさい」

 

「なッ! 」

 

「……わしは、少し、後悔しておる……。

 君たちを、わしらの血統の因縁に、巻き込んでしまったことを……」

 

「そんな! ……巻き込むだなんて、そんなこと……!

 他人みたいなこと、言わないでください!

 私は、もう……ただ、みんなのこと、たいせつで……、護りたくて……。

 だから……! 闘うのは自分の意思で、自分のためなんです!

 ……花京院くんだって、きっと……いえ、絶対に、そうです! 」

 

「わかっておるよ……ありがとう。

 わしも君たちのことは、もう、本当の孫のように思っておる。

 ……だからこそ、じゃ。君たちの身に、これ以上なにかあるのは……

 わしにはとてもじゃあないが耐えられん……」

 

「ジョースターさん……」

 

「こやつは、目が見えずとも闘うと、いいかねん男だ。

 しかし、それが通用するほどDIOは甘くはない。

 無理やりにでも、連れて帰ってくれ。頼んだぞ」

 

「……」

「ああ……頼むからそんなかおをせんでくれ。

 もちろん、万一の時の話だ。今は回復を祈ろう。な? 」

「……はい」

 

「では、わしは迎えを呼ぶ。君は? 今晩はもう目が覚めんようだが……」

「……。ここにいても、いいですか? 」

「もちろん。

 では君の荷物も持ってくるように言っておこう」

 

 




☆おまけコント・その弐☆

「……ちょっと! 記念すべき新章突入回だというのに、僕鼻やら目やら至る所から血噴き出しとるだけじゃあないですか! 主人公なのにッ! 」
「まぁまぁ、花京院くん。しょうがないよ。
 作者が所詮、ゲロ以下のミジンコ野郎っていったらミジンコに失礼な程の屑野郎だから。
 そんなことより、だいじょうぶ!? 目だけじゃあなくて鼻にも攻撃を!? 」
「い、いえ……そうではないんですが」
「え? じゃあなんで鼻血……? 」
「そ、それは……」
「?それは? 」

「……の、のぼせ、ました」

「なるほど!! 」


「ほんと、さすがのサハラ砂漠! ますます暑いもんね。熱中症にならないよう気をつけないと」
「そ、そうですね……」

「……やれやれ、まぁ、嘘はついてねーな、たしかに。
 どうでもいいが、せっかくめずらしくシリアスな感じなのに、がっつり水さすなよ、おまえら……」



 はい! 以上、夫婦漫才? コント? もどき及び承太郎様による有難いツッコミでした。ちゃんちゃん♪
 やっちゃん、ごめんて……原作通り怪我させちゃったからってそんな怒んないでよ……
 え? 最大の敵はDIOではなかった? ……ふはははは! 笑止! 今さら気づいたか! 我が腕の中で踊るがいい!! (←厨二)

 というわけで本当にお粗末様でした。 新能力、やっぱりベタですみません。シンプルな奴ほど強い、という誰か様の言葉を鵜呑みにして……というのは言い訳ですが。もう一段階ありますよ……ベタなのが……はは。

 そして、次回から病院編です。原作にないとこなのに……やっちゃんが実は生きているあの原作キャラの!? ……をはじめとした、DIO戦およびその後に向けての細かすぎて伝わらない伏線やらなんやらでダラっとした感じになると思われますが……すみません。よろしければまた読んでやっていただけるとメチャ嬉しいです!

もうすぐこのお話も完結です……が、性懲りもなく次回作も本作品にちなんだものにする可能性が高いです。どんなのだったら、また読んでやってもいいぜ? と思って頂けるでしょうか?

  • そのまま4部にクルセイダース達突入
  • 花京院と彼女のその後の日常ラブコメ
  • 花京院の息子と娘が三部にトリップする話
  • 花京院が他作品の世界へ。クロスオーバー。
  • 読んでほしいなら死ぬ気で全部書きやがれ!
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