僕は、知らなかったのだ。なにも。
なにひとつ『わかって』などいなかった。
知ってなど、いなかったのだ。
彼女のことを。なにひとつ。
1月16日。僕たちにとっての『運命の日』。
あの日、カイロ市街ではいくつか事件が起きていた。『場当たり的な通り魔の犯行で真犯人は未だ捕まっていない』…………ということに一般的にはなっている、要するにDIOが引き起こしたであろう殺傷事件が。
その中でもとりわけ大きく紙面やメディアに取り扱われたものに、暴走車による無差別大量の人身事故があった。
夕暮れの帰宅ラッシュ。学生やOL、サラリーマン……家路に着こうとする者、あるいはアフターファイブを楽しもうとする者、多種多様の思いを抱えた多種多様の人々で繁華街の路上はごった返していた。そこへ道路を走行していた犯人の運転する車が突如ガードレールをぶち破り歩道上に乗り上げたのだ。ボンネットには哀れにも一番近くに居たというだけで犠牲となった二人が跳ね上がった。それでも車は止まることなく、走り続けた。そのスピードは時速80㎞オーバーにものぼり、歩行者は次々と、まるで刈り取られる稲穂のように鉄の塊に蹂躙されていった。そして脇目など振るそぶりもなく、勢いそのまま車は走り去っていった。
後に現場から2㎞程離れた町はずれで、抜け殻……乗り捨てられている黒塗りのロールスロイスのみが発見されたものの、車両の所有者であるF氏は「見知らぬ男にハイジャックされた」などと犯行を否認している。とのことだった。
しかし、不幸中の幸いかつ、最も驚くべきことは軽傷重傷含め最終的に犠牲者の数が58人にものぼったこの大事件で、奇跡的にも死者が0であったことであろう。目撃者、被害者の証言と合わせてもありえないことだとコメンテーター、専門家が目を白黒させて謳っていた。
一方で、僕達にはすぐに……ようやくわかった。
彼女の『闘い』を。
護りきったのだ。あの悪魔から。彼女は。
あの日失われるかもしれなかった、たくさんの、数え切れないほどの命を。
自らに流れる血。
その誇りを貫いて。
……己の身、ただ、それだけを犠牲にして。
僕は、なにひとつ、わかってなんていなかった。
無知、それが時にどれだけ重大な罪と悔恨の誘因となるのかということすら知らずに。
「検査の結果、彼女の大脳は、細胞の壊死により広範囲がその機能を失っている。
いわゆる……植物状態、というやつです。
かろうじて、息はしているが、意識を取り戻すことは……
相当の奇跡でも起こらない限り……その、難しいかと。
そもそも、今、心臓が動いていることすら、奇跡的な状況なのです。
とりあえず、ご家族に……日本に、早く帰してあげるべきかと思います」
締め上げられるかのように僕に掴まれ、くしゃくしゃになっていた白衣の裾が緩む。苦虫を嚙み潰したような、それでいて淡々とした医師の言葉は、もはや途中から意味をなさないかたち、ただの鼓膜を震わす音の波となってしまった。僕の脳の方が理解することを拒んでしまったためかもしれない。
ふらふらと吸い寄せられるようにして糸が半分以上切れたマリオネットの如くベッドへとぎこちなく近づく。
「……起きて、くださいよ」
何もかもが白い部屋。僕の呟きだけが虚しく響く。
「返事を……してくれ……」
まぶたの裏に浮かぶ。
ひとりじゃあない。
そういってくれたのは、僕に教えてくれたのは、与えてくれたのは、彼女なのに。
なんて皮肉なんだろう。
絶対的な孤独感と絶望感。
それを今僕に与えているのは、ほかの誰でもない、このひとだ。
「やくそく……した、じゃあないか……! しんじて……いたのに!!」
爆ぜる。どこにも行き場のなくなってしまったそれは暴発して滲出して、もはや抑えることなどできなかった。
「花京院! やめろ! おい……!」
「……僕の……せいだ……。僕のッ……!」
「違う! おまえのせいなんかじゃあねぇ!」
「そうだ。すべての元凶は、ヤツだ……。君の責任などでは決して……」
「……ちがう……。僕は、あのとき……。
なんども、……止めるチャンスは、あったのに……!
そもそも……。ぼくが、あんなことを……
……あんなこと、いわな、け、れば……!」
とめどなく様々入り混じったマーブル模様の映像が、感情が、怒涛のように押し寄せる。吐き出されるのは到底懺悔にもならない。意味も道理もない後悔と自戒の津波。
「……僕の、せいなんだ……だれか、僕を、裁いてくれ……」
「ちがうぞ! 花京院! それは、ちがう! これを……」
僕の慟哭を切り裂くように扉を開け放ってジョースターさんと承太郎が現れる。
「ホテルの、彼女の部屋で……みつけた」
差し出された白い封筒のその裏面隅っこには彼女の名が彼女らしく慎ましやかに署名されていた。
震える手でそれを受け取り開くと、今となっては見慣れてなじんだ筆跡の丁寧な文字で彼女の思いがつづられていた。
「て、てが、み……?」
「……読んでみろ」
みんなへ
こんな手紙を残していたら、怒られるかもしれませんね。
でも、どうしても伝えておきたいことがあるので、筆を取りました。
現在1月16日早朝、時計は午前5時を回ったところ。昨晩深夜、イギー先輩に連れられて、あの館をみました。朝日が昇れば、決戦にむかうことになるかと思います。
無事に戻ってこられたら、この手紙は破り捨てるつもりです。
なので、今、これがみんなの目に触れているということは……
……私は、そこにはいないのかと、思います。
ぜったいにまた戻ってくる。もちろんそのつもりです。
でも、万一のときのため、こうして保険をかけておきます。
よわい私を、どうかゆるしてください。
伝えたいことというのは、2つあります。
ひとつめは、「ありがとう」です。
この旅に参加できて、よかった。
たいへんなことも、もちろんたくさんあったけれど、それ以上に、とても楽しい旅でした。
本来、そんな場合じゃあなくて、不謹慎かもしれないけれど……
でも、やっぱり、振り返ると、うん……、たのしかった。……そればっかり。
私にとって、はじめて心から接することのできた、友だち、いや、それ以上かな。
おじいちゃん(なんて呼んだら怒られちゃうかもですが)、お兄さん三人と(先輩もね)、一応……弟(? ……年齢だけだなぁ)……だいすきな家族がいっきに増えた、そんなかんじでした。うれしかった。
たとえ、結末がどうであろうとも、それはなにも、変わらない。
みんなと出逢えたこと、心から感謝しています。
ありがとう。
もうひとつは、「御願い」です。
私がそこにいない理由。それを、あまり気にしないで。ということです。
こうなる運命を変えられなかった、私が悪いんですから。
ですが、みんなはやさしいので、悔やんでくれていたりするかもしれない。
もしかしたら「自分のせいだ」とか、おもっているひとがいるかもしれないけれど……。
そうじゃあないから。絶対。そうは、おもわないで。
私には、これから起こるかもしれない事柄に、ひとかけらの後悔もない。
むしろ、この血に伝わる誇りを貫くことができて……
たいせつなひとたちを護ることができたのならば、しあわせです。
とはいえ、そういわれても、きっと自分のこと、責めるのをやめない……
そんなひとがいるかなっておもいます。
だから、そのひとに、もうひとつ、御願いをします。
後悔はないですが、もちろん、生きて帰れたら『やりたいこと』が、私にもありました。
大学で、興味があることをもっと勉強して、それと関係した仕事に就いたり……
友だちと、遊んだり、飲んで語り合ったり……
……いつかはだいすきなひとと結婚して、あたらしい家族を、つくって……
もしも、自分のせいだと思うのならば……
そんなふうに、私のぶんまで、自分のやりたいことをして。
せいいっぱい、人生をまっとうしてほしいのです。
しあわせに、生きてください。
ほかのみんなはちゃんと、彼が私の御願いをきいてくれているか、しっかり見張っていてくださいね。
以上、勝手な私の勝手な御願いでした。
最後に……。
こんなことになって、ごめんなさい。
約束、いっぱい……まもれなくて、ごめんね。
でもね、誤解しないでほしいの。
まえの私、とは違うんだよ?
あなたが、おしえてくれたから。
じぶんを粗末にしたわけじゃあ、決して、ない。
私は、私が、そうしたい、とおもったことをしただけ。
だから……どうか……ゆるしてね。
本当にありがとうございました。
だいすきなみんな!
みんなのしあわせを、心から願っています。
保乃宮仁美
「……っ、馬鹿が……」
「……わかって……いたのかも、しれないな……」
「彼女の、カードは、直感や『予知』をつかさどる。あの日の、あの娘のあの、行動や言葉の数々……今、思えば、我々の知らないことを『彼女は知っていた』のかもしれない……」
「すげー必死だったもんな……。頼れって、言ったのに。独りで……馬鹿野郎が!」
「……帰ろう。日本に……」
そうして、僕らは日本に帰ってきた。
しかし、そこにあったのは空白の日々。ただそれだけだった。
空虚でからっぽな僕は、まさに抜け殻のようだった。
なにもする気も起きず……家にも帰る気にならず……
空条邸にお世話になりながら、ただ、彼女のところにいた。
せめて、そばにいたかった。
……何にもならないと、わかっていながら。
彼女の御家族が到着したと聞いたときも、僕はけっきょく会えずじまいだった。
逃げたんだ。
あわせる顔なんて……とてもじゃないが、あるはずがない……そう、おもった。
そんな僕に、残酷な宣告がなされた。
「れ、冷凍……保存!?」
「……心臓も、呼吸も、いつ停止してもおかしくないそうだ。
かろうじて、薬と機械で繋ぎ止めているのだ、と……。
そうなれば……。そのまえに、財団の最先端の技術で……」
「……嫌だ! 許せるか! そんなこと!!」
「か、花京院!」
「仁美さん……?」
おもわずその場から飛び出し、気づけばまた彼女の病室に来ていた。
あいかわらず、彼女はただ、眠っているようにしかみえなかった。
定期的、無情で機械的な音を発する、彼女の生命をどうにか維持してくれている数多の装置。それへとつながる無数の人工的な管が彼女の細い身体に絡みつくかのように伸びている。ただそれだけを除けば。
「……いいかげん、起きてくださいよ。じゃないと……あなた、あんなに寒いの嫌いなのに、すごく寒いとこにいれられちゃうんですよ」
雪のように白く、滑らかな彼女の頬にそっとふれる。
そうだ。駄目だ。そうなったら。そんなことをしたら……
「……もう僕は、こうすることすら、赦されない」
瞬間、気づく。気づいてしまう……
「はは、そうだ……」
自嘲する。苦々しい笑みがこぼれ出る。
……ぼくだけ……だ。
すべて、ぼくだけの……。
どれくらいそうしていただろうか。
また、こえがきこえた。
「……そんなこと、ないよ」
(ひ、仁美さ……!?)
眼を見開く。確かに彼女は眠ったままだ。
でも彼女だ。間違えるわけがない。
聴きなれたこえ。やわらかに僕の名を呼ぶ、その調べ。
「私だって……花京院くんがこうして、きてくれるの……うれしい。
あなただけじゃないよ。
私も……私が、うれしい……から」
「……だけど、私がここにいたら……
……やっぱり、いけないとおもう。
だから……少しだけ、眠ることにするね」
「……あのとき、みてたよ。
乗り越えられたね。ちゃんと。
すごく……すてきだった」
(仁美さん! 僕は……! 僕はッ!!)
身体が自分のものでないかのように思う様に動いてくれない。せめて、と必死に声帯を震わせようともがいてみるがそれすらうまくいかない。僕の声にならない声は虚しく霧散して、消える。
「……。……これ……御護りといっしょに……。よかったら、……もっていて」
それはふわりと舞い降り、僕の手のひらにそっとふれる。
「元気で。じゃあ……おやすみ……」
(ま、まって! まってくれ!! まだ……!)
「ハッ! ゆ、ゆめ……、か……」
もちろん、そう思った。
が、しかし、おいかけたくてがむしゃらに彼女のほうにのばした手。
その、握りしめた拳をひらくと、たしかに、それはあった。
「これは……」
ひとひら、舞いおどる。
彼女の心そのまま。
きれいな薄桃色のいちまいの羽。
ふたたびそれを、握りしめる。
「……またそっちだけ……なんてひとだよ……」
それは、すぅっと、僕の胸元に吸い込まれ、みえなくなった。
「……」
思い立ち、おもむろに僕は彼女の黒く長い綺麗な髪をかきわけ、そこを飾るちいさな花を見つけ出す。
柔らかな彼女の耳たぶからそっとそれをとりはずすと、自らの首の紐を手繰り寄せ『御護り』を取り出し、石の両隣をまだぬくもりののこる花で飾る。
それらは、ならんでいっしょに、きらきらとやわらかな光をはなっていた。
「……おやすみ、なさい」
「……花京院」
立ち尽くす僕の背中に声が投げかけられる。いつも通りのぶっきらぼうな調子は病室の壁を反射し少しエコーがかって聞こえた。
「……承太郎、か」
彼はそこら辺にあった面会者用のパイプ椅子を無造作に掴むと引き寄せ、その上に腰を落ち着ける。
「……ひどい、話だよ。まったく。
じぶんだけ、いいたいこと、全部いっちゃってさ。
こっちには、ひとつもいわせてくれないんだよ?
ずるいよな、ほんと……」
僕は口を動かす。
彼は、黙っていた。
「無理、いうなよなぁ。
そんなの、無理に決まってるじゃあないか。
しあわせに、なんて……
そんなの……あなた、なしで……僕が、なれるとか、
本気でおもっているんだろうか……彼女は」
ただ、黙って、そこにいてくれた。
その優しさに甘えてとうとう決壊してしまう。
「……わからないよ。
ちっともわからなくなってしまった。
彼女のことならなんでもわかる……
そんな風に高を括っていた……罰なのかな……。これは」
あの日から。そして手紙を目の当たりにしてからずっと燻っていた。言葉にすらできなかったそれが少しずつ顔をもたげ、溢れ出してくる。
「あの日……彼女には……なにがわかっていたんだろう。
……どうして、なにもいってくれなかったんだろう。
僕は、そんなに……頼りなかったかな……」
両の拳に力が籠る。
「なにを……おもっていたんだろう。ずっと……
せめて……しりたいよ……」
「……いいたいこと、か」
長い沈黙の後、溜息をつきながら、珍しく躊躇いを振り切るかのように承太郎は口を開く。
「実は、おれはずっと気になっていた。『わかっていた』……と仮定すると、だ。『おまえになにも残さない』。この不自然なあいつの行動がな。だから、調べた。あの部屋を」
「は!? そ、そんなことを!?」
眼を瞬かせる僕にほんの少し口の端を持ち上げる。
「気になることは徹底的に追究しねぇと気がすまない性分でな。……知ってのとおり」
「あ、ああ。それはもちろん、とてもよく知っているけれども……」
彼の敬愛する刑事コロンボもきっとこんな感じに違いない。彼は胸ポケットからゆっくりと『証拠品』を取り出し、僕に提示する。
「で、だ。実はあの手紙のほかにも、屑籠から、こんなものをみつけていたわけだ」
それは破られてバラバラになっていたであろう、紙片をつなぎ合わせたものだった。
そこにはやっぱり見慣れた筆跡の文字達が並んでいた。
「花、京……?! ……こ、これ!?」
そこまで書いて、破いた……一枚の便箋。
「もっと、よくみろ……」
そういわれ、注意深く、紙をもう一度みてみる。
継ぎ目のせいで、わかりにくいが……
「……な、み……だ……?」
便箋には、水滴でふやけたような跡があり、文字の端がわずかに滲んでいた。
「こいつは、おまえに手紙を『かかなかった』んじゃあなくて、『かけなかった』。そういうことだ」
親指で後ろ手に眠る彼女を指し示す。
「……どうし……て……?」
「どうして、か。わかんねーか? おまえも当事者じゃなきゃ、すぐわかるだろうによ、そんなこと。あんなの、こいつのいいたいこと、『全部』では、なかったわけだ」
「どういう……ことだ……?」
再びため息をつきながら承太郎はいう。
「やれやれだぜ。
縛りたくなかったんだ。こいつは。花京院、おまえを」
「……ッ!」
「書けば、あふれ出ちまう。じぶんの想いを、伝えたら、伝えちまったら……おまえのことだ。余計、ずっと気にする……とでもおもったんだろうよ。このボケ女が、考えそうなことだ」
立ち上がり、つかつかとベッド脇へ寄ると、あくまで軽く、でもその中に様々な想いを内包させているであろう手刀を彼女の頭に振り下ろした。
「こいつが隠したがっていたことだからな。
おまえに伝えるべきかどうか、迷っていたが……。もうしらん。
……おれは腹を立てているんだぜ。
独りで全て抱えこんで、勝手に犠牲になりやがって……。
というわけで、ぶちまけてやることにした」
「承太郎……」
「……まぁ、すべておれの、推測にすぎないがな」
「……当たっていると思うぜ。それ」
第三の更なる声に驚く。壁にもたれていつの間にかこの男も立っていた。
「ぽ、ポルナレフ!」
「……こいつ、言っていたんだよ。
『ぜったいに、いわない……いえない』ってさ。
そーゆうことね……って、たった今、意味がわかった」
眼を細め天井をみつめる。思い返しているのだろう。その視線がゆっくりと彼女へ、そしてこちらへと移る。
「馬鹿だなぁ。ほんと。こいつも……花京院、おまえも」
「ああ……ほ、んとに……ばかだ。ばかだろ……こんなときまで……」
じぶんのことじゃあなくて……ひとのこと、ばかり。
視界が霞む。
そうだ。彼女はそんなひとだ。僕はよくしっているはずだったのに。
そんな簡単で単純明解なことがどうしてわからなくなってしまっていたのだろう。
「……そんなことしたって……無駄なのに……。
やっぱり、このひと、ちっともわかってない……」
僕が、あなたのことを、あきらめられるわけ、ないだろう。
そうだ。まだ……
なにひとつ、おわってなど、いない。
「なぁ? こんなときくらい、我慢しないで、わがまま、いったってよかったのにな。いや、いわせてやれよ? ちゃんと。……こいつが起きたら、さ」
「そーいうこった。さっきおれにいった愚痴は、こいつに直接いえ。たたき起こすんだったら、協力してやる」
にんまりとふたりが声を揃える。
「「……あきらめるわけ……ねーよな?」」
「……承太郎! ポルナレフ!
……すまん。……ありがとう……」
そこへ、もうみっつ、力強い声が降ってくる。
「おい! わしらを仲間はずれにするな!」
「まったくだ」
「ガルルルル!」
「ジョースターさん、アヴドゥルさん、イギー!!」
「話は最後まで聞かんか! わしらだって、この娘を目覚めさせたいのはおなじなんじゃぞ!」
「わたしはきいたことがある。『命が終わったものは……いかなるスタンドでも治せない』という文句を。だから、彼女の命を終わらせるわけにはいかないのだ。絶対に。裏を返せば、それは『治す』スタンドが、実在する。少なくとも、いた。そういうことだからな」
「決まったな」
「ああ……」
僕はおおきく息を吸い込むと、高らかに言い放つ。
「探し出す!
たとえ、地球の裏側にいようとも、草の根をわけてでも……かならず!」
周りを見渡す。
「ふぅ、ようやく眼に生気が戻ったのう」
「まったくだ。ずっと死んだような眼ぇしやがって」
「らしくねーったら、ありゃしなかったぜ!」
「やっと復活、だな」
「ワン!」
ジョースターさん、承太郎、ポルナレフ、アヴドゥルさん、イギー……
おもいだす、彼女のことばを。
──あなたには、みんなが、いるじゃない──
(ああ、そうだ。ほんとうに、そうだね……)
でも、あなたが……
あなたがいない。
だから、探すよ、僕は。
いつまでも。
どこまで、でも。
こうして、僕の旅は再びはじまった。
失ったたいせつなものを取り戻すための旅が。
花京院典明は失ったたいせつななにかを取り戻す旅に出るようです。
……最終回じゃあないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ。
というわけで、三部・完ッッ! ですが、このお話はまだおわりじゃあないようです。今暫く、お付き合いいただけると幸いです。
次回からはDIOの館関連の補完のため二、三話『彼女視点の1月16日』をお送りした後、新章、三部後の話になだれ込んでいく予定です。昨年はいろいろあって更新ペースがポルナレフ……間違えた。亀過ぎたのですがそれも解消したので、今年こそは!と思っていた矢先のインフルエンザで無事死亡していました。皆様もお気をつけください……。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
もうすぐこのお話も完結です……が、性懲りもなく次回作も本作品にちなんだものにする可能性が高いです。どんなのだったら、また読んでやってもいいぜ? と思って頂けるでしょうか?
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読んでほしいなら死ぬ気で全部書きやがれ!