ガリア王女クラリスは窓の外で自由に飛び交う小鳥をうらやましそうに眺めていた。
病弱な自分。
母が亡くなってからかかった病、治癒魔法や解呪、秘薬を飲んでも効果は一時的なもの。
すぐに再発する病、城から離れた塔に幽閉されるかのように療養する少女。
鳥篭の中に閉じ込められ、自由に飛べない自分。
年の近いアリシアと政務が終わったあとの父との会話が何よりの楽しみだった。
下心が見える宰相親子には絶対会わずに閉じこもって追い出す少女。
自分の残り少ない人生に絶望する少女。
だがこの日、少女は魔法使いに出会う。
◆◆◆◆◆
コンコンコン
本来は上司相手にはノックは四回だが、略式の場合は三回ノックする。
二回はトイレの時と警官の面接、看守が面会の知らせをする時だけだ。
「姫様 先日話していた方をお連れしました。」
「……どうぞ」
「失礼します。」
「初めまして、国王の依頼により、貴女を治療しに来ましたアキラです。」
ふむ 本来は活発でお転婆だったとアリシアの長話を道中聞かされてうんざりしてたが。
惚気の通り、深窓の令嬢といった感じだな。
でも少し不機嫌というか、瞳に絶望の色が混じっている。
まぁ好きでもない男の婚約者にされただけでなく病気にかかり、
更にもう一人
手早く治療して退散するかな。
「【精霊化】」
言葉と同時に俺の髪が伸び、顔立ちが中性化していく。
この瞬間、俺は人間では無くなる。
大精霊をも超える人でも、精霊でもない生命体になる。
古代魔法の域の神秘が扱えれる存在へと昇華される。
「すみません、すぐに治しますので気を楽にしてください」
声も高くなっている手早く治療するか。
【大精霊の息吹】
精霊化状態で使える千年前の
精霊の祝福、闇、死、再生を司るナミの能力だ。
同時に俺の魔改造スキルの診断で彼女を診察する。
待医師団のカルテと現代知識、精霊化の恩恵で病因を把握する。
ウイルス系の病、それも神話の頃から王族に代々遺伝されてきた神代のウイルス。
王族が強力な精霊魔法を扱えれるように力を求めた故に自ら身体に植え込んだ大精霊の霊破片。
イザナミの残した聖遺物から抽出した遺伝子、魔力因子、霊破片。
それらの移植による。強大な魔力の暴走。
体内の魔素量が少ないと霊破片の魔力に耐え切れない。
少しづつ魂と血に蓄積されていく。
正に代を重ねるごとに凶悪になっていく呪いだ。
更に、戦場から遠のく長らく平穏だったのも原因だ。
レベルが上がらず、霊破片の増殖に器が耐え切れず肉体が崩壊していったのだ。
だが、本来の霊格の持ち主がここにいる。
その娘の契約者の俺がクラリスを蝕む霊破片を吸収すれば直ぐに直る。
しかしそれだと力を全て失う。
王家が代々育ててきた遺産でもある霊破片を易々と奪うわけにもいかない。
急激な増殖と活動を抑えるワクチン、俺という異物を通して、霊破片のワクチンを精製、精霊の息吹による吐息交換と体液交換で注入する。
つまり接吻である。
「ふむぐ! むぐむちゅ♡んちゅ♡こく こく むぅーーんむ/////」
端から見ると美少女と美女のディープな接吻だ。
クラリスは始め、イキナリ中性的な容姿に変貌した俺に驚き呆然としていた。
その隙を突かれて、唇を奪われ、驚き、戸惑うが次第に目がトロンと溶け恍惚とした表情に変わっていく。
抵抗する力も失せ、されるがままになった。
やはりこの娘もナミの子孫だな。
反応が同じだ。
アリシアは顔を真っ赤にしているし、ナミは俺の意図を知っているが面白くない顔をしている。
「ぷはぁ ワクチン注入完了。
これでウイルスの増殖は抑えたから定期的に検診していこう。
あとは姫様のレベルを上げていかないとって……聞いてないか。」
クラリス王女は治療と称しての舌を舐めあう大人のキスに頭が沸騰し、目を回して気絶、アリシアは羨ましそうに睨んでいる。
「起きた時がまた大変だなこりゃ。」
「どうでした? ロイヤルキスのお味は?」
「レモン味? むぐぅ」
ナミが俺の唇を自分の唇で押し当て、俺の舌を吸いとっていく。
「んむ♥むちゅ♥ちゅ♥ぷはぁ 私のキスの味は何味でしょうかね?んちゅ♡」
「くぅ! 頼む! 私も混ぜてください!」
乗り遅れた百合娘が騒がしい。
今は忙しいから、後でな。
◆◆◆◆◆
クラリスはなんとか持ち直した。
ナミはツヤツヤしだした。
事後状態のアリシアは俺が精霊化を解除したら、泣きそうな顔になった。
「アキラ様~♡ 常に
「艶っぽい声を出すな!、耳に息を引きかけるな!! 顔が近いんだよ!!!離れろ!!!!」
この百合娘が!
「んん! それで容態はどうですかクラリス王女。」
「は はい! も、問題ありません!」
クラリスは緊張のあまり 言葉がカミカミだ。
やっぱ怖いよな~。
精霊化したからいつもの猛禽類?な顔から、刃物のような印象を与える美女に変身して無言で迫ってきたのだ。
それもイキナリ唇奪ったんだから。
あ~ダメだ自己嫌悪になる。
でもあれが一番効果的だったんだよ!
「ワクチン《薬》を入れたからこれで命の心配は無い。
取り除くこともできたんだけど、君たちには必要な力なんだろうから残しておいた。」
「では……」
「医者としての仕事は終わった、今度は家庭教師としてナミの魔力に耐えられるよう修行だな。」
「ということは、再び、あのお姉様に会えるのですね!」
いい加減にしろ百合娘が!!
王女一人に絞ってろ!!
「不本意だがそうなるな。というかアリシア お前は別に参加する必要が……」
「私は姫様の護衛でもありますから常にお側にいますよ?」
「なんですか! 主様は渡しませんよ!」
「いえ。ナミ様 精霊化した状態の時だけですから。」
……放っておこ。
うん、ナミが増えた感じだ。
救いなのはナミ見たく、腹黒くも無く、ヤンデレ属性が無い位だな。
「あ そうだクラリス王女? さっきは済まなかった。 治療とはいえあのような方法で」
「いえ 必要なことでしたのでお気になさらずに……私も突然のことで驚いただけですから」
そういって顔を真っ赤する王女。
うん、心が盗まれてます。
「助けてくれてありがとうございます。 アキラさん。」
「それを聞いて安心しました。 それでは国王に報告を……」
「ご安心を既に報告済みです アキラ様」
ドタドタドタと走ってくる足音が聞こえるな。
さてここで親子の感動のシーンを見るほど俺は野暮じゃない。
アキラはクールに去るぜ
別に責任を取るのが怖いわけじゃ無いんだからね!!
◆◆◆◆◆
さて、現状を整理しよう。
俺は大精霊しかもクルトの民の守護神である闇の大精霊を使役している。
優秀な人材は、手元に置いておくか、敵に回るようなら始末するだろう。
国王は王女の治療と婚約で宰相派の大義名分を消すことに成功しただろう。
では宰相派の次の手は?
①諦める
②俺を亡きものにするか、ナミを奪う。
③国を裏切り外国の手を借りて内乱。
②だろうな……
グリモアの確保はアリシアは歓楽済みだから問題ない。
失敗したら③とか
まぁカカッテコイ!щ(゜Д゜щ)って感じですね。
返り討ちにしてみっくみっくにしてやんよ!
俺達のハーレムエンドへの長い階段を上り始めたばかりだ!!
未完!!