異世界攻略のススメ   作:渡久地 耕助

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決意

 田中から得た情報を纏めて行く内に疑念が生じる。

 

 俺達がこの世界に来た原因だ。

 

 半年前に同時期にこの世界に訪れたということは、俺たちは何者かに召喚されたということを指す。

 更に召喚されたのが日本人だということも偶然ではないだろう。

 

 召喚されたのなら送還する事も理論上、可能だ。

 人選が無作為だとしても地球の日本という場所から人間を指定して召喚できていることから。

 座標を指定しての召喚の可能性が高い。

 

 召喚対象をこの世界で戦争を起こす為の起爆剤になりうる能力、人格にできるとしたら?

 事実、世界中で召喚された七人の人間のうち、五名が戦争の火種になっている。

 

 この世界に来た原因は事故や偶然が重なったのでは無い。

 人の意思、思惑が合っての人為的な召喚という結論になる。

 

 つまり異世界召喚。

 俺たちは戦争の火種にするべく召喚した奴が居る。

 

「どうやら本当に殴るべき相手がいるようだな。」

 

 本格的に鍛えておく必要が出たな。

 召喚者の目的はなんだ?

 

 いや誰が召喚した?

 

 犯人がこの世界の住人だとして、まず始めに疑わしいのは王族などの権力者達だ。

 

 国家権力者が犯人なら国益のためにその高い文明知識か戦力として、つまり人間兵器として召喚するだろう。

 

 戦うべき敵はどの時代、どの国もが居る。

 

 ガリアもロマリアとは犬猿の仲と聞く。

 

 国通しの戦争では無く人類共通の敵、魔王の存在は現在封印されているか暗黒大陸から出てきていない。

 態々、攻め込ま無い限り問題は無いが、広大な大陸、資源が欲っするのはどの国も変わらない。

 

 これが理由か? 

 

 しかし同時期に各国につき一人ずつ召喚ということは?

 一国が何人でも召喚すれば力を独占できるし世界戦争にはならないだろう。

 

 もし国家が召喚したのなら国家に帰属した時期が異なる理由が見当たらない。

 

 それにシンに至っては地球人が帝国を乗っ取っている。

 

 それに召喚した人間がこの世界の人間なら、俺たちは何故、この世界の言葉を理解できる?

 俺達の世界の言語を知っていなければ召喚対象に言語の翻訳機能はつけれないだろう。

 

 固有スキルが人格や職業、嗜好に繁栄されるのならば、人為的召喚の裏づけになる。

 

 人形師(田中)は 【人形作成】【現代医術】の技術スキルに【分御霊】の固有スキルを持っているらしい。

 俺も【魔改造】という固有スキルを保持していた。

 

 人格は兎も角、能力は国を揺るがす程のものだ。

 戦争の火種には充分なりえる。

 

 現状が召喚者の望み通りにシナリオが運んでいるとしよう。

 魔王などの共通の敵が存在しない以上、各国の世界大戦が起きる。 

 つまり大戦を望んでいるなら、他の国に戦力を振り分ける必要性がある。

 

 俺達の世界の人間がこの世界を戦争で疲弊させる為に尖兵として送った?

 

 いや、それなら事情を知る訓練する人間を送り出すだろう。

 何の説明も無く一般人を地球側は送らないだろう。

 

 つまり犯人は第三者。

 

 異世界でも地球側でも無い。

 

 優れた召喚魔術を持ち、二つの世界を認識し俺たちの世界の文化、言語を理解している。

 スキルなんて超能力じみたものを与えられる神掛かった奴が犯人だ。

 そして、そいつ等はこの世界の権力者では無い。

 

 この世界を守る気も無い。

 世界を滅ぼそうとしていると見ていい。

 

 たかが一個人を召喚して世界大戦が起こるものかと思うが、

 銃や高性能爆弾等でもこの世界で使われれば強力無比な力を持てるし、魔素を限界まで吸収した【臨界者】という存在が史実にある。

 その力は単騎で都市を壊滅できるほどの戦闘能力を有し、あの死都もその臨界者が原因で滅んだという説もある。

 

 召喚された地球人は短時間で臨界者になる可能性がある。

 俺は概念攻略の法則で、通常なら打倒できない大群の魔物や強大な魔物を一瞬で屠ることができるし、

 事実、田中は大量の人形を【分霊】で憑依し、人海戦術でレベルを上げることができる。

 

 他の5人は戦闘能力に長けているらしい。

 つまり、この人間兵器は個人で核兵器並みの戦闘力と兵器と文明を加速度的に発達させる知識を有しているのだ。

 中世では異端者として狩られ可能性もあったのだが、魔法があり、単騎でこれだけの戦闘能力を有するのなら話は違ってくる。

 

 魔女狩りの様な者がいても単騎で返り討ちか逃げ果せる

 国が保護するし、いずれその力を知識を吸収した後に、世界規模の戦争が起きるだろう。

 

 実際、シンはもう動いている。

 

 

 そして世界規模の大戦が起きた時、浮き目に遭うのは俺を手に入れていなガリアだ。

 

 ガリアは魔の森、竜の墓場というダンジョンによる天然の防御網がある。

 仮に戦争になった際、近隣の国に取り囲まれ、魔石、ソイルの結晶たる魔石坑を補給路とする為、食い物にされるだろう。

 このままではガリア王国が戦場になってしまう。

 

 どう動く。

 戦争を止めるには?

 

 仮に召喚者の目的がシナリオ通りに進まなくなったときは? 

 

 何らかのアクションを起こしてくる可能性がある。

 帰還方法はいずれ開発か発見し、自力で帰還することも考えた。

 だが、このままでは俺が帰った後、誰か他の奴が召喚されてしまい何の解決にもならない恐れがある。

 

 召喚者を特定し、召喚方法を破壊、封印する必要がある。

 

 アースにいるのか?

 それとも術者は地球か?

 いや、召喚魔法は魔法だ。

 地球には魔力は無い。

 

 個人で持っている奴は居るかも知れないが、資源として魔力は存在しない事は魔力を使えるようになった今の俺なら判る。

 この世界の何処かに奴等は居る。

 

 とにかく現状の取れる方法はシナリオを変えることで、召喚者の反応を知ること。

 帰還方法を確立すること

 実力をつけることだろう。

 田中の証言も裏を取る為に各国に影分身と影の使い魔を送って調べるか。

 

「俺以外にもこの話を?」

「いや 君だけや、君だけは調べたところ他の皆と(ちご)うて国とは一定の距離を取っとるから話せたんや。」

 

 国と距離をとったのが幸いしたな。 

 

「カグヤとやらにセクハラ紛いの発言さえしなければよかったのにな。」

「せやかて!あんな絶世の美女見たらモデルにしたいって思うって!

 しゃーなかったんや~ワイの純粋(ピュア)な心から彼女の人形を作って愛でたかったんや!」

 

 うん、コイツは戦争の火種にはならないだろう。

 医学知識と諜報能力目当てか?

 能力と知識、技術は高いが人格が戦争とは別のベクトルに行き過ぎてるぞ。

 

 自由すぎだろ。

 

「いや 変態も同然の企みだな。」

「うう、カッとなってやったんや 反省はしとる。ところで隣のお嬢さん!ワイの作品のモd」

「反省はどこいった!!!」

 

 思わず拳骨で殴りつける

 

「が がふぅ!」

 

 人形は余程精密に作られているのか殆ど人間の殴り応えだった。

 

「いたたた」

 

 涙目で俺をみる人形 結構シュールだな。

 

「それで、俺以外にも情報交換しようとしたのは分かった。 

 交戦したブリタニア、ポルトガ、シンは他の地球人の存在を認識していて、現在俺だけが未確認の地球人て訳か?」

 

「そやけど なんや 秘密にしとこか?」

「いずれバレるが、今は公にはしないで欲しい。

 いつでも同郷のものが接触しやすい様に自由の槍という受け入れ先も作ったが予定が変わった。」

 

 まだコイツがこちら側の人間という確証はない。

 情報交換しないまま破壊を選んだカグヤの選択も間違ってはいない。

 

 こいつの能力上、監視役には打って付けの能力を持っている。

 召喚者というか今回の主犯と地球人の誰かが繋がりを持つ。

 共犯者の存在も考えなくてはいけない。

 

 それにコイツは俺の苗字を呼んだ 渡辺と……

 

 俺の性はギルドカードには登録した時、にワタナベと書いている為、ギルド職員は把握しているだろう。

 だが、ナミと契約した際に強化されたスキルの【隠蔽】や【認識阻害】の能力で情報を改竄している。

 

 王宮に呼ばれた時も 「アキレウス・ブラック」と認識されていたし、

 親しい者にも「アキラ」と名乗っても「ワタナベ」とは名乗っていない。

 

 ギルド職員のリンから俺の本名が王宮に報告されていないのも先のスキルで情報を改竄したからだ。

 つまり渡辺という本名をフルネームでしっているのは契約したナミ以外、存在しない。

 

 スキルに【読心能力】いや読心能力があるのなら会話や接触を試みようとはしない。

 なら【隠蔽】を破れる【透視能力】を有している可能性もある。

 確認したいがこいつは人形を操ってここに来ている為、俺の【魔改造】に含まれる才能を見破る透視能力が効かない。

 スキルで作られた人形を見れば【人形作成】【分霊】【現代医術】の3つのスキルで作られたことが分かるが、本体の情報は見れない。

 

 後者の人形越しに相手のステータスを見破る【透視】、異世界人が個性、才能、環境、嗜好に準じたスキルを会得するなら、

 人形、患者を観察、診察することから透視能力を有している事に説得力が増す。

 

 だが、もし前者だった場合、こいつに近寄られるのは危険だ。

 かと言って破壊しては、コイツを通じて主犯への手がかりが消える……泳がすしかない。

 

 クソ! 疑いだしたら全てが敵に見えてしまう。

 

 違う。

 召喚者の目から避けるように暗躍する事を心がければいい。

 この手でいこう。

 

 他愛無いやり取りをした後、田中を俺の嫁に手を出すなと追い出した後、熟考する。

 

 召喚者はぶん殴る。これは決定事項だ。

 他の異世界人と戦闘になった時、個人のスキルや武器が相手に知られても、対策出来ないように仲間を募り、策を練る。

 

 それに俺が召喚者に対して戦争の火種になるならならないは問題ではない。

 ガリアに所属していようとなかろうと、戦争はもう、起きる。

 

 だが、思い通りにはさせない。

 潜伏して、召喚者の思惑をぶっ壊してやる!!!

 

 

 この異世界を攻略すると決めたのだ。

 

 やってやる。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 ―誰にでも転機は訪れる。

 

 そして、この日、田中と出会った事、召喚者の事を知り俺が異世界攻略を決意した事は……

 確かにこの世界にとって大きな転機となった。

 

 

 


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