七人目の異世界人が現れた。
しかもロマリアの勇者同様、千年前の闇の御子魔王の再来として現れた。
クルトの民が待ち望んだ女神の復活というニュースに世界がどよめいた。
巨像を一撃で葬り、大軍を相手にしても一瞬で壊滅させるその実力。
これまでの武勇で、相対した物を一撃でその命を刈り取ること。
同じ大精霊の契約、加護を持っている。
戦女神、神剣に因み「漆黒の死神」という二つ名が広まり、ガリアの英雄【漆黒の死神】の名は世界中に轟いた。
余談ではあるが、この二つ名を付けられた当人はまた喀血した。
そして改名を試みる為に奔走するが失敗に終わるのはどうでもいい話である。
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ブリタニア 王宮 女王執務室
「ううベスちゃ~ん。
ガリアの漆黒の死神にモノっそい怖い顔で睨まれたッス~。
クチパクで脅されたッス~!
あたしガリアの救援に行っただけなのに~!」
黒衣のローブにデフォルメされた絶叫の仮面をつけた少女が執務室に座る女王に泣きついている。
かなりシュールな光景である。
「マリア? そんな仮面で泣きつかれても反応に困るのじゃが…
まぁ災難ではあったの。」
そう言って自分より大きい、仮面の女を慰める少女。
「如何やら我らとガリアを潰し合わせる為に工作した輩が居る様じゃの。
マリアが本気でガリアを攻め込んでおればたとえ負けはしても、王都など更地であったろうに……」
そうブリタニアはガリアを攻める気は無い。
同じ、始祖の系譜を持つ友好国である以上、味方にはなれど敵になることは無い。
何者かの情報が歪めれているのだ。
「結果的に我が国にとっての神の契約者を見つけれたのじゃから良しとする。それに、わらわが守ってやるから安心するがよい。ほれ何時ものように凛々しいマリアはどうしたのじゃ?」
その口調と異なり、幼い声、容姿をもつ齢13の女王エリザベス。
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ブリタニア
佐藤・マリア
七英雄 【悪魔使い】
クラス 召喚士・魔物使い
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「グスッむぅ~見てなさいよあの死神め~.
というか死神って何すか! 卍開でもやってなさいよ!」
……仮面を地面にたたきつけ、金髪のセミロングの少女の顔が出てくる。
顔を真っ赤にしてその青い瞳には炎の闘志が宿っていた。
「……同胞の国じゃし争い事は無しじゃ。 しかしアノ海の向こうは暫くあれそうじゃの。」
才気、カリスマ、実力を兼ね備えた若き女王は自身の親友にして最強の配下をあやしながら今後の方針を考え始めた。
~ポルトガ 港町~
「船長さん! ガリアに新たな英雄が出たってよ! 船長と同郷の人間らしいぜ!」
港町、セントパレス港の街では他の海賊と魔物をカモにして戦う一味。
ハイブリッジ海賊団が滞在している酒場に新聞売りの少年が酒場に掛けこんでくる。
「ふふふ どうするんだい船長?こいつに一つ挨拶にでも行くかい?」
船長帽を被り、両腕に海賊の刺青を彫った短パンにビキニタイプの水着で胸を隠し、
海賊服のコートを羽織る女傑が短銃を片手に好戦的な笑みを浮かべる。
それに呼応するように、酒場の幹部達も同様に笑うが船長は興味が無いようだ。
「おいおい 何時から俺たちは戦争屋になったんサ?
俺達の目的を忘れんなよ?
新大陸の開拓準備が忙しいんだから相手にしね~よ。もっとも?俺達のシマに攻め込んでくるなら容赦はしないがな?」
そう言いながら、日に焼けた褐色の肌を持ち、染色ではなく脱色で色がぬけた茶髪の男が不敵に笑う。
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ポルトガ
ワタル・高橋
七英雄 【海賊王】
クラス 剣士・海賊
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~ロマリア~
「今日はずいぶん張り切ってるね勇者ちゃん 最近現れたガリアの英雄が気になるかい?」
とある山の中で魔術師の格好をした妖艶な美女が巨大な竜の亡骸の上に腰掛けている少年に向かって語りかける。
「アナスタシアさん! 勇者様に向かってその口の効き方は!!
……というかアナスタシアさん?
貴方の先祖の神様が相手なんですよ?何か思うところは無いんですか?」
尼服を来た少女がアナスタシアと呼ばれた魔術師の女性の物言いを咎めるが、
最後は彼女自身を心配する口調になっていることから、根は優しい少女であることが伺える。
「そう思ってんなら最初からあんた等と組むわけないでしょうに。」
心配するなと同性でも見とれる笑顔で答える魔女。
「大人って大変ねぇ~それで?やっぱ気になる? ガリアの魔王は?」
虎の獣人の女戦士が、呆れながらも勇者の隣に飛び立ち、彼の真意を確かめる。
「ええ。」
異世界人にして、最強の聖人認定を受けた少年は満面の笑でただ短く、返答した。
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ロマリア
山本・シュウ
七英雄 【神剣の勇者】
クラス 勇者・聖人
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イシス
「くっくっく やっと動いたかなべやん!
待ちくたびれたで。
随分長い間引きこもっとたんか知らんけど今ならこの引きこもり生活の気持ちを共有で……ハックシュンン!! ずず、おお鼻水が…」
ちり紙で鼻をかみつつ しまらないセリフを吐くヨシツグ。
彼は自分の出番はここでは無いと笑いながら、今日も人形を作り続ける。
彼の研究室には、美しい人形たちが役目を果たすときは未だかと今か今かとその存在を主に無言で訴えていた。
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イシス
ヨシツグ 田中
七英雄 【人形師】【神の見えざる手】
クラス ???
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ルーシ
「ほう 遂にガリアにも動きがでたか これは楽しみになりそうだネェ~ 俺と戦う時も近そうだ。」
トレーニングルームで訓練を続ける筋肉質の大男が嬉しそうにほほ笑む。
そうなれば近いうちにあの女帝から直々に指令が来るだろう。新型の兵器とこの肉体の成果とテストが出来るいい機会だからだ。
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ルーシ
ゴウタロウ 鈴木
七英雄 【鉄人】
クラス 鍛冶屋・武術家
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ヴァルキュリア帝国宮殿内 会議室
黒髪の少女
「ガリアに私と同じ異世界人がいたってホント!? ユイファン!?」
「ハッ。シン州の民族とにた黒髪黒眼の特徴に、陛下と同じく強力な魔力を備える青年です。」
「素敵な方でした?」
その質問の意図にユイファンと呼ばれた女性は内心、嘆息する。
また、悪い癖が始まったと。
「……名前は アキラ=ワタナベ
以前はアキレウス・ブラックでしたね。
鷹のような鋭い眼光と鷲鼻を持つ猛禽類の様な相貌をもつ男です。
あらゆる魔物を一撃で仕留めその中でも、あの“黄泉の入口”を踏破するなど今まで無名だったのが不思議な男です。
そう思って調査した所、国全体に記憶操作を施していた痕跡が見つかりました。
強力な催眠系、洗脳系のスキルも有していると思われます。」
相変わらず、どこか掴めない主の言葉に面喰らいつつも律儀に報告する宰相・ユイファン
「へー。鷹の様な殿方ですか。きっと素敵なご尊顔ですのね。早くお会いしたいわぁ♡」
いや、そこじゃないでしょう。
と、会議室内の幹部達は内心突っ込みを入れる。
端から見れば年若い女性たちが談笑している光景に見えなくもない。
だがここは会議室内で、話す内容は軍義であり
出席しているのは、帝国内の重鎮ばかりである。
どう考えてもそんな会話をする場ではない。
「【黒のアキレウス】っていやぁ聞いたことがあるよ。
確か、私の古巣のバカたれ共が言ってた恩人だね。
何でもどんな相手も一撃で殺す英雄で死都解放の立役者だそうだよ。
あと錬金術での新型ポーションの製作者って話だったかね?」
元ガリアのギルドメンバーにして結婚後引退し旧ゲルマニアの宿屋の女将だった女性。
【潜血のアデーレ】が古巣の「蛇女の尻尾」からの便りに記されていたガリアの英雄の事を話し出す。
当時はガリアの新たな英雄かと思ったが、異世界人みたく国政に関わるわけでもなく、一、冒険者か、学者などこの世界の住人の域を出ない活躍だったのであまり、気にも留めなかったのだが……
まさか自分達の大将と同郷の人間だとは当時は思い至らなかった。
「そうですね、私が調べた情報とも一致しています。」
「私は国民にかけた記憶操作が気にかかる。
一撃で相手を仕留める術より、洗脳系のスキルを有するとは厄介だ。
正面きっての正攻法に持ちかけられるかどうか。」
騎士といより、剣士といった印象が強いエルフの女性が意見する。
人種の坩堝と化している帝国では実力さえあれば女性が要職に就くように例えエルフだろうと魔族であろうと将軍になる事も出来る。
はぐれのエルフであったアリアもその剣士としての実力と狩りの際の統率力を見込まれ、カグヤが直々に将軍に就かせた女傑である。
そのアリアもアキラの異常性、危険度は感じていた。
エルフであるが故の霊感が、ガリアの英雄にカグヤと似た気配を感じたのだ。
「その心配はないです~。彼が用いた記憶操作は自分を別人に認識させるか、存在感を希薄、幻惑する類の者です~。でなければ、私たちは彼を認識できませんし~もし彼に敵意があり強力なスキルなら、今頃私たちはこの世にいないです~。」
間延びした声で褐色の肌の研究員のミーナが答える。
【錬金術師ミーナ】
中東出身を思わせる褐色の肌の少女。
将軍とは思えない錬金術師の装いをしているが、彼女は理論上、最強の肉体と頭脳を有していると豪語する錬金術の業が生み出した存在である。
「偵察職が使う【隠密】のようなハイディングスキルの域を出ないと?」
金髪縦ロールの令嬢、宮廷魔術師のエレノアが確認を取る。
「はい~。一度認識していしまえば効果が消えるのもハイディングの共通点です~。」
「ガリアと私たちは一応、相互不可侵の協定を結んでいましたね……
こちらから仕掛けるわけにはいきませんが、ガリアの英雄さんには是非、我が帝国にご招待しませんと。」
新しいおもちゃを見つけたような満面の笑みを浮かべ、【世界最強の女】が動き出す。
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ヴァルキュリア帝国
カグヤ 伊藤
七英雄 【蒼炎の戦女神】
クラス 武神・皇帝
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激突の時は近い
一章 ガリア攻略のススメ 完
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