異世界攻略のススメ   作:渡久地 耕助

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バイト戦士

 数日後

 

 未だ街から出ず、スライム一匹狩らずに今日も一日労働に汗を流す男がそこにいた。

 というかその男とは俺だった。

 

 まぁ冒頭から情けないようだがちゃんと理由(ワケ)はあるのだよ明智君?

 

 最近街で評判の黒づくめの薬屋!

 効果が高く、甘く香り高いポーションや携帯保存食を売っているという。

 

 はい、俺のことです。

 

 前に錬金術師の生産スキルに【薬品調合】があるって言ったでしょ?

 そう、作ってみたら苦い、臭い、飲みにくいの三連コンボだったっしょ?

 少しでも飲みやすいように果汁と蜂蜜を混ぜて飲みやすくしたんですよ奥さん。

 

 小児科でよくあるでしょ? シロップ味の薬。

 さらに!漢方やナノベリーみたいに瞬間冷凍で氷漬にして粉砕調合(魔改造で対象の熱を瞬時に奪う。)

 副産物で死ぬほどまずく、凶々しいドクロっぽいオーラがでるポーションも出来たが、此方は後で置いておく。

 とにかく細かく砕いたり、煮出したり試行錯誤して作り比較的上質なポーションを作成!

 

 

 ……で、客集めに一人ポーション5本まで、携帯食料は2個までで限定販売にして露天に出したが直ぐに売れきれた。

 他にもカ○リーメイトを参考にブロック状の携帯保存食を【調理】【薬品調合】のコンボで制作!

 

 妥協はしない。

 

 なぜなら今の俺は元いた世界へ帰る為、この世界でも生き抜くために戦うバイト戦士だ。

 油断したら死ぬ(死因は餓死か病死)

 

 クラスも吟遊詩人、執事、日雇い作業員、薬師、錬金術師、露天商と転々としていった。

 そして現在はステータス表にはバイト戦士と表示されている。  

 

 目標は斥候系、魔法使い系、忍者なんだが…遠ざかってるな。

 いや、生きるためだ。

 この際、しばらくの間はクラスについては考えるのはよそう。

 ステータスも筋力(STR)体力(VIT)敏捷(AGL)技能(DEX)知識(INT)は大きく上昇している。

 

 レベルは相変わらず1のままだが資質と技能の向上は成功した。

 後は金だ。

 マネーパワーを手に入れるのだ。

 

 世の中、金だ。 

 金こそ力だ。

 

「あれ? 兄ちゃん。前に広場で劇や歌を歌ってた吟遊詩人じゃないかい? 薬師だったのか?」

 

 見上げると、初日に見かけた革鎧、片手剣の銀髪青年と魔女っ子がいた。

 この二人パーティだったのか?

 

「いらっしゃい。ええ 副業で今日から露天でポーションや携帯食料を売ろうと思って

 従来のものとちがって効果が高いうえ味と香りを改良して飲みやすくしてあります。値はちょっと張りますけどね?」

 

 営業スマイルで二人の客を呼び込む。

 ふふふ、絶対逃がさん。 

 

「ははは 確かにポーションは苦ぇし。携帯食は味気ねぇな。」

「……マズイ。」

 

 うんうん掴みはOK。

 客とこういう共感を得るのは必要だ。

 

「でしょ? 戦闘中にあんな苦いもん飲めないしね? 味と効果は保証するよ。」

「この携帯食料はクッキーみたいだな?」

「それも味をつけてるし、ハーブも混ぜてある一品だよ。結構腹持ちもいいんだ。」

「色が違うがコレは?」

「白、緑、赤、黄とあるけど、味が違うだけ。

 青は解毒効果付き 従来のポーションの3~4倍以上の効果があるよ。

 携帯食はチーズとフルーツ味がある。」

 

 質問に対して若干、大き目の声で周りの客にも聞こえる様に話す。

 男の声に何人かの足が止まり、人だかりが出来始める。

 

「おいおい ほんとにそんな効果が? うめぇだけじゃなく?」

「ああ 全回復するね? 嗅いでみるかい?」

 

 きゅぽん! とコルク栓を抜きかがしてみせる。

 

「マジかよ? これほんとにポーションか?」

「……いい」

 

 うん、ちょっと怪しいスキルを使って怪しい男が調合したがポーションだ。

 無免許薬剤師が調合したが危なくないよ? 

 

「まぁ、試してみてよかったら宣伝してくれ。」

「ああ、白と黄色、あと青を一本ずつ。いくらだ?」

 

「3000Z 銀貨三枚です。」

 

 大体三千円だな。

 

「高ッ! 普通のポーションの十倍かよ!?」

「美味い いい匂い、効果は3倍以上、適正価格だが?」

 

「むぅ……」

「次来た時、空瓶持ってきたら 一割は割引するよ」

「……買うわ。後ベルトと携帯食をフルーツ味2つ」

 

 おお、さすが魔女娘、薬に関しては一家言でも持っているのか。

 効果を見抜いているのか、迷いが無い。

 

「ベルトはサービスするよ 携帯食は一つ銅貨二枚だから、銅貨四枚になるな3400zになります。」

 

 銀貨3枚半受け取り、お釣りに銅貨を一枚返す。

 

「……携帯食は安いんだな」

「まぁ 嗜好品じゃないんだから食べ物にそこまで値はつけないよ。適正価格だよ。」

 

「いつもこの時間帯に?」

「ああ ティータイムの時間になったらいつもどおり、公園か広場で吟遊興行か紙芝居をやってるよ」

「ははは まぁ早速試してみるか。」

 

 そういって二人は去っていった。

 

 そしてこれを皮切りにさっきのやり取りを見ていた人だかりが、薬と食料を購入していった。

 飲みやすく効果の高いポーションと腹持ちが良く美味い携帯保存食を買っていった。

 

 睨んだとおり、このセットは売れる。

 くっくっく明日は大量に生産しておかねばな。

 

 売り切れたので店を畳み、背中に弦楽器を背負って広場へ移動。

 

「世界に一つだけの花」、コブクロの「桜」を熱唱。

 あと紙芝居で「桃太郎」を西洋風にリメイクして演じる。

 

 御ひねりで小銭を稼ぎ、今日は早くに仕事を切り上げ宿屋へ戻る。

 

 部屋には事前にギルドで補充しておいたと薬の材料と空瓶を大量に揃えてある。

 後はガンガン大量生産しておく。

 

 量産体系を整えるために新しい機材も揃える事を視野に入れておくか。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 翌日、台車を引いて露天を開く俺。 

 くくく、昨日早速試し、昨晩か今朝のうちに一気に広まったのだろう、リピーターを獲得だ。

 行列が出来てるよ。

 

「おい 兄ちゃん昨日のポーション売ってるか?固形食料でもいいぞ!」

「……美味しかった 空瓶返しにきたけど他にも同じサイズの空瓶もあるけどいい?」

 

 昨日の二人組みが行列の先頭で待ち構えていた。

 

「いらっしゃい その分だと満足してもらえたようだね。ああ同じサイズなら割引も効くよ。なかなかヤルね?」

「俺とアニでポーションを全種類二本ずつ計10本と固形食料を二種類ずつ4つ頼む」

「豪勢だなぁ じゃあ ビン十本と交換割引で9000と800zだな」

 

 さては高レベルの冒険者なのだろうか。

 コレくらいポンと出せる様に稼ぎたいね。

 

「……金貨で」

「はい釣りの銅貨2枚と」

 

 因みに両替用の小銭は日ごろの吟遊詩人の活動で大量にある。

 抜かりは無い。

 

「ベルトか袋はいるかい?」

「……用意してあるからいい」

「まいど~♫」

 

 そして巻き起こる狂乱の渦。

 

「俺にも売ってくれ!」

「私も!」

「はいはい~」

 

 うん、でも薬物依存か?ってレベルで客が来た。

 やはり、魔改造をベースに作った薬だからか?

 

 ちょっと気をつけよう。

 


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