異世界攻略のススメ   作:渡久地 耕助

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スキル作成×修行

 前回の一件で市場を混乱に陥れたアキラです。 

 

 うん端折りすぎたな。

 詳しく言うとあのあと薬師や商人、王国の兵士が大量に薬剤と食料を求めてきた。

 それだけなら良かったが権力者とか商人の組合とか出て利権やレシピを聞き出そうとしたりしてきたのだ。

 

 現代知識が在るとはいえ俺の目的は商人として大成する事では無い。

 もともと名を売るつもりも、ありませんでしたしね。

 あくまで活動資金を得る為。

 

 需要に対して供給が間に合わない為、薬師の副業と吟遊詩人を休業してリィーンさんに相談。

 ギルド専属の薬剤師、商店にレシピを開示すると同時に利益の何割かを俺に来るように交渉。

 結果、当面の活動資金を獲得し、市場は一時的に混乱を極めたが、しばらくしたら沈静化するだろう。

 

 正に劇薬の様な効果を齎してしまった。

 異世界は怖いところだべ。

 

 とにかく軍資金を手に入れ、資質とスキル熟練度も高まった。

 次いでに雑務をこなす事で街の住人から信頼も得たし、ギルドに恩も売れた。

 

 後は手付かずの魔法スキル。

 白魔法と黒魔法の習得に入ります。

 

 黒服で貴族風の冒険者

 文芸、商才、薬師、雑務、家事の達人、教養の高さからも安直に

「黒執○」なんて二つ名がついてしまったが……

 

 あくまで、執事ですって…

 あんな完璧執事さんと同類にしないでください! 

 俺はただのしがない(元)教師の卵っすよ!

 ほんと勘弁してください!!

 

 とにかく!

 鍛錬とスキルの熟練、資金稼ぎが目的だったため! 次は魔法の習得だ!

 

 そう魔法使いの弟子って奴だ!

 魔法使いの助手としての錬金術、【薬品調合】【調味料作成】【調理】【鍛錬】【修理】

 

 錬金術は台所から発生したと言われるように料理とも縁が深い!鍛冶師の能力も得られる!

 ふふふ魔法使いなら喉から手が出る程の物件ですよ?

 

 何せ弟子にすれば 高級ポーション、魔法の触媒、美味い飯が付いてくる上に執事っすよ!?

 さ~て 魔法使いの助手を求める依頼はないかなっと 

 いや、自分で探すより、リィーネさんに紹介してもらおう。

 

 できれば露店市場の常連となった魔女

 アニの弟子がいいな。

 あれ? でも相棒のガーコちゃんと付き合ってるのか?

 

 だめだ、三角関係は死亡フラグだ。

 やっぱリィーンさんに相談しよ。

 

 10時頃ならギルドも空いている時間帯だしな。

 朝早くなら、俺、目当てのお客さんもいないだろ。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 ~ギルド~ 

 

「魔法使いの弟子入りですか……」

「はい 本格的に学ぶ為に魔法スキルに長けた人の下で師事したいんです。」

 

 そして出来れば可愛い娘がいいんです。

 ジジババは駄目、合法ロリでもいいよ? とは口が裂けても言えない。

 

「信用のある方が分からないのでギルドから信頼のある魔法使いを紹介してもらおうと思って。」

 

 もしくはイケイケのお姉さんでもよし。

 

「アキラさん 以前教会での雑務クエストを受けたことがありましたよね?」

「あの 丘の上の教会ですか?」

 

 妙に体格のいい神父さんが一人で切り盛りしている孤児院を兼ねた教会だ。

 何度か雑務クエストで清掃や、子供の世話をしに行ったことがある。

 あの子供たち、何回言い聞かせても俺のことをおじさん呼ばわりするやんちゃっぷりだから。

 荒事、専門の冒険者が多い中、この仕事を受ける人も少ない。

 俺、以外だと妖精の涙っていうこのギルドの主力メンバーの一人が受けるくらいだ。

 

「はい、あそこの神父さんが魔法スキルと近接格闘術の達人だった筈です。」

「マグドレア神父が?」

 

 あの見た目、金髪碧眼の爽やか兄さんか

 …なのに俺より10以上歳食ってるのに俺より若々しい神父さんが?

 職業的にはモンクだな。

 

 確かに体つきもいいし、歩き方も達人のそれのようにバランスが良かった。

 でも黒魔法も使えるとは。

 

 魔法拳士?

 

 元いた世界だと、教会の神父が黒魔法を使うなんて、異端どころの話じゃ無いと思うんだが。

 

「光属性の黒魔法は光の大精霊の御技でもありますから十字教徒の方も黒魔法を修めていますしそんなに意外と言うことではありませんよ。」

 

 俺の心を見透かすように、リィーンさんが補足する。

 へ~なんか偏見もってたかも。

 

「では彼に師事します、紹介状とか発行してもらえます?」

「アキラさんでしたら大丈夫だと思いますが……期間はどれくらいで?」

「一ヶ月程、新薬の件で色々、騒ぎを起こしたのでほとぼりが覚めるまでって事で。」

 

 最近じゃ、薬を求めて宿屋に押しかけたり入口で待ち伏せられたりしたからな。

 

「確かにそうですね。それでしたら暫くの間、寂しくなりますね。」

「ははは 時々顔を出しますよ! リィーネさんの笑顔は私の活力ですから!」

 

 おどけて力こぶを出す。

 

「くすくす… ありがとうございます。」

 

 そう言ってお互い笑った後、紹介状を受け取った。

 

 因みに合法ロリもイケイケお姉さんもいなかった。

 残念!!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 さぁ ギルドを出たら真っ直ぐ教会に向う。

 いざ!魔法スキルを!

 

「ちょっと待ちな 黒執事の兄ちゃん。」

 

 ……なんか既視感 俺が何か決意したときは何かしら邪魔をする決まりでもあるのか?

 

「……なんです?今から仕事に行くんで邪魔しないでくれますか?」

「どうせ また雑務だろ?

 それより今から俺たちのダンジョン探索についてこいよ!

 囮か盾にはなんだろ!」

 

 いやじゃあ

 ライバルの息子を庇ったりしても、お前らの盾はいやじゃあ。

 

「いや 前からこの依頼を探してたから、お断りします。」

 

 そしたら俺の肩を掴んできやがった。

 イラっと着た瞬間、脳裏に戦闘スキルが浮かぶ。

 

 【首狩り】【心臓突き】【拳闘術】【投擲】

 

 

 あまりにも絡まれるので、対人戦闘を想定したスキルを習得しておいた。

 いや前二つは殺傷能力高過ぎる。

 

 俺のレベルは未だ初期状態だがステータス的にはレベル10~20台は軽く超えている。

 加えてドーピングや魔改造された武器、スキルの熟練度が多少のレベル差を覆す程にまで高められている。

 

 一瞬だ。

 一瞬で、ケリを着けれる。

 

 マテ、俺はいつの間にこんなに好戦的になった?

 …落ち着こう、冷静に事を進めるんだ。

 

「離してくれませんかね?」

 

 汚い手で一張羅に触んなよ!

 この世界にゃコインランドリーも無いんだぞ!!

 

「うるせぇ! 黙って付いてくりゃいいんだよ!」

 

 オイオイ、いきなり切れんなよ……沸点低すぎだろ。

 

 ハァ……今迄 ギルドでこういう手合いとは相手をしてこなかった。

 よくみりゃ、俺のことを小銭稼ぎと腰抜けとか陰口叩いている馬鹿どもじゃないか。

 

 同じ冒険者でも、片手剣のガーコルトや魔女っ子のアニとはエライ違いだ。

 大方、最近俺の評判をやっかんできて、絡んできたのだろうが、相手が悪いぞ?

 

 レベルは低いが、装備、技能共に伝説級に鍛えてるんだ。 

 燃えないゴミから作った伝説級の片手剣【稲葉】の錆にしてやろうか?

 

「馬鹿か? そんなこと言われて本気で付いてくるとでも? 

 ダンジョンに潜る前に棺桶にぶち込んでやろうか?」

 

 下手に出て、敬語を使っていた俺の口調が変わったことに馬鹿どもが一瞬怯む。

 

 状況と周囲を確認する。

 周りの冒険者は止めようとしない

 この時間帯に仕事にいかず、ギルドで酒飲んだり、くすぶってるやつらだから当然か。

 それとも俺の実力を確かめようとする猛者……は、無いか。

 

 透視眼でステータスを見ても雑魚しかいない。

 

 目の前の馬鹿どもと同じ穴のムジナだな 程度は知れてる。

 

「んだと!てめぇやる気━━「なんの騒ぎですか?」」

 

 おお、リィーンさん登場!

 流石にギルド職員が止めに入ったな。

 

「この人たちが私の仕事の邪魔をしてくるんですよ。勧誘や親切の名を借りた新人潰しですかね?」

「……アキラさん押さえて下さい。ここで人死にを出すとあなたを庇いきれません。」

 

 …アレ、思った以上に殺気が漏れてた?

 というより、相手側の命の心配もしてる。 

 俺、此処では雑務しかしていない新人でつい最近、薬学で名を売っただけだ。

 まだ、武名は上げてない…

 

 仕事柄、得た慧眼…それか、俺と同じようにステータスを見破る(スキル)を持っているのか

 そこで初めてリィーンさんを警戒し、ステータスを見破ろうと試みる。

 

 見えない……

 砂嵐の様な、霧の様な者が彼女を纏って透視が阻害されている。

 レベル差か、緊急措置として習得した透視眼を以てしても見れない…

 

 何者だ。

 

「……彼は知っての通りギルドに溜まった雑務クエストを消化してくれる優秀な冒険者です。

 また彼はギルドが紹介した仕事にいく途中でもあります。 

 これを妨害するというのならギルドの信頼を損ねる行為と見なしますよ。」

 

「な、なにを」

「どうやら、お忘れのようですね?

 確かに、ギルドは冒険者、探索者で構成されています。

 ですが本来は徴兵義務が科せられた『自警団』『駐屯兵団』です。 

 騎士や兵士等、国が抱える正規兵とは違い、国の予算では無く、民間からの依頼を受けて軍事費を稼がねばなりません。

 その為、雑務クエストも我が兵団を維持するための収入源の一つです。 

 これを害する行為がギルドにとってどういう事か……思いしらせて上げましょうか?」

 

 荒くれのハンター達の顔が青ざめていく。

 組織に身を置く以上、それに仇なす事がどういう事か彼らは俺以上に知っているのだろう。

 

「加えて、今ここにいない冒険者はアキラさんが開発した新薬ポーションと固形保存食の恩恵で生存率、依頼達成率が飛躍的に上昇した者達ばかりです。 

 他の優秀な人材を守ってくた恩人に害をなすようなら容赦しませんよ。」

 

 あ、やっぱそうなんだ優秀な冒険者は金払いもいいし、当然だね。

 

「く……行くぞてめーら!!」

 

 不利を悟ったのか、

 そう言ってギルドを出る馬鹿ども

 どうでもいいけど、あいつらのチーム名なんだっけ?

 

「ありがとうございます リィーンさん。しかし宜しかったのですか?」

「あれぐらい脅さないとまた繰り返します。 それよりお仕事頑張ってくださいね。」

 

 そう言って微笑むがさっきの立ち回りと俺の実力を見破り、ステータスを隠蔽できる事から彼女を少々警戒する。

 

 只者じゃないね。 どうも。

 こりゃ、早く魔法を物にしておかないとな。

 

「半分弟子入りですけどね。 いってきます。」

「はい いってらっしゃい。」

 

 さて今度こそ出発しますか!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 ~マグドレア教会~

 

 トゥールーズの街 丘の上にある教会

 

 マグドレア神父という子持ちとは思えない見た目、若い神父が運営する教会で、孤児院を兼ねている。

 

 今朝の一件で道中、調べたところ この教会は敬虔な信者と元冒険者達の寄付で運営されており、十字教の総本山のロマリアの影響の無い施設らしい。

 

 僧侶であるにも関らず、戦闘技術に長け、白魔法だけでなく、黒魔法をも使用出来たため、祓魔士としても活躍していたが、精霊信仰と十字教を差別化しない変わり者だったが故に当時のロマリア本国のお偉いさんから不興を買い、破門された為、ガリアに冒険者兼宣教師として移り住んだらしい。

 

 だからこそ、魔法の腕はギルドお墨付きを得たみたいだな。

 

「おや アキラ君じゃないですか? 今日はどのような要件で?」

「こんにちは神父。暫くここで住み込みで修行したいんですよ。 ギルドから紹介状もあります。」

 

 修行とと聞き、神父は俺から紹介状を受け取り目を通し始める。

 

「ふむ。ですが、私も仕事が有りますので、お昼はいつもの仕事を頼みます。

 白魔法、黒魔法の基礎は夜に教えることに成りますがそれでもよろしいですか?」

 

「よろしくお願いします。」

 

 俺として朝から晩まで魔法を学べる王立士官学校やギルドの訓練所で教わってもよかったが、

 今回は世俗から離れた場所という環境が必要だし、魔法を教えるところじゃないからな。

 せっかく時間を作ってくれるのだ。

 これ以上、贅沢は言うまい。

 

 今は静かに修行できる環境こそが…

 

「あ~アキラだ~」

「おっちゃ~ん」

「おじさ~ん」

 

 静かに・・・

 

「あきらおじさ~ん」

「お じ さ ん!」

「できるかー!!!!」

「「「「わぁ~(きゃあ~)」」」」

 

 孤児院って事、失念していた、そりゃ、夜にしか修行できないわ。

 

「はっはっはっは。」

 

 神父さんも笑ってないでお昼寝でもさせて寝かしつければ、修行時間も増えるでしょ!

 協力してくださいよ!!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 結局、元気な子共達は昼寝もせず、遊びと称して調合と調理を手伝わせる。

 

 施設内での仕事が終わった後、子共たちに学問(文字や算術)を仕込みつつ、褒美に出来たクッキーやシロップ味の栄養剤を与える。

 清掃もするのだが、子共が邪魔する事、する事。

 

 追いかけても【罠師】のスキルを無駄に活用し『落とし穴』や草のトラップを仕掛けて逃げやがる。

 やっとのこと捕まえた終わった頃には疲労困憊で、日も落ちていた。

 

 こんな状態が一ヶ月も続いて魔法スキルを覚えれるだろうか?

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 ~グレアムの星空魔法教室~

 

 教会の庭の芝生に腰掛ける俺、グレアム神父と何故か夜ふかししている娘さんのクレアちゃん(12)

 

「え~先ずアキラ君は魔法スキルの知識はある程度知っているんだね?」

「はい 魔法スキルは黒魔法、白魔法、精霊魔法、召喚魔法の四つがあり、それぞれ奥義でもある古代魔法(禁止魔法)があります。」

 

 ここら辺はギルド内にあった書物やリィーンさんに聞いたり、アニに餌付けして聞き出した。

 

「そう そしてその違いは何を犠牲にするかは分かるかな?」

 

「黒魔法は自然の魔力、白魔法は自身の魔力、精霊魔法はクルトの民かエルフやドワーフのような精霊に近い人種のみ使用可能な自然物を操る魔法や精霊を使役する魔法でしたね。」

 

 勉学はあまり好きでは無かったが、こういう事に関してはスラスラと頭に入った。

 

 人類は基本的に黒魔法、白魔法のどれかしか使えない。

 

「うん だから黒魔法か白魔法をどちらか選んで覚えるんだけど……」

「白魔法は使えなくなる事があるんですね。」

「そう、白魔法は命を殺めたり、敬虔な心がなくなると使えなくなるらしい。

 その為、殆どの人は黒魔法を習得する。」

 

 その為、冒険者や正規軍など、前線で斬った張ったの戦いをする者には白魔法の使い手は居ない。

 いたとしても軍医見たいに後方で活躍する為、白魔法の使い手は大概が教会か治療院に所属している。

 

「とうさま 両方使えますけど」

「授業妨害する子は出て行きなさい。」

「ごめんなさい!」

 

 クレアちゃんの子共ゆえの素直さにほっこりするな。

 

 彼女の言うとおり、何故かエルフなど亜人や精霊の混血でも無いのに、黒魔法と白魔法を両方使える奴はこの世界でも少数だが存在するし、生きていく上で他の命を奪うことなぞ、日常茶飯事のこの世界で、そんな使いづらい白魔法が黒魔法と対を成すように残るなど有り得ない。

 

 しかし、二つの魔法を使いこなす「賢者」とか「魔女」と呼ばれる例外が世界でも片手で数える程だが確かに存在する。

 

「ごほん 厳密に言えば両方習得できるが黒魔法を使うと白魔法が使えなくなる

 体内の生命力を魔力に変換して使い、黒魔法と比べ、強化、補助、治療、解毒、解呪に優れるのが白魔法。

 自然の魔素と自身の魔力を用いて使う為、汎用性が高いのが黒魔法だ。」

 

「命を与える魔法が白魔法で、奪うのが黒魔法だと?」

「そう捉えてもらって構わない。 

 まぁ、これは十字教の考えで私という例外もある。 

 十字教の言い伝え、教えにある黒魔法で命を奪うと白魔法が使えなくなるというのは何処かに嘘か情報の齟齬があるのは間違いない。

 それを解き明かしたいんだろ? 君は?」

 

 紹介状には黒魔法と白魔法を両方習得したいと記していたからな。

 そりゃ、分かるわな。

 

「はい…まずは白魔法から習得し、次に黒魔法を習得します。

 仮説が正しければ両方操れることが可能になり新スキルの構想が実用化できます。」

 

 グレアムさんはしばらく考え込み、クレアちゃんは息を飲む。

 

「歴史書を紐解き、推理したのですが、おとぎ話や伝説上の英雄は強力な黒魔法の他に、超人とも言える身体能力や不死身に近い治癒能力を持っています。これは白魔法にある回復や強化を使っているのでは無いかと推論しました。」

 

 他にも俺の世界の漫画が参考になっているとは言わない。

 この年で中二病の再発とか泣けてくる。

 それに、固有スキル魔改造の影響なのか、失伝した技能を習得しようとすると、

 俺の中の知識や漫画や小説に出てくる架空武術、ギルドの書庫で呼んだ資料、物語が習得の為のプロセスを補完し、

 理論が俺の頭に展開される。

 

 まるで、その度に、偏頭痛に悩まされるが、スキルの設計図、習得書が頭に浮かぶ

 網膜にはステータスアイコンに新しいスキルが明滅する用に映し出される。

 

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 スキル【源呼吸】の習得条件が開放されました。 

 

 効果 霊力を纏い、擬似的に精霊化状態になる。

  ----

 

 魔改造のスキル作成には、失伝した技能すら再現することができる。

 しかし、いきなり失伝した技能をいきなり使えばいろいろ面倒事が起きる。

 

 もう手遅れな気もするが、保険として神父に先に習得してもらう必要がある。

 

 俺はこの固有スキルによる習得方法を明かさず、ばれない為にも言葉を選び、

 グレアム神父とクレアちゃんにも理論立てて習得できるように話を持っていく。

 

「他にも精霊が自身の魔力と自然界の魔力を同時に行使しているのが決め手でした。

 白魔法は体内から強化しますが、黒魔法は外から強化、鎧を纏う形です。

 白魔法、黒魔法関係なく 魔力を内から外へ発して戦うのが戦士の主流ですが、英雄と精霊はこの両魔法を無意識的に同時に使っているとしか思えない描写が多くあるんです。」

 

 二人は黙って続きを促す。

 

「魔力を内から外へ、そして外から内へ…この魔力の流れの出入り口が『詠唱』『呼吸』を行う『口』の一つだけだから魔力がぶつかり合い、反発するんです。」

 

 つまり、魔力の出入り口を口以外に増やす。

 魔力が一つの出入り口でもぶつかり合わない様にすれば黒魔法、白魔法を同時に扱える。

 

 命を奪う行為を行うと白魔法が使えなくなる

 …というのも目の前の神父や賢者という存在がいる。

 

「内から外に出した魔力を 再びうちに戻し、体表を覆うように循環させる。 

 更に外から内へと新たな魔力を取り込み循環しつつ無限に魔力を生成し続ける半永久機関、名づけて【源呼吸】」

 

 スキル作成の際、参考にしたのは東洋武術だ。

 当時、気とか魔力を使いたいとか言って図書館で調べて実践したのは苦い思い出だ。

 

「なぜ、呼吸と?」

「達人たちの一定のリズムによる呼吸と精霊の拍動、波長が同じでしたからね。」

「黒魔法、白魔法を習得した上で、この呼吸を覚えれば魔力の無駄な消費を抑えることも通常以上の出力を出すことも、魔力の流れを断って気配を消すこともできます。」

「擬似的に大精霊との契約状態を再現するということかな」

「まさしく。 大精霊という供給源がないため不老不死とはいきませんが、若さをある程度保ったり、生命力が強くなる分、頑強になり、病や呪い、毒も弾けるでしょう。 これがグレアムさんが若い肉体を保っていること、両方魔法が使えるという結果につながります。」

「では先ずは白魔法からだが、習得をはじ「私もゲンコキュウを覚えたいです!」・・・」

 

 まぁ女の子だし、父のようになりたいという願望もあるだろう。

 

「……いいですよ。その代わり危険なことは無し、私たちと一緒に行うこと。良いですね?」

「はい おとうさま!」

「俺の修行がメインなのを忘れないでくださいよ?」

 

 そして10日後 俺たちは黒魔法、白魔法を扱えるようになり、源呼吸をマスターした。

 

 新スキル

 

【初級黒魔法】【初級白魔法】【源呼吸】

 


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