異世界攻略のススメ   作:渡久地 耕助

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黄泉の入り口

 黄泉の入口、ロマリア国境付近に存在する魔王の母になるといわれる大精霊が封印されている隔離指定ダンジョン。

 

 不死者に守られるあの世の入口。

 

 この大精霊だが、彼らは人と交わるとき、自分の分身と英雄を生み出すそうだ。

 それも、必ず双子で生まれ一人は次世代の大精霊、一人は父親を超える英雄になる。

 

 ここに封じられている大精霊も例に漏れず

 クルトの民の中でも優秀な精霊魔導師だった巫女と当代の闇の大精霊との間に生まれた双子として生まれた。

 

 一人は新たな大精霊の娘

 一人は精霊の御子として優秀な精霊魔導師として育っていく。

 

 悲劇の始まりは余所の国で別の精霊の御子が現れた事だった。

 

 ガリアの文献には、強力な力を持ったロマリアが光の大精霊の御子を将に置き

 軍を率いて、各国を侵略したらしい。

 

 結果、ガリアとロマリアはぶつかり合い、闇の御子と光の御子は七日七晩の戦いの末、闇の御子は敗れ去った。

 

 

 其れに嘆いた大精霊は自身に残された全ての力を使い光の御子とロマリアの軍隊に呪いを掛け地下の神殿に封印したのだ……

 残された巫女と娘……巫女は後のガリア王家に……娘はこの悲劇を繰り返さない為に、父の地下神殿に自らを封印したのだった。

 

 自分のまいた種で、人様の世を乱すのは何処の世界、国の神様でも同じだな。

 挙句、娘まで巻き込むとか呆れて、物も言えんな……

 

 

 この話が、勇者と魔王の神話のざっくりとした真相だ。(本当か?)

 

 グレアム神父のとこの教会にあった十字教の経典では当然だが内容は異なり

 光の勇者(ロマリアの精霊の御子)は魔物を率いる魔族(クルトの民)とその魔王(ガリアの精霊の御子)を倒す為に挙兵。

 結果、自身の命と引き換えに魔王と大精霊を封印したとされる。

 

 そして黄泉の入口にはその怒りに燃える新たなる大精霊が勇者に似た哀れな男を攫うという言い伝えができた。

 

 

 そして時は流れ、人々から恐れられたその迷宮に挑む英雄(バカ)が現れた訳だ。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 ~黄泉の入口~

 

 不死者を狩る狩る狩り尽くす。

 はっきりいってゾンビに回復魔法(薬)という本来の用途とは異なった使い方による狩り方が有効だと判明した以上。

 後は穴場な狩場で狩りまくるのだ。

 

 人々が恐れて近寄らないこの地下深くへと続く伝説級のダンジョンはいわば、人目を気にせずに狩れる絶好の狩り場だ。

 俺が乱獲しても問題が無く、且つ人目につかない。

 

 これは入らなきゃ駄目でしょ。

 救出作戦以降、霧の深い死都を夜な夜な出向いて狩りまくった。

 

 ヒャッハー!!汚物は消毒だーー!!

 

 人には絶対使えない、副作用、満載の劇薬をゾンビを粘液状に作り鞘や武器に塗る。

 もう、これだけでゾンビ相手に無双状態だ。

 

 更に、掃除道具を魔改造で強化しまくった一品もある。

 そしてこれが現在の俺のステータス。

 

 アキラ 

 レベル58

 22歳 職業 偵察職 鍛冶職

 

 スキル一覧

 

 戦闘スキル

【上級斥候術】【投擲】【認識阻害】【罠師】【挑発】

【片手剣】【拳闘術】【現代戦闘技術】

 

 職業スキル

【錬丹術】【修理】【調理】【歌唱術】【速記術】【文才】

 

 魔法スキル

【初級白魔法】【初級黒魔法】

 

 固有スキル

【源呼吸】【魔改造】

  ----

 

 

 上級斥候術は夜な夜なゾンビを相手にレベル上げしてたら何時の間に習得していた。

  これだけ準備し俺は難攻不落のダンジョンへ挑む頃合だと確信した。

 

 道具袋にも薬品を大量に詰め込み。

 源呼吸でダンジョン内の魔力を使える為、魔力切れは無く、白魔法での対処も可能。

 

 いける。

 

 そして俺は黄泉の入り口へと踏み出した。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 ~黄泉の入り口 螺旋回廊~

 

 【斥候術】のスキルにある【索敵】を駆使し、敵を見つけ次第、【穏行】【首狩り】で一撃で仕留める。

 または【錬丹術】で調合した回復薬と【初級白魔法】の治療魔法で不死者の知られざる弱点(ゾンビにお札、回復魔法)を突いて浄化していく。

 

 武器もアンデッド共の武器を奪ったり、

【錬丹術】のスキル【薬品作成】【修理】【鍛錬】で消耗した武具の修理、薬品の補充を行う。

 

 自身で編みだした【源呼吸】での応用技、【認識阻害】と【気配遮断】を行い気配を消しつつ、闘う事で消耗を減らす。

 呼吸で大気中の魔素を残さず吸いつくしていくので、消耗することなく、レベルも上がっていく。

 

 太古のロマリア兵は侵入者に気付くことなく灰になって消えていく。

 

 

 

 そうこうしている内にアキラは地下神殿の広場に到着する。

 神殿の前の広場にはリッチ…自ら不死を求めてアンデッドになった魔術師…

 

 その筈だが、目の前にいるリッチは装備、魔力、殺気、技量が明らかに伝承にきくリッチのそれではない。

 

 伝承にある、闇の大精霊(バカ親父)か勇者(笑)のどれかだろう。

 

 装備から恐らく後者。

 

 魔術師ではなく、戦士、それも大英雄クラスの人間がリッチと化している。

 ただでさえリッチは堅牢な防御力、魔法防御力を備え、

 士気を低下させる恐怖を伝播させるスキルを有し、

 元が貧弱な魔術師ではなく不死身の大英雄とか俺にとっては天敵だ。

 

 ステルスを見破られた時点で勝ち目は無い…

 

「参ったね どうも 【穏行】と【認識阻害】【源呼吸】の【気配遮断】の三連コンボを使っても気配を察知するほどの手練か。」

 

 古の勇者も、上層で次々と消えていく嘗ての配下に気付いており、自我が消え去りつつある中、再び剣を取る。

 そして、ステルスを解除した侵入者の姿を視界に捉えた瞬間、憎悪と怒りの咆哮をあげた。

 

「Aaaaaaaaachilleeeeeeeeeeeeeeeeeeeeees!!!!」

 

 ◆◆◆◆◆

 

「な なんだ?」

 

 アキレウス? いやアキラですけど!?

 

 なんかステルス解除したとたん、リッチが行き成りブチ切れて咆哮をあげた。

 

 あるぇ~何か伝承との性格、行動が一致しません。

 もう、クラスはバーサーカーです。

 

 狂気と憤怒に眼を変え、狂戦士の如く剣を持って襲いかかってきます。 

 汚れてはいるが結構強力な鎧をお持ちですし。

 

 かなりの魔力を身に纏っています。

 

『Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』

 

 咆哮を上げながら猛攻を仕掛けるリッチを片手剣で捌き、かわす俺。

 むぅ【概念崩壊の法則】の一撃を与えるには奴から吹き出る魔素の濃霧が邪魔で届かないな。

 

 だが!

 

「くっくっく こんなこともあろうかと!」

 

 某宇宙戦艦の技術部長のセリフと共に【道具袋】から掃除機を取りだす。

 

「【ばきゅ~む だいそ~ん】この掃除機は魔力と魔素を吸い込むことができるんだ。」←例のあの声

 

 掃除機の首をリッチに向け一気に魔素を吸い込む。

 

「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?」

 

 ふっふっふ濃霧が晴れ、これで攻撃が通るぞ~。

 

「くくく なぁ今どんな気分? 濃霧が晴れて丸裸にされたけどどんな気分?」

 

【挑発】を使い、ドヤ顔をするアキラ。

 勿論、荒ぶる鷹のポーズ。

 掃除機片手に片足挙げてステップする。

 

 怒りに狂ったリッチは突進しアキラに斬りかかり、その体を縦に両断する!

 しかし斬られたアキラはニヤリと口の端を釣り上げる。

 

 切り裂いたのは【(スキル)】で作り上げたデコイ 

 

 リィーンさん相手に言うのは気が引けたし。

 

 魔力で実体を持つ幻影を作りだすスキルだ。

 決して残像ではないが端から見えると残像なのだろう。

 

「残像だ」

 うん、一度行ってみたかったんだ。

 

 背後に回り込み【異世界攻略のススメ】の【概念崩壊の法則】による【心臓穿ち】を叩きこむ。

 

 剣に仕込まれた回復薬

 そして源呼吸と掃除機で手に入れた魔力を俺の力に変換。

 一呼吸で白魔法へ変え、【浄化】【治癒】魔法が剣を通じてリッチの体内に炸裂する。

 

 勝負は決した。

 

 リッチの体が光に包まれる。

 勝ったと同時にリッチの力と魔力が俺の体に経験地として流れ込んでいく。

 リッチはこの世に残った因果とか、未練から開放されたかのよう緩やかに消滅していく。

 

 俺はそんな敵から目を離さない。

 勝つ為に、挑発を繰り返し、正々堂々とかかけ離れた手段で戦う。

 

 固有スキルなんてチートを使って生き残る卑怯者だが、この男の最後だけは目を逸らしてはいけない。

 不思議とそう思った。

 

 やがて、幸せそうな顔をして浄化していったリッチの最後を見届け終えた。

 その灰から湧き出る魔素と掃除機で吸い込んだ魔素、遺された鎧と剣を回収する。

 

 生前は余程の実力者だったのだろう、彼のスキル、魔力を吸収すると自身の力が何倍にも上がった。 

 これがゲームなら今頃レベルアップのファンファーレのオーケストラになっていることだろう。

 

 そして目的の神殿を目指し、俺はその門を開いた。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 私は?

 どれだけの時が流れたのだろう……

 どれだけ後悔したのだろう、王に騙され、魔王を討伐にいったあの日、黒髪の御子アキレウスと七日七晩の死闘を制し倒したが、それがロマリアの王の策略だと気づけず、その行いが侵略の為だと知り、私は悲嘆にくれた。 闇の大精霊は嘆き、悲しみ、愚かな私と軍隊に呪いを掛け地下深くに閉じ込め、彼の妹はその神殿に兄と同じ悲劇を繰り返さない為に……神殿に自らを封印した。

 

 魔物と化した私は神殿の前に立ち、この身が本当に朽ちるまで立ちつくし後悔の念に沈んでいった。

 

 

 

 そして、奇跡は起きた アキレウスが目の前に現れたのだ……

 

 だが、後悔と執念に狂った私はアキレウスに襲い掛かり、その手に掛かって倒されたのだ……

 

 ふふふ あの時は七日も掛かったのに、まさか一瞬で決着が着くとは……

 

 そして このままあの世に帰ることなく消滅していくかと思えば、身体が灰になって浄化していく……

 

 呪いが解け、再び輪廻の輪に帰って行くのだ……

 

 なんと慈悲深い!この男は自分を殺した男を許し、浄化してくれたのだ…… もはや声も出せず、消えていく身体のなか……

 

 仰向けになった私を見下ろし、その最後を見取ろうとするアキレウス、あの時とは立場が逆だが……私は満ち足りていた……

 

 また会おう アキレウス……

 

 こうして古の勇者の魂は人知れず 解放された。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 …………神殿の門が開く音がする。

 

 その懐かしい気配を感じ私の身体は歓喜する。

 

 その声を聞いてもしやと思い耳を傾ける。

 

 薄目を空けて、その顔を見た時、私は奇跡を信じた。 

 

 黄泉から帰ってこなかったお兄様が輪廻の輪から戻ってきたのだ! 

 

 私の愛しい人が迎えに来てくれた。

 

 でもお兄様は私を暫くみたあと意地悪をしてそのまま踵を返して帰ろうとした! 逃がしません!

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 古代魔法 その象徴である上位精霊の女性が石棺で静かに眠っていた。

 

 さて、祝詞をあげるかキスをするか魔力を注ぎ込むかするのが王道なんだろうし

 

 皆さん?もそれを望んでいることだろう。

 

 てか狸寝入りしてね? この精霊?

 

 如何する?

 

 1 接吻   キスキス~

 

 2 祝詞   契約の言葉を述べる。

 

 3 しばく  起きろぼけー!

 

 4 放置   僕は何も見ていない。

 

 

 

 放置で♪ 

 

 リッチも倒したことだし、もう帰ろっと。

 てくてくと転移装置で帰ろうとしますが……装置が動きません

 

 踵を返して神殿の出口から帰ろうとするが……

 

 ……扉が動かない

 

「…………」

 

「…………」

 

 あきらはにげだした。

 まおうからはにげられない。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 普通に起こしました。

 

「まぁ❤この迷宮を踏破し私を救いだしたくださるとは。貴方は私の主に相応しいお方ですね。」

 

「ありがとう。それで君は?」

 

「はい 私は“死と再生を司る精霊姫”闇の大精霊です。契約者(旦那様)に不老不死の法を授け、永久に仕えさせていただきます。」

 

 

 ……スルーだスルーしろ。

 この美人さん契約者に旦那様ってルビ振りやがった。

 あと彼女からは地雷の匂いがする。

 

「そうか、それでこの神殿ってか迷宮から出たいんだけど?」 

「ええ 本契約すると封印が解けて転移装置が稼働します。」

 

「……本契約って?」 

「はい。貴方様に名を与えてもらうこと、そして契りを交わすことです。」

 

 ……おい大人の対応 スルーにも限度があるんだぞ?

 

「私と愛の契りを交わさないと出られません❤」

 

 たのしそーだねー。

 

「優しくしてくださいね?」 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 ベッドで私の横で静かに寝息を立てるお兄様の寝顔をみる。

 

 生まれ変わり、記憶を失っていても変わらない愛しい人、以前は兄妹だったから諦めたが今や、私達をさえぎるものは無い。

 

 契約方法を若干変更し契りを交わして契約をなした。 

 

 前世より遥かに強くなった闇の勇者にして闇の御子。

 

 私の愛しい主様、もう逃がしません♡

 


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