時はさかのぼって、アインズが見滝原にいるとき。
ナザリックの守護者たちが玉座の間で集合していた。
「まったく、アルベドは急に守護者たち全員集まれなんて一体何を考えているんでありんすか。」
「ふむ。なにやら急ぎのようでしたので何かあったのは間違いはないでしょう。」
「一体ドウイウ意味ダデミウルゴス?マサカ!アインズ様ノ身ニ何カガ!?」
「ちょっと、コキュートス!?縁起でもないことを→縁起でもないことを言わないの。」
「どうやらみんな揃っているみたいわね。」
守護者たちが騒いでいるときにアルベドが玉座に入ってきた。
「アルベド、遅かったじゃありませんか。我々とて暇ではないのですよ。」
デミウルゴスは到着の遅かったアルベドに対して眉間にシワを寄せるがアルベドはそれを気にしていなかった。
それどころかアルベドの顔は深刻な顔をしており守護者たちはふざけるのをやめ真剣な顔立ちをする。
「ええ、実は守護者にだけに伝えようと思ってここに来させたわ。外部に漏らさないために。」
「一体何があったのですか?」
デミウルゴスはアルベドに対して用件を聞こうと急かす。
だが、アルベドの顔がよいことを言う雰囲気ではないので何か良くないことが起きたのだと守護者たちは考える。
「ええ、実はこれをみんなに見せようと。」
アルベドが見せた一枚の紙。
そこには一行の文字が書かれているだけだった。
『後は任せる』
「ア、アルベド・・・こ、これは。」
デミウルゴスは声を震わせながらもアルベドに問う。
だが、デミウルゴスの内心ではとてつもない動揺が身体中を駆け巡り、頭の中が今にもぐちゃぐちゃになりそうなのを理性でギリギリ止めている状態だ。
そして、彼と同様他の守護者たちも顔を青くしているものや理解したくないかのように顔を唖然とさせるものもいる。
「アインズ様のお部屋の机の上にあったわ。そしてこのナザリックにアインズ様の姿はもう・・・。」
守護者達はアルベドが言っていることが嘘なのではないのかと疑うが、アルベドの目からは涙がこぼれ落ち、アルベドの言葉が嘘ではないことを物語っていた。
「そ、そんな・・・。」
デミウルゴスは崩れ落ち方膝を地面につけて力なく項垂れてしまった。
「う、嘘よ。・・・アルベド!嘘なんでしょ!嘘と言いなさいよ!」
シャルティアはアインズが居なくなったことが信じられずアルベドが嘘をいっていると思い込み。
「ウオォォォォォォォ!!
アインズさまああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
コキュートスはもう理性が保てずただ大声で叫び。
「お、お姉ちゃん・・・。」
「大丈夫、大丈夫だよきっと何かの間違いだよ。」
唖然として目から大粒の涙を流して泣いているマーレ。
そんなマーレを慰めるアウラ。
そして、アルベドは・・・。
「皆を呼んだのはアインズ様がいないこのナザリックの方針を決めるために呼んだわ。」
アルベドは先程流していた涙はもうなかった。
しかし、よく見るとアルベドの翼は震えていた。
アルベドはアインズを溺愛しており、
もし、行方がわかっていたら守護者のことを、・・・いや、ナザリックすら放ってでも探しにいっただろう。
しかし、それでもアルベドがいるのはアインズがどこにいるのかわからなかった為に捜索ができない為である。
(しかし、何かが腑に落ちない。我々は何かを見落としているのか?)
ただ一人、デミウルゴスは悲しんでいるがどうしてもひとつ気になることがあった。
この胸のざわめきを・・・。
何かを見落としている為なのかこのモヤモヤとした感情が・・・。
(最後まで残った至高の41人の一人であり、最後まで残ってくださった尊きお方。
アインズ様はその41人をまとめていた至高なる頭脳のお持ちのかた。
もしかしたら、これはアインズ様はなにも告げずに出ていったことには何か意味が?)
デミウルゴスはアインズの残したキーワードを揃え、アインズが守護者に対して残したキーワードを繋ぎあわせる。
そんな中からデミウルゴスはひとつの答えにたどり着く。
「あるいは・・・、いえ、もしかしたら・・・。」
「デミウルゴス?」
「もしやアインズ様は我々に何かをさせようとお考えなのでは?」
「どういうことなの?」
「アインズ様の残した手紙。『あとは任せる』というメッセージ。これに意味があるはずです。」
「で、でも、もしかしたらアインズ様は僕たちに愛想を尽くして他の至高なるお方の所へ行ったのでは?」
「いいえ、居なくなるにしても唐突すぎます。アインズ様が出ていった理由を誰か知っていますか?」
「「「「「・・・」」」」」
誰もアインズが出ていった理由を知らない為、誰も答えを出さない。
もし、至高の41人を怒らせれば、自ら自害することすらするほど忠誠心があるナザリック一同。
改善するところがあればそれはもう命を懸けてまでも改善するだろう。
だが、それでも理由が分からない為、見捨てたという可能性は低くなる。
「なら、見捨てたのではなく、アインズ様のお考えは見ていないときでも我々がしっかりとナザリックの運営ができているのかを試されているのです。」
「と、ということは・・・!!」
「はい、これは『試練』です。」
「「「「試練?」」」」
理解したアルベドとデミウルゴス以外は言っている意味が分かっていない様子。
そんなみんなにデミウルゴスは説明をする。
「帝国との関係を持った以上いままでのやり方ではいけないと思い、アインズ様は我々に何をするべきなのかを考えておいでのはず。そのために我々の力をお試しになろうとこのようなことをされたのでしょう。」
「でもさ、どうしてこんなことをアインズ様が?」
アウラは疑問に思ったのかデミウルゴスに質問する。
「以前、コキュートスがリザードマンとの戦闘の際にコキュートスを試すようなことをしていたのを皆さん覚えていますか?」
ナザリックの強化のためにリザードマンの住処をコキュートスが指揮していたときコキュートスはリザードマンを殺すのではなく生かして配下にするというのをアインズ様に進言したときアインズ様はコキュートスが自ら意見を出したことを嬉しくされていたということがあった。
それと同じようにアインズ様は今度は我々を試されているということを守護者たちは理解する。
「ア、アインズ様はそこまでお考えだったんですね!」
マーレはアインズが様そこまでのことを考えていたのだと尊敬の眼差しで目を輝かせる。
「そうよ、やはりアインズ様は私たちを見捨てていなかったのよ!ああ、アインズ様ぁぁぁぁぁ!!」
アルベドはさっきまでの生気の感じない顔から一変して、嬉しそうで今にも昇天しそうな顔をしていた。
この際、サキュバスだから昇天しないのでは?などというのは考えないでおこう。
「ですが、もし我々がアインズ様のご期待通りにできなければ・・・。」
そんな、嬉しそうな守護者一同にデミウルゴスは更なる一言を突きつける。
「できなかったら・・・?」
「今度こそ我々を見限ってこのナザリックを去るでしょう。」
「「「「「!!」」」」」
デミウルゴスの言葉に守護者たちは顔を青ざめる。
我々を見捨てたわけではない安心感からアインズ様の期待に応えられなければ見捨てられるという絶望感を抱く。
「では、アルベド。我々はすく様行動に移すとしましょうか。」
「ええ、そうねデミウルゴス。では守護者一同。我々はアインズ様の為にも全力を尽くすとしましょう。」
「「「「「はっ!」」」」」
アインズが見滝原で休暇(無断)している間、
ナザリックでは守護者たちが一致団結してナザリックを強化していることをアインズは知る由もなかった。
作者「守護者の次の出番は未定。」
守護者「「「「「!?」」」」」