魔剣物語異聞録~フラグメンツ・オブ・ラウム~   作:朝陽祭

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・注意
本作は、やる夫スレ形式にて作品を手がけているエイワス様作『魔剣物語』及び『魔剣物語AM』の二次創作となります。
今回の執筆に伴い、エイワス様より許諾を頂き作成しております。
また、一部別の二次創作者様の設定を踏襲している部分があります。
そして重要なことですが、本作は『剪定事象』です。スレをご覧の皆様ならご存知でしょう。

※やる夫スレの性質上、便宜的にクロスオーバータグを設定しております。

それでもよろしいという方は、どうぞ御覧ください。


魔剣物語異聞録~フラグメンツ・オブ・ラウム~

 

 

 

 

 

 

 

「僕らは死なない。死ねない。」

 

 

「生きて諦める事は死んだも同然だ。故に諦めも許されない。」

 

 

「生きて抗う道を模索し続ける。それが僕の役目で、僕が君たちに望んでいる役目だ。」

 

 

 

その言葉は、【賢老七十二臣】と呼ばれる我々の胸にしかと刻み込まれた。

 

 

いや、正確に言えば改めて自覚したのだ。

 

 

この新たなる熾火(ギムレー)と呼ばれる国において、『王と並び立つ七十二の柱』がどれほどの重みなのかを。

 

 

望まぬのならば降りてもよいと王は言う。あぁ、確かにこの重責は常人には耐えきれないであろう。

 

 

 

「――――侮らないで頂きたい、新たなる火を熾した王よ。」

 

 

 

 

それを口にしたのは誰だったか。

 

 

いや、この場に集う七十二柱の総意であった為、誰が言っても変わらない。

 

 

我々はこの国に住まう民を守る為に、王に選ばれ、自ら望み柱となることを選択したのだから。

 

 

そして、我らの言葉に笑みを浮かべ感謝の言葉を述べる王を見て――この方こそ我らの王だと、誇りに思うのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、それはそれとして姫様の為に全力で王様を働かせるんですね。」

 

 

「当たり前だ我々にもソロモンにも休んでいる暇はない。ほれ、在野の戦力の抽出、及び既存の傭兵部隊の練兵計画の承認はぶんどってきたぞ。都市間の連携は【兵装舎】に一任されたが、こちらは調整がまだまだかかるだろうな。場合によっては貴様ら親衛隊も、教導隊のような形で出向させる必要があるかもしれん。」

 

 

「さっすがー♪頼りになりますね【兵装舎】の金庫番様は!王様を呼び捨てなのは元老院の皆様にとって今更なのであれですけど!」

 

 

「はん、俺には武勇も魔力もないからな。ハルファスやバルバトスのようにはいかん。せいぜい兵達の為に資金を叩いて戦力を準備させるくらいしか出来ぬよ。」

 

 

「いやいや、兵糧は大事ですよ?姫様からもほら、お礼の手紙を預かってきていますし。」

 

 

「なぜそれを先に言わぬか貴様ぁ!」

 

 

 

女騎士から手紙をひったくり飾り気のない、だからこそ誠実で純粋に気持ちを伝えてくる新たなる熾火(ギムレー)の姫、からの文に涙を流すその男。

 

 

――今は元老院【賢老七十二臣】が一人【ラウム】と名乗るその男は、姫からの手紙を堪能しつつも山のように積まれた書類を片付けながら、自らの手駒である女騎士へと話を振った。

 

 

 

「それで、そっちはどうだ?」

 

 

「いつも通り薄氷の上を歩いていますよ。快勝は続いていますが、何か一つでも歯車が狂うだけで、きっと私達は――いえ、人類は滅びますね。」

 

 

「違うわたわけぇっ!俺が戦況を把握していない訳ないだろうが!姫様に悪い虫はついてないか?という話だ!その為にわざわざ親衛隊を作って貴様を送り込んでいるんだからな!」

 

 

「ええええええぇぇぇぇぇぇ…………なんで女子ばかりを集めたんだろうとか思ってたんですけど、親衛隊ってそういうことだったんですかぁ?」

 

 

「全くもって遺憾だが、この国の戦女神と呼ばれるくらいに姫様は強い。だからこそ、姫様に悪い虫を近づけさせず、それでいて姫様を守る為には可能な限り姫様と同等くらいには戦える女性が必要だったのだ。幸いなことに元老院の連中からは満場一致で承諾を得て秘蔵っ子をかき集めることができたがな。ついでに言えば貴様が政治に明るくないのも幸いした。もう少し軍略に詳しければ親衛隊長に推したのだがな」

 

 

「いやー、私は一番槍が性にあっているので!……毎度思うんですけど、姫様のことになると全力過ぎませんか元老院の皆様?」

 

 

「当たり前だ――本来ならば、姫様を戦場に出したくはないのだ。だが、あの方がそれを望まれた。自分には武力しかないからと。民を想い、王を想い、国を想い前線に立つあの方を我々が支えねばどうするのだ。」

 

 

 

 そうぼやくと、ラウムは資料の山に隠してある報告書へと視線を向ける。

 

 

 

 【魔剣量産計画】――モンティナ・マックスが王から承認を受け、独自に進めているその計画。

 

 

 

 王がどのような考えを持ってそれを進めているのかはおおよそ理解できる。

 

 

 

 なぜならば、他の元老院が独自に砕けた魔剣の行方を捜索している――その事実を王に伝えたのはラウムなのだから。

 

それにも関わらず、王が直接動いたのはそういうことなのだろう、ラウムは思案する。今手元にある情報も、ラウムが独自に調べさせた結果なのだ。

 

 

(まったく、王の深謀は図りかねる。だが、だからこそ――)

 

「まぁ、あんな姫様だからこそ護らねばってなるのはわかりますよ。任せてください!親衛隊(ロイヤル・ナイツ)の名に賭けて、姫様の幸せとお命は守ってみせます!」

 

「……ふっ、頼りにしているぞ。確か、貴様は報告が終われば休暇をとる形だったな?束の間の休息だしっかりと英気を養え。」

 

「ありがたき幸せ!ではでは、私はこの辺で!」

 

思考の海に沈んでいたラウムを、女騎士のあっけらかんとした言葉が現実に引き戻す。

そして、らしくもなく笑顔を浮かべ労りの言葉を述べたラウムは、女騎士を見送ると再び政務に取り掛かったのだった。

 

 

だが――ここで、ラウムは見落としていた。いや、気がつけなかったのだ。

 

 

(さーて、姫様は今頃無事に手紙を出しにいけた頃でしょうか?上手くいくとよいですが)

 

 

親衛隊に選ばれた騎士達は、いずれも元老院の厳正なる審査によってその武勇と人格が保証されている。

そんな彼女達が、言葉を悪くすれば、元老院を虜にしてしまうほどの魅力を持つ姫君と日夜を共に、戦場を共にして、果たして影響を受けぬのだろうか?

 

 

 

 

否、否である。

 

 

 

 

結果的に彼女達は、元老院の意向等関係なく、姫君に命を賭け姫君を守護する女傑集団と化した。

 

それ故に、姫君が運命と出逢った後。

都市防衛隊【戦争狂の守護者】に教導と言う名目で親衛隊が度々赴き、とある新人隊員を発端にした騒動が度々巻き起こるのは――また別の話としよう。

 

 

彼の苦労は、始まったばかりなのだから。

 

 

続く?




余談:本二次創作を作るに当たって、キャラ作成の参考として振ったダイス

賢老七十二臣:ラウム

「武勇:【1D100:17】」 「魔力:【1D100:20】」 「統率:【1D100:79】」

「政治:【1D100:88】」 「財力:【1D100:83】」 「天運:【1D100:26】」

→明らかに内政向けになったので本来騎士系キャラの予定を七十二臣に変更。

女騎士
「武勇:【1D100:89】」 「魔力:【1D100:5】」 「統率:【1D100:33】」

「政治:【1D100:8】」 「財力:【1D100:57】」 「天運:【1D100:37】」

→部下用として振ったらなぁにこれぇとなるあれ。

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