魔剣物語異聞録~フラグメンツ・オブ・ラウム~   作:朝陽祭

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オルガマリー王女がすごくツボに来たので、何か書いてみたいなと思いました。
例のごとく剪定事象なので、自分が書く話としても続くか未定です。


聖剣姫とある魔道士の小話

 

 

七星国家が一国、新たなる熾火(ギムレー)

 

その国家には、二人の姫が居る。

 

一人は、【賢王】の娘たる戦女神(アテナ)、【聖盾姫】。

 

一人は、王弟の娘たる戦女神(ミネルヴァ)、【聖剣姫】。

 

 

 

これは、【聖剣姫】に使える一人の青年の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――やれやれ、まったくあの姫君は。いい加減御身の重要さを理解してもらいたいものだな。」

 

 

穏やかな日差しが差し込む、そんなある日。

 

『彼』は青空を『自由に舞うかのように飛び』、眼下の街で人を探していた。

 

 

――その身に溢れる、『魔道』の才能と、神に祝福されたかのような『天運』。

 

世が世なら『学院』の最高峰にまで上り詰めたであろう彼がこの新たなる熾火(ギムレー)に所属しているのは、簡潔に言えば生まれの為だ。

 

元老院【賢老七十二臣】が一人『グシオン』の息子として生まれた『彼』は、年が近いこともあり【聖剣姫】の遊び相手として親交を深めた。

 

そして時が経つにつれ、【聖剣姫】は武力の才能を、『彼』は魔道の才能を開花させ、それぞれの道を歩む――はずであった。

 

 

 

この世界が、『大魔王』によって滅亡の危機に瀕しているのでなければ。

 

更に、王の娘である【聖盾姫】が自ら志願し、前線へと出たことも影響を及ぼした。

 

双方が意識していた訳ではないが、【聖剣姫】もまた英雄と呼ぶに相応しい実力を備えた才女。必然的に前線へと出ることになる。

 

そんな【聖剣姫】を支える為に、彼はこの国で軍人となることを決意したのだ。

 

 

 

「――ようやく見つけたぞ、こんなところにいたか。」

 

「……あら、どうしたのよ?何か緊急の案件でもあったか……いひゃいいひゃいいひゃいっ!?にゃにしゅりゅにょよ!?」

 

「クハハ、何をするのかだと?護衛の眼をかいくぐり街に繰り出すお転婆姫を叱るのは、当然のことだろうさ!お目付役も兼ねている俺の苦労を知ってほしいものだな!」

 

 

 

街を探していると、【聖剣姫】の姿を見つけた『彼』はすぐさま駆け寄り、その頬を引張る。

 

場合によっては不敬罪と扱われても仕方がない行動だが、その様子を見ていた街の人々はというと。

 

 

「あぁまた始まった。」

 

「昔から微笑ましいものよねぇ。」

 

 

と、温かい眼差しでその様子を眺めていた。

 

 

 

「あー、また変な笑い声の魔道士様が姫様いじめてるー!」

 

「みんなー!姫様を助けろー!」

 

「このかれしづらー!」

 

「おい待て、群がるなお前達!それと誰だ彼氏面等と言った奴は!?どこでそんな言葉を覚えてきた!?」

 

「ふぅ、ありがとうみんな。あー、それと勿論だけど子供達を傷つけては駄目よ?」

 

「えぇい、わかっているそんなこと!いいだろうお前達、盛大に遊んでやろう!クハハハハハハ!捕まえれるものなら捕まえてみろ!」

 

「「「わー!鬼ごっこだ捕まえろー!!!って、空飛ぶとか大人げないぞー!?」」」

 

 

すると、【聖剣姫】の姿を見かけた子供達がよってたかって『彼』へと飛びかかっていく。

 

群がる子供達の相手をしながら、『彼』は横目で【聖剣姫】の様子を確認する。孤児院長が話をしつつ頭を下げているのを見ると、どうやら孤児院に顔を出しては寄付をしつつ子供達の相手をするつもりだったようだ。

 

そんな彼女を内心誇りに思いつつ、『彼』はため息をつく。

 

このご時世において、【聖剣姫】の行動は焼け石に水でしかない。それだけでなく負傷した兵士達への補償も自分の懐から出そうとするので、仮にも姫だと言うのに個人的な財政は火の車だ。

 

なまじ武力に特化している為に最前線にのみ注力している【聖盾姫】とは違い、彼女は政治等にもある程度の理解を示していた。それ故に、自分に出来ることをやろうとし様々な事に手を出していくのだ。

分かりやすく活躍している【聖盾姫】に対し、『自分も頑張らねば』と奮起しているのも、それを後押ししているのだろうと『彼』は考える。

彼女の父である議長はというと『自分で稼げ』と匙を投げて関わらないようにしているくらいだ。

 

幸いにも(個人の財政こそ稼ぐ側から吹き飛んでいくが)全体として見れば収益が出ているのがその非凡な才能が発揮されている証拠なのだろうが、破綻しないうちに元老院に手助けを求めてはくれないだろうか、と『彼』は思う。差しのべられている手を取ってくれれば少しは楽になるだろうに。

 

 

「……がふっ!?」

 

「よっしゃ大当たりぃ!みんな捕まえろぉ!」

 

「「「とー!」」」

 

「待て、待てお前達!一度に乗っかってくるんじゃない!?」

 

そんなことを考えながら飛んでいたからか、いつの間にか建物の中へと忍込み窓から落下(ダイブ)してくる子供に体当たりを食らう。元々子供達がギリギリ捕まえれるかどうかの高度で飛んでいた為、体勢が崩れてしまえば後はこちらのものと言わんばかりに子供達が次々と飛びかかっていく。

 

そんな様子を見て、周りの大人達も【聖剣姫】も涙を浮かべるほどに笑いだすのだった。

 

 

 

 

 

――それから、どれくらいの時が流れただろうか。【聖剣姫】が子供達と共に遊んだりしているのを眺めていた『彼』だったが、突如として爆音が遠くから聞こえてくるのに気づく。『彼』は懐から通信用の術式が施された水晶を取り出すと、砦を守護しているはずの防衛隊へと連絡を取る。

 

 

「――防衛隊、何事だ!?」

 

『例によって邪龍の襲撃です!行動周期から判断するに【魔女】は居ない模様!』

 

「はっ、運がよいのか悪いのか……姫を連れてすぐに向かう!これ以上姫を財政難にしたくなくば、全力で生き残りつつ街を守れと前線に伝えろ!」

 

『言われなくてもわかってらぁ!聞いたなお前らぁ!姫様が来るまで持ちこたえろぉ!姫様を涙目にさせる奴はあの世で袋叩きにあうと思えぇ!』

 

『『『おぅよ!』』』

 

「……という訳で急ぐぞ、捕まれ。」

 

「物申したいことはあるけれど我慢するわ。みんなも避難を急いで!」

 

そう言うと、姫は当然のごとく『彼』の腕に――所謂『お姫様抱っこ』という形で捕まり、それをしっかりと支えた『彼』は勢いよく地面を蹴り、空を駆けていく。

 

 

「……あの二人、あれで婚約とかしていないのだから不思議だよなぁ。」

 

「見守るしかないとはいえ、姫様も恋愛事には奥手だものねぇ。さ、それはともかく避難しましょ。みんな、急ぐわよ。」

 

「「「はーい!」」」

 

 

その様子を眺めながら住民達はそんな会話を交わすと、慌ただしく避難していくのだった。

 

 

 

 

 

続く?

 

 




今回のお話を作るに至って
1.話を作る参考にお付であるキャラのステをダイスで振った結果こうなった(素質による補正設定済)。
【素質:【1D10:4】】
【武勇:【1D100:68】】【魔力:【1D100:93】+20】【統率:【1D100:5】】
【政治:【1D100:15】】【財力:【1D100:37】】  【天運:【1D100:91】+20】

財政はカバーできなかったけど、なんかオルガマリー姫様の魔力と天運を補う形になったのであぁなった。
モチーフが露骨に某彼氏面王なのですが、どちらかと言うと原作のエデポジに姫様が居る形で、続きを書くなら『恋愛感情はないけど親愛は抱いている』感じにしたい(願望)。


余談
親衛隊のアルファさんのステは素質を考慮しない所謂凡人()ステなので、素質を追加で振った上で補正を足してみた結果

【素質:【1D10:3】】
「武勇:【1D100:89】+10」 「魔力:【1D100:5】」 「統率:【1D100:33】」

「政治:【1D100:8】」 「財力:【1D100:57】」 「天運:【1D100:37】+10」

……なんか更に尖った

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