魔剣物語異聞録~フラグメンツ・オブ・ラウム~   作:朝陽祭

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当初は没ネタにしようかなと思ってたんですが、せっかくなので投稿しようかと思います。


聖剣姫とある魔道士の小話その2

――七星国家が一国、新たなる熾火(ギムレー)が都市の一画に存在する、最終防衛線ともいえる砦。

 

そこでは兵士級(ポーンクラス)と呼ばれる邪龍達が津波のように押し寄せていた。

 

 

 

「負傷者は後方に下げろ!絶対に死なせるんじゃねぇぞ!」

 

「撃て撃て撃て撃て撃てぇっ!!あいつらをこれ以上近づけさせるな!」

 

「ちくしょう、きりがねぇ!」

 

「諦めるんじゃねぇ!姫様が来るまで持ちこたえろ!」

 

 

防衛隊に所属する兵士達は士気こそ高くかろうじて死者は出ていないものの、負傷者は多く。

 

このままでは防衛隊は全滅し、都市にまで被害がでるかと思われたその時だった。

 

 

 

「――クハハハハハハ!待たせたなお前達!我らが姫のご到着だ!」

 

 

 

空から雷光が降り注ぎ、紫炎が邪龍達を包み込んでいく。そして、最前線に『彼』と【聖剣姫】が降り立つのだった。

 

 

『おっせぇぞこの野郎!?』

 

「あとてめぇ!姫様をお姫様抱っこってどういうつもりだ!?羨ま……ゲフンゲフン、けしからんぞごらぁっ!?」

 

「ささ、姫様はこちらに!その魔道しか取り柄がない奴がぶっ放している間にご準備を!」

 

「……どうやら、憎まれ口を聞けるくらいには元気のようだな?」

 

「みんな、生きててくれてありがとう!……それじゃあ、お願いね?」

 

「あぁ、時間稼ぎは任された。さて――邪龍共、少しばかり舞踏会(ダンス)に付き合ってもらうぞ!」

 

 

怒号が響く兵士達に【聖剣姫】を預けると、『彼』は宙へと舞い上がり、次元軌道(ジョウント)と呼ばれる幻影を纏った飛行術で邪龍達を撹乱し、時に雷光を放ち、時に紫炎を纏った飛ぶ斬撃を放っていく。

 

一方で【聖剣姫】と言うと、どこからともなく何重にも鎖が巻かれた剣を取り出し、その鞘ごと地面に突き刺すと、何やら言葉を紡ぎ始める。

 

 

 

「――十三拘束(シール・サーティーン)限定解除(リベレイト・オーダー)

 

第一術式から第六術式(アクトワン・フォー・シックス)拘束解除(リベレイト)

 

 

【聖剣姫】が紡ぐ言葉と共に、剣に纏わりついていた鎖が光となって消え去っていき、徐々に剣が輝きを放っていく。

 

 

――さて、ここでとある話をしよう。

 

それは、かつて【魔剣】を封印していたという【聖剣】の話だ。

 

とある国の聖王がその魂を捧げ、聖王の祈りを糧とし力とする剣。

 

当時の魔王を討ち取った後、次代の魔王が現れるまで【魔剣】を封印していたとも称される剣。

 

再び魔王が現れてからは行方知らずとなっていたその剣は――何の因果か幾多もの封印を施され、先代の王によってこの新たなる熾火(ギムレー)へと保管されていた。

 

由緒正しき神器である盾を受け継いだ姫が【聖盾姫】と呼ばれるのならば。

 

彼女は【聖剣】を受け継いだが故に【聖剣姫】と呼ばれるのだ。

 

 

 

七聖術式『守護剣封陣』(セブンセンシズ・ロード・カルデアス)議決承認(ディシジョン・ログイン)!」

 

「さぁ、目覚めなさい!」

 

 

 

【聖剣姫】の詠唱と共に、ひときわ大きな光が剣を包み込み、その鎖を解き放つ。

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の伝説は12世紀から始まった。あれは日差しの強い真夏だったかな?いや……肌寒くなる秋だった……当時は私も「(ワル)」でね?そういえばもう冬だったかもしれない。すごく「(ワル)」で巷でも有名な「(ワル)」だった。悪そうな奴はみん 『虫唾ダッシュ!』 ぶべらっ!?」

 

 

 

 

 

――剣があった場所に現れたよくわからない聖剣(ナ マ モ ノ)を、【聖剣姫】が蹴り飛ばしたのだった。

 

 

「ヴァカめ!私の武勇伝を遮るとは何事だ!朗読会も聞かない、使い手に守って欲しい1000の項目も見ようとしない!あぁ、この国の使い手はいつだってそうだ!このような拘束で私を意のままに操ろうとする!なんたる事だ!」

 

「はいはい話は後。今はあれを蹴散らすのが先よ?」

 

「えぇい、またメイドイン【魔剣】の奴らか。だがしかし、この私の内に宿る聖なる力(ぱぅわぁああ)が奴らを鎮めろと叫んでいる……致し方あるまい、この私の武勇伝の新たな一頁を刻むことを許可しよう。」

 

「えぇ、お願いするわ【聖剣】。」

 

 

話の邪魔をされたことにわめく聖剣(ナ マ モ ノ)を【聖剣姫】がうまく誘導していくと、聖剣(ナ マ モ ノ)は光り輝く剣の姿となって【聖剣姫】の手に渡り、その背中に光り輝く翼を宿らせる。

 

 

【聖剣姫】が【聖剣】を撫でるように一振りした、次の瞬間。

 

――そう、軽く振っただけだ。ただそれだけで、兵士級(ポーンクラス)の邪龍達が真っ二つになった。

 

 

 

 

 

「……やれやれ、拘束は半分ほどしか解除していないというのに恐るべき威力だな。かつて魔剣を手にした魔王を討ち取るのに貢献したというだけのことはある。」

 

「あ、この彼氏面しれっと避けて姫様の隣確保してやがる。」

 

「ねぇなんなのその以心伝心っぷり?見せつけてるの?」

 

「処す?処す?」

 

「五月蝿いぞ貴様ら。」

 

「「「「お?」」」」

 

「あ?」

 

「何邪龍がまだ居るのに喧嘩してるの!?さぁ、残りを蹴散らすわよみんな!」

 

『おおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっ!!!!!!』

 

 

【聖剣】が振るわれるのを察知し、離脱した後【聖剣姫】の傍に舞い降りる『彼』と防衛隊の兵士達が(彼女視点)何故か一触即発になろうとしているのをたしなめた【聖剣姫】は、剣を天に掲げ兵士達を鼓舞する。

 

そして、その号令と共に彼らは――都市を守る刃となって、邪龍の群れに立ち向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、姫様達が居てくれて助かったよ。おかげでうちの防衛隊は死人もなし、被害はあっても運営には支障なし。いやはや、姫様さまさまだねぇ。」

 

「そんなに褒めるようなことじゃないわ『グシオン』。私は私にできることをやっただけ、後はみんなが居たからこその勝利だもの。」

 

 

邪龍の群れを退けたその後。【聖剣姫】と『彼』は、都市を管理している元老院【賢老七十二臣】が一人、『グシオン』との会談を行っていた。

 

 

「はぁー、姫様はほんとにいい子だねぇ。そうは思わないかい、馬鹿息子?」

 

「少しばかり空回りしている点は多いがな。ただし俺の誇りにかけて厨房には入らせん。それと姫とはいえ多少は部屋の片付けをできるようにはなってほしいものだな?少し放って置くと俺の手にも負えなくなる。」

 

「ちょっと、何よその言い方!?悪いとは思ってはいるし改善しようとはしているでしょ!?」

 

「そうじゃない、そうじゃないんだよこの馬鹿息子が…………」

 

「私の午後はアフタヌーンティーにて始まる。」

 

「そしてなーんでしれっと紅茶を飲んでいるんだいこの【聖剣】様はっ!?拘束はどうしたのさ拘束は!?」

 

「ヴァカめ!私は不可能を可能とする聖剣だ!それはそれとして私の紅茶を飲むといい、気分が安らぐぞ?」

 

「あらどうも…………ぐっ、無駄に美味しいのがまた腹立つ…………」

 

 

 

 

 

軽く話題を振ったつもりだった『グシオン』であったが、何故か姫の部屋事情等を熟知している『彼』と、それが当然かのように流して言い合いを始める【聖剣姫】のやり取りに頭を抱える。

 

そして拘束が施されているにも関わらずしれっと部屋に居た【聖剣】から紅茶を受け取って口をつけると、口論を続ける二人を他所に「まーたあの場所に行こうかなー」などと現実逃避を始めるのだった。

 

 

「あー、はいはい。二人共そこまで。ただでさえ疲れているのにもっと疲れるよ?それはそうと、お母さんたまには馬鹿息子の手料理が食べたいなー?あんたいっつも姫様の傍に居てここに帰ってくることなんざ滅多にないし。」

 

「…………ほう、俺の料理を呼んだな!いいだろう、ならば腕によりをかけて作ってやろう!」

 

「あら、それじゃあ私も楽しみにしているわね?」

 

「ふっ、当たり前だ!」

 

 

 

 

 

――これは、つかの間の平穏を取り戻した、そんな一日の話である。

 

 

続く?




余談:この彼氏面の衣食住
衣:【1D100:29】 食:【1D100:80】 住:【1D100:58】

ソロモン!衣は人のこと言えないけどなんか食がすごいぞソロモン!


後、別所のグシオンさんがゲスト出演してます。

前の話でグシオンの息子と書いていたので繋げたけど剪定事象ですので(土下座)

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