ノーゲーム・ノーライフ ゲーマー兄妹と獣耳少女が神経衰弱をするようです 作:星ほたる
(ミスった、です?)
空が二枚目に捲ったカードは、
つまり、二枚目に未公開のカードを捲るという明確なミスを、ここにきて空がした。
しかもその二枚目のカードは、公開済みの『♢8』と揃えられるカード。
初めて見せた空たちの隙を、いづなは逃しはしない。
(どういうつもりか知らねーです、が、油断しねー、です!)
いづな『♢8』→『♠8』
これでいづなは十七枚。だが、まだ止まらない。
いづな『♣10』→『♡10』
いづな『♢6』→『♡2』
さらにカードを揃え、獲得枚数十九枚。勝ちが確定する二十七枚まであと四組まで迫る。
枚数差は五枚。ここへ来て、初めて枚数差が開きだした。
十三ターン目先手。
白がカードを捲る。
空白 『♣A』→『♠A』
空白 『♣K』→『♡K』
立て続けにカードを揃え、再び枚数差は一枚。
その白に空が声をかける。
「白、まだ大丈夫だ。兄ちゃんに任せとけ」
兄の言葉を受け、白はおとなしく空に譲る。
「ほらよ、っと」
空白 『♠5』→『♡2』
(何でだ、です)
またしても、ミス。今度は二枚とも公開済みのカードを
「どうした? いづなの番だぜ?」
自分のしていることが分かっていないのか、いやそうではなく分かっていながら表に出そうとしないのだろう。
自信に満ちている表情を崩さずに空は言う。
(何故空は、ミスをしやがった、です)
シャッフルがされてから、らしくないミスを連発する。
そこから考えられる原因は———
『結局状況は変わらなかった』。空の言葉に覚えた引っかかり。
(ちげーです。シャッフルで、じょーきょーは変わりやがった、です)
空は、カードの配置を追えていない。
どこにどのカードがあったのか、分からなくなっている。
いづなはそう結論付けた。
(空がちょーし悪くても、いづなは変わらねえ、です)
決して手を抜かない。そうしなければ、空と白は不利な状況からも逆転してくるだろうから。
いづなにとって、空と白に勝つこと、ゲームに勝つことは何よりも重要なことだから。
いづな『♣5』→『♠5』
これで二十三枚。勝利確定まであと四枚。
いづな『♢10』→『♢J』
ここで未公開札。勝利確定まであと少しというところで、空たちに手番が移る。
「じゃあ白、これで」
「しろとにぃの……勝ち………」
枚数差は五枚。
現在十八枚しか持っていない空たちが勝つためには、最低でも十枚は獲得しなければならない。
たった十枚だが、いづなが四枚揃える前に揃えなければいけないとなると、難易度は格段に上がる。
それなのに、勝利宣言。
「いやー、結構キツかったな」
「……にぃ……が、余計なこと、するから………」
「あれは必要なんだって、白も認めただろ?」
空白 『♡9』→『♢9』
雑談を交わしながら空がカードを捲っていく。
その会話からは、二人が言葉以外でのコミュニケーションをしていたことが読み取れる。
二人一組である以上、ルール違反ではないが、言葉に
その方法は、繋がれたままの左の手。
力の加減だけで、白が空に指示を出す。
空白 『♣6』→『♢6』
「ちょっと、どういうことですの? まだ勝負はついてませんわよ?」
「あれ、分からないか? もう俺たちが何もしなくても自動的に勝てるって言ってんだけど」
「だから、何故もう勝ちを宣言できるのか、と聞いているんですの!」
空白 『♠10』→『♢10』
ステフの問いに空が答える。
「公開札と未公開札の状況を考えれば分かるだろ」
勝利宣言時点で公開されていたのは『♡2』『♡3』『♢6』『♢9』『♢10』『♢J』の六枚。
そして未公開札の残り枚数は、六枚。
いづなが10のカードを引き当てたことで全ての数字が公開され、どの未公開札を捲っても揃うカードが用意されている状態になった。
あとは空たちがそれを獲得するだけである。
空白 『♠2』→『♡2』
「そもそもステフだけじゃなく、いづなもこのゲームを間違えてんだよ。だから勝てない」
ステフは神経衰弱を記憶力を試すゲームだと考える。
ただし、それは『
いづなは神経衰弱を、相手よりもカードをひたすら稼ぐ、運で勝負が決まるゲームと考えていた。
運次第だからこそ勝機はゼロではない。
白はその考えを否定する。
空白 『♠3』→『♡3』
「……神経衰弱、ただの数取りゲーム………」
つまり、最後の揃わないカードを引かないように立ち回る、複雑になった数取りゲームだと白は言う。
だからこそ、二枚とも見えていなかった10のカードを、何の警戒もしなかったいづなが負ける。
白の計算の下、押し付けられたという事実に気付かなかったからこそ、いづなは勝てない。
「これで終わりだな」
空白 『♣J』→『♢J』
ステフが描かれたJのカードを揃え、勝負が決する。
いづな二十三枚
空白 三十枚
六連取を決め、空と白の勝利となった。