彼の者は蒼空に自由を求める   作:疾風改

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7月3日 大幅改変しました


第一話

 翌日、俺は坂本少佐と警備兵に連れられ格納庫に向かった。

 そこには深緑と白に塗装され、水平尾翼に俺のパーソナルマークである小刀を咥えた銀色狼の横顔が描かれていた。

 「コレが…俺の新しい、翼…か」

 「そうだ、川滝航空機工業作『キ100五式戦闘脚』通称『飛燕改』だ」

 「飛燕改…陸軍のが何故ここに?」

 「まぁ色々あってな。陸のお偉いさんが「佐々木は我が陸軍の人間だ!ならば使うのも陸軍の戦闘脚だ!」と騒いでいてな仕方なくだ。そうだ、コイツの性能なんだが、公称呪力1500MP、最大速度580Km(高度8800)、最高高度10000M、格闘戦は隼には劣るが申し分ない性能になっている。」

 「…………」

 坂本少佐の言葉を聞きながら新しい翼…飛燕改に近づきソレに触れた。

 「………良いな」

 軽く魔力を流したら飛燕改は馴染むように俺の魔力を吸い込んでいった。

 「気に入った様だな。さて、私はそろそろ征くとしよう。佐々木お前はコレを一月で使いこなせるようにしろ」

 「…了解。…坂本少佐、自分を彼処から出して下さりありがとう御座いました」

 「気にするな、お前程の実力者を燻らせておくには勿体ないからな!はっはっはっ!」

 坂本少佐は笑い声を残し格納庫から去って行った。

 

──────────────────────────

 

 坂本少佐の言葉に従って飛燕改に馴れるように毎日練習を続け、直ぐ一月が経過し、ブリタニアに向かう日になった。

 「失礼致します!佐々木少尉、加藤圭子大尉がお呼びでしたからお迎えに上がりました!」

 「…分かった」

 「此方です」

 兵士に付いて行き加藤大尉が居る部屋に案内された。

 「失礼致します!佐々木隼人少尉をお連れ致しました!」

 『分かりました、入って来て下さい』

 兵士が開けてくれた扉をくぐり、陸軍式の敬礼をした。

 「……失礼致します、佐々木隼人少尉お呼びに従い、参上致しました」

 「ご苦労さま、御免なさいね?出立前なのに」

 「…お気遣い無く…用は何でしょうか?」

 「私も同じ艦に乗ります。ネウロイが来ない航路を征きますが、万が一が在るのでそのつもりで居て下さい」

 「了解しました。そろそろ時間ですので失礼致します」

 「ええ、また後で」

 敬礼をして加藤大尉の部屋を出て俺が乗る予定の艦、空母『翔鶴』に向かった。

 

 

 「世間話する前に逃げられちゃったわね……」

 私の手元には先程まで居た佐々木隼人少尉の一ヶ月の資料があります。

 その中で私の目を惹いたのは一ヶ月間のユニット飛行時間と五年間の人体実験の資料でした

 「習熟訓練…200時間以上って私も出来るかしら」

 それに彼は私の事を警戒しているように…いえ、彼も無意識でなのかもしれませんね。

 「それに、話で聞いた風には見えなかったわね…やっぱり、五年間も人体実験をされ続けたら変わるのかもね……」

 資料を鞄に仕舞うと丁度迎えに兵士さんが来たので、兵士さんと空母翔鶴に向かいました。

 

 

──────────────────────

 

 空母翔鶴を旗艦にした連合艦隊が出航して二週間目、俺は船酔い二日目に突入していた。

 「……こんなに、揺れるって…聞いて、ない…」

 小窓から外を見ると雨風が強くそれに艦が揺られているようだ。

 ボーッと外を眺めていたら扉を叩く音が聞こえた。

 「…開いている」

 「失礼するわね?」

 扉を開けて入って来たのは加藤大尉だった。

 「…大尉、如何しましたか?」

 「船酔いって聞いたからお見舞いにね」

 「…そうですか」

 「ええ…(あら?会話が途絶えたわね)」

 「自分は大丈夫です、幸い、執務は全て三日前に終わらせましたから」

 「そ、そうですか。あ、明日晴れるらしいので哨戒飛行の隊長をお願いしますね」

 「了解しました」

 「それじゃ、私はこれで失礼するわ」

 「は、ありがとう、ございました」

 加藤大尉は微笑んで部屋から出て行った。

 「……ま、明日迄には慣れるか」

 この日は早かったが寝ることにした。

 

 次の日、船酔いが直り俺は飛燕改が置いてある格納庫に行き哨戒に行くための調整をしていたら、一人のパイロットが近付いてきた。

 「お久しぶりです…副隊長」

 「林…お前、何で此所に……隊長や他の奴等は?」

 近付いてきたのは『林 雅之(はやし まさゆき)軍曹』で五年前まで居たアフリカ大陸で活動していた部隊の一人だ。

 「……副隊長が帰国して一ヶ月後、ネウロイの大規模進行で自分を残し…部隊は、全滅しました…。」

 「……そう、か…。……そろそろ哨戒の時間だ最終点検しておけ」

 「はっ!」

 林は自分の機体に戻っていった。

 「……そうか…皆、逝ったのか」

 俺の呟きは誰の耳にも入らなかったようだった。

 

 甲板には林を始めとする、七人のパイロットが整列していた。

 「……全員機体に搭乗、一番機から順次発艦しろ」

 「「「「「「「了解!!」」」」」」」

 全員が機体に乗ったのを確認して俺も飛燕改に足を入れた。

 「発艦始め」

 無線で伝えると一番機から蒼空に上がって行った。全機上がったのを見て俺も発艦した。

 「佐々木隼人、飛燕改発艦する」

 蒼空に上がると、七機が俺の後ろに着き訓練を始めた。

 『こちら翔鶴、燕隊応答願います』

 「…こちら燕隊隊長、佐々木隼人。感度良好、翔鶴どうぞ」

 『哨戒部隊、燕隊は翔鶴の正面11時から1時を索敵されたし』

 「燕隊了解、一番機から三番機は11時。四番機から六番機は12時。七番機は俺と1時。各機警戒を厳に索敵せよ」

 『『『『『『『了解!』』』』』』』』

 三機編制で別れ、俺は七番機…林と自分達の持ち場に向かった。

 

 

 「七番機、4500まで高度を上げる。着いてこい」

 『七番機了解!』

 ゆっくり高度を上げ翔鶴から5000離れた所を索敵をしながら遊覧飛行をしていたら、無線に通信が入った。

 『至急至急!こちら翔鶴!佐々木少尉応答願います!』

 「こちら佐々木、翔鶴どうかしたか?」

 『ネウロイを電探で探知!種別、中型3体、小型10体以上、距離約20000、高度5000、翔鶴より2時の方向、至急迎撃されたし!』

 「了解、自分と7番機が一番近い、我々が先に接敵する」

 『了解!他の燕隊と加藤大尉を応援に向かわせます!』

 「了解、接敵まで、約十分」

 無線で交信していたらいつの間にかネウロイとの距離が10000まで近付いていた。

 「林、見えてきたぞ…」

 『……自分には黒い点にしか見えませんが…』

 「そうか?ほら、どんどん近づいて来てるぞ」

 林と無線で話していたらネウロイが視認出来る距離に来ていた。

 「こちら佐々木、ネウロイを視認。コレより迎撃に入る。七番機、回避行動並び揺動を頼む!」

 『了解!コレより回避、揺動行動を開始──ネウロイ発砲を確認!』

 「回避!散開!」

 赤いレーザーが撃たれ、避けるように左右に分かれた。

 しかし、別のネウロイが撃ったレーザーが林の乗る紫電の右翼をもぎ取った。

 『こちら七番機!被弾した!脱出する!』

 錐揉み回転する前に林は上手く紫電を離れ、落下傘を展開させた。

 「こちら佐々木、脱出した林軍曹の救助を要請す───」

 言葉を言い終わる前に小型ネウロイが撃ったレーザーが林の胸を貫いた。

 「林ィィ!!」

 手に持っていた機関銃を投げ捨て、最大加速で林に近づき、背に担いでいる扶桑刀で落下傘の紐を斬り、抱きかかえたが、すでに林は絶命していた。 

 「……コロス…!!」

 ネウロイに掌を向け俺の固有魔法『氷水(ひょうすい)』を放った

 「氷水、『氷槍(ひょうそう)』」

 五十近い氷の槍がネウロイの周りに現れ、手を握ると同時に全方位からネウロイの身体を氷槍が貫いた。

 「氷槍、『分枝(ぶんし)』」

 槍から幾重に別れた枝が全てのネウロイのコアを破壊した様で氷と一緒に砕けていった。

 「……林…見ろ、敵は討ったぞ……。こちら佐々木、ネウロイを殲滅した。尚、戦闘で林雅之軍曹が戦死した。遺体は回収している海葬の用意を願う」

 『こちら翔鶴、ネウロイ殲滅を確認。林雅之軍曹に、最大の敬意を払う。海葬の件了解した。佐々木少尉帰還せよ』

 「了解、感謝する…通信終わり」

 無線を切り、林を抱え直し翔鶴に帰艦した。

 

 「………これで、俺だけか…」

 林の私物から形見分けとして以前居た部隊の集合写真とその部隊全員のドッグタグを貰い、艦尾のデッキで先月から覚えた煙草を吸った。

 甲板上では林の海葬が行われ、海に林の遺体が流されそれに向け左手を上げ敬礼した。

 「……後は任せろ…俺が…残りのネウロイ、全部殺してやる」

 言葉と共に吐いた紫煙は溶けるように蒼空に消えていった。




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