ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男   作:パーシヴァルヴレイヴ

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テメェら、どっからでもかかってきやがれっ!

イッセーside

 

俺はベッドに腰掛けながら時計を見ると、針は22時を指していた。

試合までのあと2時間か…

 

部室に集まるのも1時間と少し。

俺は駒王の制服を着てベッドに寝転ぶ。

先輩には自分に一番合う服を着てきなさいと言われたので、俺は気慣れている制服を選んだ。

 

コンコン…

 

「イッセーさん、入ってもいいですか?」

ノックの後にアーシアの声が聞こえてくる。

 

「ああ、どうぞ」

俺が返事を返すとドアは開かれた。

 

「アーシアはその格好にしたんだな…」

ドアから現れたのは、シスター服を着たアーシアだった。

 

「は、はい。悩んだんですが、私にとってはこれが一番動きやすいかなって思いまして…」

 

「そうか…その服、似合ってるぜ?」

シスター服を着ているアーシアの方がしっくりくる。

 

「ありがとうございます」

褒められたのが嬉しかったのか、アーシアは満面の笑顔を浮かべる。

 

「あ、あの…イッセーさん!」

モジモジしながらアーシアは俺の名を呼び、

 

「隣…座っていいですか?」

 

「ああ、別にいいぞ」

俺が承諾すると、アーシアは俺の隣に座った。

すると、俺の腕に抱きつくアーシア。いきなりで驚いたが、アーシアが震えているのがすぐに分かった。

 

「怖いのか?」

 

「はい…これから戦いが始まると思うと、震えが止まらないんです」

アーシア自身、本格的な戦いは今回が初めてだもんな…そりゃ怖がりもする。

 

「でも、イッセーさんの隣にいると自然と恐怖がなくなります」

 

「そうか、それは良かった。俺がいるだけでアーシアが安心できるならいくらでもやってやるさ」

そう言って俺はアーシアが少しでも安心できるように頭を撫で始めた。

 

「えへへ… お家を出るまでこうしてていいですか?」

アーシアは腕に抱きつく力を少し強めながら言った。

 

「ああ」

一言俺が返事すると、アーシアは嬉しそうに腕に抱きついてくる。

こうして互いの温もりを感じていると、

 

ガチャ

 

「兄様、一緒に…」

白音もさっきまでやっていた準備が終わったのか、俺の部屋に訪れた。

 

「先を越されてしまいましたね」

 

「それでもいいなら、こっち空いてるぞ?」

アーシアがいない方をアピールすると、

 

「それでも全然いいです…!」

白音はそそくさと俺の隣に座って、手を繋いでくる。

 

「兄様の手、暖かいです」

 

「白音も暖かいよ」

白音は体を俺に寄り添ってリラックスしている。

 

ドタタタタッ

 

どうやら最後の1人が来たようだ。

 

ガチャッ

 

ドアの前には着物を着た黒歌がいた。

「イッセー…ってもう二人ともいるにゃあ」

心底残念そうな顔をする黒歌。

 

「早いもの勝ちです、姉様」

 

「黒歌さんには申し訳ないですけど、ここは譲れません!」

断固として隣を譲る気の無い白音とアーシア。

 

「ならあたしはここにするにゃ」

そう言って黒歌は俺の後ろから抱きついた。背中には黒歌の豊満な胸が当たってくる。

 

「当たってるぞ、黒歌」

 

「当ててるんだよー」

黒歌はそう言いながら強く抱きしめる。

 

「「むぅ…」」

少し剥れっ面になっている二人になりながら俺に抱きついてくる。

 

「まあまあ…」

俺は二人を慰めながら、この心地いい雰囲気を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始20分前

 

グレモリー眷属は旧校舎の部室に集まっていた。

祐斗は手甲と脛当てを付けており、白音はフィンガーグローブを付け、椅子に座って本を読んでいる。その隣には意外と静かに瞑想している黒歌がいる。そしてリアス先輩と朱乃先輩はソファに座ってお茶を、アーシアはその横の椅子に座ってリラックスしていた。

 

俺は壁に背を預けて試合開始を待っていた。

さて、どんな制限が付けられるのやら…

 

「来たわ…」

部室の魔方陣が光り、そこからグレイフィアさんが現れた。

 

「開始十分前となりましたので、お迎えにあがりました。準備はよろしいですね?」

グレイフィアさんが確認すると一斉に俺たちは立ち上がった。

 

試合直前の独特な緊張感がこの部屋を支配している中、グレイフィアさんが説明を始めていく。

 

「開始時間になりましたら、ここの魔法陣から戦闘フィールドへ転送されます。

場所は異空間に戦闘用として作られたものなので、そこではどんなに派手なことをしても構いません。使い捨ての空間なので思う存分に戦ってください。そして…」

グレイフィアさんは細かいルールを説明していく。

 

 

「ここでもう一つルールが追加されましたので、報告させていただきます」

追加ねぇ…

 

「それは何なの?」

 

「リアス・グレモリーの兵士、兵藤一誠様が行える戦闘は二回までとする。戦闘は敵を1人、複数同時に倒しても一回とカウントされます」

やっぱりか…

 

「何ですって⁉」

そのルールを聞いてリアス先輩は驚きを隠せないでいた。

 

「イッセー様が戦うとこの試合はすぐに終了するという決断に至った魔王様直々のご命令です」

 

「くっ⁉…」

リアス先輩は拳を強く握りしめている。

いきなり自分の駒に制限を掛けられたんだからな、そりゃ怒るに決まってる。

 

「大丈夫ですよ、リアス先輩。一回の戦闘でほとんど潰せばいいだけです」

俺はリアス先輩の肩をポンと叩く。

 

「最後に、今回のレーティングゲームは両家の皆様も観客席から中継でフィールドでの戦闘をご覧になられます」

リアス先輩の両親がみてるのか…こりゃ負けられねぇな

 

「魔王ルシファー様もこのゲームをご覧になられています」

 

「お兄様もゲームを見に来られていたの…」

 

「祐斗、リアス先輩って魔王様の?」

リアス先輩の呟きが気になったので聞いてみると、

 

「そうだよ、部長は魔王の妹君なんだ。ルシファーの名を継がれたから、グレモリーの名は名乗っていないけどね」

 

「へぇ、そうなのか」

まあ、リアス先輩が誰の妹だろうが関係ねぇけど…

 

そんな事を思っていると、

 

「そろそろお時間です。皆様、魔法陣の方へ。なお、一度あちらへ転移いたしますとゲームが終了するまで魔方陣での移動は不可能となります」

グレイフィアさんが言い終わったところで魔方陣の紋様がグレモリーから見知らぬ紋様に変わった。

 

そして、俺たちは魔法陣の光に包まれて転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここって…部室ですよね?」

転移した場所はさっきいたオカルト研究部の部室であった。

 

「ええ。異空間の…今回の為に作られた擬似のね」

 

「てことは、ここが俺たちの本陣になるってことか…」

 

「慣れ親しんでいる僕たちにとっては有利かな」

そんな会話をしていると、

 

「皆様、この度はグレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判役を担うこととなりました、グレモリー家使用人グレイフィアでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもとにご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願致します」

グレイフィアさんからこのフィールドについて説明がされていく。

 

「両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣は、旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザー様の本陣は、新校舎の生徒会室となります。ポーンの皆様はプロモーションする際に相手の本陣の周辺まで赴くことが必要となります」

 

「俺と白音と黒歌は生徒会室付近まで行かないといけないってことか…」

 

「ここからだと遠いにゃあ」

俺たちが窓から新校舎の方を見ていると、朱乃先輩がイヤホンのような耳につける何かをみんなに配っていた。

 

「これはイヤホン型の通信機器です。これを使って戦場での味方同士のやり取りをしますので、今のうちにつけといて下さいね」

俺たちはそそくさと耳に通信機をつけて開始の合図を待つ。

 

「開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです」

学校中に鳴り響くチャイムを合図に、俺達にとって初めてのレーティングゲームの幕が今、切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まずはライザーの兵士を撃破しておかなければね。8人全員が女王にプロモーションされたら厄介だわ」

 

「確かにその通りですね」

その場合には俺が対処するしかなくなるし。

 

「なら、こっちがやられる前にガンガン攻めるにゃあー!」

 

 

「そうね…黒歌に言う通りに攻める必要があるわ。守ってばかりでは何も生まれない…祐斗」

部長の指示を受け、祐斗はテーブルの上がチェスのようにマスで区切られた学校の全体図を広げる。

 

「新校舎に攻め込むためには三つのルートがあるわ。一つは校庭を直行。二つ目は空を飛んで接近、三つ目は裏の運動場の通過。ただ、校庭と空からのルートは相手から丸見えで裏の運動場からなら前者の二つよりも安全ではあるけれど、既に敵の手が回ってると思うの。だから私たちは最初に旧校舎に近い体育館に陣地を置くことにするわ」

 

「それが妥当ですわね」

 

「でも、ライザーもそのことについては承知してるだろうから、下僕を配置してくるでしょうけどね…」

そこから口は止まって部長が黙って策を頭の中で考えているようだ。

やがて部長は深く頷き、

 

「…祐斗と白音と黒歌は、まず森にトラップを仕掛けてきてちょうだい。その際、予備の地図にトラップ設置場所に印を付けることも忘れないようにね」

 

「はい」

 

「了解です」

 

「分かったにゃあ」

部長の指示を聞くと三人は地図と色々なトラップを持って部室を出ていった。

 

「朱乃はトラップの設置が完了次第、森周辺と空も含めて霧と幻術をライザーの眷属のみに反応するようにかけてちょうだい」

 

「わかりました、部長」

朱乃先輩はその指示に従う。

 

「イッセーはここで待機。出来るだけ最後まで温存するわ」

 

「了解です」

俺も何か手伝いたいが、その時に戦闘にでもなったらこっちが不利になっちまうからな。

 

「アーシアも待機よ。あなたは大事な回復サポート要員だから常に私と行動してもらうことになるわ」

 

「わ、わかりました!」

アーシアは緊張気味に返事をした。

 

「では、祐斗達が帰ってきたら体育館制圧を実行するわよ」

 

「「「はい」」」

ここにいる三人はリアス先輩の指示を聞いて頷きと共に返事を返した。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒歌side

トラップを仕掛け終えて、あたし達が部室に戻ると、今度は白音と共に体育館に向かうことになった。

 

「人使い荒いにゃあ〜」

 

「文句言ってないでちゃんとして下さい、姉様」

白音に小言を言われていると、

 

『黒歌、白音、体育館に入ったら戦闘は避けられないわ。あそこは重要な場所になるわ。だから指示通りにお願いするわね』

通信機からリアスの指示が聞こえる。

 

「オッケーにゃあ」

 

「わかっています」

あたしと白音は返事を返す。

 

『祐斗も指示通りに動いてちょうだい』

 

「了解です、では先に行きますね」

横にいた祐斗がリアスに返事をしてから、自分の持ち場に移動して行った。

 

『黒歌さん、白音ちゃん! 頑張ってください!』

 

『お前らなら必ず成功させるって信じてるぜ!』

アーシアとイッセーの応援が通信機から聞こえてくる。

 

「さてと、そろそろ行くにゃあ」

 

「そうですね。早く帰って兄様に褒めてもらおうっと…」

 

「あ、ずるいにゃあ! あたしも…」

そう言いながらあたし達は体育館へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館の裏口から侵入する手筈になっていたので、あたし達はそこから体育館へと侵入した。そのまま移動して行き、演壇上の幕の内側で待機する。

 

「…気配。敵」

 

「みたいにゃあ」

やっぱり戦闘になるのね…こうなる事は予想してたけど。

 

そう思いながら、あたし達が襲撃するタイミングを窺っていると、

 

「そこにいるのはわかっているわよ、グレモリーの下僕さん達! あなた達がここへ入り込むのを監視してたんだから!」

バレてるなら隠れる必要なんてないにゃ。

 

白音にいけるか確認すると、準備万端だと言うようにこちらを向いて頷いた。

そして壇上に立つと、体育館のコートに四名の悪魔がいるのが分かった。

チャイナドレスを着た女の子に双子の女の子、そして棍を装備した女の子だ。

兵士が三人に戦車が一人か…どうしよかっにゃあ〜

 

「戦車は私がやるので、姉様は兵士をお願いします」

 

「任されたにゃー」

あたしと白音は檀上から飛び降りて、それぞれのの相手の前に立つ。

 

こっちの相手は兵士三人、そのうちの一人は…

 

「あ、前にイッセーに負けた子がいるにゃ!」

そう言ってあたしが指を指すと、その子の顔が怒りに染まっていき、

 

「うるさいっ! あの時は油断しただけよ!」

そう言ってあたしの方に棍先を向ける。

 

「なら、本気の力…みせてくれるにゃー?」

 

「お望み通りにみせてあげるわ!」

その子はその場から駆け出して、あたしに襲いかかる。

 

「はあっ!」

その子は棍を他方向から振って、あたしに当てようとするが、それをあたしは悉く回避していく。

 

 

「何で…何で当たらないのよ!」

当てようと躍起になっていくうちに棍は大振りになっていく。それをあたしが見逃すはずもなく、

 

「隙ありにゃ…」

あたしは手のひらをその子に零距離で向けて、気弾を発射した。

 

「がっ⁉」

零距離で避けられるはずもなく、その子は気弾の直撃を受けた。

そして、棍使いの子は光に包まれていき、その場から消えた。

 

『ライザー・フェニックス様のポーン一名リタイヤ』

体育館内にアナウンスが響き渡る。

 

とりあえず一人終りょ…

 

ドゥルルルルル…

 

「よくもミラをっ!」

 

「許さないんだから!」

そう思っていると、双子がチェーンソーの低い機械音と共にこっちに迫ってきていた。

 

「えぇい!」

双子の一人はチェーンソーを振り下ろしてくる。

 

「おっと、危ないにゃあ」

しかし、あたしは難なく避ける。

 

「こっちにもいるんだよ!」

後ろにはチェーンソーを横薙ぎに繰り出しているもう一人の双子。

 

「分かってるにゃー」

不意打ちであったとしても、そのチェーンソーがあたしの体に当たる事はない。

 

「「はぁぁ!」」

その後も双子のコンビネーションであたしに追撃を仕掛けてくる。

 

「そんなの当たらないにゃ〜」

そう言ってあたしは二対一などものともせずに避けていく。

 

「ムカつくぅぅ!」

 

「当たんなさいよぉ!」

イライラが溜まっていって先ほどの棍使いのように双子の攻撃が雑になっていく。

そんな時、双子の後ろに一つの影が迫っていた。

そして、

 

ドゴォッ!

 

「「ぎゃっ⁉」」

同時に双子に拳が直撃していた。

余程強烈だったのか、双子はその場で這いつくばっている。

 

「遅いにゃあ、白音」

 

「私を待つくらいなら姉様がやれば良かったじゃないですか…」

あたしの隣には全く無傷の白音が立っていた。

遠くを見ると、双子と同じように床に伏せている敵の戦車が見える。

 

すると、イヤホンから通信が入った。

 

『黒歌、白音、聞こえる? 私よ』

部長からの通信が入った。

 

「リアス、こっちは終わったにゃあ」

 

『それはちょうど良かったわ。朱乃の準備も整ったし、例の作戦通りにお願い!』

 

「了解にゃー!」

あたしが白音に目配せをすると、白音を頷いて体育館の中央口へと走り出した。

 

「逃げる気なの!ここは重要拠点なのに⁉」

あたし達の行動に驚くライザー眷属を無視して中央口まで走り抜ける。

 

こんな重要拠点を囮にするなんて…リアスってば、よくもこんなぶっ飛んだ考えついたもんにゃ。

そんな事を思いながらあたしと白音が体育館から出てから少し離れると、

 

ゴォォォォォォッ!!!

 

途轍もない轟音と共に巨大な雷の柱が体育館に降り注いだ。

そして、目の前にあったはずの体育館は落雷によって根こそぎ消失していた。

 

「撃破(テイク)」

空中から声が聞こえたので見て見ると、黒い翼を広げたいつもの笑顔を浮かべる朱乃がそこにいた。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士3名、戦車1名、戦闘不能!』

 

審判役の人からのコールがフィールドに響いた。

 

「さすがにゃ、朱乃。それに白音も良く頑張ったにゃ」

 

「はい! これで兄様に…」

 

「それほどでもありませんわ。でも、あれは一度放ったら二度目を撃つまで時間がかかるので、連発は不可能ですわ。だから今のうちに祐斗くんと合流して、各個撃破しておいてと部長からの指示です。私も魔力が回復し次第、部長と共に前に出ますから、お願いしますね」

 

「了解に…」

正に今から祐斗と合流しようとしていたその時、

 

「っ⁉ 白音っ!」

 

「分かってますっ!」

すぐにあたしと白音は回避行動をとった。

その瞬間、あたし達がいた場所の中心から大きな爆発が起こる。

今の攻撃…もう少し察知が遅かったら危なかったにゃあ。

 

 

「避けられましたか…」

背後の上空にはフードを被り、魔導師服を身に纏ったライザーの女王がいた。

 

「まさか女王直々に来るなんて思ってなかったにゃあ」

 

「それも作戦が成功した直後に…」

あたし達が女王を見上げながらに言葉を放つ。

 

「得物を狩る時、得物が何かをやり遂げた瞬間が一番隙だらけになっていて狩りやすい…こちらは多少駒を犠牲にしてもあなた達を1つ狩れば充分なのだけど、今回は失敗のようね」

女王の顔が少し険しくなる。

 

「あたし達が相手でお生憎様にゃあ」

 

「仲間を何だと思ってるんですか…!」

眷属四人を犠牲にした事に白音が怒っているのが言葉から伝わってくる。

 

「あの娘達を有効に使ってあげようとしたんだから、むしろ感謝して欲しいわ」

 

「あなたは…!」

 

「熱くなったらダメにゃ、白音」

 

「でも…!」

少しは冷静さを取り戻した白音だが、まだ怒りの色は消えない。

そんな中、朱乃が白音と女王の間に割って入ってきて

 

「ここは私が相手しますから、黒歌と白音ちゃんは予定通り祐斗くんと合流を…」

朱乃がそう言うが、白音は動こうとしない。

 

「白音ちゃんのその想いは私が受け継ぎますわ。だから、あなたはあなたの務めを果たしなさい」

 

「…わかりました。よろしくお願いします!」

白音はそう言って頭を下げた後に運動場へと走り出す。

 

「朱乃、勝ちなさいよ…」

 

「分かってます…」

後方からの激しい爆音と雷鳴を聞きながら、私は白音を追って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライザー・フェニックス様の兵士3名、リタイヤ』

白音と運動場への移動中に再びアナウンスが聞こえてきた。

 

「兵士3人…やったのは」

 

「祐斗先輩ですね。すごいです…」

そんな事を言いながら走っていると、前に体育用具の小屋が見えてそこに…

 

「やっと合流できたにゃあ」

 

「お疲れ様です」

 

「そっちもね」

どうやら死角になっているこの小屋の物陰から運動場の様子を窺っていたようだ。

 

「敵さんは何人にゃ?」

 

「騎士、戦車、僧侶の三名が立ちふさがっています」

 

「厳重ですね」

 

「当然ちゃ当然にゃ。ここが相手の本陣への唯一の侵入ルートだからね」

 

「何が仕掛けられて来るか分からないので、正面から突っ込むのは危険ですね。どうするべき…」

祐斗がどのように仕掛けるか考えていると、運動場の方から大きな掛け声のようなのが聞こえてきた。

 

「私はライザー様に仕える騎士、カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのも飽きた!リアス・グレモリーの騎士よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!」

と、勇ましい女性の声が野球部のグラウンドから木霊する。

 

こういう事をするバカっているんだ…

あたしがそう思っていると、

 

「名乗られてしまったら、騎士として、剣士として隠れているわけにもいかないね…」

祐斗はそう呟きながら少し笑みを浮かべた。そして、グラウンドへと向かってしまう。

 

「はぁ…こっちにもバカがいたにゃあ…」

あたしが頭を抱えていると、

 

「姉様、行きましょう。祐斗先輩一人じゃ心配です」

白音も祐斗に続いてグラウンドに向かっていく。

 

「そんなバカはイッセーだけで充分にゃ…」

あたしもグラウンドへ向かっていった。

 

するとそこには祐斗よりも早く来ていたバカがいた。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

「俺はリアス・グレモリーの最強の兵士、兵藤一誠だっ! テメェら、どこからでもかかってきやがれぇ!」

俺はグラウンドの中心で腕を組んで仁王立ちしている。

 

「僕はリアス・グレモリーの騎士、木場祐斗」

 

「リアス・グレモリーの同じく兵士、兵藤白音」

 

「リアス・グレモリーの同じく兵士、兵藤黒歌…ってイッセー、何でここにいるにゃあ⁉」

俺の元へ三人が走って向かってきた。特に黒歌の勢いがヤバい。

 

「何でって…リアス先輩が行ってこいって言ったから来たんだよ。ここで倒せるだけ倒してって言う命令を聞いてな」

 

「じゃあ部長は?」

祐斗はリアス先輩が心配なのか、俺に聞いてきた。

 

「今頃、新校舎の近くだろう、そこまでは一度も戦わずに行けたから、罠って可能性が高いけどな」

 

「だったらどうしてこっちに来たんですか、兄様?」

 

「リアス先輩がもう大丈夫だって、ここからは私の戦いだから、イッセーはあの子達のところへ…って言ってたからな」

俺がここに来た説明をしていると、

 

「もうそろそろいいだろうか? こっちは早く戦いたいのだが…」

カーラマインが剣を鞘から抜いて俺たちを待っていた。そして、その剣先を祐斗に向けて…

 

「グレモリーの騎士、木場裕斗よ! 私と尋常に勝負だ!」

 

その言葉を聞いて祐斗も同じように剣を抜いて、

 

「いいだろう…その勝負、受けて立つ!」

 

キィン! キィン!

 

両者が同時に飛び出すと、互いの剣がぶつかりあい、火花を散らす。祐斗とカーラマインの二人が自身の剣技と騎士の特性であるスピードを生かしながら戦闘を始めている。

 

「まあ、祐斗なら大丈夫だろう。それよりも黒歌、一つ頼めるか?」

俺は戦っている祐斗を尻目に黒歌に話しかけた。

 

「何にゃ、イッセー?」

 

「朱乃先輩の方から嫌な予感がするんだ。急いで向かって貰いたいんだが…」

そう、俺はさっきからずっと何か嫌な予感がするんだよな。

 

「イッセーの直感はよく当たるからね、すぐに行ってみるわ」

 

「頼む」

そう言うと、黒歌はすぐに行動を開始していた。

 

「さて、俺も戦うか…」

敵の方を見てみると、

 

「「はあっ!」」

何故か白音と相手の戦車が戦っていた。

 

「なら俺は…あんたと戦うか…」

残っている僧侶の方を向くが、

 

「私は戦いませんわよ。そう言う事はカーラマインやイザベラがする事であり、私は戦う為にお兄様に眷属にされた訳ではありませんわ」

そこにいた僧侶が答えた。

 

「お兄様…眷属…? お前ってもしかして…」

 

「あなたの考えている通り、私はライザー・フェニックスの妹、レイヴェル・フェニックスと申します。どうぞお見知り置きを…」

そう言ってドレスの裾を持ってお辞儀をする。

 

「さっき自己紹介したが、兵藤一誠だ。あの焼き鳥野郎、妹まで眷属にしてんのかよ…」

俺がため息を吐いていると、

 

「お兄様曰く…妹をハーレムに入れることには世間的にも意義がある。ほら、近親相姦っての? 憧れたり、羨ましがる者は多いからな…まあ、俺は妹萌えじゃないからカタチとして眷属悪魔ってことで…だそうです」

レイヴェルも何ともいえない表情で言っていた。

 

「はぁ…お前も色々大変だな」

 

「敵に同情されるのはどうかと思いますが、あなたの言っている通りなので何とも言えませんわね」

そんな事を言っていると、あっちでは決着がつきそうになっていた。

 

「あなたのお仲間の騎士さん、カーラマインに負けそうですわよ?」

祐斗の剣、ホーリーイレイザーはカーラマインの炎の剣と剣撃によって破壊されていた。

 

「あなたもカーラマインと戦う準備をしておいた方が賢明なのでは?」

そんな事をレイヴェルは言ってくるが、

 

「いやいや、俺が出る幕なんてねぇよ。最初から最後まであいつ一人で終わらせてくれるさ」

俺がそう言った瞬間、

 

「…凍えよ」

祐斗が低く唸るように言葉を発すると、刀身をなくした剣に冷気が集まり、氷の刃を創り出していた。

 

「炎凍剣(フレイム・デリート)…この剣の前では、いかなる炎も消え失せる」

 

「何故また剣が…⁉ まさか、貴様は二つ神器を…」

こちらからでもカーラマインの驚愕と焦りの表情がよく見える。

 

「な、言っただろ?」

俺がレイヴェルに少し笑いかけると、

 

「まあ、そのようですわね…」

少し顔を引き攣らせているように見える。

 

「で、白音の方は…」

今度は白音の方が気になって見てみると、

 

『ライザー・フェニックス様の戦車1名、リタイヤ』

グラウンドにグレイフィアさんのアナウンスが響いた。

 

「おぉ! やるじゃねぇか、白音」

 

「ぶい…」

どうやら方が付いたようだ。白音は多少傷ついてるものの、元気そうにこっちにピースをしていた。

 

「まさかイザベラがやられるなど…」

祐斗と戦っているカーラマインはこの結果は想定外だったようで、その表情は硬くなっている。

 

「理解できたかい? 僕たちの実力をさ…」

祐斗がいつものスマイル顔で言葉を紡ぎながらも、攻撃の手を緩めることはない。

 

「ま、あっちも時間の問題だろ…」

そう言って俺は近づいて来る二つの影に目を向ける。

 

「お前らが残りの騎士と僧侶か…」

 

「やっと着いたのはいいが、イザベラがやられているとはな…」

 

「あーあ、イザベラさんがやられるなんてねー」

そこには遅れてやってきた騎士と僧侶がいた。

 

「やっと俺も戦えるぜ…!」

俺は体の骨をボキボキ鳴らしながら戦闘態勢に入る。

 

「まあまあそこの兵士くん、落ち着いてあっちをみなよ」

 

「あぁ? あっちってお前らの本じ……っ⁉」

俺は僧侶に言われた通りに新校舎にあるライザー眷属の本陣を見る。

すると、新校舎の屋上に黒い翼を広げた人影と炎の翼を羽ばたかせた人影が目に飛び込んきた。あれは間違いなく、リアス先輩とライザーだ。

 

その後すぐに通信機から連絡がきて、

 

『イッセーさん、聞こえますか!』

 

「何があったんだ、アーシア⁉」

 

『実は、相手のライザーさんから一騎討ちの申し出をいただきまして、部長さんがそれに応じて今…』

私の戦いってそう言う事だったのかよ!

リアス先輩も無茶しやがるっ!

 

そんな中、レイヴェルは憎たらしい笑みをこっちに浮かべながら、

「お兄様ったら、リアス様が意外に善戦するものだから高揚したのかしら? 普通に戦えば私達の勝利ですのに、情けを与えたのでしょう。このままでは、対峙する前にやられてしまいそうですし」

高笑いしていた。

 

「俺たちにこれだけやられといて余裕とは言ってくれるじゃねぇか… まだ勝負は決まってなんかいねぇぞ?」

俺がそう言うと、レイヴェルはため息を吐きながら言った。

 

「わかっておりませんわね。紅髪の滅殺姫、雷の巫女、魔剣創造、そしてあなた。確かに脅威ではありますわ…けれど、不死身の前ではまったくの無意味というものです」

 

「そんなのやってみなきゃ分かんねぇだろ」

そう言って俺はリアス先輩の元へ行こうとするが、

 

「ここから先には行かせませんわよ。行きなさいっ!」

レイヴェルの掛け声と共に、カーラマイン以外のライザー眷属が俺の前に立ち塞がった。

 

「ちっ、邪魔すんなっ!」

 

「兵士は私が引き受けますから、兄様は騎士と僧侶を!」

 

「頼むっ!」

その後すぐに、

 

「祐斗っ! 先にリアス先輩の所に行ってるから、さっさとそいつ倒して来いよっ!」

 

「了解っ!」

祐斗はカーラマインと斬り合いながら答えた。

 

「さっさとリアス先輩の元へ行かなきゃいけねぇからな…とっとと終わらせるぞ…!」

俺はすぐに走り出した。

 

「そんな簡単にここが通れるわけが…」

 

「どけってのっ!」

 

「「がぁっ⁉」」

瞬時に相手の僧侶に近づいて殴り飛ばす。そしてすぐに体を反転させ、騎士を蹴り飛ばす。

これで戦えるのは後一回か…

 

「早くリアス先輩の元へ…!」

俺は目にも止まらないスピードで校舎の中へ入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校舎に入ったところで黒歌から通信が入った。

 

「…と言う事は、朱乃先輩は無事なんだな?」

 

『うん! 何とか間に合ったから二人で戦ってるにゃあ。でも、ユーベルーナの奴がフェニックスの涙って言うチートくさい回復アイテム使ったからもう少しかかると思うにゃ!』

 

『助かりましたわ、イッセーくん』

 

「いえ、黒歌の力があったからこそ朱乃先輩を助ける事が出来たんです、お礼は黒歌に言ってください。後、状況は話した通りだ…俺が王を叩くから、女王は頼んだぞ!」

 

『オッケーにゃ!』

 

『分かりましたわ!』

そこで通信は切れた。

 

本当に黒歌に頼んで良かったぜ…

俺は屋上に向かいながら、心底そう思った。

 

どうやら俺の勘は当たったらしい。

朱乃先輩に女王を任せた後、朱乃先輩が最初は押していたのだが、女王がフェニックスの涙を使ってから一転し、朱乃先輩が倒されかけていた所に黒歌が到着。そこから二対一で戦闘しているとの事だ。

「俺も早く行かねえと…!」

俺は階段を駆け上って行く。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスside

 

「はぁ…はぁ…」

私はライザーの一騎討ちの申し出を受けてから新校舎の屋上で一進一退の攻防を繰り広げている。

 

「喰らいなさいっ!」

 

ドォンッ

 

渾身の滅びの一撃は、ライザーの頭と左腕をとらえ、消し飛ばした。しかし…

 

「何度やっても無駄だぜ、リアス?」

すぐに消し飛んだ頭と左腕は再生されてしまう。

これで何度目かしらね…

 

戦闘を開始してからずっとこの感じで、さっきから私の消滅の攻撃はライザーの身体をとらえているものの、当たった矢先に傷が再生してしまう。私の傷もアーシアに治療してもらっているとはいえ、私とアーシアは体力と魔力をどんどん消耗してしまっていく。

 

「リアス、そろそろ終わりにしないか? これ以上は他の場所で見られている君のお父上にもサーゼクス様にも格好がつかないだろう」

ライザーは私に投了を諭してくるが、

 

「お喋りが過ぎるわね、ライザー。まだ私は戦える…だから諦めなんてしないっ!」

私は声を張り上げてライザーに言葉を放つ。

 

「そうか…なら!」

ライザーは手に炎の玉を創り出して、こちらに撃つ。

 

「この程度でっ!」

私は防御魔法を前面に展開して防ぐが、

 

「ならもう一つ増えたらどうだ?」

先程よりも速い炎の玉を撃ってきた。

 

「…っ⁉」

これは防げない…それにここで避けたら後ろのアーシアに…

 

「ここまでなの…?」

私は目を瞑ってライザーの攻撃がやって来るのを待つ。

 

 

 

 

 

しかし、いつまでたっても痛みがこない。それを確かめる為、おそるおそる目を開けると…

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、後は俺に任せてください」

そこには緑色の盾で炎を防いでいるイッセーがいた。

 

sideout

 

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