ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男   作:パーシヴァルヴレイヴ

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宿命のエクスカリバー
失敗作だけどね…


あの後、俺はいつも通り学校へ登校していると、

 

(イッセー、少しいいか?)

 

(どうした?)

何かあったのか、ドライグから話しかけてきた。

 

(赤龍帝の籠手について話しておこうと思ってな)

 

(何かあったのか?)

 

(ライザー戦で久しぶりに禁手した時、何か違和感はなかったか?)

 

(……あの時は気になんてしてられなかったけどよ、悪魔になる前に禁手した時と何か感覚が違うかったけど、何か不備でも起こったのか?)

 

(悪魔に転生…それだけが原因ではないが、大元の原因はそれだ)

 

(悪魔に転生したことが原因…?)

 

 

(ああ、幼き頃から鍛錬して強くなった上に、悪魔に転生したおかげでより土台が強靭となり、人間とかけ離れた存在となった。そのため、赤龍帝の籠手がお前についていけなくなってきているのだ)

 

(そうだったのか…)

 

(そろそろ無理やりではなく、螺旋力と完全に併用できるようにしておきたいと思ってたところでもあるからな。今回を機に調整期間に入ろうと思っている)

 

(調整したら元に戻るのか?)

 

(いや、螺旋力を媒介にして調整するから前以上に赤龍帝の籠手は強化され、お前の成長に合わせてこの先は完全についていけるようになるだろう)

 

(そうか、ならやらない手はないな)

 

(ただし、その期間中は赤龍帝の籠手自体は展開できるが、倍加は三回までだ。そして、螺旋力も調整に大方使う必要があるのでな、いつもみたいに螺旋力が使えなくなるだろう。それによって戦闘の際には支障をきたすから気をつけておけ)

 

(わかった。肝に命じておくよ)

 

(では、私は調整に入る。その期間はあまりに表に出て来れないが、心配するな)

そう言ってドライグの声は聞こえなくなっていった。

 

 

「倍加は三回の上に螺旋力はほとんど使えないか…」

そう呟いて、俺は学校へ向かっていった。

 

 

 

 

 

放課後

 

 

いつもならその足で部室に行くのだが、旧校舎が改装工事中との事で、急遽俺の家で部活動をやる事になったのはいいのだが…

 

 

「これ、小学生のイッセーさんです!」

 

「あらあら可愛いですわね〜」

 

「私たちが家族になる前のもあるにゃ!」

 

「兄様、可愛いです」

 

「小さいイッセー…小さいイッセー…小さいイッセー…」

 

お袋が持ってきたアルバムにより、部活動が一瞬にしてぶち壊された。

 

後、リアス先輩が俺の写真をまじまじと何か呟きながら見ているのが意外である。ちょっと怖いが…

 

「このイッセーくんを見てたら変な気分になってしまいますわね…」

 

「部長さん、その気持ち分かります!」

 

「私もにゃ(です)」

 

「あなた達も分かってくれるのね、この気持ちを…」

女子五人は心を通わせて何度も頷いている。

 

「イッセーくん、ちょっといいかな?」

あの四人を見ていると、横に座っている祐斗に話しかけられた。

 

「どうしたんだ、祐斗?」

 

「これに見覚えはあるかな?」

そう言って祐斗はアルバムの中の一枚の写真を見せる。

その写真には、俺と幼馴染である紫藤イリナ、その後ろに模造の剣?を持っている男の人が写ってるものだった。

 

「それは幼馴染と撮った写真だな。それがどうかしたのか?」

そう聞くと、祐斗は憎しみを目に宿しながら…

 

「ちょっと探しものがね、こんなところで見つけるなんて…思いもかけないものだよ」

 

「祐…斗?」

いつもの笑顔を振りまく祐斗とは違いすぎる事に俺は驚いていた。

 

「この男の人が持ってるのはね、イッセーくん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖剣だよ」

 

 

 

この写真によって、また俺は平穏からかけ離れた世界へと足を踏み入れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

球技大会も近いため、俺たちは練習に励んでいた。

 

その日の昼休みに昼食後、球技大会のミーティングをするので、部室に集まることになっていた。

 

昼飯は悪友である松田と元浜と食べていたのだが、俺が同棲を始めた事に妬みなどをぶつけられていた。それと祐斗と俺の写真で金儲け、俺の悪い噂を流したとの事なので制裁を与えてやった。

 

「さて、そろそろ行くか…」

俺は立ち上がり、アーシアの方へ向かう。

 

「アーシア、食べ終わったか?」

 

「アーシア、彼氏が呼んでるよ〜!」

アーシアと仲良くしている女子、桐生にそんな事を言われると、

 

「か、かかか彼氏っ⁉」

アーシアが顔を真っ赤にし、すげえ動揺している。

 

「桐生、変な事言うんじゃねぇよ、アーシアがおかしくなっただろ…」

俺がアーシアの状況を見て頭を抱えていると、

 

「あれ? あんたらいつもクラスでは二人でいるから、てっきり付き合っているのかと思ってたんだけど」

 

「付き合ってねぇけど、アーシアは家族なんだから一緒にいても別に問題ないだろ?」

 

「まあ、家族ならねぇ…」

何だ桐生の奴… 俺、おかしな事言ったか?

そろそろ行かないといけねぇな…

 

「今からミーティングあるんだし、そろそろ行こうぜ、アーシア!」

 

「は、はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアと共に部室に入ると、そこにはオカ研のメンバーと見知らぬ顔がいた。

 

「生徒会長…」

知的でクールな美人生徒会長、支取蒼那先輩がいた。

 

「悪魔の何かで用があったんですか?」

 

「イッセー、気づいていたの?」

 

「ええ、勘付いたドライグに教えて貰ってましたよ。まあ、知ってるのは悪魔って事だけですけどね…」

オカルト研究部以外に生徒会も悪魔のグループだって聞いた時はびっくりしたもんだ。

 

「それを知ってるだけでも十分よ。朱乃、説明してあげて?」

リアス先輩がそう言うと、朱乃先輩が俺の方を向き、

 

「この方はこの学園の生徒会長、支取蒼那さんであり、悪魔としてのお名前はソーナ・シトリー様。

上級悪魔シトリー家の次期当主様ですわ」

シトリー…ってことは、

 

「純血悪魔の七十二柱の1つのシトリーですよね…?」

 

「はい、正解ですわ。そして、この学校は実質グレモリー家が実権も握っていますが、表の生活では生徒会…つまり、シトリー家に支配を一任して、昼と夜で学園での分担を分けていますの」

懇切丁寧に朱乃先輩は説明してくれた。

 

「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回っているからこそ、平和な学園生活を送れているんだ。それくらいは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ?ちなみに俺の名前は匙元士郎。二年生で会長の兵士だ」

生徒会長の付き添いらしき奴が口を開いていた。

 

「おう、覚えとく。俺は兵藤一誠。リアス先輩の兵士をやらせて貰っている、よろしくな!」

 

「ああ、よろしくな。なんか分からない事があったら聞いてくれ、こう見えても俺は兵士の駒を四つ消費した兵士だからな」

自慢げにいってくる匙だったが、

 

「みっともないですよ、匙。今日ここに来たのは、この学園の上級悪魔同士、最近下僕にした悪魔を紹介し合うためです。それに、ここにいる兵藤一誠くんは伝説のドラゴン、二天龍の片割れ…赤龍帝ドライグを宿した悪魔であり、自分で変異の駒を作って転生した者なのですから」

 

「そ、そうなのか…⁉」

 

「まあな…でも、そんなの関係なしでさ、悪魔同士仲良くしようぜ匙!」

 

「ああ、全然構わない!」

俺たちはがっしりと握手を交わす。

 

「二人とも仲良くなれたみたいでなによりです。では、そろそろ行きましょう、匙」

 

「はい、会長!」

会長が出て行く際に生徒会長がリアス先輩に微笑み、

 

「リアス、球技大会が楽しみね」

 

「ええ、本当に」

リアス先輩もそれに対して微笑み返して言葉を交わしていた。

 

 

こうして、転生悪魔同士の顔合わせは無事に終わり、球技大会へと時間は進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

球技大会当日、俺たちオカルト研究部はドッジボール部活対抗戦で見事優勝した。

祐斗が全然やる気がなかったのが気になったけどな…

 

 

降り出した大雨の中、

 

パァンッ!

 

乾いた音が部室に響く。リアス先輩が祐斗の頬を引っ張いたからだ。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら?」

リアス先輩は一人だけ上の空だった祐斗にかなり怒っている。

 

だが、頬を引っ張たかれた当の本人である祐斗は無表情だった。

まるで俺の知っている祐斗とは別人のように思える。

 

「もういいですか? 球技大会も終わりましたし、夜の時間まで休ませてもらってもいいですよね。少し疲れましたので普段の部活は休ませてもらいます、昼間は申し訳ございませんでした。それでは失礼します」

祐斗がそれだけを告げて部室を出ていく。

 

「祐斗、何があったんだよ」

俺の横を歩いていく祐斗に声を掛けた。すると、祐斗はその場でピタリと足を止め、

 

「君には関係ないよ」

いつもの祐斗なら絶対にあり得ない冷たい笑顔を俺に浮かべる。

 

「関係ねぇなんて冷たいこと言うなよ…俺たち、仲間だろ?」

俺がそう言うと、祐斗の表情は少し陰り、

 

「仲間か…ふふ」

 

「何かおかしな事言ったか?」

 

「いや…君は熱いね、イッセーくん。僕はね、ここのところ、基本的な事を思い出していたんだよ」

 

「基本的な事…?」

 

「そう。僕が何のために戦っているか…ね」

 

「リアス先輩のためじゃないのかよ…」

 

「違うよ……僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー……… それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

俺に向けた祐斗の目には憎悪が満ちていた。

 

 

この時初めて、俺は祐斗の本当の顔を見たのかもしれない…そう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、俺とアーシアは家に帰ってから黒歌や白音と共にリアス先輩から話を聞いていた。

 

「聖剣計画…ですか?」

 

 

「そうよ。祐斗は数年前に行われた、キリスト教内で聖剣エクスカリバーが扱える者を育てる計画…聖剣計画の生き残りなの」

 

「じゃあ、祐斗先輩は聖剣を使えるのですか?」

白音の質問にリアス先輩は首を横に振る。

 

「残念ながら、祐斗は聖剣に適応できなかった。それどころか、祐斗と同時期に養成された者たちも全員適応できなかったの。そして、適応できなかったと知った教会関係者は、祐斗たち被験者を不良品と決めつけて、聖剣に適応できなかった…そんな理由だけで祐斗以外の被験者の多くは殺されたそうよ」

 

「そんなのってあるかよ…!」

 

「そ、そんな…教会が…」

 

「アーシア、しっかりするにゃ!」

アーシアは聞かされた事実にショックを隠せないでいた。

 

「そして今、祐斗は果たそうとしている…」

 

「復讐ですね…」

だから祐斗はあそこまで自分を追い詰めて、聖剣に執着していたのか…

 

「ええ…」

リアス先輩は悲しみで表情を曇らせる。

 

 

「祐斗…お前は…」

俺はそれ以上何も言えなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後

 

あの後色々考えたが、考えが思いつかない。

祐斗のために何ができるのか、どうしたら祐斗を救えるのか…

今日はそんな事が頭の中で回り続けて、放課後の部活動にも支障をきたした。

 

「何やってんだか、俺は…」

 

俺は自嘲しながら黒歌たちと帰路へついていた。リアス先輩はどうやら生徒会長に呼ばれたみたいで、一緒にはいない。

 

「お袋以外に誰かいる…」

 

「この気配、嫌な感じにゃあ」

家の前で俺と黒歌が言い知れぬ気配を感じている。

 

「母様が…!」

急いで白音は家の中へ入っていった。

「白音!」

俺たちも警戒しながら家に入っていくと、リビングでお袋と見知らぬ二人が雑談していた。

 

「みんな、お帰りなさい」

お袋が俺たちに気づくとこちらを向いて言った。

 

「母様っ!」

白音はお袋を見た途端、走って抱きつきにいった。

 

「あらあら…どうしちゃったの、白音ちゃん?」

そんな白音を優しく抱きしめて困惑しているお袋。

 

「ふぅ…」

 

「何にもなくて良かったにゃあ…」

 

「良かったです…」

俺たちがお袋が無事で安堵してから嫌な気配がする目の前にいる二人を見る。

片方は栗毛でニコニコしている女、もう片方は緑色のメッシュを髪に入れている目つきの悪い女だ。ただ、十字架を胸に下げて白いローブを着ている様子からして悪魔祓いあたりだろうな…

それよりも栗毛の女の子って…

 

「もしかして…イリナちゃんか?」

すると、顔をパァッと明るくさせて、

 

「うん! 久しぶりだね、イッセーくん!でも、お互いがしばらく会わない間にいろいろと合ったみたいだね。本当、再会って何が起こるかわからないものだわ」

 

「あぁ、そうだな」

それから少しして、イリナちゃんともう一人の女の人がお袋との話が終わったのか、帰っていった。

 

あの後2人が帰ると、入れ替わりでリアス先輩が血相を変えて帰ってきた。何やら事前に2人と接触した生徒会長から事情を聞いてすぐに帰ってきたらしい。

まあ、だいぶ落ち込んでいたので慰めるのが大変だったけど…

 

あの二人はリアス先輩と交渉したいらしく、明日の放課後に旧校舎の部室に訪問してくる予定である事を聞いて、俺はまた祐斗の事について考え出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後

 

俺たちグレモリー眷属全員が部室へと集まった。ソファーにリアス先輩と朱乃先輩、向かいには昨日の2人が座っている。

 

リアス先輩達の後ろで待機している俺たちはリアス先輩とイリナちゃん達のやり取りを見守っている。だが、今まで部室に顔を見せなかった祐斗が殺気を垂れ流し、憎悪の眼差しを二人に向けていた。

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

リアス先輩達が驚いてるけど、それ以前に…

 

「エクスカリバーって一本じゃないんですか?」

俺がリアス先輩にそう聞くと、

 

「聖剣エクスカリバーそのものは現存してないわ」

俺の質問に答えてくれた。

 

「イッセーくん、エクスカリバーはね、大昔の戦争で折れてしまったの」

イリナちゃんがリアス先輩に代わって説明をしてくれている。

 

「それでどうなったんだ?」

 

「今はこのようになっているのさ」

緑髪のメッシュを入れた女、ゼノヴィアが傍らに置いていた、布に巻かれる長い物体を解き放った。

 

「これがエクスカリバーか…」

思った以上に神々しい感じはしないな。

 

「大昔の戦争で四散したエクスカリバー。折れた刃の破片を拾い集め、錬金術によって新たな姿となったのさ。そのとき、七本作られた。これがそのひとつ」

そういう事か…七本の内の一本という事ならそこまで強くないのにも納得がいく。

 

「私の持っているエクスカリバーは破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)、七つに分かれた聖剣のひとつだよ。カトリックが管理している」

 

今度はイリナちゃんが懐から長い紐のようなものを取り出した。すると、その紐は意志を持ったように自力で動きだし、1本の日本刀へと姿を変えた。

 

「私の方は擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)。こんな風に形を自由自在にできるから、持ち運びにすっごく便利なの。こちらはプロテスタント側が管理しているわ」

本当に便利な聖剣だな。

 

その二つを現れた途端、祐斗から大量の殺気が発せられている。

おいおい、こんなところで暴れんなよ…

 

二本のエクスカリバーが披露された後、話は進んでいく。

 

「それで何故、奪われたエクスカリバーがどうしてこんな極東の国にある地方都市に関係あるのかしら?」

 

「カトリック教会の本部に残っているのは私の破壊の聖剣を含めて二本だった。プロテスタントの方にも二本。正教会に二本。残る一本は神、悪魔、堕天使の三つどもえ戦争の折に行方不明。そのうち、各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われた。そして、奪った連中は日本に逃れ、この地に潜伏してるという話さ」

 

「私の縄張りは次々の出来事が発生するわね…それでエクスカリバーを奪ったのは誰なの?」

 

「奪ったのは、神の子を見張る者(グリゴリ)だよ。そして奪った連中は把握している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」

コカビエル…幹部と言うぐらいだから強いんだろうな。

 

そんな事を考えていると、イリナちゃん達が本題を話していた。

 

「私達の依頼だが、私達と堕天使のエクスカリバー争奪戦に悪魔達が一切介入してこないこと。つまり、そちらは今回の事件に関わるなと言いに来た」

ゼノヴィアは随分な物言いで言葉を放った。すると、リアス先輩はすごく不機嫌そうな表情を浮かべている。

 

「酷い言い方… 私達が堕天使と共に聖剣で何かしようと企んでるとでも言いたいの?」

 

「教会本部はその可能性を否定しきれないと思っている」

ゼノヴィアが言った瞬間、リアス先輩の瞳に冷たいものへと変わっていった。

会談に来たのに怒らせてどうすんだよ… まあ、リアス先輩が怒るのも無理はないけどさ。

 

俺はリアス先輩を落ち着かせるために話しかけた。

 

「戦うなって言ってるみたいだし、関わらなくていいんじゃないんですか、先輩? 俺たちはどしっと構えときましょうよ」

 

「イッセー…」

俺一人が戦うだけなら全然いいが、リアス先輩や朱乃先輩、友達である祐斗、家族である黒歌達が戦って傷つくくらいなら無理に干渉しない方が最善だ。

 

「そこの少年の言う通りだ。あなたたち悪魔は関わらない方がいい」

ゼノヴィアの言葉にまだリアス先輩は納得いってなさそうだが、一先ず下がってくれた。

 

その後は何も起こる事なく話し合いは進んでいった。そして話し合いは終わると、二人は席を立って部室を出ていく。

そう思った矢先、二人の視線が一人の人物へと集まっている。その人物とは、アーシアだった。

 

「兵藤一誠の家を訪問した時、もしやと思っていたが、お前は魔女、アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとはな」

ゼノヴィアに魔女と呼ばれたアーシアは体を震わせた。

 

イリナちゃんも興味あり気にアーシアをまじまじと見ている。

 

「あなたが一時期内部で噂になっていた元、聖女さん? 追放されてどこかに流れたと聞いていたけれど、悪魔になっているとは思わなかったわ」

 

「あ、あの…私は…」

二人に言い寄られ、アーシアは対応に困っている。

 

「大丈夫よ! 上には伝えないから安心して。今のあなたの状況を話したらあなたを信じていた信者がショックを受けるでしょうからね」

 

「っ⁉…」

イリナの言葉にアーシアは複雑そうな表情を浮かべる。

 

「しかし、聖女と呼ばれていた者が今では悪魔か… 堕ちるところまで堕ちるものだな。まだ我らの神を信じているか?」

 

ピキ…!

 

「悪魔になったあなたが主を信仰しているとは思えないけど、どうなの?」

アーシアはその質問に目を伏せながら答えた。

 

「…捨てきれないだけです。今までずっと信じてきたのですから…」

それを聞くと、ゼノヴィアは布を巻いた聖剣の切っ先をアーシアに向けた。

 

「そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるといい。今なら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるは…」

 

 

「いい加減にしとけよ、テメェら…!」

ゼノヴィアがアーシアに迫る前に俺がゼノヴィア達に殺気を放つ。

 

「「っ⁉」」

 

 

「アーシアを…家族をそれ以上侮辱するなら…お前ら、只じゃあ済まさねぇぞ…!」

 

「…一介の悪魔が私たち教会に楯突く気か?笑わせる!」

(何だ…こいつから放たれる殺気は…!)

 

「その教会の下らない信仰が…アーシアの人生をめちゃくちゃにしたんだろうがっ!」

 

「下らないだと…⁉ 貴様、私たちの主を愚弄するか!」

ゼノヴィアは怒りの形相で俺に飛び掛かってくる。

 

「僕も混ぜてくれないかな、イッセーくん」

俺が対処しようとしていたところに、祐斗が乱入してきた。

 

「いいぜ? それでお前の気が晴れるならな…」

 

「ありがとう…これで僕は…!」

俺たちが話していると、

 

 

「君は一体何者だ…」

ゼノヴィアは怒りを纏いながら、祐斗に問いかけた。

 

「僕は君達の先輩だよ……失敗作だけどね」

 

祐斗が不敵に笑った瞬間、室内に無数の魔剣が出現した。

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