ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男 作:パーシヴァルヴレイヴ
イッセーは上空に佇むコカビエルに向けてドリルを構え、一言言った。
「コカビエル、本気で避けろよ?」
ドリルの先端へ螺旋力がチャージされていく。
「少し形状が変わった程度で図に乗るな! 禁手もしていない貴様の一撃など、避けるまでもない!」
そう言ったコカビエルの手には少しずつ光が集められ、光の槍が生成された。
「消え失せろぉぉぉ!」
そして、コカビエルは間髪いれずに槍を投げ飛ばした。
「忠告はしたからな…」
イッセーは足を右足を少し後ろに下げ、上空へとドリルを構えた。そして…
「ドリル…キャノン」
キュィィィン……ズドォォォォォォォンッッッ!!
ドリルから極大の緑の光線を撃ち出たされた。
その砲撃はいとも簡単に光の槍を消滅させ、コカビエルへと少しも威力を落とさずに迫っていく。
「そんなバカなっ!」
コカビエルはギリギリのところで回避行動をとるが、
「ぐぁっ⁉……くそ、やってくれるな!」
判断が遅く、漆黒の翼が半分以上消し飛ばされた。そのため、コカビエルは一時的に態勢を崩してしまった。
「だから避けろって言っただろ?」
「なっ⁉」(ここまで近づかれて気づかなかっただと⁉)
地上にいたイッセーがすでに正面に立ち、コカビエルが気づいた頃には拳を振るっていた。
「スカルブレイクッ!」
キュィィン…ドコォォォォンッ!
「がぁぁぁぁ!」
イッセーの放った拳はコカビエルの腹部に直撃する。そして、ドリルの追加攻撃で内部へダメージを与えた。
「もう一発!」
今度はもう片方の拳に螺旋力を纏わせ、コカビエルの顔面に叩き込んだ。
「ぐはっ⁉」
拳をまともに受けたコカビエルは後方へと吹っ飛んでいく。
「まだまだぁ!」
イッセーがドリルを横薙ぎに振るうと、幾つもの緑の玉がイッセーの正面に生成された。
「ショットスパイラル!」
その玉に拳を打ち込むと、玉はその衝撃を受け、一直線にコカビエルへと高速で迫っていった。
「調子に乗るな!」
吹き飛ばされたものの、態勢を立て直したコカビエルは即座に生成した槍を回転させ、迫ってくる緑の玉を他方に弾いていく。
「これならどうする、赤龍帝!」
今度は自分だと言うように、コカビエルは無数の槍をイッセーを囲むように展開した。
「こんなもん…!」
イッセーが体全身へと螺旋力を行き渡らせ、体の至る所にドリルを生成した。
「貫いてやるよっ!」
パキィィィィンッ!
掛け声と共にドリルは槍に向けて伸び続け、すべてを貫いた。
ドドドドドドッ!
光の槍は次々と爆発を繰り返して消滅した。その中心には螺旋力で障壁を貼っているイッセーが佇んでいる。
「俺は負けんぞっ! 赤龍帝ぃぃぃ!」
コカビエルは手を合わせるぐらいに近づけ、その中で光を集めていく。とんでもない光の集まりを圧縮すると、最後には右手で握り潰し、天へと掲げた。
すると、
ギュォォォォンッ! ピリピリ…!
「この一撃で終わらせてやるぞっ!」
先程の比にもならない極大の光の槍を生成した。それの出現により、大気が震えていき、イッセーにも伝わった。
「そっちがその気なら、俺も見せてやるよ。俺の最高の一撃をな!」
イッセーは右手の人差し指を天へと翳した。
「スパイラルゥゥッッ!」
その人差し指を中心に緑の粒子が集まっていく。
「ギガァァァ…」
するとそれは、極大のドリルを生成し、光速で回転を繰り返し始めた。
「ドリルゥゥゥ…」
輝き、回転数が増していくドリルを標的であるコカビエルへと構える。
「ブレイクゥゥゥゥゥゥッッッッ!!!!!!」
自身をもドリルと同時に回転させて突貫した。
「消滅しろっ! 赤龍帝ぃぃぃぃぃ!!!」
コカビエルはすべての魔力を右腕に溜め、渾身の力で槍を投げ飛ばした。
ドリルと槍は少しずつ距離を詰めて…
ドンッッ!
ぶつかり合うと、均衡状態に陥った。
しかし、
「ハァァァァッッッッ!!!」
ピキ…ピキピキ…
イッセーの叫び声と共に回転数は増していき、槍に罅が入っていく。そして…
「そんなバカな…!」
「貫けぇぇぇぇぇっっ!」
バリィィィィィィンッッッ!
ギガドリルは完膚なきまでに粉々にし、コカビエルと迫る。
「くっ⁉」
コカビエルは槍を破壊された事に驚く暇も無く、残り少ない魔力で盾を創り出した。
「そんなもんに…! 俺のドリルが止めれるかぁぁぁぁ!」
パリィィィンッ!
盾は容易く砕け散り、ギガドリルがコカビエルを直撃した。
「お、俺…は…戦争…を…!」
ドゴォォォォォォォンッッッ!
突貫した場所では大爆発を起こし、地上に降り立ったイッセーの背景には宇宙が現れ、巨大な螺旋を示す渦巻銀河が浮かび上がっていた。
そして…大爆発は治まると、コカビエルはそこにはおらず、数枚よ漆黒の羽が空を舞っていた。
「お前が戦争なんて望まなかったら、もう少しいい関係を作れたかもな…」
(イッセー…それよりもだ)
「分かってる」
地面に散らばった羽を拾うイッセーは顔に少し悲しみを浮かべる。
しかし、すぐに悲しむのを止めて違う方向に顔を向けた。
「そこで高みの見物ってか? こっちは分かってんだから、姿を現しやがれ…!」
イッセーがそう言って一点をにらめつける。するとそこには、
「驚いたな。気配を消していたはずだが…」
(今代の赤龍帝は並々ならぬ強さのようだな)
背中には神々しい程の八枚の光の翼を携え、白い全身鎧を身に纏った者がいた。
(まさか貴様が来るとは思わなかったぞ、白い龍(バニシング・ドラゴン)…)
「そうか、あいつが…白龍皇」
イッセーは激しい胸の高鳴りと体が熱くなっていくのを感じながら、呟いた。
「いかにも、俺が白龍皇だ。アザゼルの命令でコカビエルを回収に来たのだが…」
地上に足をつけた白龍皇は地面散らばる羽を見ると、
「一足遅かったようだな。まあ、仕方が無い」
小さくため息をはき、イッセーの方へと目を向けた。
(久しいな、赤いの)
すると…白龍皇の籠手の宝玉が光だし、声が聞こえてくる。
(久しいな、白いの)
(舞い戻っていたようだな。それも強大な宿主を得て)
(ああ、今代の相棒は最強にして最高だ。それにしても白いの、敵意が伝わってこないな?)
(そちらも敵意が段違いに低いじゃないか、赤いの)
(お互い、戦い以外に興味の対象があるということか…)
(そういうことだ。まあ、こういうのもたまには悪くはない。それではまた会おう、ドライグ)
(その時は戦いの時だ。それではな、アルビオン)
その言葉を最後に白い龍、アルビオンの声は聞こえなくなった。
「舞い戻った俺の宿敵、赤龍帝がこれ程強いとはな…君と戦えるのを楽しみで仕方が無い」
「それならもう少し強くなってから来るんだな」
「そうするとしよう。ではまた会おう、赤龍帝」
白龍皇がそう告げると、白き閃光となって去っていった。
それを見送ったイッセーはホッと息をついた。次の瞬間、
〈burst〉
赤龍帝の螺旋手の機械音と共に体から力が抜けていく。
「そういや俺、ボロボロだったな…!」
(くっ⁉ イッセー!)
地面へと崩れ落ちそうになるのを何とか押さえるイッセー。
一時的に耐えるものの、またもや地面へと倒れていく。
その時、
「イッセーくんっ!」
ガシッ
急いで駆けつけた祐斗がイッセーを支えた。
「助かったぜ、祐斗。あのままじゃ俺、地面にキスするところだったからな」
肩を支えてもらっていることに礼を言うイッセー。
「それに、お前の想いの力は見せてもらったぜ。 エクスカリバーを叩き潰すなんて、やったじゃねぇか!」
「イッセーくん…」
「そんなしけた面すんな。これからもグレモリーの騎士として、仲間として頼りにしてるんだからよ!」
イッセーはそう言うと、満面の笑みを浮かべた。
「……任せて、イッセーくん…!」
祐斗も同じようにイッセーへ向けて笑みを浮かべた。
「良くやったわね、イッセー」
イッセーたちの元へとリアスがスッキリとした表情でやって来ていた。
「そして、祐斗、お帰りなさい。禁手するなんて…あなたは私の誇りよ」
「…しかし部長、僕は一度命を救ってくれたあなたを裏切ってしまいました。なんとお詫びしていいのか…」
そう言って祐斗はリアスに頭を下げた。しかし、リアスは頭を横に振り、
「いいの、あなたは帰ってきてくれた。もう、それだけで私は十分。彼らの想いを無駄にしてはダメよ」
笑顔を浮かべて祐斗を許した。
それを見た祐斗は、
「部長、僕は改めてここに誓います。僕はリアス・グレモリーの騎士として、あなたと仲間達を終生お守りします」
もう一度リアスに対して誓いをたてた。
「ありがとう、祐斗」
喜びを露わにしているリアス。
そして、祐斗に支えられているイッセーに目線を移し、
「イッセー、あなたは本当に良くやってくれ…」
「兄様ぁぁぁ!」
「ふぐっ⁉」
リアスが紡ぐ前に何かがイッセーにぶつかってきた。
その正体は…
「兄様ぁ…無事で良かったぁ…!」
泣きじゃくりながらイッセーの胸に抱きつく白音であった。
「心配かけてごめんな、白音。でも俺、怪我人なんだ。もうちょっと優しくしてくれ」
イッセーが苦笑いをして、白音の頭を撫でていると、
「本当にヒヤヒヤさせるにゃ、イッセーは」
「取り敢えず無事で良かったですわ」
「イッセーさぁん…!」
「ちょっと待って、アー…ぐふっ⁉」
「「「「イッセー(くん)⁉」」」」
少し遅れて、黒歌、朱乃、アーシアがやってきた。
アーシアは来るとすぐに白音と同じく抱きついた。
黒歌は黒歌で、意識を失っているゼノヴィアを朱乃に任せると、
「イッセ〜!」
「三人はむり…げほっ⁉」
「「「イッセー(くん)⁉」」」
案の定抱きついた。
「ぐすっ…今は私の番ですよ、二人とも!早く離れてください」
「そんなのダメです!白音さんだけずるいですよ!」
「あたしだってイッセーに構ってほしいにゃ〜」
そう言ってイッセーの取り合いをする三人。
「あなた達…? イッセーは怪我人なんだからや…」
(やめろぉぉぉぉ!)
それを見兼ねたリアスが怒りを露わにしながら止めようとしていた次の瞬間、
「何で赤龍帝の螺旋手が⁉」
イッセーの腕には勝手に赤龍帝の螺旋手が展開されていた。
そして、そこから赤い玉が出現し、イッセーから少し離れたところで強烈な光を放ち始めた。
キュィィィィンッ!
光が止むと…そこには紅いドレスを着た可憐な女性がいた。
『えっ⁉』
その女性はゆっくりとイッセーに近づき、
「私のイッセーに近づくな!」
「「「きゃっ⁉」」」
イッセーに抱きついていた三人を引き剥がした。
「イッセーは怪我をしているのだ!それを考えろ、バカ者共!」
そう言ってイッセーを守るように優しく抱きしめた。
『だ、誰?』
その場の全員がいきなりの出来事に呆然としていた。
しかし、イッセーはすぐに気を取り戻し、
「な、何でお前がここにいるんだ、ドライグ⁉」
「お前が心配だったから出てきたのだ、イッセー」
慈愛の表情を浮かべなからイッセーを見つめるドライグ。
それを見たリアスは、
「い、イッセー…あなた今、その女の人をドライグって…」
「ええ、こいつは俺の神器に宿ってい…むっ!」
説明しようしていたイッセーをドライグは胸元へ引き寄せ黙らせた。イッセーは豊満な胸に包まれて息が出来ないのか、ジタバタしている。
「その事については私から話そう。だがその前にイッセーの治療がしたい」
「わ、分かったわ、アーシア、朱乃」
「「は、はい!」」
アーシアと朱乃がイッセーの治療のため近づいて来るが、
「いや、私がするから大丈夫だ。少し時間をくれればいい」
ドライグはそう言うと、抱きしめていた力を少し緩めた。
「お、俺を殺す気か…!」
やっと解放されたイッセーは何度も呼吸を繰り返す。
「イッセー…」
「うぐっ⁉」
『はぁぁ⁉』
ドライグは何を思ったのか今度はキスをしていた。
「やめ…どら…ん…」
「ん…いっ…せ…ぁ…」
すぐに終わるのかと思いきや、舌を絡ませる深い方までやり始めるドライグ。
「に、兄様に何を!」
顔を赤くしながら止めに入ろうとした白音だったが、
「ち、ちょっと待ちなさい、白音」
リアスが止めに入ろうとしたしている白音を止めた。
「何で止めるんですか、部長!」
「イッセーの体を見なさい」
「何を言ってるですか? 兄様の体がどうかした…」
リアスに言われた通りにイッセーの体を見た白音は驚愕した。
「け、怪我が治っていってる…!」
みるみる内に戦闘で傷ついた体が治療されていくのを白音は見ていた。
そして体の傷が治ると、ドライグは少し不満げに唇を離した。
「……ぷはっ…これでいいだろう」
「ぷはっ…ド、ドライグ! 治してくれて助かったけどな、他の方法はなかったのかよ」
息を荒く、顔が赤いイッセーがドライグに聞くと、
「これが手っ取り早かったのだ!……そ、それに私がしたかったしな…」
ドライグは最初の方は普通に、最後の方はボソッと呟いた。
しかし、
「今、自分がしたかったって言ったにゃ、この人!」
「私も聞きましたよ!」
猫の姉妹にはちゃんと聞こえていた。
「う、うるさいっ! イッセーの治療も終わったのだから、さっさと移動するぞ!」
「あ、おい! 引っ張るなよ、ドライグ!」
ドライグはイッセーの手を取りながら旧校舎の中へと入っていった。
「わ、私たちも追いかけるわよ!」
『はい!』
「その前にゼノヴィアを連れて行かなきゃいけないにゃ」
イッセーたちに続いてリアスたちも旧校舎へ向かっていった。
sideout
イッセーside
あの後、オカ研の部室でドライグの話を聞いていた。
話によると、ドライグは完全に赤龍帝の籠手に螺旋力が一体化し、赤龍帝の螺旋手が完成した。その事によって、直接俺から螺旋力をもらうと、現界できるようになったらしい。
本当になんでもありだな、螺旋力は…
そう思ったのは俺だけではないはずだ。
「でも今の俺、螺旋力空っぽに近いぞ?」
「私自体は思念体みたいなようなものだ。実体はあるが、力のすべては籠手に宿ったままだから戦闘力は皆無。そのため、螺旋力を少し使役するだけで一日は充分に持つぞ」
「へぇ、そうなのか…なら、いつでも一緒にいれるな!」
俺が笑顔でそう言うと、
「あ、ああ! でも、迷惑じゃないか? お前の螺旋力を使ってまでこちらに現界するなど…」
「おいおい、そんな事言うなよ。あっちだけで無く、こっちでもお前に会えるなんて、俺は嬉しいぜ?」
その言葉を聞いたドライグは目をうるうるさせながら、
「ありがとう、イッセー」
そう言って手を俺の背中には回し、俺の胸元に頭を埋めるドライグ。
「お、おう」
ドラゴンにドキドキしてどうすんだよ、俺! でも、今は女だし…いやいや、でもこいつはドラゴン…いやでも…
そんな事を考えていると、
「ごほんっ!」
「「っ⁉」」
「話は大体分かったわ」
リアス先輩のワザとらしい咳き込みよって俺は現実へ呼び戻された。
「で、いつまで抱きついてるのかしら、ドライグ?」
怒り心頭のリアス先輩がドライグに話しかけていた。
「ま、まあ落ち着いてください、リア…」
「あなたは黙っててちょうだい」
「はい…」
俺の意思、弱すぎだろ…
「私とイッセーは一心同体。こんな風にしてるのは当然だ」
そう言ってドライグはリアス先輩に見せつけるようにした。
「だ、だめよ! イッセーは私のものなんだから!」
リアス先輩はそう言うと、俺の後ろに回って抱きついてきた。
「リ、リアス先輩っ⁉」
「イッセーの背中って大きいわね…それに、暖かい」
俺も先輩の胸が当たって気持ち…
ギュッ!
「ぐお…!」
だ、誰だ! 俺の脇腹をつねっているやつは⁉
「兄様…なんて顔をしているんデスカ?」
脇腹をつねっていたのはイイ笑顔の白音さんでした。
「貴様ら、イッセーから離れろっ!」
「嫌です」
「あなたが離れれば?」
白音にリアス先輩、そんな喧嘩腰で言わなくても…
「ほう、いい度胸をしているな…!」
三人の間に火花が散っている。
そんな中、
「さーて、あたし達もいくにゃ?」
「はい!」
「そうですわね…!」
「こういう場合は僕も行った方がいいのかな?」
また増えそうであった。
「ま、待て! 黒歌達まで来られたら…」
「行くにゃ〜!」
「「「おぉ〜!」」」
黒歌を筆頭に、残りの三人が俺に向かって突撃してきた。
「させるか! イッセーは渡さんぞっ!」
「まさか、朱乃まで来るなんて…!」
「私もイッセーくんの事、好きなったみたい…」
「ここは姉に譲るにゃ、白音!」
「こんな時だけ姉面しないでください、姉様!」
「皆さんの隙がありません〜!」
「勝負はここからだよ、アーシアさん!頑張ろう!」
皆が俺の周りで騒ぎあっている。
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
「はぁ…結局、俺って最後は絶対締まらないよな…」
俺は頭に手を当ててため息を吐いた。
『イッセー(くん)(さん)(兄様)は私(あたし)(僕)のものだぁぁぁ!!』
「まあ…こう言う方が俺の性に合ってるのかもな」
皆の色んな様子を見て俺は笑顔を浮かべた。
こうして長い夜は更けて行くのであった。