ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男 作:パーシヴァルヴレイヴ
気にすることないよ、リアス
「よ! 悪魔くん、今日もこのしがないオッサンと遊んでくれるのか?」
「まあ、その為にここに居ますからね」
俺は今日も悪魔の仕事に精を出しています。
この頃は黒髪に一部茶色が入った髪、会うたびに浴衣を着ている二十代半ばの男性に呼び出されている。
それも連日だ。でも、この人からは俺が遊びに少し付き合うだけで、それに見合わないんじゃないか?と言うぐらいの対価を与えてくれるのだ。俺としては有難い限りである。
「で、今日は何するんですか?」
「今日はゲームだ、レーシングゲーム。昼間に一人でやってたんだが、対戦相手が欲しくてな」
「オッケーです。じゃあ準備しますか!」
「お、乗り気だねぇ!」
「俺、ゲーム関係はそこそこに得意ですからね」
俺自体ゲームは余りしなかったんだが、黒歌のゲーム好きが俺にも移って今では色んなジャンルのゲームが得意になったんだよな。
そんな事を思い出しながら、俺と依頼主はゲームの準備を始める。
「よし、これでいいな…じゃあ、やるか!」
そう言って依頼主は俺にコントローラーを差し出した。
「依頼主だからって加減はしませんよ?」
俺はそんな事を言いながらコントローラーを受け取る。
「言ってろ。俺がこの昼間でどれだけやり混んだか教えてやる」
そしてレースが始まり、俺たちは無我夢中でコントローラー操っていく。
「ここまで強いとは思ってなかったよ、悪魔くんっ!」
「あなたこそだんだん強くなってきて、こっちも気が抜けませんよ!」
やり始めてそれなりに時間が経った。最初の方こそ俺が圧勝していたのだが、依頼主もだんだん上達していったので勝負は五分と五分となっていた。
「ほらそこっ!」
「そう簡単にいくかっての!」
今もなお、俺たちはコントローラーを巧みに操り、抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。
「…気になってんですけど…」
「ん…?…なんだ?」
「いつまで素性隠してんすか、堕天使さん?」
俺は画面から目を離さずに依頼主さんに問いかけた。
「……いつから気づいてたんだ?」
依頼主さんは素性がばれていた事などに動じず、コントローラーを巧みに操っている。
「正直に言うと…始めからですね」
ドライグにも確認をとった。それに少し前に堕天使の幹部と会っちまったからな。隠してるんだろうけど、相手が悪かった。
「なら…どうして最初から今まで何かしら仕掛けてこなかった?」
依頼主さんは巧みなコントローラー捌きで、俺の車を抜き去ろうとするが、そう簡単に抜かさせはしない。
「最初の方はあなたの目的を知りたかったから…何ですけど、今はあなたと色々遊んで楽しかったから…ですかね」
「楽しかった…か…君は物好きだな、悪魔くん」
「よく言いますよ。あなただって、俺が気づいてんの知ってて放置してたんですから!」
俺はカーブで華麗なドリフトを決めて依頼主さんとの距離を空けた。
「くっ⁉…気づいていたのか」
苦行の声と感嘆の声を出す依頼主さん。
「まあ、ここからは予想ですが…あなたは神を見張る者(グリゴリ)の総督、アザゼルですよね?」
「ほう…よくそこまで気づいていたもんだ。察しの良すぎる悪魔くんだことっ!」
それを聞いた依頼主さん…アザゼルはニヤッと口を歪めた。
その瞬間、今まで俺の後ろについていたアザゼルの車が俺の車の隣に並んだ。
「予想が当たってて何よりですよ!」
何とかまた前に俺が行こうとするが、アザゼルがそれを許さない。
「なら正解だ。俺はアザゼル、堕天使共の頭を張ってる。よろしく頼むぜ、赤龍帝!」
「こちらこそ、総督さん!」
そして、そのまま隣に並び続けた俺たちの車はゴールラインを通り過ぎた。
「ちっ!引き分けか…」
「まあ、またやりましょうよ」
そう言って俺がアザゼルの方を向くと、彼の背中から六対、十二枚の漆黒の翼が生えていた。
「今度は勝たせてもらうぜ?」
「いやいや、俺が勝ちますよ?」
そう言って俺たちは愉快に笑みを浮かべた。
「冗談じゃないわ、もうっ!」
俺がアザゼルの事をリアス先輩に報告すると、リアス先輩はかなり怒りを爆発させていた。
「まさか、堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害をしていたなんて…!」
リアス先輩は怒りで体を震わせている。
そこまで怒らなくても…俺的には良くしてもらってたし、いい人とは思ってんだけど」
「何を言ってるの、イッセー! 相手は堕天使の総督なのよ⁉」
リアス先輩はすごい形相で俺へと迫ってくる。
(あれ? 俺、声にだしてた?)
(途中からな)
(そうだったのか)
俺がドライグと話していると、
「それにアザゼルは神器に強い執着を見せると言う噂よ… 今回は何もなかったから良かったけど、運が悪かったらあなたは手を出されていたのよ!そんなの黙ってられないし、アザゼルは万死に値するわっ!」
そう言ってリアス先輩は怒りの炎を燃え上がらせていく。
「だから今からは私がイッセーを守ってあげるから安心しなさい…」
リアス先輩は俺に近づくと、ギュッと抱きしめた。
「あたしもイッセーを絶対守ってみせるにゃー!」
そう言って今度は黒歌が後ろから抱きついてきた。
「おう、ありがとな黒歌」
「「「「っ⁉」」」」
それを見て、出遅れた!みたいな顔をしている残りの女子たち。そして、
「僕もアザゼルの事は心配だ。けど大丈夫、イッセーくんは僕が守ってみせるから…!」
そう言って俺に笑顔を向ける祐斗。
「た、頼りにしてるぜ、祐斗!」
こいつ…あの時もそうだったが、時々違う方向にベクトル向いてるよな…
「しかし、イッセーを守るにしても動向が分からなければ対策しようがないわね。それに相手は堕天使の総督、迂闊に手を出せば…」
そう言ってリアス先輩は俺の胸の中でアザゼルについて考え込んでいた。
「部長、考え事なら一人で考えた方がいいのでは?」
「嫌よ。この方が私にとっては頭が回るの」
何だが、朱乃先輩とリアス先輩の雰囲気が悪くなっているのだが…
俺はそれを見てられずに口を開いた。
「ま、まあ、アザゼルの事は気にすることないですよ! あっちから仕掛けてくるならまだしも、そんな雰囲気なんて微塵も感じませんでしたし、俺にとっては大事なお得意様でしたから」
まあ、あんな人だから早々何か仕掛けてくるなんてありえないだろう。
「で、でもそんなわけにはいか…」
「気にすることないよ、リアス。アザゼルはああいう奴だから、ほっとく方が最善だ」
聞きなれない声がリアス先輩の言葉を遮った。
確か、この声って…
俺はそんな事を思いながら、声の聞こえた方に顔を向けた。その瞬間、リアス先輩に俺を除いたみんなが膝まづいていた。すぐに俺もみんなと同じように膝づいた。
だってそこには…
「お、お兄様っ⁉」
部長の兄でもある現魔王、サーゼクス・ルシファー様がいたからだ。そして、後ろにはメイドのグレイフィアさんが。
「皆、顔を上げて寛いでくれ。今日は私用で来ているからね」
サーゼクス様がそう言うと、俺たちは立ち上がった。
「お、お兄様!ど、どうして人間界に?」
リアス先輩は未だ驚きを隠せずにいるようだ。
そりゃそうだろう…だって人間界に直々魔王様現れているんだから…例えリアス先輩の兄であってもだ。
「もうすぐこの学園では授業参観があるのだろう? だから私はこの機会に妹の学校での姿を見せてもらおうと思ってね。少しお暇を貰ったというわけさ。それに私だけでなく、父上もちゃんとお越しになられるから安心するといい」
サーゼクス様の言葉を聞いた瞬間、リアス先輩は顔を凍ばらせた。
「一悪魔でしかない私の為にここに来られるのはどうなのでしょうか?」
それを聞いたサーゼクス様は頭を横に振り、
「それだけではないんだ。今回は三すくみの会談を執り行なう為の下見も兼ねているんだよ、リアス」
その言葉に、この場の全員が驚いた。
「こ、ここで会談を行うのですか⁉」
リアス先輩が驚きながら聞くと、
「この学園には何かあるみたいでね。私の妹であるリアスともう一人の魔王の妹、螺旋の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣使いがこの学園に所属している。それに加えてコカビエルと白龍皇まで襲来してきた。もはや、これは偶然では済まされない…様々な力の因果が混ざり合ってうねりを起こしているのだろう。そして、そのうねりの中心に存在し、加速をさせているのが赤龍帝、兵藤一誠君だと思われるんだ」
サーゼクス様が全てを話し終え、俺へと視線を向ける。
大いなる力には良くも悪くも何かが集まる…そういう事なのだろうか? それに、いつの間に俺ってあんな呼ばれ方してんだ?
それを聞いた俺はサーゼクス様の言った言葉について考えていた。
「まあこれ以上難しい話はやめにしよう。他にも用件があってね、そちらの話をしよう」
そう言ってサーゼクス様は話を切り替えた。
「用件とは?」
「いや、何かの手配ミスか、宿泊施設を確保できてなくてね、どこかすぐにでも泊まれる場所を教えてくれると助かるんだが…」
それを聞いた俺はすぐに口を開いた。
「泊まるのはサーゼクス様とグレイフィアさんのお二人ですか?」
「ああ、そうだよ?」
二人か…なら大丈夫かな。
「それなら俺の家をどうぞ使ってください。リアス先輩もいますし」
それを聞いたサーゼクスは笑顔を浮かべた。
「そうかい? ならお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「一晩よろしくお願い致します、イッセー様」
お二人は俺の家に泊まっていく事が決まった。
「いつも妹のリアスがお世話になっております」
「そんなそんな! リアスさんは礼儀正しい子ですよ」
「こちらとしては娘が出来たみたいで嬉しいですわ」
今、俺の家では魔王様であるサーゼクス様と俺の両親が挨拶を交わしている。
サーゼクス様の隣には顔を真っ赤にしたリアス先輩、後ろにはグレイフィアさんが控えていた。
そしてその様子を少し離れたところで見ている俺と黒歌と白音にアーシア、ゼノヴィア。それに何故か今日俺の家に泊まる事になった祐斗に朱乃先輩がいる。
「一つ気になったのですが、後ろにいるメイドさんは…?」
「あぁ、グレイフィアですか?彼女は…」
親父の問いにサーゼクス様は答える。
「私の妻です」
『えぇぇぇぇぇぇ⁉』
そ、そうだったのかっ⁉
その瞬間、兵藤家にリアス先輩、サーゼクス様以外の全員の絶叫が木霊した。
朱乃先輩も祐斗も知らなかったのか、驚愕の顔をしている。
そして、爆弾発言したサーゼクス様はグレイフィアさんに頬を抓られていた。
「メイドのグレイフィアと申します。少々主のお戯れが過ぎたようで申し訳ございません」
「いふぁいんだけど、ぐれふぃふぁ」
「はぁ…」
サーゼクス様は涙目、グレイフィアさんは無言で頬を抓り続けている。そんな二人を見てリアス先輩は呆れていた。
「そ、それでは、グレモリーさんも駒王学園の授業参観を?」
「ええ、仕事がやっと一段落したのでこの機会に一度妹の学び舎を観察しながらでも、妹の授業風景を見学できたらと思いまして。授業参観当日には父も顔を出す予定なんです」
何やら今度は授業参観の話となっている。
「まあ、リアスさんのお父さんも来られるのですか?」
「はい。父は私同様、駒王学園の建設などにも携わっておりまして。今回は良い機会だろうと言う事で少しでも顔を出すようです。本当はリアスの顔を見たいだけだと思いますが…」
そう言って苦笑いを浮かべるサーゼクス様。それを見た親父は何か楽しそうに口を開いた。
「そうなんですか。それでグレモリーさん、お酒はいけますかね?日本の美味しいお酒があるんですが…」
親父はそう言うと、どこからか引っ張り出した酒をサーゼクス様に見せた。
「それは素晴らしいですね!私は日本のお酒もいける口なので、ぜひともいただきたいところです!」
それを見たサーゼクス様は嬉しそうに酒盛りの準備を始めていた。
サーゼクス様ってそんなに好きだったのか、酒。
その二人を見ていたお袋は俺を見て口を開いた。
「お父さんたち飲み始めるだろうから、イッセー、あんたは皆さんと一緒に部屋に行ってなさい。後でご飯持っていくから」
「私も僭越ながらお手伝いさせていただきます、奥様」
そう言ってお袋と共に台所に立ったグレイフィアさん。
「あら、ありがとうございます、グレイフィアさん」
そして二人は親父たちの酒のつまみと俺たちの料理を作り始めた。
「じゃあ俺たちはお袋の言う通りに上に行くとしますか」
親父とサーゼクス様の邪魔をするのも嫌だしな。
「そうだな」
「ゼノヴィア、こっちにゃ!」
そう言ってゼノヴィアと黒歌は先に二階へと上がっていった。
「イッセーくん、僕と朱乃さんは本当に泊まって良かったの?」
「そうですわ、イッセーくん。ただでさえサーゼクス様とグレイフィア様が泊まられると言うのに…」
なんか申し訳なさそうに言う二人。
「いいんですよ。この際何人泊まろうが変わらないですし、二人だけほっとくなんて俺には出来ないです!」
そんな二人に俺は笑みを浮かべて答えた。
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」
「ありがとうございます、イッセーくん」
すると、二人も笑みを浮かべて泊まる事を決心してくれた。
「それじゃあ早く行きましょう、朱乃さん、祐斗さん!」
「あらあら…そんなに急がなくても大丈夫ですわよ、アーシアちゃん」
「アーシアさん、もう少しゆっくり…!」
二人の返事を聞いたアーシアは朱乃先輩と祐斗を連れて、先に上へと上がっていった。
「アーシア先輩、楽しそうでしたね」
「ああ、こういう賑やかなのが嬉しいんだろうよ」
こうやってみんなで遊ぶ時ってアーシア、いつも楽しそうだからな。
「私たちも行きましょう、兄様」
「そうだな」
何か忘れているような気がするけど…ま、いっか!
そして、俺は自室へと向かうのであった。
(イッセー…私を忘れるなんて…後で覚えておきなさい…!)
そこには、殲滅の姫君が降臨していた。
あれからリアス先輩が般若を纏って俺に襲いかかってきてから数時時間がたち、就寝時間となった。
「無理を言って悪かったね、一緒に床に就きたいなんて言って…」
「いえ、気にしないでください」
女子陣はそれぞれの部屋に、朱乃先輩はアーシア、グレイフィアさんはリアス先輩を連れて行きながら、リアス先輩の部屋に行き、祐斗は空いている客間に案内した。
その後にサーゼクス様にも別の客間へと案内しようとしたが、「今夜はイッセー君と床につきたいんだ」と言ってきたので、急遽俺の部屋に布団を一枚引いた。そして、サーゼクス様は布団でいいと言ったのだが、俺としてはそうもいかなかったので、場所を平等にじゃんけんで決めたのだった。
「まず言わせてもらうよ。リアスの事、ありがとう」
見事にじゃんけんに勝ち、ベッドを手にしたサーゼクス様は俺に話しかけた。
「そんな、礼を言われる事など…」
「いや、リアスは君を眷属にしてから毎日を生き生きと楽しそうにしていると聞く。それは君のおかげだと思うのだが」
「いえ、先輩が毎日楽しそうにしているのは、俺がいるだけでなく、みんながいたからですよ」
「まだ『先輩』か…名前で呼ぶ日はいつになるのやら…」
「?…何か言いましたか?」
「これからもリアスをよろしく頼むと言ったんだよ」
「はい、俺の全てに賭けて護り通してみせます…必ず…」
「頼もしいよ、イッセー君。これからは私の事を名前か、お義兄さんと呼んでくれたまえ」
お、お兄さん…? でも、サーゼクス様の言い方と何か違うような…
「流石にお兄さんは恐れ多いんで、サーゼクス様と呼ばせていただきます」
「そうだね、さすがにそれはまだ時期的に早かったな。しかし、いずれはそうなるのだから、今まだそれで構わないだろう…」
サーゼクス様は何やらブツブツと話されている為、俺には何も聞こえてこない。
まあいいか…
それからは何故かサーゼクス様のおっぱい談や恋愛話などが始まってしまった。
リアス先輩のおっぱいに赤龍帝の倍加をああだこうだと言っているのが俺にとっては新鮮で、それを聞いた俺は最初に吹いてしまった。それに魔王様だという遠い存在だったというのにたった一晩で互いが友の様に思えるほど、仲を深めることができたことに嬉しかった。
結局それは長い間続き、遂には客間にいた祐斗を含めた三人で朝まで語り明かしたのだった。
プライベートでは魔王様が俺たちをイチくん、ユウくんと呼ぶ様になったことに女子達は知らない…