ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男 作:パーシヴァルヴレイヴ
「あぁ…疲れたぁ〜」
俺は軽く腕を回しながら校庭を歩いていた。
「ちょっとはしゃぎ過ぎたね」
隣でタオルを使い、髪を拭いている祐斗の表情にも少し疲れが見えた。
あの後ゼノヴィアが着替え終わり、プールサイドにやって来た途端、女子陣は一気に詰め寄って色々と話を聞いていた。それにゼノヴィアは終始笑顔で答えていたと思う。それからだったな、みんながやけに張り切り出したのって…
それからみんなで遊び尽くすと、プール内の片付けをして各自解散という流れになった。
俺たち男子陣の支度は、案の定女子陣よりも早かったので、先に帰ることにしたのであった。
「ん?…あそこ誰か立ってるぞ」
「あ、本当だ」
校門まで足を進めたところで、珍しい銀髪をした一人の少年の姿が俺たちの目に入った。その少年は俺たちの母校である駒王学園を見上げていた。
年齢は俺たちと一緒ぐらいか? それに、顔立ちからして日本人じゃねぇよな。
「もしかしたら転校生かもしれないね。来たばかりで迷ってるのかも…」
「……ま、取り敢えず話しかけてみるか」
俺たちが少年の方へ歩いていくと、少年も歩いてくる俺たちの存在に気付いたのか、視線をこちらに向けた。
「いい学校だね、ここは…」
「そりゃどうも」
「イッセーくん、流石にそれは…」
少年の漏らした感想に俺は愛想なく言葉を返した。それを見た祐斗は苦笑いしている。
そして、俺は間髪おかずに今抱いている疑問をその少年にぶつけた。
「で、ここに何のようだ?……白龍皇」
「…⁉…君が、白龍皇…!」
「へぇ…よく分かったね。以前会ったときには顔は見せなかった筈だが…」
俺の言葉を聞き、祐斗は驚愕しつつも、直ぐに身構えた。白龍皇には別段驚いた様子は見られず、自然体でこちらを見ている。
「テメェが纏うオーラに声なんかで丸分かりだ。それにテメェを視界にいれてから、俺の左腕が疼いて仕方ねぇんだよ」
俺がそう答えると、
「やはり赤と白は惹かれ合うのか…面白い」
白龍皇はそう言うと、真剣な眼差しで俺を見る。
「俺はヴァーリ、白い龍が宿りし白龍皇だ。君は?」
「俺は兵藤一誠、今代の赤龍帝だ。それで、テメェはここに何しに来たんだよ? まさかとは思うが、俺に喧嘩売りにきたのか?」
俺がそう尋ねると、白龍皇…ヴァーリは不敵に笑った。
「だとしたら、君はどうする?」
「やってやるよ。売られた喧嘩を買わないわけにはいかねぇ」
その直後、俺たちの間に沈黙が走り、時々吹く風の音だけが耳に入ってくる。
「手なんて出すなよ、これは俺の喧嘩だ」
俺は後方ですでに戦闘態勢を整えていた祐斗とゼノヴィアに言った。
「悪いが、お前たちじゃあいつの相手にならない。やめとけ」
祐斗の聖魔剣、ゼノヴィアのデュランダルを持つ手がほんの僅かだが震えているあたり、力の差は体が理解しているらしい。
「「分かった(よ)…」」
二人は止むを得ず、戦闘態勢を解除し、剣を納めた。
「それは誇っていい。実力差を理解できる…それは強いという証拠だ。それを理解しながら俺の前に立ちふさがる君達には敬意すら払える。そして兵藤一誠、君はこの程度では別に何ともない所をみると、コカビエルの時には本気で戦っていなかったな?」
ヴァーリはそう言うと、微かに俺を睨めつける。
「さぁ?だったら俺はその程度って事だろ」
お茶らけた感じで言った俺を、ヴァーリは真意を確かめるように見つめる…
「ふぅ…君と言う悪魔はよく読めないな…ところで赤龍帝、君はこの世界で何番目に強いか考えた事があるかい?」
「どうだろうな、考えた事ねぇよ。でも、コカビエルよりかは強いと思うぜ」
強い奴か…サーゼクス様やアザゼル、グレイフィアさんも俺の中ではその類に入るな。もちろん、目の前にいるこいつもな。
「君の隠している力は俺にとっては計り知れない。だが、この世界には強者が数知れず存在する。かの有名な、紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10には入らない」
あのサーゼクス様が十位に入らないか…そのランキング、本当に合ってんのか?
「そして、その頂点に君臨する者、それだけはいつの時代も不動だった。それは…」
「グレードレッドだろ?」
俺はヴァーリを遮って答えを言った。
すると、ヴァーリは少し驚いた表情を浮かべた。
「そこまで知っているのか…」
「俺の相棒は物知りなんでね。色々と教えてもらってるんだよ」
「そうかい。今代の赤龍帝が君で俺としては嬉しい限りだよ。これからも大事にしていくといい、リアス・グレモリー」
ヴァーリは祐斗たちの前、俺の少し後ろに佇んでいたリアス先輩に言った。
いつの間にかみんな揃ってたんだな。
「言われるまでもないわ。それより、堕天使と関係のあるあなたがいったいここに何の用かしら。不必要な接触は遠慮してもらいたいのだけれど…」
部長は殺気をヴァーリに当て、冷徹な物言いで言い放った。
しかし、ヴァーリはそんなものを物ともせずに話を再開する。
「赤い龍と白い龍…過去、二天龍に関わった者はろくな生き方をしていない。リアス・グレモリー。あなたはどうな…」
「どうもならねぇよ。そんな宿命、俺が跡形もなく捻じ切ってやる」
ヴァーリが全てを告げる前に俺はヴァーリに言い放った。
「イッセー…」
「運命を変えるか…君と言う者は俺を飽きさせないな、兵藤一誠」
それを聞いたリアス先輩は呆然とし、ヴァーリに限っては心底嬉しそうにしていた。
「ではそろそろ失礼させてもらうよ。今日は戦いに来たわけではなく、アザゼルの付き添いでたまたま寄っただけなんでね。こちらもいろいろと忙しいんだ」
ヴァーリはそう言うと俺たちに背を向けて歩き出す。
「赤龍帝、また会おう。その時は…戦いの時だと思っていてくれ」
そして、この場を去っていった。
「あぁ、その時は本気でやってやるよ、白龍皇」
俺はヴァーリの去っていった方向をずっと見つめていた。
あれから俺は籠手に戻ったドライグとティアと共に家に帰った。
リアス先輩は何やらサーゼクス様に報告する為に学校に残り、黒歌と白音は晩飯の食材を買いにスーパーへ、ゼノヴィアとアーシアは二人で遊びに行った為、久しぶりに一人と二体で帰ったのだった。
自宅に帰った俺は日中の疲れを癒す為に晩飯まで一眠りしようと思い、自室へ戻ったのだが、
「ドライグ、待ってた」
「この幼女は誰だ?」
部屋に入ると、そこにはゴスロリ衣装を着た見知らぬ幼女がベッドに座っていた。
(イッセーッ! そいつはドラゴン…それも無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)だ!)
「っ⁉…この子が伝説の無限龍…」
確かに冷静になってみると、ドラゴンの波動と底しれない力を感じ取る事が出来た。
「我、オーフィス。伝説の無限とか呼ばれたくない」
俺の言葉を聞いて、オーフィスは否定の発言をした。
「それはすまなかったな、俺は兵藤一誠だ。で、オーフィスは何でここにいるんだ?」
そう言って俺はオーフィスの隣に腰掛けた。
(イッセー、危険すぎる! そいつから今すぐ離れろ!)
(まあ、そう言うなって。無表情だから何を考えているかよく分からねぇけど、オーフィスからは敵意は感じない。取り敢えず話だけでもさせてくれ…な?)
(……はぁ…分かった。しかし、危険を感じたら直ぐに行動に移るんだぞ)
(おう、分かってる)
俺が何とかドライグから許可をとっていると、オーフィスはこちらを向いて口を開いた。
「我、ドライグを宿したお前に会いにきた」
「俺に…?」
「少し前に強大なドラゴンの力…それに、我と似た力を感じた。それがイッセーだった。だから、イッセーに頼みにきた」
少し前…コカビエルの時か?
「頼みってのは何なんだ?」
「頼み…我、もう一度静寂を手に入れたい。だから手伝って欲しい」
「どう言う事だ…?」
話があまり見えてこない。
「今から話す」
そう言ってオーフィスは話し始めた。
「だから我、あの場所に帰りたい」
話によると…オーフィスは次元の狭間にグレードレッドと存在していた。しかし、グレードレッドとの勝負に負けてそこを追放されたらしい。で、もう一度次元の狭間に戻りたいオーフィスはグレードレッドを倒す為、俺に力を貸して欲しい…そういうことだった。
「オッケー、話はだいたい分かった」
「なら手伝ってくれ…」
「その前に一つ聞かせてくれ」
俺はオーフィスの言葉を遮り、口を開いた。
「何で?」
「もしグレードレッドに勝ったら、お前は次元の狭間に戻るんだよな?」
俺がそう聞くと、オーフィスは首を縦に振った。
「我、戻って静かに過ごしたい」
「そうか…でも、何でそこまで静寂を求めるんだ? この世界にはまだまだ面白いことがたくさんあるってのに、勿体ねぇよ」
「おもしろい…?」
俺の言葉を聞いて、オーフィスは顔を横に傾けた。
「おう。オーフィスには無いのか? 面白いとか楽しいとかって」
「…我、分からない」
オーフィスは首を横に振った。その顔には少し悲しみが映っているように思えた。
それを見た俺はオーフィスに一つの案を持ち掛けた。
「…ならさ、少しの間でもいい、俺と遊ばないか? そしたらお前の知らない、この世界の色んな事、色んな感情を教えてやれると思う。それを知って、それでもお前の意志が変わらないと言うなら、その時はお前の望みを俺が手伝う。それでどうだ?」
俺がそう言うと、オーフィスは黙り込んで考え込んだ。
「……分かった。我、これからはイッセーといる。グレードレッドはその後」
取り敢えずは俺といてくれるようだ。
「そうか!…まず最初に俺と友達になろうぜ!」
「友達…?」
「そう、友達だ! 簡単に言うと、一緒に遊んだり、何処かに行ったりする仲の良い存在だ。どうだ、俺となってくれるか?」
「別に構わない。我とイッセー、友達」
「ありがとよ」
「ん…」
俺はそう言いながらオーフィスの髪を撫でると、オーフィスは気持ち良さそうに目を閉じていた。
オーフィスの頭を少しの間撫でていると、
ぐぅぅ…
何かの音が聞こえてきた。それはオーフィスの方から…
「もしかして、腹減ってるのか?」
「…お腹すいた」
「ハハハ、そっか…なら、晩飯食うか? あいつらもそろそろ…」
俺が今のオーフィスに笑っていると、
「ただいまにゃー!」
「ただいま」
「お帰りなさい。ごめんね、お買い物任せちゃって」
一階の方から黒歌と白音、お袋の声が聞こえてきた。
「買い物担当のあいつらも帰ってきたことだし、もう少しで晩飯だな。お袋の飯は美味いぞ〜」
俺がそう言うと、オーフィスは目をキラキラさせて俺に詰め寄ってきた。
「我、食べたい! 我、ご飯食べたい!」
「分かった分かった。取り敢えず、一階に行ってお前の事紹介しないとな」
「分かった。すぐ行く!」
そう言ってオーフィスは俺の手を引っ張って部屋から連れ出した。
「そんなに引っ張るなって…」
(お袋あたりが「また娘出来ちゃった〜! それもこんな小さくて可愛い子!」とか言いそうだな…)
オーフィスに手を引かれながら、俺はこの後、起こりうる事を考えていたのだった。
あの後、リアス先輩とアーシアにゼノヴィアが帰ってきたので、オーフィスをみんなに紹介した。すると、案の定お袋は嬉しがっていたが、それ以外は驚いて少しの間ポカーンとしていた。
その中でもいち早く回復したリアス先輩は俺に何故ここにオーフィスがいるのかを聞き出してきた。
「ダメよ! 無限の龍神をここに滞在させるなんて、何が起こるか分かったものではないし、私たちに危害が加わるかもしれない!」
「ですが、約束した限りはそれを完遂するまで、オーフィスを放り出すつもりはありません」
リアス先輩の言う事は最もだ。それでも、俺はオーフィスとの約束を破るつもりはない。
「もう…こう言う所は本当に頑固なんだから! みんなもこの危険性をイッセーに言ってやりなさい!」
そう言って近くにいる筈の女子たちに目線を移すが、
「こんな可愛い子がドラゴンだなんて考えられないにゃ〜」
「ここに住むと言う事は…この子が私の妹に…!」
「お人形さんみたいです〜」
「黒歌、私にも少し触らせてくれ」
「我、苦しい…」
みんな、オーフィスに夢中で先輩の話など聞いていなかったようだ。
「ちょ、ちょっと何やっているの!」
「そんなに心配しなくても大丈夫にゃ、リアス。この子から私たちに敵意なんて微塵も感じないし」
この中じゃ、一番気を扱える黒歌が言うんだ、間違いはないだろう。
「イッセーと我、友達。だからイッセーの家族も友達、仲良くする」
黒歌に抱きつかれながら、オーフィスはそう言った。
「ほら、本人もこう言ってる事だし、別にいいんじゃない?」
「そうです…!この子はいい子です」
「部長さん、信じてあげましょう!」
「疑う心も必要だが、まず信じてみるのも大事なのではないか?」
「うぅ…あなたたち…」
リアスは黒歌たちに諭されて、少し意志が揺らいできているようだ。
「先輩、お願いします! オーフィスをここにいさせてください!」
そう言って俺はリアス先輩に頭を下げた。
それを見たリアス先輩はため息を吐いて俺に頭をあげさせた。
「……はぁ、分かったわ。どんなに反対しても覆らないようだしね」
「ありがとうございます、先輩」
先輩が折れてくれて良かった。
「でも、こちらに少しでも危害が加えられたら、分かってるわね?」
「はい、分かってます」
まあ、オーフィスのあの感じを見ていると、そんな事はなさそうだから大丈夫だとは思うが。
何とかリアス先輩を納得させた俺は一息ついていた。
そこに黒歌に抱きつかれていたオーフィスがやってきて、俺の服の裾を引っ張ってきた。
「イッセー、お腹すいた」
「待たせて悪かったな、オーフィス。飯にしよう」
「ん…」
それから俺たちはさっさと晩飯の準備をし、食事をするのであった。
その際、「イッセーと一緒にいる」と言ったオーフィスが俺の膝の上に座って食べていたのは余談だ。
その後も俺と一緒にいると決めたオーフィスは行く先々についてきており、果てには…
「我、イッセーといる」
「だからと言ってお風呂はダメだ」
「何故?」
「何故って言われてもな…」
結果オーフィスを説得できず、別にやましい事があるわけではないので、一緒に風呂に入る事になった。
その時に、オーフィスがいいなら、私たちもいいだろう!と物申して女子達が入ってきたのには愕然としたが…
その日は結局オーフィスと一緒に寝て、俺は次の日の参観日を迎えるのであった。