ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男   作:パーシヴァルヴレイヴ

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ソーナちゃん、見っけ☆

授業参観…それは生徒にとっての生殺しタイムであり、公開処刑の場である。

 

「はぁぁ…憂鬱だわ」

リアス先輩は俺の横で大きなため息を吐いていた。

今日はサーゼクス様に先輩の父君が来られるのだから、憂鬱になるのは仕方が無い。先輩の父君は分からないが、サーゼクス様はシスコンだからな…何をしでかすか分かったものではない。

 

「教会にいた頃はこんな経験なかったので、とても楽しみです!」

 

「私も楽しみだな。今日はイッセーの父上と母上も来られると言っていたし」

リアス先輩とは対照的にアーシアとゼノヴィアは楽しそうだった。

 

「いいわね、あなた達は…」

 

「気にしてばっかじゃ今日は乗り切れないにゃ、リアス」

 

「ガンバです、部長…!」

 

「そうね…いつまでも気にしてられないわね。いっそ腹括りましょうか」

黒歌と白音の励ましでリアス先輩も幾分かはマシになったみたいで良かった。

 

俺たちはそんな話をしながら自分たちの教室に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス先輩に黒歌、白音と別れた後、残った俺たちは自分たちの教室に向かった。

教室に入ると、松田と元浜達と挨拶(と言う名の攻撃)にちゃんとのし付けて返し、俺は後ろの方にある自分の席に着席するのであった。

 

(今朝のリアス先輩の嫌がり方は半端じゃなかったな…親が見に来るとなればあの態度をとっても仕方が無いか。ま、俺に関してはお袋も親父もアーシアとゼノヴィア、黒歌と白音を見に行くのに躍起だから、ゆっくりとのんびり過ごさせてもらうとしよう)

そんな事を考えながら、俺は一限目の準備をしていると、

 

 

「イッセー!」

 

「うぉっ!」

誰かが後ろから抱きつくと、段々顔を近づけて来た。

こんな行動をとるのはこのクラスじゃ一人しかいない。

 

「ん…」

 

「やらせるか」

後ろから抱きつき、キスをしようと顔を近づけてくるそいつのデコ目掛けてデコピンを繰り出した。

 

「痛っ⁉」

 

「何やってんだよ、お前は… お前がこんな事するから、クラスが喧しくなったじゃねぇか」

俺が周囲に目を向けると、男たちは嫉妬の眼差しを、女子たちは悲鳴をあげたり、こそこそと話し合っている。そして、アーシアはこちらに向きながら頬をプクッと膨らませていた。

 

「朝の恋人のやり取りをしてみたのだが、惚れたか?」

 

「惚れるか、バカ。それ以前に恋人であっても、こんな事を朝からしねぇよ」

 

「そうなのか? この本ではこうするといいと書いていたのだが…」

そう言ってゼノヴィアは一冊の本を取り出した。

 

「何だそれ?」

本の表紙を見ると、そこには『気になるあの子もこれを読めばあなたにメロメロ! 恋愛マスター弐』と書かれていた。

 

「いろいろと突っ込み所満載だな、その本」

 

「色々と享受してくれるから、私にとっては大事なものだ。それよりもこれでダメならば、次はこう…」

ゼノヴィアはそう言うと、栞を挟んでいたページを開き、俺の元を離れていった。

 

「あいつ、あの本読んでる事を俺に教えて良かったのか…?」

普通女の子って隠すもんじゃ…

 

キーンコーンカーンコーン

 

「おっと…準備の途中だった」

予鈴をベルを鳴ると、俺はそそくさと準備を再開するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一限目の英語(と言う名の紙粘土工作)が始まり、大勢の親御さんが来ているのはいい…

 

「あ、アーシアちゃんよ!」

 

「あそこにゼノヴィアちゃんもいるぞ」

お袋と親父が見に来ているのもいい、聞いていたからな。

 

 

 

「いたぞ! イッセーだ!」

 

「ドライグ、うるさい」

 

「オーフィス、貴様はイッセーの所に行こうとするな」

 

「イッセーと一緒、ダメ?」

 

「ダメに決まっているだろう」

 

何故お前らがいる? ドライグ、オーフィス、ティア…

 

 

「ドライグの野郎…朝から俺に話しかけて来ないと思ったら、俺が起きる前に分離してやがったな。それにオーフィスとティアまで来てるし…」

俺はそんな事を呟きながら、紙粘土である物を作っていく。

 

 

「イッセーめ… アーシアちゃんやゼノヴィアちゃんだけでなく、あんな美しいお姉様方まで…」

 

「可愛い幼女までいるとは、許すまじ…!」

凄い殺気を放ってくる男共。特に松田と元浜。

 

「もう少しイッセーの近くに行こう」

 

「我、賛成」

 

「行ってもいいが、イッセーの作業の邪魔はするなよ」

 

「続きするか…」

俺は後ろから聞こえる声に耳を傾けず、作業に没頭した。

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、

 

 

「ふぅ…こんなもんか」

俺は汗を拭いながら、紙粘土で出来た作品を眺めていた。

 

「お! イッセーの作ったやつ、すげぇな!」

 

「そう言えば、お前ってこう言うの得意だったな」

 

「まあな」

自分のが作り終わったのか、元浜と松田がこっちに来て俺の紙粘土を見ていた。

 

「で、ロボットと人なのは分かるけど、これは何をモチーフにしてるんだ?」

 

「人の方はともかく、こんなロボットは見た事ねえな」

二人は俺が作った二体、サングラスを掛け、天に向けて指を指す男とドリルを前に突き出しているロボットを見続けている。

 

「この男の人は俺の尊敬する人さ。ロボットはまあ、昔やってたアニメかな?」

 

 

「そうか。にしても、よく出来てるよな。これ、販売できる代物だぞ」

 

「いやいや、そんな訳ねえだろ」

 

「いや、これは売れるぞ」

 

そこから何故かオークションが始まったのは余談だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の授業も終わり、今は昼休み。俺たちは俺の両親、ドラゴン組と共に教室で飯を食っていた。

そこに黒歌、白音、少し遅れてリアス先輩、朱乃先輩がやって来た。

 

「リアス先輩、どうでした? 授業参観は」

俺がそう聞くと、リアス先輩は心底疲れた表情を浮かべた。

 

「ええ、大変だったわよ。色々とね…」

ポツリと呟いた先輩の声にはいつもの覇気を感じなかった。余程疲れたのだろう。

 

そんなリアス先輩をみんなで励ましていると、廊下の方に何処かへ向かって歩いていく祐斗の姿が見えた。

俺は席から離れ、廊下にいた祐斗に話しかけた。

 

「祐斗、どこ行くんだよ?」

俺の声を聞いた祐斗は俺の方を向いた。

 

「あ、イッセーくん。実は、この先の廊下で魔女っ子の撮影会をしているみたいなんだ。ちょっと気になったから見に行こうと思ってね」

 

「へぇ、魔女っ子… 面白そうだな。俺も行くぜ」

 

「なら一緒に行こうか」

 

「みんな! 俺ちょっと行ってくるからまた後で!」

そう言って俺は祐斗と魔女っ子にいる現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カシャカシャッ

 

「うわ、すっげえ人集り…」

 

「本当に撮影会してるみたいだね」

俺たちが現場に着くと、カメラを持った男達がフラッシュを焚いていた。

 

「ここからじゃあ見えないね」

 

「もうちょい前に行ってみるか」

俺たちは群衆を掻き分けて前に進んでいくと、そこには可憐な美少女がアニメのキャラらしき人のコスチュームに身を包み、華麗にステッキを回していた。

 

「何だありゃ?」

それにこの魔力を感じるってことは、普通の人間じゃねぇってことだ。

 

「イッセー! 勝手に教室を出て行かないで……ッ⁉」

俺たちの後を追って来たのか、リアス先輩は俺に話しかけてきたのも束の間、コスプレをしている女性を見て狼狽していた。

祐斗も祐斗で驚いているようだ。

 

「ほらほら、解散解散!公開授業に日なんだから、騒ぎを起こさないでくれよ!」

そんな中、匙が生徒会メンバー数人と一緒にここにやってきた。すると、撮影していた男達や興味本位で見にきていた人たちが蜘蛛の子を散らすように去っていった。

 

「ふぅ…あなたも、ここは学校なんですから、そんな恰好しないでください。親御さんなら、それに合った服装をしてきて貰えませんか?」

 

「えぇぇ〜。そんな事言われても、これが私の正装だもん☆」

匙がその人物に優しく注意を促すも、その人は特に謝罪もなく、華麗にポーズ決めていた。

 

「そ、そうですか…!」

そんな様子を見た匙は体を震わしていたが、リアス先輩の姿を確認すると直ぐに頭を下げた。

 

「リアス先輩、ちょうど良かったです。今、魔王サーゼクス様とあなたのお父さんをご案内していたところだったんですよ」

そう言って匙が後ろに振り返ると、そこにはサーゼクス様と先輩の父君と思われる方がいた。そして、その二人はソーナ会長の先導のもとこちらに近づいて来ていた。

 

「何事ですか、匙? いつも問題は簡潔に解決なさいと言ってる…」

ソーナ会長はコスプレ女性に目を向けると、固まった。そう、見事に固まっているのだ。

 

見比べてみると、この女性とソーナ会長って似てるよな…まあ他人の空似って奴だろう。

 

そんな事を考えていると、

 

 

「ソーナちゃん、見っけ☆」

 

 

 

「は…?」

コスプレ女性の方もソーナ会長の姿を捉えた途端、嬉しそうに抱きついた。

その場にいた数人を除くほとんどの人が困惑していた。俺もその一人だ。

 

すると、サーゼクス様がそのコスプレ女性に話かけた。

 

 

「やあ、セラフォルー。君も来ていたのかい」

 

「サーゼクスちゃん! お久しぶり〜」

この二人はどうやら知り合いのようだ。

 

いや、それよりも今、セラフォルーってサーゼクス様言ったよな。

まさかこの人が…

 

俺がそう思っていると、リアス先輩がその女性に歩み寄っていた。

 

「お久しぶりです、セラフォルー・レヴィタン様」

 

「おっひさー、リアスちゃん☆ 元気にしてたかな?」

リアス先輩とその女性は挨拶を交わしていた。

 

やっぱりこの人が四代魔王の一人、セラフォルー・レヴィタン様なのか。そして、ソーナ会長のお姉さん……独特の雰囲気を持ってるな。

 

「はい、おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」

 

「うん! ソーナちゃんったら、授業参観の事を黙ってたの。お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうかと思っちゃったんだから☆」

とんでもない爆弾発言をするセラフォルー様。そんな事で攻め込まれたら、天界も困ったものだろう。

 

「イッセー、ご挨拶なさい」

 

「はい」

部長に促され、セラフォルー様の前に近づいた。

 

「初めまして、兵藤一誠です。リアス先輩の兵士を務めさせてもらってます。よろしくお願いします!」

俺もリアス先輩と同じように挨拶をした。

 

「君が噂のドライグ君か… 思った以上にカッコいいね☆ そっちが自己紹介してくれたし、こっちもしておこうかな。私は四代魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタンです☆ 気軽にレヴィアたんって呼んでね☆」

最後に決めポーズをしたセラフォルー様。

これはサーゼクス様以上に凄い魔王様だな…

 

「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装をしておられますな。魔王として、些かどうかと思いますが…」

リアス先輩の父君がそう問いかけていた。

 

「あらおじさま、ご存じでないのですか? これがこの国での正装なんですよ☆」

 

「そうだったのですか? それは申し訳ない、これは私が無知だったようだ」

 

「ハハハ、信じてはなりませんよ、父上。それは嘘ですから」

サーゼクス様たちが話しているのを横目に、俺はリアス先輩に話しかけた。

 

「いつもこんな感じなんですか、先輩」

 

「ええ、プライベートではね。公式の場ではしっかりしてくれるのに、もう少しなんとかならないのかしら…」

リアス先輩は少し顔を赤くしてため息を吐いていた。

 

 

そんな中、

 

 

「もうダメです! ここにはいれませんっ!」

いつもは冷静沈着のソーナ会長が目に涙を浮かべてここから走り去っていった。

 

耐えきれなかったんだろうな、この雰囲気に…

俺はそんな事を考えながら、ソーナ会長を見送っていた。

 

「待ってよ、ソーナちゃん! お姉ちゃんを置いて行かないで!」

そう言ってソーナ会長の後を追う魔法少女。いや、魔王少女か…

 

「ついて来ないでくださいっ!」

 

「嫌ぁぁぁぁぁ! 私を見捨てないでぇぇぇぇ、ソーたぁぁぁぁぁん!!」

 

「たんを付けるのはやめてと言ったでしょう!」

それの繰り返しながら、二人はこの場から姿を消したのだった。

 

 

 

「……帰りましょうか」

 

「「はい」」

俺たちはサーゼクス様と先輩の父君に一言告げ、教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺の家にサーゼクス様方を招待する事になった。何でも、親父と父君が気が合い、お呼ばれしたそうだ。

 

サーゼクス様、父君、グレイフィアさんを加えて晩飯を食べた。そこまではいい雰囲気だった。そこまでは…

 

そこから、地獄の『授業参観鑑賞会』が始まったのだ。

最初はどうせリアス先輩だけだろうと高を括っていたのだが、その後に黒歌、白音、俺、アーシア、ゼノヴィアの順番で映し出された時には驚きを隠せなかった。

それと同時に、黒歌たちの時には俺の両親、俺の時にはドラゴン組、リアス先輩の時にはサーゼクス様が小っ恥ずかしい事を言うものだから、みんながみんな終始顔を赤くしていた。

 

あんな恥ずかしいもん、二度とごめんだ…

 

俺はそんな事を考えながら、ベッドに入るのであった。

 

 

「何故ここにお前がいる、オーフィス。お前は今日、アーシアの部屋で寝ることになっていた筈だが?」

いつの間にか俺のベッドには花柄のパジャマを着たオーフィスが寝転がっていた。

 

「アーシアの事、我好き。でも我、イッセーと一緒にいたい。イッセーといるとあったかい。だから…ダメ?」

オーフィスはつぶらな瞳を俺に向けた。

 

くっ⁉…卑怯な! そんな風に見られては…

 

「分かったよ… その代わり今日だけだ。それに先輩たちには絶対に言うなよ?」

言ったら、私も!って言ってくるに違いないからな。

 

「分かった、約束する」

 

「じゃあ寝るか」

 

「ん…」

俺は電気を消してベッドに入ると、オーフィスは俺の傍によって俺の胸元に抱きついた。

俺も幼い時の白音にしたようにオーフィスを優しく抱きしめた。

 

「お休み、オーフィス」

 

「おやすみ、イッセー」

そして、俺は一度オーフィスと目を合わせると、瞼を閉じた。

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