ハイスクールD×D 主人公に憑依してしまったドリルの男   作:パーシヴァルヴレイヴ

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イヤァァァァァァァッッ!!

 

翌日の放課後、俺たちはリアス先輩に連れられて旧校舎一階にある『開かずの教室』の部屋の前に来ていた。その扉にはKEEP out!と書かれた紙が幾つも貼られている。

 

「ここに先輩のもう一人の僧侶がいるんですよね?」

 

「そうよ。封印も解かれたから出て来れるのだけど、あの子自身が嫌がってね…」

リアス先輩は俺の問いに答えると、扉の術式を解除していく。

 

リアス先輩の話によると、この部屋には先輩の眷属、もう一人の僧侶がいるらしい。何でもそいつの力が危険で、そいつ自身でも力を扱いきれないから今まで封印されていたんだと。

 

だが、フェニックスとの一件に聖剣の一件を経て、リアス先輩が上のお偉い様方に認められたため、今ならその僧侶を扱うことができるだろうと言う事で封印が解かれる事になったと言う訳だ。

 

俺が一人考え込んでる内に扉の術式の解除が終わり、

 

「さて、開けるわよ」

リアス先輩は扉に手をかけ、ゆっくりと開かれた。

 

開けた次の瞬間…

 

 

 

 

 

「イヤァァァァァァァァッッッ!!!!」

 

 

 

 

部屋の中からとんでもない声量の悲鳴が発せられた。

 

 

「な、何だ⁉」

 

「す、凄い悲鳴だね」

 

「一体どんな奴が…」

 

「耳痛いにゃ〜」

 

「お、同じく…」

 

「い、痛いです」

俺はその声に驚き、他のみんなは耳を押さえていた。

 

しかし、リアス先輩と朱乃先輩はそんな声に諸共せずに平然と部屋の中に入っていった。

 

「ご機嫌よう。取り敢えず元気そうで何よりだわ」

 

「な、な、何⁉ 何事なんですかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「あらあら、封印が解けたのですからもうお外に出られますよ。さあ、私達と一緒に出ましょう?」

 

「イヤッ! イヤです、イヤですぅぅぅぅ!!! 外に行きたくないですぅぅぅぅっ!!! 絶対に人に会いたくないですぅぅぅっ!!!」

 

中から三人のやりとりが聞こえてくる。

それを聞きながら俺もいよいよ中に入るのであった。

 

 

「うわぁ…暗いなこの部屋」

カーテンが全て閉められてるのが原因か… その割にファンシーグッズがたくさ…

 

「だ、誰ですかぁぁ⁉ こ、この人っ!」

 

おっと、そんな所にいたのか。

 

俺が声のした方に目を向けると、そこには…金髪に赤い瞳をし、駒王学園の女子の制服に身を包んだ女の子がいた。

 

「この女の子がもう一人の僧侶かですか、先輩?」

俺は目の前で狼狽している女の子を見ながらリアス先輩に聞いた。

 

「ええ。この子が私の僧侶よ」

リアス先輩もこの状況の打開策を考えながら俺の問いに答えた。

 

「後言っておくけど、この子は男の子よ」

そしてその後に、補足として一つ追加した。

 

「え…? マジですか?」

 

「大マジよ。女装趣味の男の子」

へ、へぇ…女の子ではなく、男の娘だったって訳か…女装趣味の…

 

そう言われた俺は内心驚きながら、その男の娘に目線を向ける。その男の娘も俺の視線に気づいたのか…

 

「ひぃぃぃぃぃ⁉ 見ないでぇぇぇぇぇっっ!!!」

またもや男の娘は甲高い声で悲鳴をあげた。

 

その瞬間、

 

 

 

 

「ッ⁉…何だ今の…」

俺はいきなり感じたことのない感覚に襲われた。他のみんなはどうなのか気になって見てみると、

 

「せ、先輩…?」

そこには、石のように固まって動かないリアス先輩たちがいた。

 

「何がどうなってんだ…?」

今起きている現象が理解できずにいる俺の前に、一人だけ動いている物が目に移った。

 

「おい」

俺が目の前で座り込んでいる男の娘に話しかけると、呼ばれた男の娘はビクッとし、

 

「ふぇっ⁉…ど、ど、ど、どうしてっ⁉ どうしてっ⁉」

男の娘は信じられない物を見ているかのように俺を見ている。

 

「これってどうなってんだ? 俺とお前以外が停まったように動かなくなってんだけど、何か知ってるか?」

 

「ご、ごめんなさぃぃぃぃ!! こ、これは僕の、能力ですぅぅぅぅ。怒らないでぇぇぇぇっっ!」

そう言って男の娘は壁の方へと逃げていった。

 

「お前の…能力?」

て事は、この現象を引き起こしたのはこの男の娘なのか。確かにさっき変な感覚に襲われ…

 

「イッセー⁉ あなたは無事だったのね」

後ろから声を掛けられたので、俺は振り向いてみると、

 

「あ、リアス先輩! 元に戻ったんですね」

 

「ええ。久しぶりに使われたから打ち消すのに時間がかかったわ」

そう言ってリアス先輩は俺の隣に立った。

 

「この現象はどういうことなんですか? その子は自分の能力でこうなったって言ってましたけど…」

俺が座り込んでいる男の娘を見ながらリアス先輩に聞いてみる。

 

「そうなの。これはあの子の能力…神器が起こしたのよ」

 

「神器ですか?」

 

「ええ。停止世界の邪眼(フォービトン・バロール・ビュー)…視界に映した全ての物体すべてを一定時間停止させる神器よ。まだあの子は自分で制御できないから、無差別に停止させてしまうのよ」

 

「そんなチート能力を持ってるんですか…」

全てを停める神器…だからあの子はここで封印されていたのか。

 

「あなたの倍加も相当チートよ? それに螺旋力も加わって強大になっているし。でもイッセー、あなたは何で停まっていなかったのかしら。 私の滅びの魔力でも解除に時間がかかったのに、あなたは何ともなかったみたいだけど?」

 

「それは…多分俺の神器と関係しているのかもしれないですね。それか螺旋力が… まあ、勘ですけど」

ま、気にしても仕方が無い、分からんものは分からねぇし。

 

「そう。まあ取り敢えずはその話は置いておきましょう。そろそろ神器の能力も切れるから、朱乃たちも元に戻る筈よ。話はその時に」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後、みんなが動けるようになったので先ほどの話を再開した。

 

あの子、ギャスパー・ヴラディはヴァンパイアの血を半分受け継いでいるハーフヴァンパイアで魔術の方にも秀でている。しかし、その類稀な才能が無意識の内に神器の能力を高めてしまって今に至るらしい。

 

「話は大体分かりました。取り敢えずはあの子をこの部屋から出して、能力の制御を手伝えばいいんですよね?」

 

「ええ。あなたがこの中じゃ一番神器の制御に長けているから、よろしく頼むわね」

 

「はい、任せてください」

そう言って俺は壁際で座り込んでいるギャスパーの近くに座り、話しかけた。

 

「よう。お前、ギャスパーって言うんだってな。俺は兵藤一誠、よろしくな?」

そう言って座り込んだ俺はギャスパーに手を差し出した。

 

「ひいっ!」

すると、ギャスパーはまたもや神器を発動するが、俺にはやはり効かなかった。

 

「まあまあ、落ち着けって…」

俺はギャスパーの瞳をしっかりと見つめ、優しく頭を撫でた。

 

「は、はい…すいません」

 

「別に謝らなくていい。俺にはお前の能力は効かないしな」

 

「で、でも! 他の人は違います! 僕がこれを使うと、みんな停まってしまう。そんなのはもういや…!こんな能力があるから僕は…!」

ギャスパーはそう言って下を向いて泣き出してしまった。

 

 

 

「ったく…」

俺はそんなギャスパーを見てられず、

 

「良しよし、泣くな泣くな…」

俺は優しくギャスパーを抱きしめ、頭を撫でてやる。

 

「うぅ…」

少し泣き止んだギャスパーに向けて、俺はゆっくりと口を開いた。

 

「あのさ、ギャスパー…お前のその能力、自分の意志で使えるようにしてみないか?」

 

「そ、そんな事…」

 

「だってよ、そしたらお前も能力に怖がらずにここから外に出る事が出来るだろ?」

 

「そ、そんなの出来るわけありません! 何度もやろうしたけど、僕には…」

 

「それはお前が一人だったからだろ?」

 

「え…?」

俺のその言葉を聞いて、ギャスパーはポカーンと口を開いたままになっている。

 

 

「今度はお前一人じゃねぇ、俺がいる。俺がお前の力になってやる。だから、もう一度自分の力を信じてみないか?」

 

「…僕にも出来るでしょうか?」

 

「ああ、お前には才能があるんだ。俺だってお前の為に力を貸す。後はお前の想い次第だ、ギャスパー」

俺がそう言うと、ギャスパーは頭をあげた。

 

 

「……ぼ、僕!もう一度頑張ってみます!だから…だからあなたの力を貸してくださいっ!」

ギャスパーは覚悟を決めた表情で俺を見上げた。

 

「おう! 俺に任せとけっ!」

お前の意志は確かに受け取ったぜ、ギャスパー。

 

「あ、ありがとうございます…!」

そう言ってまたもや泣き出してしまったギャスパー。

 

「お前は泣き虫だな、ギャスパー」

 

「だって…だってぇ…!」

ギャスパーは涙を流しながら、俺に抱きついて離れない。

 

「よしよし…取り敢えず先輩たちの所に行こう。いつまでもほっとくわけにはいかないからな」

ギャスパーの頭を撫でながら、俺は口を開いた。

 

「は、はい…!」

ギャスパーの了承も得て、俺たちはこちらを見ていたリアス先輩たちの元へと戻っていった。

 

 

「ギャスパー、外に出る気になったのね」

 

「は、はい… 僕、頑張ってみます。お兄ちゃんと一緒に…」

ギャスパーの口から放たれた言葉を聞いて、俺たちは絶句した。

 

「あ、あのさ、ギャスパー」

直ぐに正気を取り戻した俺はギャスパーに話しかけた。

 

「ひゃいっ! 何ですか、お兄ちゃん…?」

 

「そのお兄ちゃんってのは、俺の事か?」

 

「は、はいっ! 兵藤先輩って僕にとってお兄ちゃんみたいな感じなので… ダメでしょうか?」

そう言ってギャスパーは俺を粒らな瞳で見つめてくる。

 

そんな目で見られたら断れないぜっ!

「そんなの言いに決まって…」

 

「ダメです」

 

「痛っ⁉」

 

『イッセー⁉』

いきなり白音が横に来たと思ったら、足を思いっきり踏みつけられた。

 

「な、何だよ、白音!」

 

「兄様が色仕掛けにやられそうだったのを助けただけです」

こうやったのは当然と言うように威張る白音。

 

何だよ、その理由…

俺がそう思っていると、白音は続けて声をあげた。

 

「ギャーくんは兄様の事をお兄ちゃんと呼んではいけません。兄と呼んでいいのは私だけです」

そう言って白音はギャスパーを俺から引き剥がし、俺の腕に抱きついた。

ギャーくんって、ギャスパーの事だよな?

 

「そ、そんなのイヤですっ! 僕は兵藤先輩の事をお兄ちゃんって呼びたいんですぅ!」

内気なギャスパーも何故かここでは一方に下がろうとせず、空いてる片方の腕に抱きついてきた。

 

「ダメです」

 

「イヤです!」

 

「ダメ…」

 

「はいはい、そのぐらいにしなさい」

リアス先輩はそう言いながら何度か手を叩いた。

 

「白音がギャスパーに嫉妬するのも、ギャスパーがイッセーに懐くのもいいけど、少しこちらの話を聞いてくれる?」

 

「「はい…」」

リアス先輩にそう言われると、二人は俺に抱きついたまま口を閉ざした。

 

抱きつくのはやめないのね、お前ら。

 

「取り敢えずギャスパーが外に出てくれるようになってくれて良かったわ。これからはイッセーと一緒に神器の制御を頑張りなさいね」

 

「は、はい! 頑張りますぅ!」

さっきと違って気合に満ち溢れているな、ギャスパーの奴。

 

「いい返事よ、ギャスパー。じゃあ私はこれから朱乃と三すくみのトップ会談の会場の打ち合わせに行ってくるわ。その間ギャスパーの事をお願いするわね?」

 

「はい、任せてください」

リアス先輩はそれを聞くと、今度は祐斗の方を向き、

 

「それと祐斗、お兄様があなたの禁手について詳しく知りたいそうだから一緒に来てちょうだい」

 

「分かりました」

ま、聖と魔が混じった異例の禁手だから、サーゼクス様も色々と調べたい事もあるんだろうか。

 

「アーシアと黒歌とゼノヴィアもイッセーの特訓の手伝いをしてあげて。もちろん、白音は喧嘩しないで…ね?」

 

「は、はいっ! 私、頑張ります」

 

「吸血鬼の特訓か…腕がなるな」

 

「お姉さんに任せればちょちょいのちょいにゃー」

 

「善処します…」

おいおい、白音…ギャスパーを威嚇するな。

 

「ふふ…それじゃあ私たちは行くわね」

 

「また後でお会いしましょうね」

 

「それじゃあみんな、頑張って」

そう言ってリアス先輩たちは一言ずつ言って部屋を出ていった。

 

「よし。俺たちも場所変えて特訓開始するか」

 

「お、お外行くんですかぁぁぁ!」

ギャスパーは少し後ずさりした。

 

「そりゃそうだろ。ここじゃあ出来ないし… ほら、行くぞ」

それを見兼ねた俺はギャスパーの手を握って反ば無理やり外に連れ出す事にした。

 

「あ…お兄ちゃん…」

 

「お兄ちゃんでも何でもいいから、さっさと行くぞ」

あそこにいても拉致が空かねぇから、すぐに移動しねぇとな。

 

「は、はい!」

そう言って俺は薄暗い部屋の外へと出るのであった。

 

「兄様、待ってくださいっ!」

 

「イッセーさーん、待ってくださーい!」

 

「ありゃりゃ、私たちも早く行くとするにゃ」

 

「そうだね」

少し遅れて白音やアーシアたちもついて来るのであった。

 

「お兄ちゃん…お兄ちゃん」

何かギャスパーがボソボソ呟いてるけど、何言ってんだろ?

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