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つかさの誕生日を一週間後に控えた今日、俺はつかさに渡すプレゼントを買いに一人でちょっとファンシーな雑貨屋に来ていた。周りを見るとピンク色が激しい小物や動物のぬいぐるみ、可愛いけど値段は可愛くない小物入れなど女の子が好きそうな物が溢れていた。
こんなことなら母さんと一緒に来るべきだったかもしれないと若干後悔しつつ、つかさは何を貰ったら喜ぶだろうと考える。
「無難にぬいぐるみか?いや、金が無いわけじゃないし小物系でもいいのか?」
「あぁもう分からん!とりあえずつかさが喜びそうなの全部買っとこう!」
「それでこんなに買ってきちゃったの?……りょーくんって時々頭のネジ飛んでっちゃうよね。主につかさちゃん関連で」
「ゴメンナサイ」
「りょーくんのお金だから良いんだけど。こんなに一度にあげてつかさちゃん引かないかしら?」
現在買いすぎたぬいぐるみなどに囲まれるというファンシーな状況で母さんからのお叱りを受けていた。ファンシー空間がキツくて抜け出したいけど、それを許してくれる空気じゃない。
「えーっと、ペンギンのぬいぐるみとライオンのぬいぐるみ、ネコ、ヒツジ、オオカミ……りょーくん、買いすぎよ〜?これでも抑えた方って言ってたけど、十分多いからねぇ?……でも懐かしいなぁ私もまーくんから一回だけぬいぐるみいっぱい渡されたことあったっけ。やっぱり親子って似ちゃうのかしらね〜。それにしてもあの時のまーくん……」
なんか母さんの惚気スイッチが入ってしまってそのまま惚気話に移行した。このぬいぐるみはいつ片付けていいんだろうか。……自分の世界に入り込んでる今がチャンスか。
そう思ったが即行動、とりあえずの保管場所として俺の部屋に置いておくことにした。このぬいぐるみ一年に一個渡す感じにしても良さそうだとか、ちょっと買いすぎたのを後悔していた。
「まぁ一気に渡しちまうか。それにしても俺の部屋一部分だけ女の子の部屋みたいになってんな」
それからぬいぐるみに囲まれて過ごすこと一週間、ついにつかさの誕生日がやってきた。ようやくぬいぐるみに囲まれた生活が終わると思うと少し嬉しくなった。
起きてリビングに行くと、何やら甘い匂いが……。
「ケーキ?」
「あっ、りょーくんおはよ〜。今日はつかさちゃんの誕生日だからねっ!」
そう返事をして鼻歌交じりにケーキ作りに戻っていく母さん。そしてその後ろ姿を若干怪しい目つきで眺めている父さん……うん、いつも通りだな!
「今日は学校あるんだっけ〜?」
「平日だからあるねぇ」
「じゃあ学校終わったらつかさちゃんのこと連れてきてねぇ〜」
「はいはい。分かってるよ」
つかさの誕生日に毎回交わされる会話をしつつ朝飯を食べる。それにしてもケーキを作るのは今回が初じゃないか?朝飯の途中、父さんが何か言いたそうだったのが気になるけど言わないならそんなに大事な用でもなかったんだろう。
「じゃあ、いってきまーす」
「いってらっしゃ〜い。帰ってくるの待ってるね〜!」
結局終始無言だった父さんが気になるけど、つかさを迎えにいく。……ヒロインが住んでいるのはここ!って感じの絵に描いたような家がつかさの家だ。
「つっかさちゃ〜ん、あーそーぼー!」
「りょーたっ!」
「ぐぇっ」
今日はつかさのことを遊びに誘いに来た感じでボケてみたらつかさが勢いよく抱き着いてきた。……苦しい
「つかさちゃん、涼太くん苦しんでるからそれぐらいにしなさい?ごめんねぇこの子、夢で涼太くんが急に居なくなったとか言って朝から泣きそうだったから、許してあげてね」
「そういう事ですか。……ほら、つかさ俺はここに居るだろ?大丈夫、急につかさの前から消えたりしないよ」
「……うん。でも、怖かったんだりょーたが居なくなって、あたしどうしたらいいか分かんなくて」
「あぁもうつかさは泣き虫だな。ほら、顔上げて笑えって、お前の笑顔が一番好きだからさ笑ってくれよ」
「りょーた大好きっ!」
「朝からご馳走様、二人とも?」
朝の西野家の前では俺の胸に顔を擦り付けるつかさとそれを見て笑うおばさん、そしてご近所からの生暖かい視線に晒される俺という光景があった。さすがにそんな視線にも慣れてしまって、今はつかさの気が済むのを待っている。
精一杯甘えてくるつかさは本当にかわいい。時々「えへへ」なんて言っちゃうつかさちゃんマジ天使。
それから10分ぐらいしておばさんに遅刻しちゃうと言われ、渋々俺から離れて学校へ向かった。その後に腕組むならあんま変わんないよな?
学校に着くと、早速『つかさちゃん親衛隊』この年でそんなものが結成されるのは色々おかしいと思うけど。その親衛隊員たちからの誕生日おめでとうのシュプレヒコールに始まり、学校に持ってきたら即没収されるであろうものをつかさに渡そうと長蛇の列が出来てた。
ちなみに俺が先生を召喚したせいで殆どのプレゼントは先生へ、親衛隊員は教務室行きになった。
「まったくアイツらは懲りないな……。お前もモテる幼馴染みを持って辛いところか?」
「ははは、もう慣れましたよ。あぁいう奴らはつかさが一番ですからつかさが『迷惑かける人キライ』って言えば収まりますよ」
実際、さっきキレたつかさが叫んでその後はプレゼントを持ってくるアホは出てこなかったし。
「だがそれを言わせているのは山崎だろう。……このまま何もなければお前らはお似合いだと私は思うがな」
「ははぁ、それは何とも高く?評価していただいて。それはそうと迷惑かけてすいませんでした、先生」
「いいさ。お前が居なければもっと事態はややこしくなっていただろうしな。『王子さま』」
「冗談でもその呼び方、やめてくれませんか。嫌いなんですよ」
すまなかったと謝りながら職員室へと消えていく高橋女史。その後職員室に雷が落ちたとか落ちなかったとか。
「もぅヤになっちゃう!みんな会えば『誕生日おめでとう、僕と付き合わない?』って何なの!付き合うわけないでしょ!」
「はぁ、お前も大変だな。今日一日だけだから何だったら保健室で休むか?」
「むぅー!なんでそんな他人事なの?そもそもりょーたが一緒に居てくれればこんなこと無いのに!」
「さすがに限度があるだろ。なんだ、お前がトイレ行く度に送迎すればいいのか?……ただの変態じゃねぇかよ」
「あたしはそう思わないから大丈夫!」
大丈夫って俺の評価はガン無視なんですか、そうですか。けど実際問題去年に比べてつかさの周りでウロチョロする輩が増えたのは事実だし何か対策が必要かもしれない。
「いいこと思い付いた『あたしの近くによってきた男の子は恋愛対象として見ない』って宣言しちゃえば?」
「えー、それだとりょーたのこと諦めないとになっちゃうじゃん!……そんなの嫌だよ」
今の一瞬でつかさの瞳が潤み始めた。そういや朝から情緒不安定だったの忘れてた。
「ごめん、今の取り消すな。つーかそういう事は急に言わないで欲しいんだけど」
「だってりょーたがヒドいこと言うから。……ぎゅーってしてくれたら許してあげる」
「は?……今ここで?この人がそれなりにいる教室の中で?」
俺の質問に答えることはせず、ただ手を広げて見つめてくるつかさ。可愛い子は何しても可愛いからずるい。
そして恥ずかしさを堪えて抱きしめると教室から「おお〜」という声と呪詛が聞こえてきた。
それよりも朝と同じく胸に顔を埋めたつかさの幸せそうな笑い声を聞けて、たまにはいいかななんて事を考えてしまった。俺ってお手軽なのか?
「やっと終わったぁー!ほら、早く帰るよりょーた!」
終業のチャイムが鳴るのと同時に俺を引っ張り、いつの間にか校門も過ぎていた。後ろの方から男子のつかさを探す声が聞こえてくるけど一切気にするような素振りはない。
「お前、急に引っ張るの大好きすぎだろ。祭りの時も無言で引っ張っられて怖かったんだぞ、あれ」
「えへへ、ごめんごめん。……今日はりょーたのお家?」
「おっよく分かったな。俺からのプレゼントも期待しとけよ」
りょーたのプレゼントなら何でも嬉しいなんて言いつつ期待してるのを感じながら家に帰る。まぁぬいぐるみ5個だし期待しとけって言ってもいいレベルだよな?
「お帰りなさい二人とも。さぁ、つかさちゃんは今日の主役だからこのたすき掛けてね〜」
帰った俺たちを待っていたのはニコニコ顔の母さんと『本日の主役』と書かれたタスキを持つ父さんだった。
その後、たすきを掛けてどこか満足そうなつかさと、愛娘の誕生日を写真に残しているつかさの両親と一緒にご飯を食べた。
そして少なめの夕食の後に母さんとおばさんが一緒に作ったケーキがテーブルに登場した。
その際、つかさからの誕生日だということを理由にしたお願いをされて断ることも出来ず、受けることにした。
「それじゃあ、つかさあーんして?」
「うぅっ、自分で言ったけど恥しいよぅ〜!」
「俺の方が恥ずかしいんだから早く口開けろって!」
「でもそれさっきりょーたが使ってた……んぐっ」
「もうキスしてんだから間接キスぐらいで照れるな!ったく」
あれ?親たちの反応が……。やばい事カミングアウトしちゃった気がする。
「涼太くん、つかさのことをよろしく頼むよ。キミになら任せてもいいと思ってる。いや、むしろキミにしか頼めないからな!」
そう言って満足そうに笑うおじさん。そして母さんとおばさんはすっげえ優しい目をしていた。
そしてそんな状況に気づかないお姫様が一人。
「じゃっ、じゃあ、あたしからもりょーたにあーんしようかな……」
その言葉を聞いた両家の父親は一斉にカメラを構え始めた。やめて、涼太くんのメンタルはもうボロボロよ!
「りょーた、あ〜んして?」
そしてつかさは何でそんな甘えた声出してんの?そして口を開けない俺をそんな不満そうな目で見つめないでくれ。
「あぁもう、分かった!ほら、あーん!」
ヤケクソに開いた口にケーキが恐る恐る運ばれてくる。そして丁寧に口へケーキを入れてきて視線で「どう?」なんて尋ねてくる。もちろん美味いに決まってる。
「あら奥さんやだ、うちの子お宅の息子さんと視線で会話しちゃってますわ」
「そうですねぇ。ほんとに仲が良くって将来が楽しみですぅ〜」
おばさんと母さんが何か話していたが、恥ずかしさのせいで何も聞こえなかった。
夜も遅くなり、つかさの誕生日会もそろそろお開きの流れになった。母さんからはケーキ、父さんからは今日の俺が顔を真っ赤にしてる写真とさっき撮った集合写真が贈られることになった。
そして問題の俺からのプレゼントを渡すことになった。
「……りょーたくん、買いすぎだよ」
「いや〜ついお前が好きそうなの選んでたらこんなに多くなってな。受け取ってくれるか?」
「うん!大事にするから!」
ぬいぐるみを一つ一つ抱きしめて抱き心地を確かめるつかさ。不意にこちらに向かってきて俺に抱きついてくる。
「やっぱり、一番気持ちいいのはりょーたの腕の中だねっ」
「……お前やっぱずるいよな」
「えへへー、りょーたも十分ずるいよーだ!大好きだよ、りょーた」
「あぁ、俺も好きだよつかさのこと。多分誰よりも」
「あっ、今日のりょーたは素直だー!素直なりょーたもカワイイよ!」
「だから褒め言葉にならねぇって」
「エリちゃん、涼太とつかさちゃんはいつまで抱き合ってるんだろう。僕らでもあんなに抱き合ってたこと無いよね?」
「あらあら、じゃあ今度気が済むまで抱き締めて?」
流石に寝ないと明日の学校がヤバくなるとおばさんが強引に引き離したことで、抱き合う時間は終わってしまった。
「うぅ、もう少し一緒に居たかったけどまた明日、だね。おやすみなさい!」
「おやすみ、つかさ。おばさんとおじさんもおやすみなさい」
その日の夜は何故だか腕の中にまだつかさが居るみたいで、中々寝付くことが出来なかった。
ほんとはね、誕生日の話だけを書く気だったの。
でも学校生活書いてないなって思って書くならこのタイミングだよなって。
やりすぎた感はある。小三にして親衛隊てお前…
山崎家がやばい(作者主観)
以下(つかさに)めっぽう弱い系主人公の走り書き
「涼太、このドレス可愛い!あっ、あのバッグ合いそう」
「これ一個につき諭吉が二人は消えるんだけど」
「むぅー、試着してくるから待ってて!」
「じゃーん、どう?似合ってる、かな?」
「店員さん、これください」
「……お買い上げありがとうございます」
水着
「あっ、これかわいいーね、どう?」
「お前これ布面積少なすぎだろなんだこれ痴女かよ」
「涼太おくれてるー!このくらいイマドキふつーだよ?……ちょっと着てくるね」
「あっ、ちょっと待っ……。これまた買う流れだよな?」
「じゃーん!どう、どう?思ってたよりエッチかな?」
「よし、買おう!」
「お買い上げありがとうございまーす」
「……えっち」