カメンライダー   作:ホシボシ

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※注意!

おまけは『カメンライダー』とは基本的に関係ありません。
カメンライダーはこの前にあるエピローグで完全に終わってます。

じゃあこの『おまけ』は何かって言うと、私(ホシボシ)の他のライダー作品を見てくれている方むけの話になります。
見てくれた数が多いほど意味がなんとなく分かる形になっているので、カメンライダーだけ見てくれた人は申し訳ないですがバックしてくだせぇ!

おまけを読むことで所謂『引き』が生まれます。
ただ、あろうことか別サイトでやってるヤツを見ないとワケが分からないものや、更新が止まってるヤツに(まだ今後も更新できる予定がない)誘導するような仕様。
なにより『今後やりたいなって思ってる(つまりまだ存在しない)』作品に繋がるようなシーンがありますので、もう一度言いますが注意してください。

要するに皆さんの喉に骨を刺す感じになります。
なんか歯にポップコーンの欠片が挟まる感じになります。舌でどけようとするけど中々取れない感じになります。
カメンライダーを見てくれて、かつボクのほかの作品を見てくれた人も、おまけを読むのは注意してください。

おまけを読むことで伏線みたいなものが生まれますが、それを回収するには相当の時間がかかる他、情けない話ですが、回収できる見込みもありません。
後悔とモヤモヤだけが心に残る形になるかもしれませぬ。


あくまでも『おまけ』と割りきれる方のみ、進んでくださいYO!!( ^ω^ )




おまけ

紫色の光で照らされた書斎があった。

どうやら図書館の中に書斎用の部屋があるらしく、書斎の窓の外には無数の本棚が見える。地平線の向こうまで伸びる本棚が。

 

 

「フム」

 

 

書斎の中、ロッキングチェアに座っていた魔女は読んでいた本を閉じると、机の上に乗せる。

表紙には『カメンライダー』と記載されており、そこには今までの戦いと悲しみの歴史が書かれていた。

魔女は前にこの本を読んだ事があるが、もう一度読み返した。と言うのも魔女の頭部回りには馬の蹄のような形の角があるが、これが記憶装置となっており、膨大な知識を処理してくれる。これに少々異常が発生してしまい、『カメンライダー』の知識がすっぽりと抜け落ちてしまったのだ。

何事もメンテナンスは大事である。角を修理し、再び知識を取り込む。

 

 

「どうでした?」

 

 

書斎にはソファがあり、そこにセルリアンブルーの髪をした少年が座っている。

少年の膝には赤い髪の少女が頭を乗せており、ソファに寝転がって夢中で万華鏡を見つめていた。

青い少年は"ゼノン"。赤い少女は名を"フルーラ"と言った。

それぞれ、魔女の『左眼』と『右眼』である。

 

 

「痛いな」

 

「それが好きって事ですからね」

 

「だが美しい。唯一無二の価値は自己が決めるからこそ、真の意味を齎す」

 

 

魔女は一度紅茶に口をつけ、皮肉に笑う。

 

 

「しかし気の毒だな。仮面の者たちが必死になって止めたというのに――」

 

 

魔女はゼノンの前、テーブルの上に置かれた『ダブルドライバー』を見て皮肉だと唇を吊り上げる。

 

 

「こんな形で、カメンライダーが実現するとは」

 

「事情が違いますよ。似ているようで、ブックメイカーの目指した形とは全く違う」

 

「そなたは読んだのか?」

 

「んー、断片的にって感じですかね。一部脳にロックがかかって読めない。おそらくボクが知らないライダーは知らないままでなければならないんでしょうね」

 

「……それにしても、しぶとい。あの粘りは見習わなければならない」

 

「確かに。ボクらってすぐ諦めますし」

 

 

 

 

 

 

 

 

赤いレリーフが点滅している。

それが埋め込まれた大鷲は、翼を広げ、世界を掴んでいる。

 

 

「派手にやられましたな。首領」

 

『死神か。そなたの技術、大いに役に立ったぞ』

 

 

大鷲の目が光る。

歩いてきた男は4人。黒いマントを羽織った死神博士。黒い鎧に身を包んだ地獄大使。軍服を着たゾル大佐。濃いクマが見える体格のいいブラック将軍。

そして大鷲から放たれるのは、紛れも無い、ショッカー首領の声だった。

大切なデータはバックアップを取っておく。これ、常識なり。

 

 

『ライダーを見くびっていたのは事実だ。私も肉体が崩壊し、力のほとんどを失った』

 

 

しかしその声色は、むしろ嬉々としているように思える。

当然だ。終わりはない。これは新しい始まりの合図。

 

 

『今回の戦い。我々はあまりにも大きな情報を手に入れた』

 

 

そこで拍手の音が聞こえる。

男たちが睨む先から姿を見せたのは、十面鬼ユム・キミル。

 

 

「確かに。素晴らしい……! まさか、あんな力があったとは。ましてや神なる世界――ッ!」

 

『その通り! ユム・キミル! 力の提供、ご苦労であった』

 

 

頭を下げるユム・キミル。別の組織の力を借りて行った事件は成功だ。

ただの女が、化け物になった。紛れもない十面鬼になったのだ。

 

 

『実験は成功だ。ユム・キミルよ。組織統合の件も、よろしく頼むぞ』

 

「ええ、我々ゲドンは、必ずいい答えを」

 

 

そこで消え去るユムキミル。

それを合図に四人の男達はそれぞれアクションを取る。

突如うがいを始める地獄大使。ガラガラガラガラ。

一方でイカを肴にビールで一杯やり始めた死神博士。

ブラック将軍は突如、顔を覆い隠す。どうやら『いないいないばあ』をやるつもりらしい。

そしてゾル大佐は鞭を強く地面に叩きつける。

すると変化は一瞬だった。

 

 

「ペエッ!!」

 

 

うがいしていた物を吐き出す地獄大使。

それは水ではない、毒だ。地面に着弾すると爆発。その爆煙を掻き分けて姿を見せるのはガラガランダ。

 

 

「イカでビール……! イカでビール! イカデビィイル!!」

 

 

ほろ酔い気分で変身。死神博士はイカの怪人、イカデビルに。

 

 

「バア!!」

 

 

いないいないばあを行うブラック将軍。するとある筈の顔がない。

そればかりか一瞬で体が全て消失する。完全に消えたブラック将軍。

 

 

「ヒルカメレオン――ッ! 出て来いやッ!!」

 

 

自分で叫び、実体化。

カメレオンとヒルを融合させた怪人・ヒルカメレオンが姿を見せる。

 

 

「アォオオオオオオオオオオオン!!」

 

 

鞭を叩いた所が爆発。

爆煙の中からは、黄金狼男が。

 

 

『ワシは今回の戦いで、ショッカーの勝利を確信した!!』

 

 

首領の叫び、そして唸る幹部怪人たち。

 

 

『我々はこれより、神なる世界を目指し、侵略と破壊を繰り返すのだ』

 

 

だがもちろんその結果が敗北だった事を首領は忘れてはいない。

たとえ概念が上書きされたとしても、ライダーと言うのは必ずおかしな奇跡を生み出すものだ。

ならばショッカーもまた、考え方を変えなければならない。

 

 

『Episode DECADE、あれは使える』

 

 

ライダー達は自分達を統一し、ひとつの力に合わせていた。

あれを、行えばいい。あそこに全ての概念を視た。

 

 

『"統一化"だ! 全ての概念をひとつに纏め、その上で唯一無二になったライダー達を抹殺する! そこに私の願い、ライダー無き世界が生まれるだろう』

 

 

ありとあらゆる世界を巻き込み、ありとあらゆる壁を破壊し、そして一つに綴りあげるのだ。

散らかった部屋をどうにかしたい時、要らないものを一つ一つ捨てていくのは面倒だ。そうしているうちに結局とまた要らないものが増えてくる。

だったらいっそ、家ごと焼き払えばいい。

 

 

『全ての悪意を集めるのだ! そして創り上げるぞ、再び大ショッカーを結成し、神なる世界を取る!!』

 

 

幹部怪人たちの背後に見える大量の怪人たち。歓声をあげ、手を振り上げる。

 

 

『イカデビルよ! クロスオブファイアはどうだ?』

 

「ハッ、既に解析済みであります。人工的に作り出すのも不可能ではありません」

 

『結構! ガラガランダ! 観測者はどうか!』

 

「順調であります! 新たな『栞』は、着実に!」

 

 

カメンライダーの戦いの裏で、イカデビルたちは確かに暗躍していたというわけだ。

その一つが。人工的な観測者の生成。およびそこへショッカーの技術をつぎ込むことだ。

そうすれば、オラクルを超える怪人が生まれるだろう。

 

 

「聖栞は、最強怪人『メアリー・スー』へなる資格を持っています!」

 

『結構! 結構! フフフ……! フハハハハハハ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっふ!!」

 

 

目を覚ました男。

アマダムは自分がどうなったのかを冷静に考える。

 

 

「おおぉ、復活ーッ!」

 

 

手にあった魔法石には怪人たちの怨念がタップリと詰まっている。

どれだけの時間が経ったのかは知らないが、相変わらず殺し続けているということか。そのサイクルを想像し、皮肉に鼻を鳴らす。

 

 

「フム」

 

 

それにしてもと、見渡す世界。

どうやら無意識に転移していたようだが、そこで気づく。

クロスオブファイアの気配が全くしない。

つまりここは、ライダーがいない世界。しかし広告やテレビ欄に見えた仮面ライダーの文字。

 

なるほど、なるほど。冷静に考える。やはり思い出されるのはアマダムが気にしていたこと。輝夫にやっていた事だ。

なんの力もない人間にクロスオブファイアを与えたらどうなるのか?

結果は、人間としてのスペックは下の下とも言える輝夫が立派に4号としての役割を果たした。特にリジェクションが起こったようにも思えないし、戦闘能力もまずまずだ。

つまり――、それは、まさに。『誰もがライダーになれる』事を意味している。

 

 

「……クハッ! クハハハ! クヒヒヒャハハハ!!」

 

 

さらに、もしもクロスオブファイアの与える量を調整することができたならば?

アマダムは心が高ぶるのを感じていた。彼もまた、いずれは神なる世界を目指そうとする欲望はある。

だがまずは、力を蓄えることだ。何者にも負けず、否定されない軍団を作る。

 

 

「さて、と」

 

 

目の前に見えるビルやコンビニ、そして学校。これだけでも1000人以上が軽く『候補』となっている。

切っても切っても増える生き物。アマダムはそれを想像し、ニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔一はバイクを走らせながら考えている。

さて、お土産に何を買っていこうか。肉、豆腐――、すき焼きなんてのも良いかもしれない。

そう思っていると、空間が弾け飛んだ。

 

 

「!」

 

 

ブレーキをかける。

空が割れ、そこから巨大な『眼』が姿を覗かせる。

なんだあれは――?

翔一がそう思ったとき、何かが欠ける音が聞こえた。

何かが足りない音を、思い出した。

 

 

それはたぶん、彼も同じかもしれない。

城戸真司はハッと目を見開き、動きを止める。

歩き去る蓮と入れ替わりで、美穂が走ってきた。

 

 

「おい! 真司!!」

 

「美穂!」

 

 

駆け寄る美穂。真司は全てを思いだした。

 

 

「帰ってきたんだな……、俺たち」

 

 

頷く美穂。

ブックメイカー。カメンライダー。戦いがフラッシュバックしていく。

その中で、真司はリュウガの言葉を思い出した。

 

 

『ディケイドと言う概念によって融合を始める世界。分かるな龍騎、俺達の死の領域が他世界を侵食してしまう』

 

『断言する! お前たちがこの戦いを乗り越えたところで、お前たちには新しい殺し合いが用意されている!』

 

『新たなるサバイバルゲームが俺には視える!』

 

『お前が龍騎である限り、俺達は逃れられない!』

 

 

思い出してしまった。

 

 

「なん――、だよ、これ」

 

 

真っ青になった美穂。真司も同じような表情で空を見た。

青空だと思った。雲もあったし、先ほどまで晴れていたから。

しかし違った。それは海だった。大地が空にあったのだ。

地球が空にあった。地球が空だった。

 

 

「ど、どうなって……」

 

 

まるで地球と地球が重なったような。

そしてその空の境目に、巨大なホログラムモニタが出現し、旋回していく。

そのモニタのひとつ、長方形の中に見えたのは仮面ライダー龍騎の姿だった。

いや龍騎だけじゃない、ファムもいるし、ナイトやゾルダも見える。13人のライダー全てが映し出されている。

問題はそのモニタの数が、26個だということだ。仮面ライダーの他に、明らかにイレギュラーな少女達が見える。

 

 

「なんだよこれ!!」

 

 

真司が叫んだ。その時だった。

 

 

『ウィーッス』

 

 

声が聞こえた。脳に直接。

振り返ると、そこには異物。

 

 

「ね、猫が喋って……」

 

『猫じゃねぇよ。オイラは――……、まいいや』

 

 

話すだけ無駄。どうせ長い付き合いになるだろうし。

黒猫は歪な笑みを浮かべて赤い目を光らせる。

 

 

『殺しあえ! それがお前らだろ、龍騎』

 

「なんだと――ッ!」

 

『今度こそ戦いを止められるといいなァ。まあ無理だろうけど! グヒハハハハ!!』

 

 

天が割れた。その向こうに何かが視える。

尤も真司も美穂もそこで意識を失ってしまう。

何が見えたのかは、もはや欠片も思い出せない。"忘却"の向こうに消えてしまった。

 

 

「………」

 

 

そしてモニタを睨む男、戦極凌馬も含みのある笑みを浮かべていた。

葛葉紘汰に協力してあげた。その対価して情報を持ち帰らせてもらう。

なに、当然のことだ、向こうはアンチハーメルンを強化できたワケだし、こちらは他世界の存在を理解させてもらった。ウィンウィンではないか。

 

 

「他世界。実に良い響きじゃないか」

 

 

ヘルヘイムの問題を丸投げできるかもしれないし。

或いはもっと大きな技術を得ることができるかもしれない。

神のベルト。神のドライバー。凌馬はスケッチブックに描かれた禍々しい形のベルトを見る。

無数の目がついたそれと、指のようなものが広がるそれを、もしかしたら急速で形にできるかもしれない。

凌馬はウキウキしながら脳みそに繋いだプラグから、流れ出るデータを楽しそうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「財団Xがまだ動いているらしい」

 

 

一方でフィリップは士を前に不適な笑みを浮かべている。

 

 

「あれは俺達が破壊したはずだが……?」

 

「欠片を回収されたんだ。もちろん修復したとしても以前のような脅威になるとは考えにくいけれど……、放っては置けないだろう?」

 

 

どうやら戦いはまだ、続きそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「創作は偉大であり、自由でなければならない」

 

 

書斎。魔女は杖で床を叩く。

ゼノンは訝しげな表情を浮かべ、首をかしげた。

 

 

「そうでしょうか?」

 

「ええ、もちろん。どんな物語にも意味があり、無いものも意味が生まれる」

 

 

そもそも決着がつくなんて思ってなかった。

ハーメルンの可能性を見ればそれは明らかだ。宇宙が広がるのを止める術はないし、誰も止めようとは思わない。

その先に何があるのかなんて分からないからだ。

 

 

「巻き込まれた者は、たまったものじゃありませんよ」

 

「進化を止めるな人の子よ。恐竜のままで良かったなどと言うヤツがあるかな?」

 

「極論ですよ」

 

「単純な生き物が蔓延る世界だ。それくらいがいいのでは?」

 

 

ゼノンは笑う。まあ確かに。悪いことばかりに目を向けるのも虚しい話だ。

クソみたいな世界だったとしても、彼女に会えたのだし。そう言ってゼノンは膝に頭を乗せているフルーラの頬をなでる。

 

 

「それにしても、観測者機構は忙しくなりますね。きっとこれから多くの悪意が神なる世界を目指しますよ」

 

「フム、まあ遅かれ早かれバレていたでしょう。そもそもなんの問題が?」

 

 

視るものとしては、少々騒がしいほうがいい。スリリングな方が退屈はしないのだ。

 

 

「ましてや私は観測者システムそのものに疑問を抱いている」

 

「と言うと?」

 

「上位観測者の中で、真面目に世界を観測しようとしている者など、半分もいないよ」

 

「ハハッ!」

 

 

ましてや眼を入れれば尚更だ。

 

 

「ボクたちみたいに?」

 

「私は真面目な方だよ。野心はない。本当だとも」

 

「ウソは止めてくださいよ」

 

「たまたま頼まれたから協力しているだけだ。でなければ、ライダーと関係ない世界の住人の私がここまではしない」

 

 

優しいのだ。頼まれれば断れないタイプなのだ。

魔女は薄ら笑いを浮かべて言葉を並べていく。

 

 

「もっとも私の眼は、少々違うようだが」

 

「まさか! ボクだって真面目ですよ。クライアントの意向をなるべく叶えてあげてる。ただ、ちょっとばかし、その中で殺したい相手を三人ほどやっちゃうつもりですけど」

 

 

ゼノンはダブルドライバーを見て、一瞬激しい憎悪を表情に乗せる。

だがすぐに口を三日月のようにして笑い、魔女を見る。

 

 

「止めますか?」

 

「止めれば、やめるか?」

 

「まさか。翔太郎とフィリップは絶対に殺しますよ。もちろんそれが失敗したとしても構わない。人間、行動が大事でしょう? やるだけはやってみます。トライトライ!」

 

「フム。応援しているぞ。ありとあらゆる物語は存在を許されるべきだ。それはやがて神なる世界を侵食し、脳と言う銀河を豊かにする」

 

 

ゼノンが翔太郎たちに敗北すれば、やっぱりダブルは翔太郎たちでなければならないと言う思いを加速させるし、翔太郎たちの魅力を再確認させることができる。

一方でゼノンが翔太郎たちに勝ち、ダブルになったとしよう。翔太郎たちが嫌いな人間は喜んでくれるだろうさ。

はじめは小さな井戸の中だが、人間の寿命などどれだけ生きても150年と続かないのだから、もしも人の歴史がこれからも続けば3000年後くらいにはダブル=ゼノンとフルーラの形が完成するかもしれない。

 

 

「その間に衝突する人の想いも素晴らしいものになるだろう。宇宙を豊かにし、創作を加速させるのはいつだって心が生み出すダイナミックな火花だ」

 

「ふぅん」

 

「もっと世界は――、豊かに、自由で無ければ」

 

「でもいいんですか? 観測者の役割で世界の秩序を守る行為とはかけ離れているようにも思えますが?」

 

「秩序は守っているさ。まあとは言え、私が排除するのは所謂『丸写し』だけだが」

 

 

魔女が杖を振るうとモニタが出現し、神なる世界の光景を映す。

なにやら、どこぞの投稿サイトのようだ。魔女が情報提供と言う欄をクリックすると、観測者達の目まぐるしい努力が垣間見える。

よほど不出来な観測者でなければ神なる世界への干渉は容易だ。

そして神への干渉も同じくしてである。『盗作』やあまりにも『個人を攻撃するような物語』、もしくは『物語とはいえないもの』は排除されていく。

 

観測者の力によって、神が監視役、通報役として無意識に操作されるのだ。

だが魔女がもしもそういった行為をするのであれば、全くそのまま同じものを書いた世界だけだ。

たとえ文章が一致していても、展開が一致していたとしても、登場人物の名前一つ変わっていれば魔女は見逃している。

 

 

「世界はもっと量産され、脳を、銀河を、宇宙を広げるべきだ」

 

「それが貴女の野心ですか」

 

「かもしれぬ。だからこそ、私もこうして壁を越えて来た。世界を隔てる壁はなくなるべきだ。もっとクロスを加速させ、究極のクロスオーバーである"神なる世界"をもっと豊かに、膨れあげること!」

 

 

少し興奮しすぎた。失礼。

魔女は紅茶で口を潤し、話を再開する。

 

 

「創作は、世界は、概念を変えていく。知っているか? 神なる世界では旦那デスノートと言う本が発売されるらしい」

 

「デスノート? 物騒ですね。死の、ノートとか、そういう感じですか?」

 

「と、何も知らない者はこうなる」

 

(馬鹿にされたよ、ちくしょう……)

 

「フフ、すまない。デスノートと言うジャンプの世界《マンガ》が神なる世界には――」

 

(いや、あの、これカギカッコじゃないんですけど……)

 

「気にするな。まあつまり私が言いたいのはこうだ」

 

 

もしも今、何者かの手が伸びてパンチを放つとしよう。するとそれを神はルフィと言うに違いない。

たとえば車が変形してロボットになったとしよう。するとそれはトランスフォーマーだと言われる筈だ。

たとえば赤い光を纏い、残像残して加速したらそれはトランザム。

入れ替わったら君の名は。

フィギュアの服が取れるのはキャストオフ。

派手な飛び蹴り決めればライダーキック。

 

 

「ジラースのエリマキが取れたとき、『知っている』人間はゴジラが出たと叫んだはずだ」

 

「あー……、つまりそういう見た目の恐竜はゴジラだと概念があるから。えーっと……」

 

「創作は常識を超えていく。概念を塗り替えていくのだ」

 

 

たまにゲームやアニメの影響で奇行に走る者が報道されているが、それが何の世界の影響なのかは分からない。

だがもっと人の脳が豊かになり、概念が浸透していれば、或いは――?

もしも今後、人を殺すことを良しとする物語が大ヒットすれば? それが人の心に素晴らしい影響を与えれば?

その創作が概念を上書きすれば? 想像しただけで身震いが止まらない。

 

 

「神なる世界はまだ、進化の途中だ」

 

「………」

 

「創造の歩みを止めてはいけない。創造は想像を超えていくのだ」

 

「でも2とか続編でウンコになるヤツとかありますよね」

 

「クフフ。確かに。だがいずれにせよ、改悪も結果のうちだ」

 

 

なによりもそれは、自分の為に。

 

 

「私が一番嫌うのは無。退屈だ。この渇きを癒すため、常に泉は湧き上がってもらわなければ困るのだよ……!」

 

 

排他的な世界は困る。

新天地を求め、融合を加速させ、貪欲になるべきだ。

誰だってそうだろう? ちょっと部屋の見た目が気に入らなければ、自分の手で壁紙をはがし、カーテンを新しい柄のものにする。

ちょっと上のものがとりたいのであれば、台を作る。もしくは『創られた』台に手を伸ばす。

誰もが皆、クリエイターであれ。

その資格を奪うことはできない。

 

 

「創作は人の悪意と善意を加速させる都合のいいシステムだ」

 

 

杖先がテーブルの上に向けられる。

息を吐き、ゼノンはダブルドライバーを魔女に向かって投げた。

 

 

「世界の端の端。今、ライダーの概念は変わっていくのかもしれない」

 

 

魔女はダブルドライバーを受け取ると、それをマジマジと観察していく。

 

 

「ライダーは都合の良いツールでなければならない。たとえばヒーローになりたい、異性に好かれたい、気に入らないものを排除したい。そう言った願いをかなえるために都合よく使われるツールである事が好ましい」

 

 

創造は世界のツール。

ゼノンはそれを聞きながら立ち上がり、指を鳴らす。

書斎を出ると、すぐにルーレトッが始まった。とは言えこのルーレット、普通ではない。

通常ならば円形の板が回るのが一般的だ。しかしゼノンの前に出現したのは、まるで唸り荒れる川。

そこへ星が散りばめられ、激しい勢いで流れ変わっていく。もはやルーレットと言うよりは蠢く何かだ。

ゼノンはトリガーマグナムを取り出すと、大きく振るうように撃つ。

 

弾丸が、一つの星の粒を撃ち抜いた。

それがすぐにゼノンの手に宿る。

そこには情報があった。

 

 

「Aの20719の欄。2014のKから01の棚を」

 

 

遠くに見える本棚が蠢く。

 

 

「21番を開け。19移動。52番目の本を」

 

 

一冊の本が、ゼノンの手に宿る。

そこで書斎から悲鳴が聞こえた。フルーラが真っ青になり白目をむいて泡を吹き始める。

どうやら万華鏡に飽きたところでゼノンが回りにいない事に気づいたらしい。

 

 

「ゼノンンンンンン! どごにいっぢゃっだのォオオオォォォ!!」

 

「クッソォォォオ! しまったぁあ! フルーラを独りにしてしまったァア! ボクはなんて救いようの無い男なんだァアアア!!」

 

 

愛していると言ったのに。ずっと傍にいると言ったのに。

ボクは最低なウソツキ野郎だ。ゴミムシだ。生きている資格のないカスクソマンだ!!

ゼノンはその場に崩れ落ちて号泣し始める。

 

 

「アアアアアアアアアアアアア!!」

 

「クォォオオォォオオオオオッ!!」

 

 

距離にしてみれば10メートルも離れてない場所で二人は崩れ落ちて号泣している。

 

 

(……変なのを『眼』にしてしまったかもしれない)

 

 

うな垂れる魔女へ、一匹の猫が駆け寄ってきた。

口にはゼノンが落とした本をくわえている。

 

 

「おお、良き良き。それを見せてくれ」

 

 

魔女は猫から本を受け取ると、中を確認してみる。

 

 

「フム。適合者はまずまずだな。色もなかなか濃くてよい」

 

 

カメンライダーの最終決戦で生まれたエネルギーが、花火を起こしていた。大きな大きな花火だ。それは亀裂を通して、火の粉を拡散させた。

世界中に、クロスオブファイアの飛沫が散らばった。 

 

 

「名前の法則もある程度『元』は保っている。関係するものをモデルにしたもの、演じたアクターから取ったもの、中にはリイマジそのままのもあるな」

 

 

それは炎にもならない、火にすらならない小さな欠片。

しかし、宿ったのは確かなのだ。湿気っていなければ――、『薪』は使える。

 

 

「悪くない世界だ」

 

 

魔女の先では抱きしめあい、号泣しているゼノンとフルーラがいた。

 

 

「もう絶対に離さない! ボクたちは死んでも一緒だ!!」

 

「ワタシもよダーリン! たとえ宇宙が滅んでもワタシたちの愛は――」

 

 

黙れ。

その思いを込めて魔女は杖を床に打ちつける。

 

 

「さあさあ、いつまでやっている。スカウトに行ってきなさい」

 

「ぶー!」

 

「フフフ。私は別に構わないが、クライアントはそろそろ完成させたいのだろう?」

 

「まあ、それはね」

 

 

けだるそうに立ち上がり、ゼノンはハットを。フルーラはミニベレーをかぶる。

 

 

「次は高校生狙いますよ。ヒロイン枠も用意してますから。結構期待できると思うけどな」

 

「手順は?」

 

「これから考えるけど大丈夫よ。ワタシたちは最強だもの!」

 

 

ウインクを行うフルーラ。

魔女も釣られて笑みを浮かべる。

 

 

「そろそろEpisode DECADEを完成させようではないか。フフフ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女史、女史!」

 

 

砂漠を歩く少女。

赤い靴に白いワンピース。黒い髪が揺れている。

それを追いかける者が一人。一人? 一体?

 

 

「女史? 女史!? リサ女史!!」

 

「どうしたの? 聞こえているわよ」

 

 

リサと呼ばれた少女は振り返り、追ってきた男を見る。

男は人間ではなかった。とうもろこしの様なフォルムに、イカみたいな吸盤が見える。

今はハットにマントを身につけているが、どう見ても異質である。

 

 

「困りますよ女史! あなたね、自分が何をしているのか、お分かりですか!?」

 

「分かっているわよ?」

 

「ウソですね女史。あのですね女史。観測者は過度な干渉を控えるようにとの事でしょう? そもそもね、だからこそワタシが眼に選ばれたのであってですね」

 

「んも、かたい!」

 

「はい!?」

 

「私はね、今ッ観測者ではないの。あなたが観測者なのよメトロン」

 

 

メトロンと言う男は複雑そうに唸る。

 

 

「屁理屈ですよ女史! 押し付けただけでしょう?」

 

「どこが。ちゃんとしてるじゃない。私も貴方も」

 

「まッ、それ――、いやでもっマズイですよ女史! ブックメイカーとキュルキラは自ら選択をしてですね、炎に飲まれたのです。それを助けるなんて」

 

「助けてないわよ。ただ回収しただけじゃない」

 

「同じでしょう!?」

 

「全然違うわよ! 肉体はちゃんと燃え尽きてから、魂だけ回収したの」

 

 

リサの両手にはビー玉ほどの光る球体がある。

それを見てギョッとしたようにメトロンは体を仰け反らせた。

 

 

「似たようなもんですよ!」

 

「じゃあいいじゃない。彼らは私の世界で飼うけど、別人に生まれ変わるんだから。記憶なんてない。輪廻転生は人の世では珍しくない考えでしょう?」

 

「でもですねぇ、ケルビムがなんと言うか……」

 

「彼は干渉しないわよ。なるようになれ派だし。命の木を守るので一杯一杯だわ」

 

「それは――」

 

「もしもブックメイカーが本当に完全消滅すれば、カメンライダー自体が永遠の闇に葬られる事になっていたわ。私はそれが我慢ならないの」

 

「なぜ?」

 

「決まっているじゃない。ヒーロー達の努力を無駄にしたくないからよ。あのね、メトロン、作品としてのライダーと、ヒーローとしてのライダーは大きく違うの」

 

 

リサはブックメイカーの魂を太陽にかざし、睨みつける。

 

 

「それに罪を犯したのなら相応の罰は必要だわ。あのまま炎に焼き焦がされて消えるなんて、それこそ許されないことよ」

 

 

だから飼う。

世界、現代社会こそ美しい地獄だ。幸せになれるかもしれないが、不幸になるかもしれない。

先も分からぬ不安定の中でいきるのは、ソレこそ贖罪になる。

 

 

「本当にそれだけですか?」

 

 

訝しげな表情を浮かべ、メトロンは目を細めた。

ギクリとしたようにリサは肩をすくめる。

 

 

「それに、ほら、架け橋にもなってもらいたいし」

 

「そっちが本命でしょ……」

 

「人聞きが悪い。こっちの問題はこっちで解決するわ。本当よ」

 

「や、その発言自体がもう思いっきり干渉する気ですよね」

 

「仕方ないじゃない。それだけ今ッ、世界は大変なのよ」

 

 

リサは人差し指をメトロンに押し付け、グリグリと動かす。

 

 

「少し前まで誰も信じなかったわ。またウルトラマンと仮面ライダーとガンダムが一緒に力を合わせて戦うなんて」

 

「まあ、それは」

 

「それだけじゃないわ。ライダーに至ってはしんちゃんと手を組むし、しんちゃんに至ってはいろんなスーパーロボットと共闘するし、ライダーはパックマンと戦うし。ううん、それだけじゃないわ。海の向こうではヒーロー達が集まってアベンジャーズを結成するし、あ、そうそう知ってる? ガッチャマンとかポリマーとかがリイマジで――」

 

「はいはい! 分かりました分かりました! つまり世界が凄いって事でしょう」

 

「壁が壊れてきてるって事よ。これからもっと、世界は大きく、融合を繰り返すわ」

 

「分かりましたけれども、それで結局あなたは何がしたいんですか、女史」

 

「決まってるじゃない! 真の正義と平和よ」

 

「???」

 

「アダムとイブは言ったわ。真の正義は創作の中にしかないって。でもね、私はそれを具現して見せるわ。神なる世界においてもね」

 

 

様々な意思が交差するガンダムでさえ、ライダーとウルトラマンと並べばスーパーヒーローだ。

子供達はその善たる光に、胸を打たれただろう。

そこにはあるのは正義と平和!

 

 

「誰も否定できない正義こそが、私の目指す理想なの!」

 

 

人を傷つける悪いことはしてはいけません!

みんな仲良くしましょう! 悪いことをしている人がいたら、教えてあげて、反省させて、更生させましょう!

 

 

「これを誰が否定できるというの! 今の言葉をもっと強くして、究極の世界形態を。ゆるぎない概念を作るのよ! そして人は全て善人になるの!!」

 

「……面白みがないとも言えますがね。白も黒もあっての人間でしょう?」

 

「それは言い訳よ。他者を傷つけ、成立する娯楽なら――」

 

 

リサはメトロンを思い切り睨みつける。

 

 

「そんなの、要らないわ」

 

「……まあ、それも一つの考え方でしょう」

 

「総意よ。そのためにも、正しい姿を見せないと」

 

 

愛が足りない。だからもっと世界を愛で埋めないと。

当たり前じゃダメ。そしたらロストヒーローズ。大丈夫、人間はきっと分かってくれるだろう。

 

 

「さあ行きましょうメトロン! 私達の観測区域にも闇が迫っている――、気がするわ!」

 

「適当ですよ女史!」

 

「私の勘は当たるわ! 新しいメビウスの波動が見える――、気がする!」

 

「待ってください女史! もう疲れました! 休憩しましょう! メトロン茶飲みます!?」

 

「いただくわ! ケーキはあるかしら! いちごのショートケーキか! フルーツがたっぷり乗ったタルトを希望します!」

 

「あ、ごめんなさい。ちょっとそれはないな……。他のヤツでもよろしいですか女史」

 

「まあモンブランでもいいわ。チョコケーキでも妥協できるわよ!」

 

「イクラとハマチしか今は持ってないな……」

 

「逆になぜそれを携帯してる! それよりなぜ聞いた! なぜ思わせぶりに問いかけた! 答えなさいメトロン!!」

 

「いででで! やめてください女史! 女史ッ! 女――ッ! アァァアアア!!」

 

 

ギャーギャー騒ぐ二人。

どうやら一つの戦いが終わっても、その裏では多くの意思が蠢いているらしい。

 

 

もちろん、そんな事を戦士達はいちいち考えてなどいない。

守るべきもののために、今日も、どこかで戦っている。

 

 

「ショッカーの姿を見たものは、死――、あるのみ!」

 

 

とある世界、とある場所。

人々が絶望に震え、涙している。

だが、その雫が目から零れる前に、声が轟いた。

 

 

「そこまでだショッカー!」

 

「!」

 

「ライダー……ッ! 変身!!」

 

 

風が吹いた。

赤いマフラーを靡かせて、仮面ライダーは大切なものを守るために地面を蹴った。

 

 

「ショッカーの敵、そして人類の味方――!」

 

 

泣いていた人たちが笑顔を浮かべるまで、それほど時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 




tips

・青が死んだ日

当時『金色のガッシュ』と言う作品にハマっていた私は完全に信者そのものだった。
漫画やアニメ、カードはもちろん、ゲームやCDなどいろいろグッズも集めたし、なんだかよく分からない『たまごっち』みたいな魔本のゲームも買った。
その魔本の形をしたゲームは音声認識がウリになっていて、ザケルと叫ぶと実際にガッシュがザケルを出すと言うシステムに私は大変感動したのを覚えてる。(だが実際その音声認識はかなりガバガバだったようで、遊びに来た友達が「ウンコ!」と叫んでガッシュがザケルを解き放ったとき、私は一番はじめのファントムを生み出した)

まあとにかく当時のホシボシ少年はかなり熱心にガッシュを見ていた。
ガッシュを追いかけるためにサンデーも買い続けた。うえきとか、メルとかいでじゅうとか、からくりサーカスとか、当時のサンデーは黄金期だと確信している。
連載が終了した後もその熱が冷めることはなく、むしろ上がっていったと言ってもいいだろう。

同じくしてちょうどネットに触れ始めていたホシボシ少年は、ガッシュの二次創作なんかを調べていた。

時には評価を調べたときもあり、まあ幸いにもガッシュは多くの少年を虜にしてくれたようで好意的なコメントが多かったのは幸いである。
しかし中にはやはり合わなかった的なものもあり、当然アンチよりのコメントも見つけた時もそりゃある。

「うるせぇゴミクズ野郎ッッ! テメェなんかに何が分かる! 切腹して詫びろゴミが!」
「魅力が理解できねぇのはテメェが低脳だからだよ! どうせ誰にも愛されずに死んでいくんだろうな!」
「住所どこだ! 待ってろよ! 今すぐ調べて●しに行くからな!」
「このファッ●野郎が! テメェの●●●を●●にして●●してやる!」
「お前は世界を敵に回した。今すぐお死になさい」

まあ多少盛ったが、本当にこんな風なことを思っていた。
思春期だったというのもあるが、ホシボシ少年は今で言う哀れなイキリオタク化を果たした。この時ばかりは。

その時、周りの友人達も一緒に熱中していたため、何事も無かったが、もしも『つまらない』と言うヤツがいたら当時の私は間違いなくリアルファイトを仕掛けていたと思う。そして負けていたと思う。
銃があれば撃っていたと思う。当時なら、当時ならね、当時ならよ。
それこそ当時の私がもしもこのサイトにガッシュの二次創作をあげ、低評価の一つも頂こうものなら一日中粘着して速攻でアカウントロックを決められたいた事でしょう。

とにかくそれくらいのエネルギーが私にはあった。
しかれども終わってしまったものは続かないわけで、アニメも終了したガッシュにもはや広がりはなかった。
そうしている内にいろんな作品が出てくるわけで、もってけセーラー服とかハレ晴レユカイが校内放送で流れるなか給食を食らうという地獄のような光景も始まったが、当時の私たちはなんとも思わなかった。
かく言う私もefに嵌り、なんて素晴らしいアニメなんだ。映像のレベルが違うね等とほざいていたのを覚えている。

(しかしなぜかそんな事が起こっているのに、当時はライトノベルを読んでいるやつはキモオタ野郎として人間以下の扱いを受けることになっていたので、みな踏絵のように俺はオタクじゃないと叫び、その裏でカバンの中にラノベを隠していた。ただカバンの中に入れるのではリスクが高いので、中には教科書の中に挟みこむと言うアホ以下のテクニックを編み出したものもいたが、それでもTくんは見つかっていた。彼がどうなったのかを思い出しただけでも私は全身が震え上がってしまう)


まあそんな中、再び深くのめり込む作品が出てきた。それが『うみねこのなく頃に』である。
なんて素晴らしい雰囲気だ。ワルギリアに●●●●されたい。
なんて素晴らしい音楽なんだ。なんて恐ろしい魔女なんだ。シエスタ45が可愛い。
人間はなんてカッコいいんだ。ラムダの特典抱き枕カバーエロすぎ。
文字の色を変えて意味を持たせる演出はなんて斬新なんだと、ホシボシ少年は心を奪われた。

運よくPCがあったので、夢中で読んだ。
漫画とか小説とか、アンソロジーだとか考察本だとか、しまいには格闘ゲームも購入した。
オリスクも見てたし、うみねこが理由で人狼の知識も増えていった。
そしてアニメも楽しんでみていた。原作派は不満があったようだが、私は気にならなかった。
むしろ作画の雰囲気が心に突き刺さり、不満はなかった。

ガッシュ程ではないが、やはりそれなりには深みにハマっていたのだ。

しかし詳しい人なら知っているだろうが、うみねこと言うのはボロクソに叩かれた作品でもある。
終わり方が少々アレだったため、終わりよければ全てよしの逆が発動してしまった。

本スレがアンチスレに変わったり、キャラクターが叩かれはじめたり。
みな『坊主憎けりゃ袈裟まで~』状態になり、果てには、ハゲは人間じゃない、禿はクズ等と薄毛の方に対するの熱い風評被害まで巻き起こったりと地獄のような日々が続いた。

それを目の当たりにしたホシボシ少年は耐えられなかった。
自分の好きな作品が叩かれるのは辛いし、なによりも好きだといっている自分が否定されている気がした。
しかもまさに当時はほとんどがひぐらし派であり、うみねこの方がいいと戦っていた私には敗北を突きつけられた気がした。
終わりがアレなんだから布教もできなくなり、なによりも一番キツかったのは、私自身『え? これクソじゃね?』と言う想いを抱いてしまったことだった。

仮にも自分が好きだった作品を、ウンコとしてみるのは納得がいかなかった。
ほらみろ、やっぱりつまらなかった等と思われるのだけは虫唾が走る。
ましてや大量に集めたグッズがガラクタになるような気がして私は怒りで震えた。

だからこそ私が抱えている燻りを否定してほしいと本スレに行くが、そこにはもはやアンチコメントしかなかった。
そしてそれを見て「えー、わかるぅ、超分かるゥ」等と思う自分が愚かに思えた。

いやむしろ作品についてコメントしてるヤツがいなかった。
なぜかウンコについて語り、愛を否定し、ハゲを馬鹿にし、ファンジター、天井破ったチェーンロックマン(曖昧)などなど、混沌が広がるばかりだった。
ソレを見て、仕方ないのかもしれないと思ってしまった自分を恥じた。

だからこそ戦ったこともあるが、たとえその時の私が獅子であったとしても、迫りくる象の大群には勝てなかった。 
私は踏み潰され、完全なる敗北を胸に、うみねこと言う作品から距離を置いた。

その日から好きなものを否定されても、まあ仕方ない。そういう意見もある。そう思うようになってしまった。
奇しくもガッシュのアンチコメントを見かけたときも、欠片の殺意も生まれなかった。
それはいいことなのだろうか? 成長したのだろうか?
いやいや、紛れも無くそれは情熱の死。青春が死んだ日だった。負け犬になったのだ。

もしかしたらその日から無意識に深くのめり込むことを拒み始めていたのかもしれない。
なんだったら『これは面白いけど、つまらないと言う人もいるんだろうな』などと考えながらアニメを見るようになっていたのかもしれない。
もちろんそんな事を思っていたワケではないが、もしかしたらである。
それくらい私のアイデンティティはスカスカになってしまった。

だがある日、雷光が迸った。
それはネットで見かけた意見だった。(こいつネットばっかやってんな)
かつての私のように、好きな作品が叩かれていた人のメッセージだった。
なにやらその人は好きな作品を強く否定されてしまったため、その作品自体が嫌いになってしまったと言うものだった。

途中まではかつての自分を重ねていたが、そこではたと思った。
確かに私はうみねこから離れ、情熱も無くしてしまったが、別にうみねこが嫌いになったかと言われれば、だ。

いやそんな事はない。
確かに最後は微妙だと思った。いやはっきり言うとクソといわれても仕方ないと思った。
だがそれがどうしたというのか、最後がクソだが全体的に見れば好きだよ俺は、うん。いや俺はね、俺はよ?
そんな防衛線まみれでもいいじゃないかと思った。嫌いになるよりはマシではないだろうか。
その時、私は思った。私はうみねこの事がまだまだ好きだったのだ。
そんな私の手を、仮面ライダーディケイドが掴んでくれた。

クロスオーバーが盛り上がっていたときもあってか、すぐに思いついた。
既に書き始めていたEpisode DECADEに枠を作った。
ぴったりの配役だと思った。そもそも俺はフェザリーヌが好きだった。
だからこそ先ほども出てきたが、魔女の枠を作ってフェザリーヌを出した。

もちろん一番いいのはうみねこ単体の二次創作だが、私にはまだハードルが高く目標も高くしてしまったため頓挫してしまった。
だがどうしてもうみねこキャラは出したかった。そもそも当時ディケイドもあまりいい評価ではなかった。
だからこそ自分の中にある全てのしがらみや燻りを破壊するために、読んでくれる人を置いてけぼりにしてでも私はフェザリーヌを出したかった。
Episode DECADE見てくれた人ならば分かると思うが、結果的には観劇の魔女であるフェザリーヌは出せたし、自分でも踏ん切りがついた気がした。
むしろ観測者周りがより鮮明になり、結果的にはこのカメンライダーにも繋がったのでとても良かったと思っている。

そして私は胸を張ってディケイドが好きだと、うみねこが好きだと『自分に』いえるようになった。
ネットでアンチコメントを見ても、そういう意見もあるよねと思いつつ、『でも俺は――』に繋げ、心が変にザワつく事もなくなった。

そして今回、ゴーストに注目したし、アンチ寄りのお話にもなってしまった。
ハッキリ言うとゴーストはライダーの中でもアンチ寄りのメッセージが目立つし、本スレがアンチスレにもなっていた。
役者にクソリプ送るやつもいたらしいし、オラクルの意見を集める際には私は様々な負を見てきた。
だからこそ昔の私と同じ想いを抱いている人もいるだろう。現にコメントで煽りに対して戦っている人を見たこともある。

まあ長々とこんな痛い思い出を書いて何が言いたいのかというと、結局のところ『気にし過ぎるな』と言うアホみたいな結末に終わる。
そんなの分かってるわ! と言う人も多いだろうが、それでも改めて回りの意見に流されすぎないようにしてもらいたい。
自分が好きならそれでいいじゃないかともいかないのがこの情報社会だが、それでもまあ妥協や納得できるところを見つけてもらいたい。
それを思いながら私は人の褌で相撲を取っている。


………


ここまで読んでもらえたのならお分かりでしょうが、カメンライダーはEpisode DECADEの先行最終回と言ったがウソや(言葉の裏には針千本)
所謂、前日談になりますわ。でも本当に最終回でやろうとしたってのは本当や。
はじめの予定ではEpisode DECADEのラスボスはオラクルやったんや。26話の熱風ライダーとかそのまんまやろうと思ってたんや。

でも今は――、どうしようか。
とにかくあれをやるにはまだ時間が掛かりすぎると思ったんや。

言い訳をすると更新が止まっているのはEpisode DECADEの続きがフルブラストの方に移行しているからです。

じゃあフルブラストの方はなんで更新が止まってるかって? 
申し訳ない、長編は精神が磨り減るんや。いろいろ日常生活で展開だのなんだのを考えてしまうんや。
他は言うても短い編ごとに区切られた短編集みたいなもんやからセーブはできるんだけども、長編はなかなか厳しいのや。

だから一回、ずっとメビウスとかビルドファイターズとかプリキュアの事考えててお仕事でミスって怒られてしまったんや(´;ω;`)
今はまだお仕事がバタバタして落ち着いてないから、なかなか書き始めることができんのや。
申し訳ぬぇ、もうちっと待っててくりゃあな(´;ω;`)



それにしても、皆さんは知っているだろうか。
金色のガッシュが時を経て、近々ソシャゲになるらしい。
私はこのニュースを見たとき『え? 大丈夫かな? イメージ壊れないかな』と思ってしまった。

ク ソ つ ま ん ね ぇ 男 に な っ た な 俺 は !

いろんな意味で泣きそうになった。
昔の私ならばそれこそ喜びで泣いて喜んだかもしれないのに。
どうやら私の青はまだ死んでいるらしい。

さて、ここまで書いて皆さんに伝えたいことはひとつ。
ワシの好きなモン否定したら、住所調べて家ェ行ったんぞって事や(違う)

ああ、今日も言いようの無い不安は消えない。
とにかく、私の戦いはまだまだ続きそうです。
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