カメンライダー   作:ホシボシ

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今作は一話を短めにしてちょこちょこ更新していく形にしようと思ってるんで、話が全く進まない場合もあるかとは思いますがご了承くだせぇ。

ええ、今回のようにね(´・ω・)


第2話 虚像のMEGAMAX

 

 

緑色の烈風が吹きすさび、ダブルのマフラーを揺らす。

真っ赤に光った複眼に映ったトカゲロンは、腕を広げ、威嚇の体勢を取った。

 

開戦合図はトカゲロンが足を前に出したこと。

腕を振るい、走り出したダブル。さらに地面を蹴ると、驚くべき跳躍力で飛行ともいえる動きを見せる。

風の力を操るサイクロンメモリの力だ。緑の体でジャンプ力が上がる。

まるでそれはバッタのように。

 

 

「ハァアア!!」

 

 

足を振るって眼下に群がる戦闘員達を蹴散らしながら、ダブルは敵陣の中央に着地する。

敵に囲まれる形になるが、ダブルはさらに大きく足を旋回させて振り回す。

するとその脚に纏わりついた緑風のエネルギーがキックの衝撃を増加させ、キックの命中の有無に関わらず、風の力で戦闘員達を吹き飛ばしていく。

 

 

「イィイ!」

 

 

嵐に巻き込まれて戦闘員の悲鳴がシンクロしていく。

ダブルはもう一度高く跳躍。その手にはメモリが。

 

 

『サイクロン・トリガー!』

 

 

黒色が青色に染まり、ダブルはトリガーマグナムと呼ばれる銃を連射する。

放たれるのはサイクロンから供給される風の弾丸。

威力こそ低いが、連射力に優れ、倒れたショッカー戦闘員達を的確に撃ち抜いていく。

 

所詮怪人の力の欠片から生まれた戦闘員の耐久力では、サイクロンの弾丸でも十分な効果を期待できるようだ。

現に弾丸が着弾していくと、戦闘員達は悲鳴を上げて次々に泡となって消滅していった。

あっと言う間に全滅する戦闘員。一方でトカゲロンは鼻を鳴らした。戦闘員など所詮相手の力を見るための前座でしかない。雑魚を倒したくらいで調子に乗ってもらっては困るのだ。

 

 

「バーリア破壊ボール!」

 

 

トカゲロンが赤い目を光らせながら叫ぶ。

すると地面を転がっていたボールがひとりでに浮き上がり、トカゲロンのもとへ戻っていくではないか。

すかさずトカゲロンは戻って来たボールを蹴り飛ばし、ダブルへ向かわせた。。

一直線に向かう鉄球。ダブルは風の弾丸をそこへぶつけるが、ボールの勢いは全く死ぬことはない。

 

 

「おっと!」

 

 

体を思いきり捻る。

すると風がアシストを行い、ダブルの体が急激に右へ逸れた。

ボールはダブルを通り過ぎ、外れていく。とは言えすぐに戻っていくボール。遠隔操作ができるのならば、回避することに意味はない。

 

 

「チッ! だったらコイツだ――ッ!」

 

 

着地し、地面を転がるダブル。

地面を転がりざまに別のメモリを構え、立ち上がると同時に装填、展開する。

 

 

『ヒート・メタル!』

 

 

赤と銀に変わるダブル。

その前方では、トカゲロンが思い切り足を振り上げている。

 

 

「必殺シュートッッ!!」

 

 

足の甲に当たったボールは凄まじい勢いで回転しながら、一瞬でダブルの眼前に迫った。

だが問題はない。ダブルは横を向いて、メタルサイドを盾にしてみる。

 

 

「グッッ!?」

 

 

だがボールが体に当たった瞬間、ダブルの体は地面を離れ、大きく吹き飛んだ。

地面と並行になるように吹き飛ばされると、地面に墜落して砂煙を巻き上げながら転がっていく。

 

 

「ウッガァッッ! な、なんつぅ威力だ!! ゴホッ! がハッッ!」

 

『なんてことだ! メタルの肉体でもダメージがココまで響くなんてね。翔太郎、気をつけたほうがいい!』

 

「わ、分かってる! ぐごご――ッッ!!」

 

 

メタルシャフトを杖にしてヨロヨロと立ち上がる。

その複眼が見たのは、再び自分達に迫る弾丸だった。

 

 

「クソ!」

 

 

メタルシャフトを振るうが、細い棒は空を切り、ボールはダブルの肩に命中。

ダブルは体を大きく仰け反らせ、再び地面にダウンする。

 

 

『翔太郎、キミ今、分かったって言ったばかりだよね?』

 

「し、仕方ねぇだろ! やられっぱなしは俺のポリシーに反するんだよ!」

 

『そういう部分がキミがハーフボイルドと言われるところなんだろ』

 

「おいおいおい相棒ソイツはどういう事だ!」

 

『そのままの意味で言ったつもりだけど』

 

「はいはいはい、いいか、そっちがその気なら――」

 

 

硬い音が響く。ダブルの胴体にボールが直撃した音だ。

 

 

「ぐぎぎぎぎぎ!!」

 

 

悲鳴を上げながら地面を転がるダブル。ミシミシと鎧の奥で嫌な音が聞こえてくる。

これは正直、よろしくない流れだった。軋む骨と、全身を這うように襲ってくる痛みを堪えながら立ち上がると、うめき声をあげて首を振る。

 

 

「ぐッ、つまんねぇ事で言い争ってる場合じゃねぇな!」

 

『仕方ない。翔太郎、少し時間を稼いでくれ』

 

「時間? ああ、分かった!」

 

 

ダブルはコウモリ型のカメラ、バットショットを取り出すと、そこにルナのメモリを装填して放り投げた。

するとカメラから強力なフラッシュが発生し、トカゲロンは思わず目を覆う。

 

 

「ぬぅう! 忌々しい!」

 

 

目くらましなどベタの極みだが、これがなかなかどうしてバカにはできない。

警官隊も突入の際にフラッシュを使用するのは、やはりそれだけ効果があるからなのだ。

生き物と言うやつは、『状況』をまず『目』を使って把握する。その視界が封じられれば、混乱するのは当たり前だ。

トカゲロンも目を覆いながら、フラフラとうろたえていた。

 

 

『検索を始めよう』

 

 

フィリップが吸い込まれた本が現れ、ダブルの周りを浮遊する。

 

 

『トカゲロンの脚力とバーリア破壊ボールの重量、軌道から次の命中位置を割り出すよ』

 

 

ものの三秒くらいで答えが出たらしい。

本は再び消滅すると、ダブルのヒート側の複眼が光った。

 

 

『よし翔太郎。メタルシャフトを構えて』

 

「おお、アツアツなのをブチかましてやるぜ……!」

 

 

その時、光が晴れた。

 

 

「小ざかしいまねを! 今度こそ粉々に粉砕してやる!!」

 

 

トカゲロンは唸り、再びボールをシュートする。

 

 

「必殺シュート!!」

 

「――ッ」

 

 

一方、神経を研ぎ澄ませるダブル。

 

 

『いまだ!』

 

「うし来た! オラァア!!」

 

 

メタルシャフトを思いきり振るうダブル。

すると確かな手ごたえを感じた。メタルシャフトがボールを捉えたのだ。

凄まじい抵抗力だったが、ダブルは歯を食いしばると思いきり地面を踏み込んでメタルシャフトを振るいきる。

するとトカゲロンの方へと飛んでいくボール。ヒートの力が加わり、ボールは炎に包まれてトカゲロンへと迫った。

 

 

「ゴハァアア!!」

 

 

蹴りとばしたボールが戻ってくるとは思っていなかったのか、トカゲロンの反応はおくれ、腹部ど真ん中にボールを受ける事に。

体は浮き上がり、黒い煙を上げながら後方へ吹き飛んでいく。

その隙にダブルはメモリをチェンジ。ヒートジョーカーに変わると、必殺技を発動する。

 

 

『ジョーカー! マキシマムドライブ!』

 

「ハァアアアアアアアア……ッッ!!」

 

 

マッチに炎が灯るように、ダブルの両手から赤と紫の炎が吹き上がる。

そのまま地面蹴ると、両手を左右に伸ばして前のめりで走りだした。

勢いが増す炎。それが凄まじい火を吹き、スラスターのごとく推進力を与える。気づけばダブルは走るのではなく、地面をスライドしながら移動していた。

一方で危機を察したのか、トカゲロンはせめてもの抵抗にボールを蹴るのではなく投げてみる。

 

 

「『ジョーカー!!』」

 

「!?」

 

 

ダブルがぱっかり割れた。文字通り、ぱっかり、二つに。

ダブルとダブルの間を通り抜けていくボール。目を丸くするトカゲロンの前には、轟々と燃えるダブルの拳があった。

 

 

「『グレッッ!!』」

 

 

まずは一発、側頭部へフックをお見舞いする。

トカゲロンの脳がゆれ、景色がホワイトアウト。

 

 

「『ネードッッ!!』」

 

「グォオオオオオオ!!」

 

 

次は渾身のストレートをがら空きのどてっ腹にブチ込んでやった。

トカゲロンの体が炎に包まれて吹き飛んでいく。すぐに全身が二色の炎に包まれ地面に墜落すると、そのまま木っ端微塵に爆発して消え去った。

 

 

『決まったね翔太郎』

 

「ああ、助かったぜフィリップ。でもよくよく考えたらよ、俺がどうやってメタルシャフトを振るうかまで計算してたのか?」

 

『いや、アレはボクの勘だよ。キミとは付き合いが長いからね。ああ振るうだろうと思って計算しておいたのさ』

 

「――なるほど。できる相棒だぜ」

 

 

ダブルは小さく息を吐くと、地面を蹴って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ等は!?」

 

 

タケルは竜斗達を連れて近くにあった工場の中に入る。

既に業務は停止しているのか、中には誰もいない。

辺りを見回すタケル、竜斗も不安げキョロキョロと周囲を確認していた。

 

 

「………」

 

 

静寂。ショッカーの影はない。

イーイーうるさい戦闘員も近くにはいないようだ。とは言え落ち着いてはいられない。

竜斗は青ざめ、額には汗を滲ませていた。

あれは一体なんだったのだろう? 一体何が起こっているのだろう? いくら考えてもまだ小学生の脳みそでは処理が追いついていないのか、考えれば考えるほど分からなくなっていく。

 

夢? ウソだ。

現実? ウソだ。

じゃあ、なんなんだろう? ただ唯一、恐怖だけは鮮明に心を蝕む。

 

 

「ツバサ、大丈夫だからね……!」

 

「う、うん」

 

 

だからせめてもの防衛行動、それは妹を励ます事。

そしてふと気づいた。どさくさにとは言え、ミライの手も握っていたのだ。

慌てて手を離すと、バツが悪そうに竜斗は後ずさる。こんな状況でも冷静さはあるらしい。

 

 

「ご、ごめんミライちゃん」

 

「ど、どうなってるのかな? 何が起こってるのかな!?」

 

「ミライちゃん……?」

 

 

雰囲気が戻っていた。先程のおかしな状態ではなく、竜斗が知っているミライだった。

 

 

「あいつ等……、人間じゃなかった」

 

 

タケルが呟く。心当たりはあった。が、しかし知っている化け物とは容姿が少し異なるような。

その時、無言でポケットに手を突っ込んでいた本条が上を向く。

 

 

「上」

 

「え?」

 

 

轟音が響く。工場の天井が破壊されると、そこから瓦礫を纏いながらアリガバリが降って来た。

 

 

「きゃああああああああああ!!」

 

 

ミライが叫んだ。それを合図にして再び走り出す一同。

一方でタケルは足を止め、迫るアリガバリとにらみ合う。

 

 

「お前らは一体なんなんだ!」

 

「偉大なるショッカー!」

 

「ショッカー……?」

 

 

聞いたことがあるような、そんな名前だった。

しかし思い出せない。気のせいかもしれない。考えてみればこんな危なそうな連中を忘れるなどはありえない。

 

 

「我らの姿を見たものは、死――、あるのみ」

 

「くそッ! なんだよ! お前たちから姿を見せたくせに!!」

 

 

ダメもとで腰に手をかざすが、やはりゴーストドライバーは出現しない。

こうなると化け物を相手にするのは危険だ。タケルは再び踵を返し、竜斗達の背を追いかける。

そこで気づいた。竜斗達に混じって、一人の青年がタケルのもとへ歩いてくるのが。

つまり、タケル達はアリガバリから逃げるように走るが、青年はアリガバリに近づくように歩いている。

一般人だろうか? だとしたら危険だ。タケルは青ざめ、すぐに手を伸ばす。

 

 

「ダメです! 止まって! 向こうは危険だ!」

 

「え? でもッ、珍しいポケモンがいるかもしれないし!」

 

「は!? ポケモン……ッ?」

 

「最近ヒマでさ、ずっとやってるんだよね! あ、キミはやってないの? 面白いよ! ポケモンって!!」

 

 

ハネた黒髪に、アジアンテイストな服装。やけにフランクな青年だった。

タケルに見せ付けてきた携帯には少し前に流行った探索型アプリが表示されており、どうやら青年はそれをプレイ中だったようだ。

しかし青年は分かっているのだろうか? すぐ目の前に化け物がいることに。

 

 

「ねえ! あれも新しいポケモンかな!?」

 

「えッ、いや! そんなワケ――」

 

 

青年はヘラヘラ笑うと、携帯を持って走り出す。

タケルは真っ青になり、青年を止めようと肩を掴む。

 

 

「大丈夫! なにがあっても、明日のパンツさえあれば大丈夫だから!!」

 

「え……ッ! ぱ、ぱ!?」

 

 

気づいた。力が強い。

青年はいとも簡単にタケルの腕を振り払うと、携帯を構えたままアリガバリの前に立つ。

 

 

「あれー? 反応しないなぁ」

 

「貴様、ナメているのか!!」

 

 

アリガバリは腕を振るい、青年が持っていた携帯を弾き飛ばす。

その豪腕の一振り。携帯は粉々に砕け、破片が地面に落ちていく。

 

 

「あー! 俺のポケモン! ちょっと! 酷いじゃないですか!!」

 

「ごちゃごちゃうるさいヤツだ! 今すぐ黙らせてやるッッ!!」

 

 

アリガバリは腰にあったサーベルを抜くと、右手にそれを構える。

そして地面を踏み込むと、繰り出すのは『突き』。刃は風を切り裂き、青年の喉を狙う。

もうダメだ! タケルは思わず目を逸らした。

 

 

「!?」

 

 

アリガバリは、激しい抵抗感を感じた。

剣は確かに青年の喉に突き刺さった。突き刺さった筈なのだが、なにかがおかしい。

凄まじい抵抗感を感じる。コールタール、いやもっとドロドロで濁りきった液体の中に刃が進入していくような感覚。

ましてや、喉元を突き刺したにも関わらず、血の一滴も吹き出ないとはこれいかに。

 

 

「な、な、なんだ……!?」

 

 

剣を引き抜くと、刃にノイズが掛かっていた。

そして直後、刃が無数の銀貨となってジャラジャラと地面に落ちていく。

訂正。銀貨ではなく――、メダルか。

 

 

「き、貴様ッ、何者だ!」

 

 

使い物にならなくなったサーベルを投げ捨て、アリガバリは後退していく。

声が震えている。当然だ。アリガバリは察した。理解したのだ。

目の前にいるのは狩るべき獲物ではない。その皮を被った、化け物。

つまり、人間ではない事に。

 

 

「あーあ、んもー! せっかくポケモンたくさんあつめたのに! コラッタに……、コラッタでしょ? あとは――、コラッタだっけ? なんだっけ!?」

 

 

青年――、火野(ひの)映司(えいじ)はニコリと笑った。

 

 

「まあ、どっちでもいいか! ね? おたくもそう思うでしょ?」

 

 

映司の体から三枚のメダルが排出された。

さらに、いつの間にか映司の腰には『オーズドライバー』が装着されている。

映司の体から飛び出した赤、黄、緑のメダルは、しばらく映司を守るように周りを旋回したあと、自動的にドライバーにセットされていく。

 

 

「グッッ!!」

 

 

本能で危険を感じたのか、アリガバリは左手を思い切り振るった。

すると爪痕が斬撃となり発射される。三本の線が映司に向かって飛来し、なんのことはなく直撃すると、大爆発を巻き起こした。

 

 

「――ッ」

 

 

キン! キン! キン! と、テンポのいい音が爆炎の中から聞こえてくる。

一瞬だった。爆炎が、爆煙が消し飛ぶ。そこにあったのは映司の周りを旋回するメダル型のエネルギー。

 

 

『タカ!』『トラ!』『バッタ!』

 

 

三つのメダルが一つに重なり、一枚のメダルとなる。

 

 

『タッ! トッ! バッ! タ・ト・バ! タ! ト! バ!』

 

 

膨大なエネルギーを全身に効率よく供給、循環させる役割を持つ、オーラングサークルが胸に刻まれた。

そこに現れたのは、仮面ライダーオーズ。タトバコンボである。

 

 

「携帯のお礼、させてもらうよ……!」

 

 

ねっとりと言い放つオーズ。

メダジャリバーと呼ばれる剣を引きずりながら前進していく様子は、まるで獣だ。

今まさに獲物を狩ろうという動き。足音を殺し、少しずつ近づいていく。

 

 

「ウォオオオオオオ! ナメるなよ小僧!!」

 

 

一方で叫びを上げて走り出すアリガバリ。巨大な左手のアームを振るい上げると、咆哮をあげて振り下ろす。

強力な握力を持つ腕だ。オーズの頭を掴むことができれば、すぐにザクロのようにしてやることもできた筈だった。

だがオーズは左腕を盾にしてアームを受け止めてみせる。

 

 

「うッッ」

 

 

力いっぱい腕を握り締めるが、オーズはビクともしなかった。

するとアリガバリの腹部に焼け付く痛みが走る。オーズが右手に持っていた剣を振るい、アリガバリの胴体に一閃を刻みこんだのだ。

 

 

「チィイ!」

 

 

火花を散らして後退していくアリガバリ。

オーズは前に踏み込むと、敵の後退にあわせてさらに剣を振るっていく。

しかし敵もやられてばかりではない。三回目で軌道を見切ったのか、縦に振るわれた剣を体を反らすことで回避。そのまま肉弾戦へフェイズチェンジ。

 

すぐに拳が交差する。

オーズは左腕をよく盾に使っていたが、アリガバリは怪力だ。一度ではどうともできなかったが、ダメージを積んでいれば別である。

事実、オーズの左腕に攻撃が当たるたび、ベキベキと嫌な音が聞こえてきた。

 

 

「!」

 

 

ふと、アリガバリがカウンターに仕掛けた裏拳がオーズの胴体に命中する。

オーズは手足をバタつかせながら後方へ吹き飛び、詰んであったドラム缶を巻き込みながら倒れていく。

戦いを見ていたタケル達に緊張が走る。かなり衝撃が強いようだったが――?

 

 

「うわぁ、凄いな。左腕折れちゃったよ! キミすごいね! プランプランだもん! はは!」

 

 

オーズはなんのことはなく立ち上がると、おかしな方向に曲がった腕を見て笑う。

なぜか、ゾッとした。それはタケルや竜斗、それはアリガバリ。この場にいた全員がオーズを見て、『怖い』と思ってしまった。

優しい口調である事は間違いない。それはまるで子供に語りかけるような声色。にも関わらず内容は肉体が破壊されたという報告。

 

なにより仮面の奥で浮べているだろう笑顔は、今のこの状況には誰だってわかるほど不釣合いだ。

それをオーズは分かっているのだろうか? もしも分かっていないのならば。

まるで、それは。

 

 

「きもちが、ないみたい」

 

 

ツバサが呟いた。

一方で再びオーズの体から射出されるメダル。

それらは自動的にオーズドライバーに装填されると、これまた自動的にオースキャナーが動いて読み取りを開始する。

 

 

『クワガタ!』『カマキリ!』『バッタ!』

 

 

緑色のメダルエネルギーがオーズを包み、光が溢れる。

 

 

『ガ~タガタガタキリッバ! ガタキリバ!』

 

 

緑色をベースにしたガタキリバコンボに変身するオーズ。

すると一瞬でオーズが無数に分身。工場を埋め尽くさんとの勢いで増殖し、一勢に走りだす。

 

 

「ぐあぁあぁああ!!」

 

 

アリガバリの悲鳴が緑色の雷光に沈んでいく。

クワガタヘッドから放たれる電撃がアリガバリの体に直撃したのだ。

一発だけならばまだしも、周囲のガタキリバはみな同じ様にクワガタヘッドを光らせており、電撃の威力を倍増させていく。

 

 

「あ、みんな! はやく逃げないと感電して死んじゃうよ!」

 

 

分身の一体が軽い調子でタケル達に警告を行う。

 

 

「そ、そんなッ!! みんな! 今すぐ逃げるんだ!」

 

 

事態を察したタケルは竜斗達を連れて工場を逃げだしていく。

それを見て、分身は大きく手を振ってお別れを。

 

 

「ばいばーい! またねーッ!」

 

 

そしてその中でまた、メダルをスキャンする音が聞こえてくる。

 

 

『タ~~ジャ~~ド~~ルーーッ!』

 

『サゴォゾ……! サゴーゾッッ!!』

 

『ラタラタァ~! ラトラーター!』

 

『シャシャシャウタァ~! シャシャシャウターッ!』

 

『ガ~タガタガタキリッバ! ガタキリバ!』

 

『ブラカァァァァァァァッワニッ!!』

 

『プッ! トッ! ティラーノ! ザウルースッッ!!』

 

『スーパー!! スーパー!! スーパー!! スーパー!! スーパー!! スーパー!! スーパー!! スーパー!!』

 

『スーパータカッ! スーパートラッ! スーパーバッタァ!』

 

『スゥーパァ! タ・ト・バ! タ! ト! バ!』

 

『スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥパァァァァァァァァァァァッッッッ!!!』

 

 

無数のガタキリバが、まるで落ちた砂糖に群がるアリのように敵に襲い掛かっている。

その中で、並び立つオーズのコンボたち。手にオースキャナーを構えると、オーズドライバーに向かって滑らせた。

 

 

「消えろ」『スキャニングチャージ!!』

 

 

中央に立ったスーパータトバから放たれる、冷たい声。

直後、オーズのライダークレストが背後に浮かび上がり、一勢に地面を蹴るコンボたち。

 

まず一番最初にアクションを起こしたのはサゴーゾだった。

ドラミングを行いながら咆哮を上げると、思い切り地面を踏み込むようにして蹴る。

すると足裏を中心として衝撃波が発生。アリガバリをビリビリとした衝撃で包んで動きを停止させる。

 

そして次はタジャドルだ。

空中を高速で飛行しながら、タジャスピナーから炎弾を発射していく。

ただし狙うのはアリガバリではない。そのまわりにいたガタキリバの分身である。

 

 

「うわぁああ!」

 

「ぎゃあぁあ!」

 

 

鳥が虫を食らう。これは自然の摂理。

それは今も例外ではない。炎弾は次々にガタキリバの分身を捉えると、殺害していく。

破壊されたガタキリバの分身達は、死ぬ際には無数のセルメダルとなって分解されていった。

飛びまわるタジャドルと、雨のように降り注いでいく無数のセルメダル。

 

もちろん、無差別に仲間を殺してまわったワケじゃないことは明らかだ。

何かを仕掛ける気なのだ。アリガバリはすぐに対処しようと試みるが――、苦痛の声。

焼け付くような痛みが体中に走り。次々と刻まれていく三本線。ラトラーターがアリガバリの周囲を駆け回りながら高速で引っかいてくる。

それだけじゃない、スーパータトバも加わっている。固有能力、時間停止を駆使しながら、アリガバリの体を少しずつ切り刻んでいく。

 

 

「アハハハハハ! ねえ、なにか落ちたよ! 耳かな! 鼻かな! それとも指かな!?」

 

 

オーズは笑っていた。

本来、『コンボ』を使用するには体力や精神力を消費するのだが、現在その全てをブラカワニが背負っている状態だ。

とは言え、ブラカワニの固有能力は超回復。なんの問題もない。

ほら、そんなブラカワニのスライディングでアリガバリが地面に倒れた。

そこで、気づく。先程まであれだけ周囲に散らばっていたセルメダルが全て消えていた。

 

 

『ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!!』

 

 

斧が、メダルを喰っていた。周囲に散らばっていたメダルが次々に斧へ吸い込まれていく。

その異様な光景を見て、すぐに立ち上がるアリガバリ。しかし声が出ない。息ができない。体に水が張り付いている。

シャウタコンボだ。液状化を行い、アリガバリにしがみ付いている。

 

 

「ゴポッ! がぽぽっ! ガパァアァアア!」

 

 

息が、できない、助けて。アリガバリが腕を伸ばす。するとその腕が氷ついた。

プトティラが放つ冷気が、シャウタごとアリガバリに襲い掛かる。

 

 

「―――」

 

 

凍りつき、完全に沈黙するアリガバリ。

それを行ったプトティラは、たっぷりとガタキリバだったセルメダルを食わせた斧、『メダガブリュー』を振り上げる。

 

 

「ウガぁあアアアァァぁぁああぁぁあアぁアァアァァアアア!!」

 

 

欠片の理性も感じさせない咆哮。ただ相手を砕ければいい。そんな欲望が見えた。

斧の周りに具現するエネルギーオーラ。それは巨大な刃となりて、アリガバリを脳天から叩き割った。

 

 

「あれぇ? 死んじゃったの!!」

 

 

変身を解除するオーズ。

スーパータトバのみが映司となり、他のオーズはセルメダルとコアメダルになって映司に吸い込まれていく。

 

 

「あちゃー! ごめんね! 天国で幸せになってよ!」

 

 

映司はニッコリと笑うと、地面に落ちていた携帯の残骸を拾い上げる。

壊れたディスプレイをボウっと見つめ、そして新しいポケモンを探しにフラフラと工場を出て行った。

 

 

 

「あの人、なんだったんだろ」

 

 

タケルと竜斗達は走り、近くにある散歩道までなんとか走ってきた。

映司を思い出す。本当になんだったのか。人間には見えたが、人間じゃなかった。

ましてやあの変身した姿。タカがトラで、なんだっけ? とにかくあれは人間じゃなかった。とは言え、敵対していたアリガバリとも少し違う。

似ていたが、何かが違った。

 

 

(変わったベルトだったな……)

 

 

喋るベルトだったら、タケルとしても馴染み深い。

オーズドライバー、形状は全く違うが、なにかゴーストドライバーと近いものを感じるのは気のせいではない筈だ。

 

 

「もう! 何がなんだか分かんないよ! おうちに帰りたい!」

 

 

うんざりしたようにミライが叫ぶ。

まったくもって同意見だった。先程から何が起こっているのか、サッパリ分からない。

怪人がどうとか、戦う戦士がどうとか。本当なのか、ウソなのか、夢なのか、幻想なのか、もしかしたらドッキリなのかも。とにかく脳内が理解を拒んでいる。

 

しかしタケルだけは違っていた。

それはそうだ、タケルは戦士の存在を知っている。

仮面ライダーゴーストとして見た翔太郎や映司の姿。気になるのは、どこかでそれを知っている自分がいるような気がしたからだ。

既視感。以前に、どこかで会っているような――?

 

 

「………」

 

 

チクリと、胸の辺りが傷んだ。

なんだろう。あまり、思い出したくない。いや、もちろん何も覚えていないのだが。

 

 

「!」

 

 

タケルはふと、竜斗達に視線を移す。

へたり込んで息を荒げていたり、小さな背中が不安そうに震えている。

タケルはしばし考え込んだあと、ニッコリと笑みを浮かべて歩き出した。

竜斗の肩を、ミライの肩を、本条の肩を優しく叩き、最後はツバサの前にしゃがみ込む。

 

 

「大丈夫だよ、みんな。何があっても、おれが守るから」

 

「ほんとう?」

 

「もちろん。お兄ちゃんは強いんだぞ!」

 

 

だが皮肉にも、そこでミライの悲鳴が聞こえた。

 

 

「キャアアアアアアアアアア!!」

 

「!?」

 

 

木々をなぎ倒しながら迫る球体。そういえば襲い掛かってきた敵は三体。

であるならばその正体はナイフアルマジロ以外にはないだろう。

アルマジロの名がつくとおり、体を丸める事でボールと化し、空中を自由自在に飛びまわる。

そのスピードで繰り出される突進は、まるで鉄球。ありとあらゆる物を破壊しながら飛びまわる殺人浮遊要塞。

 

 

「ッ、逃げるんだみんな! クソ! なんなんだよ本当にッッ!!」

 

 

意識をすれど、相変わらずゴーストドライバーが出現する気配はない。

歯を食いしばるタケル。しかしある意味、予想通りと言うのか。それとも流れどおりと言うべきなのか。

ナイフアルマジロがタケル達に襲い掛かろうとした時、空から三つの光が落ちてきた。

それはまさに隕石。光が地面に落ちた際の衝撃で、ナイフアルマジロはボール状態を強制的に解除され、地面を滑っていく。

 

 

「なんだッ!」

 

 

立ち上がるナイフアルマジロ。

その瞳に映ったのは隕石の正体。それは人間だった。爆煙の中から三人の男女が姿を見せる。

 

 

「逃げろ」

 

 

ダークブラウンの髪をした男が呟く。

濃い紫色のスーツに、黒い手袋を身につけており、腰には球体が装飾されたベルトが見えた。

 

 

「あなたは――」

 

朔田(さくた)流星(りゅうせい)。インターポールの人間だ」

 

「インターポール!」

 

 

って、なに? 竜斗やミライはポカンとした表情でタケルを見る。

アニメやマンガで度々耳にする名前だが、ちゃんとした意味は分かっていないようだ。

とは言えそれはタケルも同じで、額に汗を浮かべると困ったように頭をかく。

 

 

「インターポールね。はいはい、おれは分かってるよ。大丈夫。だからね、インターポールって言うのはつまり、インターなポールが……、あの、こう、うまい具合に――、そう! そうだ、思い出した! 警察的な何かだったと思うから、たぶん、えーっと!」

 

 

高校生活の半ばで死んでしまったのだ。そもそも勉強は好きじゃない。

 

 

「と、とにかく! 逃げよう! 中卒でゴメン! 竜斗くん達もしっかり勉強はしておきなよ!!」

 

 

タケルは理解した。

現れた男女の腰には皆、形状は違えどベルトがあった。だとしたら彼らもきっと先程の映司と同じなのではないかと。

話は後から聞けばいい。タケルは竜斗達を連れてナイフアルマジロから離れていく。

 

 

「リューセイ。あれ?」

 

 

ライトブラウンの髪をした少女が、竜斗達を指差し、首をかしげた。

服装はクラシックロリータ。年齢は『中学生』くらいだろうか? 小柄な体で、表情や声色からも幼い印象を受ける。

 

 

「恐らくはな。だが、どれが『そう』なのかは分からない」

 

 

流星は目を細め、走っていくタケル達の背を見た。

 

 

「まあいいじゃねぇか。オレ達はオレ達にできる事をやるまでよ!」

 

「うん! やろー! やろー!」

 

 

すると中央に立っていた男がニヤリと笑う。長身で精悍な顔立ちをした男だった。

彼もまたスーツ姿で、髪型は『これといって特徴はない』シンプルなものだった。

街中を歩いていれば何人も同じ様な髪型をした男性が歩いているだろう。なでしこは頬を桜色に染めて、その男性の言葉に同調していた。

三人は三人とも、ナイフアルマジロに怯む気配はない。

ましてや、その腰にあるベルト。

 

 

「貴様ら――ッ、異物か……! 首領が危惧していた世界を蝕むウイルス」

 

 

うろたえるナイフアルマジロの前で、三人の男女はアクションを取る。

 

 

「ウイルス? 失礼な奴らだ」『メテオ! レディ?』

 

 

右にいた流星は腰にあったメテオドライバーを起動させ、変身待機に入る。

 

 

「わたし知ってるよ! ウイルスじゃなくて、ワクチンだよね!!」

 

 

左にいた美咲(みさき)撫子(なでしこ)もまた、なでしこドライバーにある赤いスイッチを入れ、待機に入る。

 

 

「おお! ワクチンだワクチン! 悪い病気をぶっ倒す! ヒーローさ!!」

 

 

如月(きさらぎ)弦太朗(げんたろう)はフォーゼドライバーにある4つの赤いスイッチを入れると、腕を振るいポーズを決める。

 

 

3(スリー)

 

 

流星は左右の腕を伸ばし、それぞれ対になる様に旋回させて一つの円を描いた。

 

 

2(ツー)

 

 

撫子もポーズを取るとレバーに手をかける

 

 

1(ワン)

 

 

ナイフアルマジロは再び身体を丸めると、高速回転を始める。

 

 

「変身ッッ!」「変身っ!」「変身!」

 

 

レバーを入れる弦太朗と撫子。叩くようにレバーを入れる流星。

すると光とスチームが発生し、三人の姿が『変身』する。

 

 

「ッシャ!」

 

 

スチームを腕で払うのは、仮面ライダーフォーゼと、仮面ライダーなでしこ。

 

 

「宇宙ゥウウウウウ!!」「ウチューッ!」

 

 

体を丸めてタメる二人。

直後、両手を思い切り伸ばして両足を広げる。

 

 

「「キ――ッゴバァアアア!!」」

 

 

声がシンクロする。気合を入れていたが、なにぶん時間がかかる。

そこにナイフアルマジロが直撃して、フォーゼとなでしこが一緒に後方に吹き飛んでいくのはなんら不思議なことではなかった。

唯一回避していたメテオは、呆れるように首をふり、直後、鼻を擦る。

 

 

「仮面ライダーメテオ。お前の運命(さだめ)は、俺が決める」

 

 

大きく息を吸い、両手を広げて腰を落とすメテオ。

空中を回転して飛来してくるナイフアルマジロめがけ、渾身の飛び蹴りを仕掛けた。

 

 

「ホワッ! チャァアア!!」

 

 

足裏が殺人ボールを捉えた。青い衝撃派が発生し、ナイフアルマジロは後方に弾きとばされる。

しかし笑い声。吹き飛んだボールはすぐに空中で軌道を修正し、再びメテオを押しつぶそうと飛来していく。

 

 

「フハハ! その程度か! 仮面ライダー!!」

 

「チッ、空中で自由に動けるのか……!」

 

 

時に地面をバウンドし、時に空中を疾走し、ナイフアルマジロは飛びまわりながら木々を破壊していく。

動きを止めなければどうしようもない。メテオは試しに、腕輪型の武器・メテオギャラクシーに手をかけ、土星(サターン)を選択。

殺人ボールを回避しつつ、斬撃をを飛ばしてみるが――

 

 

「無駄だ! この程度のエネルギーでは私を止める事はできんぞ!」

 

 

高速回転するナイフアルマジロは、斬撃をものともせずに飛行する。

砕かれる土星の輪。メテオは舌打ちを漏らしながら地面を転がり、突進を回避する。

しかしナイフアルマジロは空中で急旋回。すぐにメテオの前に。

 

 

「リューセイ! 左!」

 

 

起き上がったなでしこが叫ぶ。

左に来るのか! 反射的に右に飛ぶメテオ。

 

 

「ごはぁあ!!」

 

 

そこに見事ナイフアルマジロが直撃する。地面を滑っていくメテオ。

 

 

「あ、ごめん。リューセイから見てって意味だったの。左に飛べばって」

 

「グッ! そ、そうか!」

 

 

そこで気づく。またナイフアルマジロが眼前に。

 

 

「流星! 左だ!!」

 

 

なでしこの隣にいたフォーゼが叫ぶ。

左に飛ぶメテオ。

 

 

「んほぉああ!!」

 

 

すると見事ナイフアルマジロがメテオに直撃する。

 

 

「悪い……、あの、左の拳を突き出せって意味だったんだけど」

 

「分かるか! そんなもん!」

 

「リューセイ! 次は右上に飛んで!」

 

「分かった! ぐああああ!」

 

「違うぜ撫子! 真上だ真上! あ、やっぱり違う。右だったわ!」

 

「ぎゃああああああ!」「あー、右にチョップしないから」

 

「下にしゃがんで! そのあとピョコンって避けて!」

 

「流星あぶねぇ! 前進してグルンってしろ! ああ! 違う! それはグワンだろ!」

 

「リューセイ! あのね、えーっとね! そっちは危な――」

 

「流星ィイイイイイ! 大丈夫か流星! 吹っ飛んだぞ!」

 

「もー! ゲンタロー! 今わたしが喋ってるのー!」

 

「あッ、悪い撫子!」

 

「うん! 許してあげる!」

 

「おお! 優しいな撫子は!」

 

「だって、弦太朗のこと、ね、好きだから」

 

「撫子……」

 

 

見詰め合うフォーゼとなでしこ。

そこに猛スピードで走ってくるメテオ。

 

 

「うるッッ! チャアアアアアアアアアアアアイッッ!!」

 

「ぐあああああ」

 

 

飛び蹴りでフォーゼに飛び込んでいく。

 

 

「集中をさせろ! あと指示がメチャクチャ――」

 

 

そこで衝撃。

追尾してきたナイフアルマジロがメテオ達がいる地面に直撃したのだ。

衝撃で三人は吹き飛び、地面を転がっていく。

 

 

「グッ! ふざけたマネを――ッ!」

 

「いつつッ! だったら本気でいこうぜ、流星、撫子!」

 

 

頷き合う三人。

とにかくまずはナイフアルマジロの動きを止めなければしかたない。

あのまま飛び回られたら攻撃を当てることは不可能だった。

 

 

「あいつはオレに任せろ!」

 

 

腰を摩りながら立ち上がったフォーゼはスイッチを装填。

それを起動させると、フォームチェンジを行った。

 

 

【ルァーンチャァ/オン】

 

 

フォーゼの体が青く染まり、両肩と両足にミサイルポッドが装備される。

ランチャーステイツ。フォーゼが大地を踏みしめると、全てのミサイルモジュールから白いミサイルが発射。

空中を縦横無尽に飛びまわると、飛来するナイフアルマジロをホーミングして次々に着弾していく。

 

 

「何ッ! ぐあぁあぁぁ!!」

 

 

その衝撃、その威力。

爆風が加速の勢いを殺し、ナイフアルマジロは地面に墜落してボール状態が解除される。

すぐに立ち上がるが、既に眼前にはメテオの拳が迫っていた。

 

 

「ホワタタタタッ!」

 

「チィイ!」

 

 

連続で全身を打つ拳。

とは言え、通常状態でもナイフアルマジロは硬い皮膚に覆われている。

その鎧は拳のダメージと衝撃を軽減していく。ナイフアルマジロは反撃にと、手にあるナイフを思い切り振るっていく。

 

 

「フッ!」

 

「ムッ!」

 

 

突き出したナイフはヒラリと交わされ、メテオは手刀で反撃を。

軌道を読みきっているのか、体を反らし、後ろへステップをふむ事でナイフを次々に回避していく。

そして腕を伸ばすと、ナイフアルマジロの手をからめとり、ナイフを引き寄せた。

いくら強化さていても、改造人間である事にはかわりないのか、インターポールで培った護身術が活きる場面だった。

なんだか皮肉な場面ではないか。超人的な力を持つ怪人だろうが、ナイフを突き出す動きは人間と全く同じだった。

 

 

「フンッ!」

 

「ぐあぁあ!」

 

 

メテオは引き寄せたナイフに掌底を打ち込む。するとナイフの刃が砕け、地面に落ちた。

さらにメテオは跳躍。きりもみ回転で敵の頭上を飛び越えるようにして移動。

同時に、手はしっかりとメテギャラクシーに伸びており、素早く惑星の選択を行っていた。

 

 

『ジュピルァー!』『レディ?』『オゥケェーイッ!』『ジュピルァー!!』

 

 

ジュピター、つまり木星型のエネルギーが手に纏わりつき、メテオはナイフアルマジロの脳天を殴りつける。

さらに背後に着地後は、背中を何度か殴り、シメにハイキックを打ち付けた。

 

 

「グッ! がぁああ!」

 

 

火花と煙を上げて、前のめりに移動していくナイフアルマジロ。

そこへフォーゼが追撃に飛び込んでくるのが見えた。

 

 

「ぶち抜くッッ!!」【ドォ・リ・ル/オン】【ロォケェット/オン】

 

 

フォーゼのカラーリングが変化する。体はオレンジ、頭部は白。さらに右腕にはロケットとドリルが合体した武器が見えた。

ロケットドリルステイツ。ただでさえ巨大なドリルにロケットの推進力が付与されるのだ。

その威力は言うまでもないだろう。現に背を盾にしたナイフアルマジロだが、事前に受けていたメテオの拳で鎧にヒビが入っていたのか、ドリルはなんの事はなく鎧を削り壊していく。

 

 

「ぐあぁぁああ!!」

 

 

危険だ。ナイフアルマジロはすぐにドリルから離れ、逃げ出す。

しかし逃がさない。ロケットモジュールで飛んでいくなでしこがそこにはいた。

 

 

「なでしこロケットぱーんちッ!」

 

「ぐあああああああああああ!!」

 

 

無邪気な言い方だが、要はロケットモジュールで加速して突進してきたと言うエグイ技。

凄まじい衝撃。ロケットがむき出しになった柔らかい皮膚に直撃し、ナイフアルマジロは悲鳴をあげ、放物線を描いて飛んでいく。

 

 

「決めるぞ弦太朗!」『リミィッブレイッッ!』『オゥケェーイッ!』

 

 

メテオはスイッチを腕輪に装填して必殺技を発動させる。

 

 

「ホワタタタタタタタタタ!!!」

 

 

無数の拳圧が、青い流星のように飛んでいく。

スターライトシャワー。拳から放たれるエネルギー弾が、空中にいるナイフアルマジロに次々と命中していき、さらに上へと打ち上げていく。

 

 

「ウォオオオオ!!」【ロォケェット/オン】

 

 

その間にフォーゼは基本フォームであるベースステイツへと戻り、ロケットモジュールを装備する。

腰を落として構えるフォーゼ。地面を蹴ると、ロケットモジュールから炎が吹き出て爆発的に加速する。オレンジ色のロケットはまるでミサイル。

空中にいるナイフアルマジロを先端で捉えると、そのまま空へ昇っていく。

 

 

「ぬゥウウ!」

 

 

凄まじい風圧に押さえつけられ、ナイフアルマジロはフォーゼに連れられてどんどん空に昇っていく。

だがナイフアルマジロとて強力な怪人なのだ。必死に暴れることで、なんとかロケットモジュールから抜け出すことには成功した。

しかし抜け出すということは、押さえつけられていた状態が解除されるということ。辺りは空。

 

ナイフアルマジロはボール状態になれば飛行できるが、どうやら浮遊は『鎧』の力によって行っていたらしい。

鎧がロケットドリルによって粉々に砕かれた今、ボール状態に移行することもできないようだった。

もちろん鎧を砕いたのは偶然ではない。フォーゼがランチャーステイツに変身した辺りでなでしこが後ろに下がり、支援メカ、フードロイド・メガバガミールとレーダーモジュールを使用。

ナイフアルマジロの飛行の仕組みを把握していた。

 

なでしこ、フォーゼ、メテオにはそれぞれ通信機能がついている。

離れたところからでも、先程のグダグダの口頭ではなく、内部通信で会話を行うことができる。

なでしこは収集した情報をフォーゼとメテオに伝えており、二人はその情報を頼りに動いていたのだ。

 

 

「ぬ、ヌアァアアア!!」

 

 

なにもできず、手足をバタつかせて落下していくナイフアルマジロ。

一方でさらに上昇していくフォーゼ。ロケットモジュールは猛スピード。あっと言う間に空へと消える。

キラッと星が光った。フォーゼだ。そして光ったのは文字通り光を放ったのだ。その正体はモジュールを起動させたときに出るエフェクトである。

ドリルモジュールがフォーゼの足に装備される音。さらに重なるのは、レバーを入れる音だった。

 

 

【ロォケェット】【ドォ・リ・ル】『LIMIT BREAK』

 

 

空からロケットで加速したフォーゼが、足に装備した回転するドリルを突き出していく。

 

 

「ライダーロケットドリルキィイイイイイイイイイイイイイイイクッッ!!」

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

猛スピードでドリルをぶち込む。

凄まじいスピードと貫通力は、ナイフアルマジロを捉えると、大量の火花を散らせ、直後空中で爆散させた。

 

 

「ふぅ、終わったな」『Parachute』【パラシュウ・ト/オン】

 

 

パラシュートを広げて地面に落ちていくフォーゼ。

着地すると、なでしこが飛びついてきた。

 

 

「やったね、弦太朗」

 

「おお。サンキューな撫子」

 

 

変身を解除する三人。

流星はナイフアルマジロが破壊していった木々を確かめるように観察し、木片を拾い上げている。

 

 

「撫子」

 

「うん? どうしたのリューセイ」

 

「これをバガミールで解析してくれないか?」

 

「いいけど、どうして?」

 

 

撫子は首を傾げながらも、言われたとおりバガミールを起動してサーチを開始する。

 

 

「これが『木』なのかを確かめたい」

 

「そんなの、どう見たって木じゃねぇか。ハハハ! 流星はおバカだなぁ!」

 

「おばかだなぁ」

 

 

くっ付いて笑い合う弦太朗と撫子。

完全に馬鹿にされている。流星は唇をゆがめていたが、一つ冷静に咳払いを。

 

 

「言い方が悪かったな。この木片が本物の木かどうかを確かめたい」

 

「どーゆーこと? あ、解析おわり!」

 

 

結果を確かめる撫子。

見れば分かるとおり、木片は木である。

いや、木であるから『木』片と言うのであって、やはり流星の言っている事はおかしかった。

 

 

「本物か――」

 

 

流星は複雑そうな顔で木片を地面に落とした。

本物。そう、本物。解析結果は、『本物』だった。

 

 

「………」

 

 

意味を理解したのか、弦太朗は自虐的に笑うと、サラサラの髪を撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそ、本当の本当にもうッ、大丈夫だと思うけど……!」

 

 

川辺の道までやって来て、振り返るタケル。

怪人が追ってくる気配はない。今度こそ、終わったようだ。

時間は夜。辺りはすっかり暗くなっており、少しはなれた所を流れる川は墨汁のように見える。

 

 

「もう、ワケが分かんないよぉ」

 

 

ミライは呼吸を荒げてへたり込む。

相当走ったため、疲労もそれなりだ。ツバサも放心したように膝をついていた。

もちろん、竜斗も同じである。しかし興奮状態のためか、疲労よりも緊張の方が高い。

あれは一体なんなんだ? 先程から頭の中はずっと同じ疑問をループさせている。そして呼吸を荒げる一同のなかで、本条だけが涼しい顔で立っている。

 

 

「ッ?」

 

 

タケルは違和感を覚えた。本条は先程のアリガバリの登場も予想してみせた。

ましてやミライもそうだったが、本条には怯える様子がない。明らかに小学生の態度ではないのだ。

 

 

「――?」

 

 

ふと、本条は前方を指をさした。

まさかまた怪人が? タケルは焦ったように振り替えるが、そこには何もない。

ただ道が伸びているだけ。人の影もないし、川が流れる音だけが横から聞こえる。

 

 

「!?」

 

 

いや、そこに浮かび上がるのは灰色のオーロラ。

すると街灯に照らされた場所に、一人の男が立っているのが見えた。

気づかなかっただけで、もともとそこにいたのか。それともオーロラが出現したから現れたのか。

それは分からない。分からないが、男はそこに立っていた。

それだけが今、大切な事なのである。

 

 

「………」

 

 

黒いサングラスに、黒い手袋。そして黒い服を着た青年だった。

青年はゆっくりと『矛盾』したアイテムであるサングラスを外す。

今は夜だ。必要はない。ならばなぜ先程まで彼はサングラスを?

警戒しているタケル。それに気づいているのか、気づいていないのか、それともどうでもいいのか。青年は淡々と竜斗を指差す。

 

 

「お前――」

 

「ッ」

 

「もしくは、他か」

 

 

ツバサ。ミライ。本条。子供達を睨む青年。

 

 

「アンタも、化け物なのか?」

 

 

タケルが子供達を守るように前に出る。

 

 

「化け物か。間違ってはない」

 

 

青年はバックルを取り出すと、変わった絵柄のトランプを一枚そこへ装填する。

 

 

「俺は仮面ライダーブレイド。剣崎(けんざき)一真(かずま)

 

「ッ、仮面ライダー!?」

 

 

やはり、そうなんだ。竜斗は僅かに笑みを浮かべて足を踏み出す。

一方で剣崎はブレイバックルを腰に装着すると、竜斗を指差した。

 

 

「世界に不必要なお前たちを殺しに来た」

 

「!?」

 

「変身」『タ――ボリューショ――キン――カカカカ――ップ!』

 

 

雑音が混じりあい、ノイズ掛かった音声。

バックルが反転し、金色のオリハルコンエレメントが射出されて自動的に剣崎を通過する。

するとその肉体が一瞬で変化。仮面ライダーブレイド・キングフォームへの変身を完了させた。

 

 

 

 




弦太朗と撫子と流星のトリオ、たまらなく好き。
コンビとかじゃなくてトリオ萌えってありますよね。
つっても見られるのってアルティメイタムの中で、さらにほんのちょこっとだけですけども(´・ω・)

次回は16か17日の予定
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