カメンライダー   作:ホシボシ

7 / 34
第4話 VS4号

 

 

「俺達が戦うことになんの意味がある。二人とも、少し頭を冷やすんだ!」

 

「ッ、それは……!」

 

 

思う所があるのか、ディケイドは足を止めて躊躇を見せた。

 

 

「アンタもだ剣崎! 俺達の敵はショッカー! 違うか!?」

 

「うるさい! 俺に指図をするなァア!!」

 

 

だが一方で唸り声をあげたまま走り出す剣崎。

異形の腕で進ノ介を引き裂こうと攻撃を仕掛けていく。

 

 

「おっと!」

 

 

後ろへ跳ぶ進ノ介。

すると彼のドライブドライバー、通称『ベルトさん』が訝しげな表情を浮べた。

 

 

『進ノ介、どうやら彼は冷静な判断ができていないようだ。まさにdead heat! 近づけば怒りのスチームで火傷をしてしまう!』

 

「言っても無駄ってワケか! だったら仕方ない!」

 

 

スーツを翻し、ドライバーにあるイグニッションキーを捻り、エンジンを吹かす。

さらにシフトカー。『シフトトライドロン』を取り出し、起動させた。

 

 

「さあ、ひとっ走りつき合えよ!」『FIRE! オーッル! エンジン!!』

 

「ウォオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

両手に電撃を纏わせて走り出す剣崎。

一方で構えを取り、シフトカーをシフトブレスへ装填する進ノ介。

 

 

「変身!」『ドォッ! ラーッイブ! ターッイプ! TRIDORON!!』

 

 

トライドロンが光となり分解。そのパーツが次々に進ノ介に装備されていく。

そして最後にタイヤが肩に装着された。仮面ライダードライブ、タイプトライドロンの完成である。

ドライブは拳を握り締め、襲い掛かる剣崎に真っ向から対峙する。

だが捕捉していた筈のターゲットが視界から消失した。まさに一瞬だった。走ってきた剣崎が消えたのだ。逃げたのか? 一瞬ドライブはそう思うが――

 

 

「!?」

 

 

背に衝撃を感じる。ディケイドに攻撃されたワケではない。

振り返ると、そこには爪を振り下ろした剣崎が見えた。

 

 

「な――ッ!」

 

 

カウンターの回し蹴り。しかし捉えたのは空を切る感触のみ。

そして再び胴体に衝撃が走る。あたりを見ても剣崎の姿はない。

すると肩に衝撃が走った。着地する剣崎と、倒れるドライブ。

 

 

「ッ!? どう言う事だ!」

 

『進ノ介! どうやら今の剣崎は実質キングフォームと同じ様だ!』

 

「つまりッ、アンデッドの力を使えるワケか!」

 

 

地面を転がるドライブ。しかし頭部をつかまれ、強制的に立たされた。

そして腹部に衝撃を感じ、後方へとよろけていく。断続的に見える剣崎。消えては現れ、消えては現れ。

 

 

『帯電している腕はサンダーの力、消えては現れるのはタイムの力だ!』

 

「――ッ、だとすれば、ベルトさん!」

 

『ああ、運転を変わろう!』

 

 

するとドライブの動きが停止する。

がっくりと肩を落とし俯く様は、まさに電池を切った人形、もしくはエンジンを停止させた車に見えた。

だがすぐに再起動。するとドライブの複眼が、黄色いものから、赤い円を重ねたようなものに変わった。

 

 

「手伝うか?」

 

 

ディケイドが言う。

 

 

「いや、問題はない!」

 

 

一瞬だった。ドライブは回し蹴りを行う。するとその足に確かな感触が。

 

 

「……!」

 

 

ドライブは右横に腕を伸ばす。するとまたも感触が。

続いてすぐに左に向けて蹴りを打ち込んだ。なにもない場所を蹴った――、筈だったが、やはりそこには剣崎の姿があり、腹部にはしっかりとドライブの足が突き刺さっている。

 

 

「グアアァ! グッ! なぜだ!」

 

「お答えしよう!」

 

 

人さし指を立てるドライブ。

 

 

「キミのTimeは、時間を止められる厄介な力だ。が、しかし、制約が存在している。違うかね?」

 

「ッ!」

 

「フィリップくんのデータベースによれば、Timeは時間を止められるが、その状態では相手を攻撃することはできない。故に、キミは、時間が止まっている間に相手の死角へ移動し、時間を戻した上で奇襲をしかけていた」

 

 

と言うことは、剣崎が時間を止めてから攻撃を仕掛けるまでは時間が進んでいると言う事だ。

もちろんそれは一瞬で、理論上は可能であっても人間の進ノ介では反射速度が追いつくわけもなく。

だが運転手を交代したベルトさんモードでは違う。

 

 

「私はトライドロンのパワーを最大限に引き出せる。"マルチヘッドセンサー"と"デュアルハイビームアイ"によりキミがどこに現れるかを瞬時に把握し、瞬時に対処ができるのだ!」

 

「!」

 

「このようにね!」

 

 

ドライブは握り拳を二つ、前方に突き出す。

そこに何もないはずの場所。しかしなるほど、確かに剣崎が出現して、二つの拳はその胴体を捉えて後方に吹き飛ばした。

 

 

「運転を変わろう。進ノ介」

 

 

ドライブの複眼が再び黄色に変わる。

さらにクラクションをあげ、空中を走るトレーラー砲。

ドライブはそれをキャッチすると、タイプスピードのシフトカーを上部に。シフトトライドロンを内部に装填する。

 

 

『ヒッサーツ! FULL Throttle!!』

 

 

ドライブは銃口を起き上がろうとしている剣崎に向けた。

 

 

「ちょっと痛いぞ! 我慢しろ!」『フルフル! SPEED! ビッグ! タイッホーウ!』

 

 

引き金を引くと、トレーラー砲からトライドロン型のエネルギーが発射される。

剣崎はメタルを発動し、その弾丸を真っ向から受け止める。凄まじい力ではあったが、競り合いの後になんとか弾かれるだけで終わった。

 

 

「ッ!」

 

 

倒れる剣崎。すぐに立ち上がり――、気づいた。

通り抜けたはずのトライドロンエネルギーが空中を疾走し、剣崎の周りを旋回していく。

何か来る、剣崎は本能でそれを察知し、時間を停止しようと試みる。

だがドライブが引き金を引いているとき、ディケイドもまたカードを発動していた。

 

 

「悪く思うなよ剣崎」『アタックライド』『コンファインベント』

 

「!!」

 

 

時間停止が無効化される。

一方で尚もスピードを上げるトライドロンのエネルギー。

基本形態、タイプスピードに戻ったドライブは地面を蹴ってその中に飛び込んだ。

 

 

「ウォオオオオオオ!」

 

 

ドライブは剣崎に飛び蹴りを命中させる。だが、一発では終わらなかった。

反動で後ろに跳んだドライブ、そこにはトライドロンのエネルギーが。ドライブはそのエネルギーを蹴ると、再び中央にいる剣崎へ飛び蹴りを打ちあてる。

 

 

「ハアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「グアァアァアアアァァアアアア!!」

 

 

それを連続で行っていく。何十発の蹴りが剣崎に打ち込まれ、ドライブは赤い円の中を蹴り回る。

それだけではない。トライドロンエネルギーの一部が消えた。たとえばそれはタイヤ、するとタイプスピードの一部がタイプトライドロンに変わった。

トライドロンのエネルギーがドライブに供給されているのだ。

 

蹴りを当てるたびに減少するエネルギーと、比例して強化されていくドライブ。

ミラーが、フロントが、パーツが次々に消えてドライブへ装備されていく。

最後のキックが当たった。吹き飛ぶ剣崎と、地面に着地して地面を滑るのはタイプトライドロン。

 

トレーラービッグインパクトで発射したトライドロンのエネルギーで、スピードロップを行いながら自身を強化。

最後の一発がトライドロップとなり、相手に大ダメージを与える新必殺技『アンリミテッドドライブ』であった。

 

 

「グゥウウ!!」

 

 

どうやら、ドライブの勝利に終わったらしい。倒れ、沈黙する剣崎。

ディケイド、オメガ、G、ウィザード、鎧武はドライブの周りにやってくる。

 

 

「ゥウウウウウッッ!! オノレェエ!!」

 

 

しかし、咆哮を上げながら立ち上がる剣崎。

煙を上げながら足を前に出す。まさにその様は理性を失った化け物だ。

体を動かすのは殺意。そして決意。それだけ強い負と悲しみがある。

 

 

「もうやめろ剣崎! お前はもう『違う』んだぞ! 矛盾した力を使い続ければ! お前の存在が危ない!」

 

「ディケイドぉおお! 俺は――ッ! それでも!!」

 

 

その時エンジン音が聞こえた。

お次はなんだ? また誰かが来るのか? 一同が視線を移すと、空を疾走するプロペラ機が見えた。

 

 

「あれは! スカイサイクロン!?」

 

 

ドライブが叫ぶ。

紅白のカラーリングに側面前部にはシャークマウス(サメの口を燃したペイント)。そして裏側のカラーリングはショッカー戦闘員を彷彿とさせるものであった。

ブロロロロとけたたましい音を立てる飛行機は、機銃をむき出しにし、容赦なくそれを連射していく。

 

 

「ぐぅうう!!」

 

 

弾丸の雨が降り注ぎ、ディケイドやドライブ達の装甲から火花が上がる。

同時に悲鳴が上がった。タケルや竜斗は姿勢を低くして逃げまどう。

 

 

「まずい!」『アタックライド・アドベント』

 

 

空間が鏡が割れるように弾け飛び、そこから飛来するエイ型のミラーモンスター、『エビルダイバー』。

さらにディケイドは、アタックライドを使用。エナジーアイテム・巨大化を呼び出し、エビルダイバーへと使用する。

 

 

「!」

 

 

巨大化したエビルダイバーがタケル達の上で停止。傘のようにして弾丸をその身で受け止めていった。

しかし油断はできない。今は耐えられているが、次々と攻撃が降りかかればいずれ――。

 

 

「悠! ゴロウ!」

 

「分かりました!」「分かった」

 

 

ディケイドの指示に答えたオメガとGが走り、エビルダイバーの下へ滑り込む。

 

 

「落ち着いて、ココから離れよう!」

 

 

オメガがタケルの肩に触れる。

なんだろうか? 知らない筈なのに知っている気がする。

タケルは複雑そうに表情を歪めた。なぜか、オメガに少し悔しさのようなものを覚えてしまう。

とは言え確かに今は危険だ。後ろを見れば震えている竜斗や、恐怖から気絶しているツバサが見える。

そして、無表情で俯くミライと、同じく涼しげな表情を浮べている本条が見えた。

 

 

「キミ達……」

 

 

タケルは違和感を覚える。

そして気づいた。またミライの髪型が変わっている。ツインテールではなく、サイドテール。

 

 

「はじまるのですね」

 

「え?」

 

 

何を言っているのか。

そして彼女は誰なのか? 本当に竜斗のクラスメイトなのか――?

 

 

「はじまりなどない。終わりもない。ただのそこにあるだけの幻影。僕達はそれを求めてやまない」

 

 

その言葉に答えたのは本条だった。少しだけ唇を吊り上げ、淡々と語る。

ますます謎は深まるばかり。だが一方でGがオーロラを出現させて、一同はこの場から完全に消失した。

 

 

「クソ!!」

 

 

剣崎もまた消えていく。

終わったのか? いや、一つが終われば一つが始まる。

現れる、新しい敵。

 

 

「同種の血統による全体の、神聖なる支配権」

 

「!」

 

 

スカイサイクロンが飛びまわる空を見上げながら、ゆっくりと歩いてくる男がいた。

"仮面ライダー4号"。顎を触りながらディケイド達を見ている。

 

 

「Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm。それぞれの頭文字をとると」

 

『S H O C K E R……!』

 

 

ベルトさんが呟く。4号は笑い、空を見上げた。

 

 

「ショッカーの唱える未来とは!」

 

 

走り出す4号。

一方でウィザードも高速移動を発動して走りだす。だが4号に近づくにつれてウィザードの姿がはっきりと目視できるようになる。

 

 

「なにッ!」

 

 

凄まじい風を感じた。4号を中心にして風が吹いているのだ。

もちろんただの風ではない。でなければインフィニティーの力が風圧で抑えられるということは、ありえない。

動きが止まったウィザード。どれだけ足を前に出そうと思っても、押し出される。堪えなければ吹き飛ばされそうになる風圧。

そして自由に動ける4号。拳を握り締め、緑色に発光するパンチをウィザードの胴体に打ち当てた。

 

 

「ぐアァア!!」

 

「優れた者達を動植物の特性を持った怪人に改造し――」

 

 

拳はその威力も高いのだが、なによりも風の力が付与される。

風が爆発し、ウィザードの足はすぐに地面を離れた。

 

 

「いくぞ神様!」

 

「ああ! 任せろ!!」

 

 

倒れ、転がるウィザードを飛び越える鎧武とドライブ。

火縄大橙DJ銃と、トレーラー砲をぶっ放し、光弾を発射する。

しかし4号はノーモーション。迫る弾丸をいとも簡単に両手でつかみ取ると、粉々に握りつぶす。

 

 

「神なる世界の征服を目指すことである!」

 

 

プロペラの音が聞こえた。

直後、大量の弾丸とミサイルが鎧武とドライブに向けて降り注いでいく。

爆音と共に苦痛の声が聞こえてくる。ディケイドは舌打ちを交えてカードを取り出す。

 

 

『アタックライド』『ステージセレクト!!』

 

 

周囲の地形が一瞬で変わる。

ディケイドが選んだのは多目的アリーナだった。

先程まで屋外にいたはずのディケイド達は、円形のアリーナ内部に立っていた。

 

 

「フム。考えたな。天井があればスカイサイクロンの高度を制限できる」

 

「そういう事だ! ぶっ壊してやる!」『ファイナルアタックライド』『ディディディディケイド!』

 

 

ライドブッカーから光弾が発射された。

ディメンションシュート。無数のホログラムカードは飛びまわるスカイサイクロンをしっかりと追尾しており、光弾は問題なく直撃する。

 

 

「だが、力が伴っていなくては」

 

「!」

 

 

そう、命中はした。直撃はした。だがスカイサイクロンには僅かに黒い痕がついただけで問題なく空を飛びまわっている。

そして機銃で再びディケイドや鎧武を攻撃していく。

 

 

「憎悪の数が違う」

 

「グアァアアアア!!」

 

 

爆発が巻き起こり、悲鳴が重なった。

ディケイド、ウィザード、鎧武、ドライブは爆風に吹き飛ばされてアリーナの壁に叩きつけられる。

 

 

「だったら!!」『アタックライド』『ポーズ!』

 

 

全ての時間が停止した。

クロノスの力による時間停止。ディケイドは頭を抑えて立ち上がると、一度地面に座りこんでため息をつく。

 

 

「ったく、厄介な」

 

 

面倒そうに立ち上がり、停止している4号を睨んだ。

さて、どうしてくれようか。そう思っていると、4号が顎を触りながら笑い出す。

 

 

「は――?」

 

 

時間は確かに止まっている。

しかし、4号は動いていた。

 

 

「仮面ライダークロノス。知らない力だ」

 

「何を言って……!」

 

 

まさか、と、ディケイドはアタックライドでデンデンセンサーを呼び出す。

ゴーグルモードで4号を解析すると、その内部に最悪なアイテムを見つけてしまう。

 

 

「歴史改変マシンか――ッ!」

 

「フフフ、その通り。残骸だけだが、それでもかなり力を発揮してくれる」

 

 

ディケイドが呆気にとられている間に、4号は地面を蹴ってディケイドの眼前に着地していた。

 

 

「ライダーキャッチ!」

 

「しま――ッ!」

 

「ライダーきりもみシュート!!」

 

「ウォォオオ!!」

 

 

投げ飛ばされ、きりもみ状に飛んでいくディケイド。

そこへスカイサイクロンが直撃し、ディケイドは地面に叩き落された。

 

 

「ぐがぁあ!!」

 

「私の体内にあるマシンを起動させると、私が『知らない』力では、私とスカイサイクロンを攻撃することも、ましてや干渉する事もできなくなる」

 

 

スカイサイクロンがミサイルを発射し、停止している鎧武達に攻撃をしかけていった。

爆発が起こり、止まっていた鎧武やウィザードは大きく仰け反ったまま、動きを停止している。

 

 

「まずい!」『アタックライド』『リスタート』

 

 

動き出す時間。

そして再び苦痛の叫びが聞こえてくる。

 

 

「フフフ! カテゴリードライブ、電王、ファイズ、そして破壊の力を持っているディケイド以外は私を傷つけることはできない」

 

「自分からネタバラシか! ペラペラお喋りなヤツだな!」

 

 

立ち上がるドライブ。

今の発言からするにディケイドとドライブならば4号を攻撃することができるのだ。

ましてや忘れた訳じゃない。ドライブは既に一度、4号に勝利している記憶があった。

とは言え、4号に焦りはない。分かっていて今の情報を晒したのだ。

 

 

「過去は過去だ。もはや今の私は無敵」

 

 

拳を握りしめ、思い切り地面を殴りつける。

 

 

「ライダー旋風パンチ!!」

 

 

拳を中心にして嵐が発生。

強力な突風はディケイド達の体を浮き上がらせ、またも端の壁まで吹き飛ばし、叩きつける。

 

 

「ぐあぁああ!!」

 

 

体が壁にめり込み、瓦礫が散る。一方で笑う4号。

 

 

「ハハハ! 終わりだな、仮面ライダーたちよ」

 

「――ッ、いや、それは違う」

 

「?」

 

 

ディケイドはうんざりしたように呟いた。

本当に、うんざりしたようだった。虚しさ、呆れ、疲労、重く濁った声色である。

 

 

「終わらないんだよ、俺達は」

 

「なに……?」

 

 

すると、アリーナの中央に土管が生えてきた。

 

 

「は?」

 

『マイティジャンプ!』

 

 

土管からショッキングピンクの影が飛び出してくる。

 

 

『マイティキック!』

 

 

戦士は、両手両足を広げて自らの存在をアピールする。

 

 

『マイティマイティアクション!』

 

 

空中を回転。突き出した右手を天に掲げ、右ひざを曲げてポーズを取る。

 

 

『エーックス!!』

 

 

地面に着地したのは仮面ライダーエグゼイド。

爆煙の中に立つ4号は、ド派手な格好のライダーに鼻を鳴らした。

 

 

「最近のは特にデザインが酷い。私のこの完成されたフォルムを見よ。それに比べてお前は――」

 

「なんの話だよ。仮面ライダーエグゼイド、ただ今参上! さあ、ノーコンテニューでクリアしてるやるぜ!!」

 

「フム……!」

 

 

ガシャコンブレイカーを構えて走り出すエグゼイド。

ボタンを押して、ハンマーから刃を生やして剣に変える。

一方でライダーベルトの風車を回転させる4号。どうやらそれが体内にある歴史改変マシンの起動を意味しているらしい。

カラフルな風が吹き、4号に特殊な防御壁が付与された。

そして跳躍で距離を一気に詰めるエグゼイドと、全く動かない4号。

 

 

【MISS!】【MISS!】【MISS!】

 

 

エグゼイドは剣で4号をメチャクチャに切りつけるが、その攻撃は意味をなさない。

 

 

「あ、あれ?」

 

「お前は知らない。知らないものは無いのと同じだ」

 

「ちょ、おい! これどうなって!?」

 

「ライダーパンチ!!」

 

「ぐあああああああああああ」【HIT!】

 

 

エグゼイドは胴体を殴られ、地面を何度もバウンドして壁に叩きつけられた。

 

 

「フフフハハ。無駄だ。お前では私には傷一つつけることはできん!」

 

 

高速で走るウィザード。エグゼイドのもとへ駆けつけ、事情を説明する。

 

 

「なるほど。そうかよ。だったら――ッ!」

 

 

エグゼイドは勢いよく立ち上がると、ウィザードの肩を叩く。

 

 

「頼む、ウィザード。ウォータースタイルになってくれ!」

 

「ウォータ? なんで?」

 

「いいから! 他のみんなも! 鎧武はパイン!」

 

「ぱ、パイン? いいけど――ッ」

 

「ドライブはテクニック!」

 

「テクニックか……、よし、クールに行くぜベルトさん!」『OK!』

 

「ディケイドはそのままでいい!」

 

「おいッ! ちょっと待て永夢! 弱体化させてどうする!」

 

 

確かに、ディケイドの言うことは尤もだ。

インフィニティー、極、トライドロン。他のライダーは最強に近い強化形態だ。

それをわざわざ前のフォームにさせたところで、4号に勝てるとは思えない。

むしろスペックが落ちるぶん、ピンチになるだけではないか。

 

 

「天才ゲーマーを信じろ!」

 

「……ッッ」

 

 

こう言われては仕方ない。

流石にエグゼイドとて、その辺りは分かっている筈である。

とりあえず言われた通り、皆は指定されたフォームへ変身を行う事に。

 

 

『ウォーター!』『プリーズ』『スイ~! スイー! スイースイ~!』

 

 

青く染まるウィザード。

 

 

『パインアームズ!』『粉砕! デストロイ!!』

 

 

黄色に染まる鎧武。

 

 

『ターッイプ! TECHNIQUE!!』

 

 

緑色になるドライブ。

それを見て、鼻を鳴らす4号。

 

 

「無駄だ、何をしても私には勝てない!」

 

「それはどうかな?」

 

「なに……?」

 

「4号。アンタを攻略する」

 

 

エグゼイドが何かを取り出す。

それは五枚のカード。エグゼイドはそれを投げると、カードはそこから自動的にエグゼイド達に吸い込まれていった。

 

 

「なんだ!? 力が溢れる!!」

 

「そうだ! だから叫べ!!」

 

 

赤、青、黄色、緑、桃色。五色の風が巻き起こった。

おお見よ! この溢れんばかりのパワーとやる気! 気づけば叫んだ。皆、『変身』と!

そして跳ぶ。高く、高く! それはもう高く!!

 

 

「!!」

 

 

着地して並び立つ五人の戦士。

ウィザード? 鎧武? 馬鹿が! そんな戦士はココにはいない。

ここにいるのは――ッ!!

 

 

「オレと体力交換しようぜ! アカライダー!!」

 

 

永夢は赤い戦士に。

 

 

「魔法使いは立派な職業! アオライダー!」

 

 

晴人は青い戦士に。

 

 

「さあ行きたまえ! 皆が待っている! キライダー!」

 

 

紘汰は黄色い戦士に。

 

 

「完全に盛りましたね。ミドライダー!」

 

 

進ノ介は緑の戦士に。

 

 

「………」

 

 

士は桃色の戦士モモライダーに。

 

 

「って、おいディケイド、ちゃんと名乗れよ」

 

「そうだよ、なに黙ってんだよ」

 

 

アカライダーとアオライダーがモモライダーを囲んで威圧する。

 

 

「ちょっと待て! 納得がいかない」

 

 

モモライダーはアカライダーとアオライダーを突き飛ばすと、腕を組んで貧乏ゆすり。

どうやら相当苛立っているようだ。小さな舌打ちも聞こえてくるではないか。

 

 

「なんだよ、納得いかないって何が!」

 

「なんで俺がピンクなんだ。ピンクはどう考えてもお前だろ!」

 

 

モモライダーはアカライダーを小突く。

 

 

「いった! なにすんだよ! いや、ピンクはお前だろ!」

 

「俺はピンクじゃなくてマゼンタだ! お前はどうみてもピンクだろうが!」

 

「いやッ、だってこれ、オレが持ってきたし!」

 

「うははーッ! なんだよコレ! なんかテンション上がってきた!! なあ誰かカレー持ってねぇか? なんかカレー食いたくなってきた! カレー!!」

 

 

興奮して体を意味なく動かしているキライダー。

彼の言葉は一切無視され、アカライダー達はギャーギャーと言い合いを続けている。

 

 

「そもそもさ、何色でもいいじゃねぇか、ガキじゃあるまいし」

 

 

達観したようにアオライダーが笑う。

 

 

「だったらお前がピンクやれよ」

 

「はい残念ー、俺ピンクのフォームもってないしぃ」

 

「どっちも子供じゃないか! ああもういい! 俺がピンクになるから! それでいいだろ!」

 

 

呆れた様にミドライダーが間に入るが、首を何度も傾げるモモライダー。

 

 

「なんか違う」

 

「何が!」

 

「……いや、なんかその言い方は俺が負けた気になる」

 

「「子供かよ!」」

 

 

ミドライダーとキライダーの言葉が重なる。

しかしふと気づくキライダー。エグゼイドは確かにピンク色だが、アカライダーになれていた。

なぜだろう? それを問うと、アカライダーは自慢げに胸を張る。

 

 

「そりゃ、オレがリーダーだからに決まってるだろ? リーダーは赤色。ニチアサの常識だぜ」

 

「なんだよそれは、後輩が調子乗ってんじゃねぇぞ」

 

「おいやめろよアオライダー。そういうのは良くない」

 

 

ミドライダーはアオライダーを止めるが、そこでキライダーに肩を掴まれる。

 

 

「でもよミドライダー。どうせならリーダーの方がよくないか? いやッ、そうなると俺アカライダーやりたいな。カレーくれれば別にいいけど」

 

「カレーカレーうっさいなお前は。仕方ない、匂いだけでもくれてやるよ」『スメル』『プリーズ』

 

「ありがとうアオライダー――ってクッサッッ!! おいこれカレーじゃなくてウ●コじゃねーか! ゼッテーゆるさねぇッッ!!」

 

「ああもうッ! やめろお前ら! モモライダー! 何笑ってんだ! そもそもお前がはじまりなんだぞ!!」

 

「確かに。悪かった。じゃあココは公平にジャンケンにしよう」

 

「まだ続けるのか!」

 

「いや、俺はべつにそれでいいぜ。魔法の力、見せてやる」

 

 

アオライダーは手を出す。

 

 

「へッ! 神の力を教えてやるぜ」

 

 

キライダーが手を出す。

 

 

「分かった分かった。重加速で終わらせてやる」

 

 

ミドライダーが手を出す。

 

 

「気に入らない結果だったらタイムベントで……、いや、なんでもない」

 

 

モモライダーが手を出す。

 

 

「待て待て待て! 待てよ! 誰一人真面目にやる気ないだろ! 公平ってなんだよ!」

 

 

うろたえるアカライダー。

他のカラーがブーブー吼えている。

 

 

「なんだよまだ続けるのかよ!!」

 

「やッ、だから! そもそもお前らが――」

 

 

爆発が起こった。

大量のミサイルが降り注ぎ、アカライダー達は爆炎に吹き飛ばされる。

 

 

「「「「「うわあああああああああああ!!」」」」」

 

 

大量の瓦礫と共に地面に墜落する五人。

その向こうでワナワナと拳を震わせている4号が見えた。

 

 

「いつまで茶番を続けるつもりだ――ッ! なにかあると思えば……! 期待した私が腹立たしい!!」

 

「グッ! ああッもう! みんないくぞ!」

 

「仕方ないな!」

 

 

アカライダーの言葉に他の四人は強く頷いた。

そして再び並び立つと、それぞれの名を強く叫ぶ。

 

 

「我ら! 仮面戦隊!!」

 

 

一勢にポーズを決める五人。

モモライダーとキライダーは大きく足を広げ、アオライダーとミドライダーは手を斜めに突き出す。

そして中央にいたアカライダーは両手と両足を大きく広げて構えを取る。

 

 

「「「「「ゴライダー!!」」」」」

 

 

背後に五色の爆発が巻き起こる。

一方で4号はスカイサイクロンを向かわせる。機銃を乱射して弾丸の雨を浴びせるが――。

 

 

「ゴライダーバリア!」

 

 

五色のドーム型結界が発生し、弾丸を遮断する。

一方で走り出したゴライダー。拳を握り締めると、4号の方へとひたすらに走る。

 

 

「馬鹿が。無駄だと言って――」

 

「ゴライダーパンチ! ワンッ!」

 

 

鎧武――、つまりキライダーが振るった拳が4号の顔面に突き刺さった。

 

 

「な――、に……!?」

 

 

痛みが。衝撃があった。

後退していく4号。そしてそこへアオライダーが拳を構えて迫る。

 

 

「ツーッ!」

 

「!」

 

 

思い切り振り上げるアッパー。

空中に打ち上げられた4号。もちろん攻撃は通用している。歴史改変マシンを使用しているにも関わらず。

そしてそこへ更なる拳が飛んできた。ミドライダーだ。

 

 

「スリー!!」

 

「ぐあぁああ!!」

 

 

天井に叩きつけられた4号。

さらにそこへ、モモライダーの追い討ちが。

 

 

「フォー!」

 

「ぐぅうう!」

 

 

剥がれ、落下していく4号。

その着地地点で拳を構えていたのはアカライダー。

 

 

「ファイブ!!」

 

「グゥゥウゥ!!」

 

 

渾身のストレートを受けて4号は客席まで飛ばされる。

座席を破壊しながら転がっていく中で、湧き上がる疑問。なぜ歴史改変マシンが発動しなかったのか。

いや、発動はしていた。なのに攻撃が通ったと言うワケだった。

 

そう。ゴライダーは全てのライダーの力を使うことができるのだ。

逆を言えばそれは全てのライダーであると言うことでもある。

当然その力のなかにはドライブやディケイドと同質のものが含まれており、4号への攻撃を通すことができる仕組みになっている。

 

 

「だがいずれにせよ……」

 

「!」

 

 

もちろん、攻撃が通用したからといってそれはイコールで敗北には繋がらない。

ゴライダー達はようやくスタートラインにたったと言うだけにしか過ぎない。

体について汚れを払う4号。ダメージは通ったが、目立った傷はついていない。

 

 

「正面から潰してやる。来い、ゴライダー共」

 

「ッ」

 

 

そこで衝撃が走る。

轟音と共にアリーナの壁が粉々になり、フォーゼがロケットモジュールで飛行してくる。

 

 

「お! おお!?」

 

 

着地したフォーゼはゴライダー達を見て困惑しているようだった。

 

 

「おいおい! なんだよコレ!」

 

「ゴライダー」

 

「うぉおお! ゴライダーキタァアアアアアアアア!!」

 

「はいはいわかったわかった。それで、翔太郎達は?」

 

 

モモライダーがフォーゼに問いかける。

声で士と分かったのか、フォーゼはすぐに報告を行った。

 

 

「翔太郎先輩たちは悠達についていった」

 

「映司は?」

 

「ポケモン探してる」

 

「またか……!」

 

 

そこで走り出すアカライダーたち。それを迎え撃つ4号。

モモライダーも走り出そうとしたところで、フォーゼに腕を掴まれる。

 

 

「なんだ!」

 

「あ、あのさ。その、ほら、オレもやりたいなぁ……、なんて!」

 

「はぁ? なにを?」

 

「それだよそれ、ゴライダーだよゴライダー! めちゃカッコいいじゃん! なあいいだろぉ? やらせてくれよ!」

 

「いやッ、でもなお前……!」

 

「いいじゃんかぁ! こうのってさ、だいたい中ごろから追加戦士で一色か二色くらい増えるだろ? シロライダーがいてもおかしくないって!」

 

「そしたらロクライダーになるだろ。五人だからゴライダーじゃないのか」

 

「じゃあキュウレンジャーどうなるんだよ?」

 

「ああ、まあ、それは……」

 

 

そこで悲鳴が聞こえてきた。咄嗟に左右にはけるモモライダーとフォーゼ。

するとその間にキライダーが突っ込んでくる。勢いが強いのか、キライダーは頭から壁に突っ込み、そのままめり込んでしまった。

 

 

「こ、紘汰! 大丈夫か!」

 

「チッ、おい弦太朗そっち持て!」

 

「お、おお!」

 

 

上半身がまるまま壁の中に突っ込んでしまったキライダー。

モモライダーは左脚を。フォーゼは右脚を持って強く引っ張る。

ズボッと音を立てて抜けるキライダー。野菜みたいだった。

 

 

「あぁ、助かったぜ……!」

 

「おう。大変だったな」

 

「いや士! アンタも戦えよ!」

 

「コイツがシロライダーになりたいっていうから」

 

「え? あぁ、先生、なりたいの?」

 

「なりたい! なりたい! 男だったらなりたくないヤツなんていないぜ!」

 

「だよなぁ! だったらさ! 決めポーズから考えたほうがいいぜ」

 

「おお! 決めポーズか! だったら、こう股間の下でVの字を、こう、連続で」

 

「コマネチじゃねぇか、カッコいいかそれ」

 

 

呆れた様に首を振るモモライダーに、フォーゼはムッとした様子でキライダーを見る。

 

 

「カッコいいだろ! なあ紘汰!!」

 

「えッ!? あ、ああ! か、かっこいい。うーん、かっこいい? まあかっこいいか。いやッ、でもどっちかって言うと面白い――、や、でもまあかっこいいちゃ、うーん!」

 

「ほらみろ士」

 

「なにがだ! どう考えてもお茶を濁してただろうが!」

 

「お茶か。オレは最近ウーロン茶が好きだ」

 

 

そこで爆発音が聞こえた。そしてミドライダーの怒号。

 

 

「おいッ、いい加減にしろ! アホみたいな会話してないで手伝ってくれ!」

 

 

ミドライダーとアオライダーは必死に4号の腕にしがみ付いていた。

しかし4号は鼻を鳴らすと、右腕を振ってミドライダーを、左腕をふるってアオライダーを引き剥がす。

そして前から殴りかかってきたアカライダーと何度か拳を交差させると、腕をからめ取り、膝をけって体勢を崩した。

 

 

「うッ!」

 

 

地面に崩れ落ちたアカライダー。

膝をつき、顔を上げると、見下げてくる4号と視線がぶつかる。

 

 

「ライダー旋風キック!」

 

「ぐあぁあああ!!」

 

 

風を纏った回し蹴りが肩を打つ。

地面を転がるアカライダー。さらにそこへ機銃の追撃が加わる。

 

 

「チッ! グダグダやってると流石にヤバイか。手伝え、弦太朗!」

 

「おお! 任せろ士! シロライダーとしてアイツを――」

 

「いや、違う。お前は武器になれ」

 

「……え?」

 

「ちょっとくすぐったいぞ」

 

 

フォーゼに触れるモモライダー。するとファイナルフォームライドが発動。

フォーゼの姿が徐々に変化していく。体が頭部に吸い込まれていき、最終的にはフォーゼは『頭だけになって』地面に落ちた。

 

 

「完成。フォーゼエンドボール」

 

「えええええええええええ!! 首ッ、首!!」

 

 

キライダーは慌てて地面にへたり込み、転がるフォーゼの頭を抑えた。

 

 

『生首キタアアアアアアアアアア!!』

 

 

叫びは無視し、モモライダーはフォーゼを掴む。

そしてアイコンタクト。他の四人はそれを理解して、走りだす。

 

 

「ゴライダーハリケーン! withフォーゼ! 行くぞ紘汰!」

 

 

モモライダーはフォーゼを思い切り蹴り飛ばし、キライダーのもとへ向かわせる。

一方でキライダーはパインアイアンを取り出し、鎖を振り回す。

普段ならば先にはパイナップル型の鉄球がついているのだが、今はなにもついておらず、代わりに鎖はフォーゼに絡み付いてキャッチしてみせる。

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

フォーゼを思いきり振り回し、その勢いを味方につけてキライダーはフォーゼを思い切り投げ飛ばした。

 

 

「ミドライダー!」

 

「任せろ! サッカーは得意だ!」

 

「ッ、させるか!!」

 

 

4号は危険を感じたか、飛んでいるフォーゼの首を撃ち落そうと機銃を発射させる

しかしここで青い魔法陣が大量に浮かび上がり、弾丸を遮断する。

アオライダーだ。彼が魔法の力で結界を構成したのである。

 

 

「晴人!」

 

 

そうしている内にフォーゼは目的地に。

ミドライダーはボレーキックで、次のアオライダーにパスを送る。

さらにこの時の軌道上に4号がいたため、フォーゼは4号を弾き飛ばして地面にダウンさせた。

 

 

「任せろ!」

 

 

アオライダーは前宙でフォーゼをキャッチすると、そのまま前転で勢いをつけてボールを投げる、ハンドスプリングスローを行う。

 

 

「エグゼイド!」

 

「ああ! 決めてやる!!」

 

 

バク宙で飛び上がったアカライダーはオーバーヘッドキックでフォーゼをシュート。

赤、青、緑、黄色、桃色。五色に輝くフォーゼは自身を思い切り回転させて飛んでいく。

 

 

「ゥオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「グッ!」

 

 

立ち上がった4号。

そして気づく。フォーゼが、4号を、通り過ぎた。

 

 

「まさか!」

 

 

振り返る4号。

だがもう遅い。フォーゼは猛スピードで、空中を飛びまわるスカイサイクロンを目指した。

 

 

「ライダー超光波ハリケェエエエエエエエエエンッッ!!」

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

フォーゼがスカイサイクロンに直撃した瞬間に巻き起こった大爆発。

4号の叫びを爆発音がかき消し、バラバラになったスカイサイクロンの破片が地面に落ちていく。

大破し、炎上したパーツをみながら4号は膝をつき、地面を殴りつける。

 

 

「ぼくのスカイサイクロンがぁあ……!!」

 

 

悔しそうに拳を震わせ、4号はオーロラを出現させた。

どうやらスカイサイクロンには強い思い入れがあるらしく、粉々に破壊されたことで戦意を喪失したようだ。

 

 

「必ず殺してやる……!」

 

 

そう言い残し、4号はオーロラの中へ姿を消していった。

 

 

「見事な勝利だ! 我ら!!」

 

「「「「「ゴライダー!」」」」」

 

 

ポーズを決める一同。

すると変身が解除され、ステージセレクトも解除されて元の川沿いの道に戻る。

立っている永夢たちと、地面を転がっている弦太朗。

 

 

「大丈夫か先生」

 

「へ、へへ……! 気にすんな――ッ、ボールは友達。友情の証だ――ッ!」

 

 

そう言うと、弦太朗は大の字のまま白目をむいて気絶した。

 




待機音で一番カッコいいのはタイプトライドロン。覚えておいて、テストに出るよ。

次回は水曜か木曜予定。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。